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NVIDIA,ゲーム開発者のための開発技術支援ブランド「GameWorks」を発表
NVIDIAはGameWorksを「ゲーム開発フレームワーク」と説明しているが,実のところ,はっきりした実体のあるゲームエンジンやゲーム制作ツールではなく,NVIDIAが提供する「ゲーム開発者のための開発技術支援」の総称といった意味合いが強い。ある意味,ブランド名といっもいいかもしれない。
NVIDIAによれば,コアテクノロジーは「GameWorks Research」「GameWorks Library」「Developer Tools」の3つからなるとのことだ。
GameWorks Researchは人的支援システムで,要は,NVIDIAの技術開発スタッフが,ゲーム開発スタジオから受けた技術的案件に関する研究を行い,ソリューションを提供するというものだ。ある意味で「ゲーム開発技術コンサルタント」的なサポートだといえる。
GameWorks Libraryは,これまでNVIDIAが「NVIDIA SDK」としてリリースしてきたグラフィックス技術サンプル&ドキュメント集や,物理シミュレーションエンジンSDKの「PhysX SDK」,プログラマブルレイトレーシングエンジンSDKである「OptiX SDK」などをひとまとめにしたもの。最後にDeveloper Toolsは,GPUデバッギングツール,単体使い切りの支援ツール群,DCCツールのプラグインソフトなどを総称している。
GameWorks Libraryの構成要素 |
Developer Toolsは,NVIDIAが提供する各種ゲーム開発支援ツールのことを指す |
GameWorksの対応プラットフォームはWindowsとLinux,iOS,Androidで,得られる性能に違いが出ることを受け入れられるのであれば,AMDやIntelのハードウェア上でも動作できるとのことだ(※TXAAなど,一部のNVIDIA専用機能は除く)。
GameWorksに追加される新しい構成要素
要するにGameWorksというのは,従来からNVIDIAが開発者向けページ「Developer Zone」で活動してきた内容を系統立てて再構築し,新たなブランド名で呼び始めただけのものだったりするのだが,新要素がないわけではない。それが,GameWorks Libraryに追加された「Flex」「GI Works」「Flame Works」だ。
Flexは物理シミュレーションライブラリの新作 |
流体物理ベースの水と剛体物理ベースのオブジェクトによる相互干渉デモ |
たとえばパーティクルベースの流体物理シミュレーションと,ソフトボディ(柔体物理あるいはセミ剛体物理)シミュレーションを同時に行い,そのマテリアルを同一空間状に配置して,その挙動を算出できる。説明会で公開されたデモでは,柔体物理素材として構築したゴム風船の内部に,パーティクルベースの流体物理素材とした水を詰め込んだうえで,「投げられて破裂する水風船」の表現が披露されていた。
GameWorksでNVIDIAは何を狙うのか?
Radeon R9&R7 200シリーズのリリースに合わせる形で,AMDは自社製GPU専用のプログラミングAPI「Mantle」も発表している(関連記事)。それだけに今回のGameWorksはいかにも対抗発表という感じだが,実際のところ,GameWorksの立ち位置は,Mantleとはかなり異なる。
確かに新要素としてのFlexとGI Works,Flame Works発表はあったものの,前段でも述べたとおり,GameWorksは事実上,NVIDIAがこれまでに提供してきたいゲーム開発関連技術を再構築し,ブランド名を与えたものに過ぎない。NVIDIAとしては「自社製GPU専用APIなんてモノは作らず,これまでどおり,きっちりとゲーム開発者を支援していきますよ」というメッセージをあらためて訴えたい,というところなのだと思われる。
ちなみにNVIDIAの立場は「GameWorksは現在提供中」。ただし3つの新作ライブラリは2014年初頭からの提供開始を予定しているとのことだった。
NVIDIA公式blogの関連ポスト(英語)
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