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NVIDIA,「PhysX」のAGEIA Technologiesを買収
NVIDIAのリリースによれば,PhysXソフトウェアライブラリは(開発中のタイトルも含めると)PCやPLAYSTATION 3,Xbox 360,Wiiといった主要ゲームプラットフォームにおいて,140のタイトルに採用されているとのこと。開発ツール「PhysX SDK」は1万人以上ものアクティブユーザーを抱えているという。
NVIDIAのJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)社長兼CEOは,「世界で最も普及しているGPUと物理エンジンのブランドを組み合わせることで,我々は『GeForce-accelerated PhysX』を何億人ものゲーマーへ提供できるようになる」と述べ,今後,GeForceによるPhysXハードウェアアクセラレーションを利用できるようになる可能性を示唆。112基のストリーミングプロセッサを搭載する「GeForce 8800 GT」であれば,物理シミュレーションで要求されるパラレル演算において,デュアル/クアッドコアCPUよりもはるかに速い処理が可能だと,AGEIA買収によるメリットを強くアピールしている。物理シミュレーションアクセラレータ「PhysX PPU」は短いその役割を終え,今後はGeForceベースのPhysXアクセラレーションが,ゲームでは実装されることになりそうだ。
なお,PhysXはGPUベースの総合開発環境「CUDA」(Compute Unified Device Architecture,クーダ)にも組み込まれる予定。「コンピュータ業界は,汎用性の高いCPUと,パラレル演算性能に優れたプロセッサとして利用できるGPUを組み合わせて利用する,ヘテロジニアスな(=異種混成型の)コンピューティングモデルへ移行しつつある」としたHuang氏は,CUDAとヘテロジニアスなコンピューティングは,物理シミュレーションやコンピュータグラフィックス,ビデオ/イメージ処理において,待望されてきた大きなパフォーマンス向上をもたらすとしている。
IntelによるHavokの買収から5か月弱。2002年に誕生したAGEIAを飲み込むことで,NVIDIAもついに物理エンジンを手に入れたことになる。「Havok FX」など,物理シミュレーションの可能性についてはかねてより積極的だったNVIDIAだけに,サポートを含めた物理シミュレーション開発環境やGeForce-accelerated PhysXなどを武器として持つことになる同社が,今後どういった攻勢をかけてくるのか注目したい。
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