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「K」を皮切りに,デスクトップCPUの強化へ乗り出すIntel。“Sandy Bridge計画”にも変化が
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印刷2010/05/28 14:00

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「K」を皮切りに,デスクトップCPUの強化へ乗り出すIntel。“Sandy Bridge計画”にも変化が

倍率ロックフリーのLGA1156版CPUが2製品登場予定。写真はCore i7-875K/2.93GHzだが,いわば“Intel版Black Edition”といったところか
画像集#002のサムネイル/「K」を皮切りに,デスクトップCPUの強化へ乗り出すIntel。“Sandy Bridge計画”にも変化が
 Intelは,デスクトップPC向けCPUの強化に乗り出す。
 別途掲載のレビュー記事でもお伝えしているとおり,Intelはまもなく,CPU倍率固定が解除された「Core i7-875K/2.93GHz」「Core i5-655K/3.20GHz」を正式に発表する予定になっている。

 両CPUの仕様やオーバークロック耐性などはレビュー記事を参照してほしいと思うが,マザーボードベンダー各社は,これら倍率ロックフリー版Core i7&i5に対応した「Intel P55 Express」および「Intel H57 Express」搭載マザーボードの開発を進めている。多くは,現地時間6月1日に開幕するPC関連製品見本市「COMPUTEX TAIPEI 2010」で公開される見込みだ。

 「『対応」といっても,LGA1156版CPUなのだから,せいぜい必要になるのはBIOSアップデート程度じゃないの」と思った読者はいるだろう。その点について,筆者が話を聞いたマザーボード開発者は,倍率ロックフリー版Core i7&i5へ対応するに当たって最も重要になるのが「オーバークロック状態で,Intel Turbo Boost Technology(以下,Turbo Boost)をいかに生かすか」にあると指摘している。

 CPUの規定動作倍率を仮に n とした場合,Turbo Boostの動作上限倍率は例えば n+4 などといった形で設定され,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)を超えない範囲で機能する。だが,エンドユーザーが倍率を引き上げると,簡単に規定のTDPを上回ってしまうため,Core i7&i5のキモであるTurbo Boostがほとんど機能しなくなる可能性が高まるわけだ。
 そのため,倍率ロックフリー版CPUへの「対応」を本気で考えているベンダーは,BIOSからCPUのTDP設定を乗っ取って,Turbo Boostを機能させるようにするといった工夫を,試行錯誤しているのだという。

 Intelの話に戻すと,同社はAMD「Phenom II X6」の対抗として,2010年第3四半期中に6コアの「Core i7-970/3.20GHz」を追加予定だ。本製品は「Core i7-980X Extreme Edition/3.33GHz」(以下,i7-980X)と同じGulftownコアを採用し,TDPも同じく130W。Turbo Boost有効時の最高クロックは3.46GHzという設定になるようだ。
 Intelはさらに,6コアの900番台を拡充する計画を持っており,2011年第1四半期には,i7-980Xの上位モデルも予定している。現行のハイエンドデスクトッププラットフォームがSandy Bridge(開発コードネーム)世代へ移行を始める2011年前半も,LGA1366プラットフォームは,一定の足場を確保し続ける見込みである。

IntelのデスクトップPC向けCPUロードマップ
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Sandy Bridge計画にも変化が


 Sandy Brige世代の次世代CPUは,2010年末に量産を開始し,2011年第1四半期市場投入というスケジュールが確定しており,変更はない。

 ただ,発表当初は,LGA1156のメインストリーム製品を,Socket H2プラットフォームのLGA1155パッケージ製品で置き換える程度になる模様。
 その理由は一にも二にも,先ほど紹介した倍率ロックフリー版のCore i7&i5や,LGA1366版Core i7である。Intelはこれらミドルハイ〜ハイエンド市場向け製品を2011年年第2四半期まで延命させ,そのタイミング以降で,Sandy Bridge世代のハイエンドプラットフォームたる,Socket B2――現時点で,CPUパッケージはLGA1356になると言われている――環境へ移行させる計画だ。
 PentiumやCeleronが存在するエントリー市場も,しばらくは現行ラインナップが維持される見込みとなっている。

Intel製デスクトップPC向けCPUの移り変わり
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 そのSocket B2について,Intelは2009年末の時点で,PCメーカーに,「(Socket B2プラットフォームでは)6コアモデルが中心になる」と通達していた。だが,AMDの積極的な6コアCPU投入計画を受けて,この方針を撤回。2010年の早い時期に,Sandy Bridge世代導入の前倒しや,ハイエンドCPU投入計画の見直しが図られたと,Intelに近いOEMベンダー関係者は明かす。

 同関係者によれば,Sandy Bridge世代のSocket B2対応CPUは,8コアモデルを中心に展開される予定。各コアに容量2.5MBのL3キャッシュを実装し,メモリコントローラはトリプルチャネルDDR3-1600対応になる見込みとなっている。
 また,CPUに内蔵されるPCI Express(以下,PCIe)インタフェースはGen.3.0を24レーン持つとのこと。つまり,グラフィックスインタフェースとしてPCIe 3.0 x16+x8またはPCIe x8×3をサポートできるので,ネイティブで3枚のグラフィックスカードによるマルチGPU環境を実現できることになるわけだ。
 組み合わされるPCH(Platform Controller Hub)は「Patsburg」(パッツバーグ,開発コードネーム)。現行のDMI比で2倍の帯域幅を実現するDMI Gen.2で結ばれるだけでなく,CPUとの間を,PCIe 3.0 x4で結ぶオプションが用意されたり,Serial ATA&Serial Atatched SCSI 6Gbpsをサポートしたラインナップが用意されたりと,サーバー&ワークステーション向けPCHとして,アグレッシブな機能拡張もなされるようである。

 一方,Socket H2(=LGA1155)プラットフォームでは,開発コードネーム「Cougar Point」(クーガーポイント)として知られるIntel 6シリーズチップセットがPCHとして組み合わせられる。
 3月9日に掲載した記事で,筆者は「PCHの仕様は現行どおりのものに留まる」とお伝えしたが,これは,Sandy Bridge計画の前倒しに絡んだIntelの試行錯誤により,不確かな情報が紛れ込んでしまったようだ。お詫びして訂正させていただきたい。現在の計画だと,Intel 6シリーズの基本スペックはのようなものになっており,複数のマザーボード関係者は(Patsburgの型番を除けば)最終仕様になるはずと述べていた。

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 さて,Sandy Bridge世代のLGA1155版CPUでは,クアッドコア版とデュアルコア版が用意され,いずれもCPUコアごとに容量1.5MBのL3キャッシュが搭載される。
 グラフィックスインタフェースは現行製品と同じPCIe 2.0 x16のままで,「Intel P67 Express」との組み合わせた場合には,PCIe x8×2構成によるマルチGPU構成にも対応する。なお,OEM関係者によれば,IntelhaSocket H2世代でも,倍率ロックフリー版CPUの投入を検討しているとのことだ。

Intel P67 Expressベースのプラットフォームブロックダイアグラム
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 LGA1155版CPUでは,2009年の時点だと6コアモデルも検討されていたが,現在の計画だと,Socket H2プラットフォームにおける6コアや8コア化は,22nmプロセスを採用する「Ivy Bridge」(アイヴィブリッジ,開発コードネーム)マイクロアーキテクチャの世代まで先送りされているとは,Intelに近いOEM関係者の弁。「もっとも,AMDの出方次第だ。状況によっては,6コアのLGA1156版CPUが復活することもあり得る」とのことなので,Sandy Bridge世代の6コアCPUは,まだ流動的で,価格競争力のある製品が投入される可能性もゼロではなさそうである。
  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3-2000番台(Sandy Bridge)

  • 関連タイトル:

    Core i7(LGA1366,ヘキサコア)

  • 関連タイトル:

    Core i7&i5(LGA1156,クアッドコア)

  • 関連タイトル:

    Core i5&i3(LGA1156,デュアルコア)

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