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デザインに強くこだわったAndroidスマートフォン「Nothing Phone (1)」が国内発売
Nothing Technologyは,2020年にスウェーデン出身の起業家Carl Pei(カール・ペイ)氏が立ち上げた企業だ。日本国内では2021年8月に完全ワイヤレスイヤフォン「Nothing ear (1)」を発売しており,Nothing Phone (1)はこれに続く第二弾製品となる。
どちらも製品の内部が透けて見えるトランスルーセントボディを採用するのが特徴で,イヤフォンやスマートフォンといった,コモディティ化の進む製品カテゴリをデザインの力で切り拓くことを目指すという。
Nothing Phone (1)のデザインで,とりわけ強いこだわりを示す部分が背面だ。背面パネルは,Corning製の化学強化ガラス「Gorilla Glass 5」を採用しており,強度を保ちつつ内部が見えるデザインとなっている。
ただし,Nothing Phone (1)の場合は,一般的なトランスルーセントデザインではなく,内部の基板やコンポーネントをそのまま見せるのではなく,細かなパネルやカバーで,基板を覆っている。それぞれのパネルやカバーは,グレースケールの異なる塗装が施されており,陰影なども考慮したデザインになっているそうだ。
背面部分における最大の特徴は,Nothingが「Glyph Interface」と呼ぶ900個以上にも及ぶミニLEDの搭載だ。LEDの点灯によって,スマートフォンの状態をユーザーに伝えるという。
たとえば,有線による充電時は,USB Type-Cポートに近いLEDだけが点灯する。着信や通知があった場合は,設定に応じたエリアが点灯,あるいは点滅するといった具合だ。カメラアプリでの撮影時には,背面LEDをすべて点灯してLEDライトにすることもできるという。また,1つだけある赤色LEDが点灯するときは,撮影や録音状態を示し,被写体側からもそれが分かる仕組みとなっている。
スペックはミドルクラス市場向けスマートフォン
Nothing Phone (1)のスペックにも触れておこう。
ディスプレイは,約6.55インチサイズで,解像度1080×2400ドット,横持ちしたときのアスペクト比が20:9の有機ELパネルを採用する。最大リフレッシュレートが120Hz,タッチパネルのサンプリングレートが240Hzとゲームにも対応できそうなスペックだ。
搭載SoC(System-on-a-Chip)は,Qualcommのミドルクラス市場向け「Snapdragon 778G Plus」で,メインメモリ容量は8GB,内蔵ストレージ容量は256GBとなる。
アウトカメラは,標準と広角の2眼式を採用する。標準カメラは,約5000万画素のソニー製撮像センサー「IMX766」と,開放絞り値がF1.88と明るいレンズを組み合わせているのが特徴だ。一方の広角カメラは,約5000万画素のSamsung Electronics製撮像センサー「Isocell JN1」を採用する。レンズの開放絞り値はF2.2で,画角114度のワイド撮影や最短撮影距離4cmのマクロ撮影が可能だという。
バッテリ容量は4500mAhで,Type-Cを使った有線での充電と,ワイヤレス充電規格の「Qi」に対応している。急速充電を利用した場合は,約35分で50%まで充電できるそうだ。なお,Nothing Phone (1)は,USB Type-C to Cケーブルが付属するものの,充電器は別売りになるとのこと。さらに,急速充電にはQuick Charge 4.0に対応した充電器しか利用できない点についても注意したい。
プリインストールのOSは,Android 12ベースで,それを独自にカスタマイズした「Nothing OS」を採用する。一般的に販売されるスマートフォンに比べて,プリイントールアプリを最大約40%削減したそうで,シンプルなソフトウェア構成も特徴だ。
Nothing OSの独自要素は,ランチャーとGlyph Interfaceの追加程度だと思われる。Googleによるプリインストールアプリも少ないので,Pixel以上に素のAndroidという印象だ。
OSには,ゲームモードも搭載しているようで,ゲームのプレイ中に各種通知の制限などを利用できるとのことだ。
製品寿命に直結するOSのサポート期間は,OSのアップグレードは3年間,セキュリティパッチの更新は,2カ月に1度のペースで4年間提供するとのこと。
日本市場向けのローカライズは,言語対応が中心だ。防水防塵についてはIP53相当だが,コスト面の都合で,認可機関による審査も受けていないという。Nothingとしては,30分間水に浸けていても浸水しないレベルの設計を行っているが,そうした利用は推奨しないそうだ。
また,NFCを搭載するが,いわゆるFeliCaによる「おサイフケータイ機能」には対応しない。おそらく,非接触決済の共通規格である「EMV」によるタッチ決済は使えるはずだが,国内決済事業者との関連もあり現時点では不透明である。
なお,当面の販路は直販サイトのみで,ほかのECサイトや量販店への展開などは決まっていないという。サポート体制も立ち上げ中で,チャットによる操作のサポートは行うものの,機器が故障したときの修理や交換といった対応は準備中で,この点を不安に感じる人も多そうだ。
デザインは評価できるが,使い勝手に詰めの甘さが見え隠れ
Nothing Phone (1)を実際に手にしてみると,製品の質感は高いと感じる。前面と背面を強化ガラスで挟んだデザインや,ミニLEDによる演出など見どころは多い。ディスプレイのベゼル幅が4辺ともに均一なのに加えて,四隅の丸みも外装とディスプレイパネルでそろっており,細かなところまで気を使っている。デザイン面でのこだわりは強く,所有欲を満たせそうな製品で,6万9800円という価格も妥当と言えるだろう。
だが,デザインに注力しすぎた反動か,使い勝手には詰めの甘さが見え隠れする。たとえば,Nothing Phone (1)の特徴であるGlyph Interfaceを活用するには,まずLEDが点灯や点滅する意味を覚えなければいけない。ユーザー自身で分かりカスタマイズできればいいが,これも今のところ,限定的にしかできないようだ。
そもそも,LEDでスマートフォンの状態を知らせるというアイデアは,フィーチャーフォンの頃から存在しており,目新しさはそれほどない。Nothingによると,Glyph InterfaceのAPIを提供して外部企業も含めて機能を拡張したいとのことだが,現時点では白紙の状態だ。
コモディティ化を打ち破るための新しいアイディアという言葉とは裏腹に,外見も機能も,真に新しい要素は見当たらない印象を受ける。Nothing Phone (1)と同様に,デザインへのこだわりを前面に打ち出した「Balmuda Phone」は,発売当初の高価格もあって必ずしも成功とは言えない状態であるだけに,国内外におけるNothing Phone (1)の評価に注目したいところだ。
メーカー | Nothing Technology |
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OS | Android 12 |
ディスプレイパネル | 約6.55インチ液晶, |
プロセッサ | Qualcomm製「Snapdragon 778G Plus」 ・CPUコア:Kryo 670(最大2.5Hz) ・GPUコア:Adreno 642L |
メインメモリ容量 | 8GB |
ストレージ | 256GB |
アウトカメラ | 2眼式 ・標準:約5000万画素,F値F1.88,光学手ブレ補正対応 ・広角:約5000万画素,F値F2.2,最短撮影距離4cm |
インカメラ | 約1600万画素,F2.45 |
対応5Gバンド | n1/n3/n5/n7/n8/n20/n28/n38/n40/n41/n77/n78 |
対応LTEバンド | 1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28/32/34/39/40/41/66 |
対応3Gバンド | 未公開 |
無線LAN対応 | Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) |
Bluetooth対応 | Bluetooth v5.2 |
バッテリー容量 | 4500mAh |
待受時間 | 未公開 |
連続通話時間 | 未公開 |
USBポート | USB Type-C×1 |
公称本体サイズ | 75.8(W)×159.2(D)×8.3(H)mm |
公称本体重量 | 約193.5g |
本体カラー | ホワイト,ブラック |
Nothing日本語公式Webサイト
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