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PhysX,Splendid,HDMI。ASUSTeKに聞く「台湾で聞けなかったこと」
■夏には登場予定の「PhysXベンチ」
■メモリ256MB版は新製品に?
4Gamer.net
こんにちは。COMPUTEX TAIPEI 2006が終わって,日本でも「PhysX P1 GRAW Edition」が発売されました。何か反応は返ってきていますか?
ハローハロー。現時点では,日本のチームに任せています。まだ対応ゲームが少ないこともあって,将来を見据えて動いている,といった感じですね。
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「Tom Clancy's Ghost Recon: Advanced Warfighter」については「PhysX PPUを利用しても,爆発が少しキレイになるだけ」といった,厳しい評価が聞こえてきています。こういったバンドルタイトルに対する評価をASUSTeKとしてはどう捉えていますか?
Sean Lai氏
最初の対応ゲームタイトルとして,地味なのはまあ,仕方がないことなのかなと。今後,Cellfactorのようなゲームタイトルがどんどん出てくるはずです。
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どんどん出てくる,とのことですが,近々登場しそうなタイトルは何がありますか?
NCsoftの「City of Villains」が,パッチで対応しますね。City of Villainsでは「Mayhem Missions」において,PhysXのハードウェアアクセラレートが有効になります。
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City of VillainsにおけるPhysXも効果は限定的なんですね……。
Sean Lai氏
もちろん,ほかにもありますよ。ただ,NDA(秘密保持契約)があるので,具体的にはまだお話できません。
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ほかのタイトルについては話せないとのことですけども,ASUSTeKがカードメーカーとして開発に協力しているゲームタイトルというのは存在するのでしょうか?
CellFactorは“Combat Trainingでない”フルバージョンが登場する予定で,その開発に弊社は協力しています。まだタイトルは未定ですが。
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それは興味深いですね。もっと広い空間で戦えたりするようなら,かなり期待できそうです。
さて,CellFactorの話が出たので,台湾で存在について教えていただいた「CellMark」について聞かせてください。CellMarkというのは,どういったベンチマークなのでしょう?
Sean Lai氏
まだ画面をお見せすることはできませんが,台湾でお話したように,PhysX PPUを利用したハードウェア動作と,CPUで物理シミュレーションを行うソフトウェア動作時のパフォーマンスを比較できるようになっています。
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違いはフレームレートで比較することになるのですか?
Sean Lai氏
ですね。ベンチマークといえば,いま手元にFuturemarkのPhysX対応ベンチマークアプリケーションがあって,いまそれをテストしていますよ。名前は言えませんが。
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おお,出る出ると噂されているFuturemarkのPhysXベンチマークアプリケーションですね。テストしているってことは近そうですけど,いつ頃の登場になりそうです?
Sean Lai氏
うーん,はっきりとはいえませんが,もうすぐだと思いますよ。Futuremarkのは「夏の間に出る可能性がある」レベル。CellMarkはそれより早くなるでしょう。……これくらいで勘弁してください(笑)
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では,少し話を変えましょう。Seanさんは台湾で,「現行リビジョンのPhysX PPUは,メモリを128MBしか扱えない」と,大変気になる発言をされました。その理由は何ですか?
Sean Lai氏
一言でいえば,設計上の問題です。現時点では「仕様」ということになると思います。
ではなぜ,PhysX P1カードはメモリチップを合計256MB搭載しているんですか?
Sean Lai氏
PhysX PPUをオーダーしたときは,256MB扱える仕様だったんですよ。その後,カードの開発が進んで,完成したわけですが,その頃になって突然「仕様変更」と言われたからです。困りました(笑)
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もはやメモリの仕様変更を行えるタイミングではなかった?
Sean Lai氏
本当にギリギリのタイミングだったんですよ。ただ,メモリチップに関していえば,大量に購入していますから,コストへの影響はそれほど大きくありません。
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では,メモリを256MBサポートするPhysX PPUは,いつ頃登場することになると,カードメーカーとして予測していますか?
Sean Lai氏
年内かどうか,といったところですかね。具体的なところはまだ分かりません。いずれにせよ,そのチップが出てきたら,(カードのリビジョン変更ではなく)カードの新製品として投入する予定です。
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例えば「PhysX P2」とか?
Sean Lai氏
可能性はありますね(笑)
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現行製品,PhysX P1の価格が安くなる可能性はないんでしょうか? 4万円弱というのは,気軽に購入できる価格ではないと思うのですが。
Sean Lai氏
うーん。コストがどうしてもかかっているので,すぐには下がらないでしょうね。数が出ないことには,厳しいと思います。
■Splendidハードウェアの搭載はあきらめない
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Splendidについて,Seanさんは2005年のCOMPUTEX TAIPEIで,機能を提供するハードウェアをグラフィックスカードに実装する予定と言っていましたが,未だ実現していません。なぜなのでしょうか。
PCでは不要な機能が多すぎたからです。そもそもSplendidはテレビ用に開発された機能とお話しましたが,テレビ用のSplendidには,アンテナの受信感度強化機能やアンテナから入力された映像信号の色を解析する機能などが含まれています。これらはグラフィックスカード用として,明らかに不要ですよね。
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つまり,機能を削除したハードウェアを提供するよりは,ソフトウェアのほうがいいと判断したわけですね。では,Splendidのハードウェアをグラフィックスカードに搭載する計画そのものはなくなったんでしょうか?
Sean Lai氏
弊社のマザーボードと同じように,グラフィックスカードにもハードウェア的な機能を追加する方向では動いています。現在開発中です。
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ただ,ウルトラハイエンドクラスのグラフィックスカードは,GeForceもRadeonもリファレンスカードそのままですよね。そこにハードウェアを搭載するというのは,現実的な話として,非常に厳しいと思います。
Sean Lai氏
困難はあると思います。GPUメーカーと交渉することになりますが,最後は「数」ですよね。数が出るようなら,搭載できるでしょう。
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限りなく「難しい」と言っているように聞こえますが,逆にいえば,ミドルレンジ以下では可能とも取れるので,そちらに期待しておきますね。
ところで,先ほど話に出てきた,テレビにおけるSplendid機能は,「Splendidコントローラ」的な,かっちりしたハードウェアデバイスによって提供されているのですか? それとも,もう少しプログラマブルなものなんでしょうか?
Sean Lai氏
ハードウェアで提供しています。
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ということは,グラフィックスカードにおけるASUS Enhanced Driverのように,ファームウェアのアップデートで機能を追加したりするようなことはできないわけですね。
Sean Lai氏
ええ。ソニーのBRAVIAもできないでしょ?(笑)
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テレビとグラフィックスカードが搭載しているSplendidには,どれくらいの違いがあるんでしょうか?
弊社では液晶ディスプレイにもSplendidを搭載しているので,大きく3種類の搭載製品がありますが,基本的なコンセプトと,弊社が「コア」と呼んでいるベース部分は同じです。あとは,先にお話ししたように,目的別に機能が取捨選択されています。
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テレビや液晶ディスプレイだと,例えばOEM(≒生産請負)の形で,どこかの家電メーカーや液晶ディスプレイメーカーによって,Splendidの技術が採用されているようなことはあるのですか?
Sean Lai氏
あくまで弊社のオリジナル機能として使っていますから,どこにも出していません。今のところ,外に出す予定もないですね。
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オリジナルといえば,MSIは,少し前からグラフィックスカードの画質調整機能として,「Vivid」というオリジナル機能の提供を始めました。Vividをどう捉えていますか?
Sean Lai氏
あちらは静的な画質調整機能で,ガンマ設定などのプリセットを選択するものです。その意味で,動的な映像調整技術であるSplendidとは別物という理解ですね。ただ,「グラフィックスカード側でプリセットを持って画質を調整していく」技術という意味で,フォロワーが登場してきたことは,Splendidのコンセプトが正しかったことの証明になるのではないでしょうか。
■HDMIの需要はまだなく,Windows Vista待ち
COMPUTEX TAIPEI 2006では,ASUSTeKをはじめとする何社かが,HDMIインタフェースを搭載したグラフィックスカードを展示していました。HDMIインタフェースは,全世界的に,現在どれくらいのニーズがあるのでしょう?
Sean Lai氏
それは私も質問したいと思っていたんですよ。日本でニーズはありそうですか?
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HDMIのウリは著作権保護機構ですが,あくまで現時点ではと断って話をすると,今一つピンと来ないというのが正直なところです。意地でもデジタルテレビをPC上で観たい人達が騒いでいるだけのような気もします。
Sean Lai氏
世界でもそんな感じです。2006年夏という時点で話をすれば,需要はまだないといっていいですね。
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将来的にはどうなると考えていますか? HDMIが標準になっていく?
Sean Lai氏
でしょうね。ただ,PCに関していえば,Windows Vista次第ではあると思います。そういった意味で,現在は様子を見ているところです。
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HDMIでは,映像と音声を同時に出力できますが,COMPUTEXでASUSTeKは,デジタルのサウンド入力端子を持つカードと持たないカードの両方を展示していました。あれはいったい,どういうことだったのでしょうか?
Sean Lai氏
持たない,というのは「EAX1600PRO/I/256M」のことですね。ご指摘のとおり,あのカードにサウンド入力はありません。サウンドを出力したい場合は,従来どおり,マザーボードやサウンドカードから処理することになります。
現在弊社では,「EN7600GT/HTDI/256M」のように,グラフィックスカード側にデジタルのサウンド入力端子を用意する方向で動いていますが,HDMIの需要がまだないこともあり,最終的にどうするかはまったくの未定です。HDCP+DVIになって,サウンドは別途出力することになる可能性もあります。
――以上,時間的な都合によりCOMPUTEX TAIPEI 2006で聞きそびれたことを,氏に確認してみた。ゲームと直接関係する話は少ないが,今後について気になるところをまとめてみたので,これからグラフィックスカードやPhysX PPUカードを購入するに当たっての一助になれば幸いだ。
個人的には,HDMIに関して,カードメーカーの置かれている現状が垣間見えて興味深い。とくに日本の場合は,B-CASカードという「問題」(あえてこう呼ぶ)があり,「HDMIインタフェース搭載→即デジタルテレビ視聴可能」にはならないわけで,ゲーマーとしては,まだまだ様子見で問題なさそうな気配である。Windows Vista時代になれば,インタフェースも含めて大きなアップデートがあると思われるが,とりあえず2006年夏の時点では,パフォーマンスや,Splendidのような付加機能重視でグラフィックスカードを選んでおいて問題ないだろう。(佐々山薫郁)
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