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AMDのCPU&チップセットロードマップ更新。AM3は短命に終わる?
また,AMDは45nmプロセス版のQuad-Core Opteronとなる「Shanghai」(シャンハイ,開発コードネーム)の投入を優先させているようだが,こちらも2008年内に出荷という公約を守れるかどうかは,かなり微妙な状況だ。
ところで,Deneb,つまり45nmプロセス世代のPhenomシリーズでは,モデルナンバーが現行の4桁から5桁となり,X4が基本的に20000番台,X4の下位ラインナップとX3が10000番台に変わると言われている。しかし,Phenomの製品名が「『X4,X3付き』として予告される→発売されたら無印→途中でまた『X4,X3付き』に戻る」と変更された経緯もあることから,「製品が実際に登場するまでは分からない」というのが,OEMベンダー関係者の共通した見方だ。
なお,TDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)はクアッドコアのパフォーマンスモデルで125W,通常版では95Wとなる見込み。現行の最上位モデル「Phenom X4 9950 Black Edition/2.6GHz」は,最近になってTDPがそれまでの140Wから125Wへと引き下げられたが,では140Wラインに新製品が登場するかというと,Denebまでの間に,高クロック版が投入される計画はない。
AM3プラットフォームは短命に終わる?
DenebのAM3パッケージは,既存のAM2およびAM2+と互換性がある。45nmプロセス版のPhenomは,DDR2-1066/DDR3-1333のデュアルチャネルメモリアクセスをサポートし,AM2+対応のSocket AM2マザーボードに差せばHyperTransport 3.0&DDR2メモリ対応CPUとして利用でき,Socket AM3マザーボードと組み合わせれば,DDR3メモリを利用可能だ。
これら関係者達いわく,AMDの最新ロードマップにおいて,確かにAM3は2010年以降も,ミドルクラスやローエンド市場には展開されるが,ハイエンド市場向けのプラットフォームは空白になっているとのこと。しかも,2010年には,予定どおりなら,CPUにグラフィックス機能を統合する「Fusion」が計画されている。
「つまり,AMDが計画どおりにFusionを実現できるなら,AMDは2010年に,CPUソケットの仕様を大幅に変更することとなる」(大手PCベンダー関係者)
また,OEMベンダー関係者は,最初のFusionとなる「Swift」(スイフト,開発コードネーム)では,Socket FS1と呼ばれる新プラットフォームへ移行するとAMDから伝えられているようだ。
一方,「ハイエンド製品でIntelのNehalemと対抗するためには,デュアルチャネルDDR3インタフェースでは力不足」(マザーボードベンダー関係者)と,パフォーマンスの観点からも,AM3が短命に終わる理由を指摘する声もある。
8月19日の記事でお伝えしているとおり,AMDは2010年に投入予定のサーバー&ワークステーション向け6コアCPU「Sao Paulo」(サンパウロ,開発コードネーム)で,4chのDDR3インタフェース対応を果たす計画を持っている。このタイミングで,ハイエンドのデスクトップPC向けCPUでも,大がかりなプラットフォーム変更があって,不思議ではないというわけだ。
AM3マザーボードは2009年第2四半期以降の登場
RD890は,基本機能こそAMD 790FXと同等ながら,マルチGPU環境におけるデータ共有を最適化するなど,ATI CrossFireXの性能向上に向けた取り組みがなされる見込みである。
一方のグラフィックス機能統合型チップセットでも,「AMD 780G」「AMD 790GX」の後継として,「RS880」(開発コードネーム)が用意される。3D性能の強化とUVD機能の充実が図られる予定で,FusionでCPUパッケージに統合されるシリコンになるとも言われているチップセットだ。
両チップセットはいずれも2009年半ばには市場投入される予定。45nmプロセス版Phenomとともに,AMDのデスクトップPC部門にとって,2009年は勝負の年となりそうである。
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