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PhysXのアドバンテージがいよいよ鮮明に。NVIDIA,GPUによるPhysXアクセラレーションの最新情報と対応ゲームを本日紹介
それによると,PhysXをコンシューマ機などに移植しやすくするツール「APEX」(Applied PhysX EXtention)のサイトライセンスを新たにセガが取得し,傘下のゲームスタジオが,PhysXを採用したゲームを開発することになったとのことだ。
既報のとおり,すでにElectronic Arts,2K Games,そしてTHQという大手ゲームパブリッシャはPhysXのライセンスを獲得しており,ここにセガが参加することで,「ゲームにおける物理演算エンジンの実装が当たり前の時代になった」とNVIDIAのUjesh Desai(ユジェッシュ・デサイ)氏はコメントしている。
NVIDIAは,同時にこれから発売される予定のPhysX対応ゲームタイトル4本を紹介したので,ここにその概要と公開されたムービーを掲載してみよう。
紹介されたタイトルとデベロッパ
- 「Terminator Salvation」(GRIN)
- 「Darkest of Days」(8monkey Labs)
- 「Dark Void」(Airtight Games & Capcom)
- 「U-Wars」(Biart Studio)
Terminator Salvation
「Terminator Salvation」は,5月21日に北米での発売が予定されている三人称視点のアクションシューティングだ。プレイヤーは2016年のロサンゼルスを舞台に,主人公のJohn Connorとなって,ターミネーター部隊を擁するSkynetに立ち向かうのである。デペロッパのGRINは,ゲームに出てくる多数の建物や木々を破壊可能にするとともに,残骸にもインタラクティブ性を持たせるとしており,プレイヤーはオブジェクトを破壊して遮蔽物を作ったり,建物を破壊して敵を倒すなど,物理エンジンならではのさまざまな戦略が考えられるという。
むろん,武器や煙,霧といった視覚効果にもPhysXエンジンは利用され,「目の肥えたゲーマーでも満足できるリアリズムを実現している」とGrinのCEOであるBo Andersson氏はコメントしている。Terminator Salvationは,PC以外にXbox 360とPLAYSTATION 3版のリリースが予定されている。
Darkest of Days
8monley Labsが開発する「Darkest of Days」は,歴史的に有名な戦いを背景にしたFPSだ。プレイヤーは南北戦争,第一次世界大戦,第二次世界大戦,そして古代ローマ帝国時代の戦いに,時空を超えて参加するのである。
本作では,リアルな植物の動きなど,もっぱら自然の描写にPhysXエンジンが利用される。降り積もる雪やムービーにもある火山灰なども,物理演算を使って再現されるのだ。
「Darkest of Days」の発売は2009年秋とされており,PCに加えて,Xbox 360向けにもリリースされる予定だ。
Dark Void
カプコンが今年秋に市場投入を計画中の「Dark Void」は,三人称視点のSF アクションシューティングで,ジェットパックを背負った主人公が,空や地上を縦横無尽に駆け回り,The Watchersと呼ばれるクリーチャーを倒していくという内容。開発にあたっているのは新しいデベロッパであるAirtight Gamesで,地上数百メートルの崖にジェットパックで飛び移ったり,上空から敵を突き落としたりといった,これまでのゲームにはあまり見られない,“バーチカルコンバット”という垂直方向を強調した戦闘が特徴。
猛スピードで荒野を飛びまわる主人公だけでなく,敵の宇宙船やUFOの飛びっぷりなどがPhysXエンジンによってリアルに描かれる。もちろん,武器による破壊シーンにも物理演算が施される予定だ。パブリッシャのカプコンによれば,本作の対応機種はPCとXbox 360,およびPLAYSTATION 3となっている。発売時期は今のところ未定。
U-Wars
ロシアのBiart Studioが開発中の「U-Wars」は,テロ組織「ゴールデン・ホーク」の殲滅を図るNATOの特殊部隊をテーマにした三人称視点のアクションシューティングだ。
プレイヤーは近未来の米海兵隊特殊部隊の一員となり,潜水艦や潜水ジェットパックスーツなどを駆使して,水中や地上でテロリストとの戦いを繰り広げる。本作においてPhysXは,海流や爆発などによる水の流れのリアルな表現に使われている。
また,プレイヤーの服装をカスタマイズすることも可能で,より自然な布地の表現などにも物理演算処理が施される。発売時期は2009年第4四半期で,対応機種はPCのほか,Xbox 360,PLAYSTATION 3,そしてWiiとなっている。
ATI Radeon HD 4770へ冷や水をかけるべく(?)
GPU PhysXの優位性をあらためて訴える
NVIDIAは,現時点で100タイトル以上のゲームがPhysXを使った物理演算処理を実現しているとして,これこそが,競合他社――ここではAMDだけではなく,Havok.comも含まれるだろう――に対する優位性だとしている。名前の挙がっているタイトルのほとんどが,マルチプラットフォームなのも特徴だ。
また同社は,PhysX対応のPCゲームタイトルを実行したときの性能比較データをアップデートし,「PhysXを有効にすると,エントリーミドルクラスGPU,『GeForce 9600 GT』ですら,AMDのシングルGPU最上位モデル『ATI Radeon HD 4890』のスコアを大きく上回る」とアピールしている。
もっとも,(4Gamer読者には釈迦に説法かもしれないが)PhysXのGPUアクセラレーションに対応していないATI Radeonでは,CPUによるソフトウェア処理となる。GPU処理に最適化されているアプリケーションを,GPU処理とCPU処理で比較しているわけで,そのまま鵜呑みにするようなデータではない。むしろ,同日,同時刻に発表された「ATI Radeon HD 4770」へ,対抗する“実弾”を持っていないNVIDIAがなんとか用意してきた材料,と表現するほうが正しいかもしれない。
とはいえ,セガがPhysXのサイトライセンスを獲得したことで,ゲームにおける物理演算エンジンの標準化競争において,NVIDIAがまた一歩先へ進んだこと,それ自体は間違いではない。あとは,PhysXを使いこなした,“面白い”ゲームが充実していくことを,大いに期待したいところだ。
- 関連タイトル:
PhysX
- 関連タイトル:
Terminator Salvation The Game
- 関連タイトル:
Dark Void
- 関連タイトル:
Darkest of Days
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