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[インタビュー]目指したのは,連射の楽しさを味わってもらえる2Dシューティング。監修の高橋名人が「スターガニアン」に込めた思いとは
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印刷2023/05/24 16:30

インタビュー

[インタビュー]目指したのは,連射の楽しさを味わってもらえる2Dシューティング。監修の高橋名人が「スターガニアン」に込めた思いとは

 レジスタは明日(2023年5月25日),Nintendo Switch向けソフト「スターガニアン」の配信をニンテンドーeショップで開始する。本作はゲームプレゼンター・高橋名人監修のもと,フリーゲームクリエイター・てらりん氏が開発した2D縦スクロールシューティングゲームで,連射速度で攻撃力が変わる連射システム「SPECIAL攻撃」を特徴としている。
 今回,高橋名人に本作の概要や開発の経緯などについて話を聞くことができたので,その模様をお届けしよう。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [インタビュー]目指したのは,連射の楽しさを味わってもらえる2Dシューティング。監修の高橋名人が「スターガニアン」に込めた思いとは

「スターガニアン」公式サイト



期待しているファンを企画開発に巻き込んだクラウドファンディング


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,「スターガニアン」のコンセプトや概要などを教えてください。

画像集 No.002のサムネイル画像 / [インタビュー]目指したのは,連射の楽しさを味わってもらえる2Dシューティング。監修の高橋名人が「スターガニアン」に込めた思いとは
高橋名人:
 1980〜1990年代くらいに流行していたシューティングゲームを目指しました。シューティング──つまり「撃つ」ことの楽しさを皆さんに味わってもらいたいと考えたのが,企画の発端です。シンプルなグラフィックスと,チップチューン的なちょっとノリのいい音楽に,撃つことの楽しさと,敵をやっつけることの爽快感を取り入れたシューティングができないかなと思って企画を立ち上げました。

4Gamer:
 それはいつ頃のことでしょう。

高橋名人:
 2021年の年末くらいにレジスタさんから,「名人と一緒に何かできないか」というお話をいただいて,それで「ちょっと懐かしい感じのシューティングをやってみたいんだよね」と返答したところから始まりました。
 実際に企画が動き出したのは,2022年の1月くらいですね。開発を進めていく過程で,注目してくださっている皆さんにもキャラクターデザインなどで参加してもらうのはどうだろうという話になり,それなら同時にクラウドファンディングもやろうとなったのが,9月のことでした。クラウドファンディングの募集期間は1か月でしたが,おかげさまで目標金額の2倍を超えました。

4Gamer:
 それは想定どおりだったのでしょうか。

高橋名人:
 目標金額は100万円と,そんなに高く設定しなかったので,すぐ達成できるとは思っていました。本当はね,開発費用としてきちんと考えるなら,500万円,1000万円が目標金額になるんでしょうけれど,今回はそうじゃなくて,「自分も参加したんだぞ」「自分がデザインしたキャラクターが,ゲームの中に登場するんだぞ」といった感じで,皆さんに喜んでもらえればなと考えて目標設定したんです。思っていた以上の反応があって,良かったですね。

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 レジスタは本日,高橋名人が監修する2D縦スクロールシューティングゲーム「スターガニアン」の制作の応援を募るクラウドファンディングを,うぶごえで2022年9月5日17:00に開始すると発表した。「誰でも楽しめる連射系レトロシューティングゲームを作ろう!!」想いで制作されるゲームだ。

[2022/09/02 11:30]

4Gamer:
 ゲームのクラウドファンディングって,目標金額をどのように設定するかが難しいですよね。

高橋名人:
 本音を言えば,3000万は欲しいですよ(笑)。欲しいんだけれども,それを皆さんから集めるとなると,ハードルが高くなりすぎます。気楽に楽しめるゲームだから,そこまで高くしなくてもいいだろうと。例えばザコ敵をデザインできる権利が3万円で,中ボスだと5万円,ステージボスだと30万円という設定にしました。でも3万円だって,フルプライスのゲームソフトだと3〜4本分くらいだから,多くの人にとってけっこうな金額ですよね。

4Gamer:
 それこそ,ゲーム機が買える金額ですし。

高橋名人:
 その一方で,これからずっと残るであろうゲームの中に,自分のデザインしたキャラクターが入ることや,エンディングロールに名前が出てくることの喜びを感じていただき,ゲーム業界を盛り上げる手助けをしたと思っていただければと考えています。

4Gamer:
 ちなみに,敵キャラのデザインをした方の中に,本職のアーティストはいるのでしょうか。プレイしていて,ひょっとしたら本職の方がデザインしたんじゃないかと感じたんです。

高橋名人:
 何名かいるかもしれないですね。ドット絵打ちさんも,いるかもしれません。実のところ,サポーターの皆さんの職業までは聞いていないんですよ。大まかなデザインを紙に手描きしてくる方もいれば,デジタルデータで作ってくる方もいて,その中には確かに「きっと本職なんだろうな」という方もいらっしゃいました。

4Gamer:
 インディーズや同人ゲームを作っているクリエイターには,ドット絵やピクセルアートが好きな人も多いですから,キャラクターデザインをやってみたいと思う人がいても不思議ではないです。

高橋名人:
 もし本当にそういう方が参加してくださって,活躍の場として利用していただけたのであれば,それも嬉しいですね。それこそエンディングロールに名前が載ることで,名刺代わりにもなるでしょうし。

4Gamer:
 非常に面白い試みだと思いました。

高橋名人:
 ありがとうございます。「Mr.都市伝説 関暁夫の情熱が止まらない」の関君(作家やYouTuberとして活躍している関 暁夫さん)にも「名前を使ってもいいんだったら」と声をかけて,2体くらいデザインを考えてもらったんです。まだどの敵キャラをデザインしたのかは発表していませんが,体験版にも出てきますよ。その一つは,ちょっとだけ気をつけないといけないようなややこしい敵だったりするので,ぜひ楽しんでいただきたいです。
 関君が動画か何かの企画を考えているみたいなので,それが公開されれば,どの敵キャラをデザインしたのか判明するでしょう。

4Gamer:
 関さんとは,どういった縁でお知り合いになったのでしょうか。

高橋名人:
 「Mr.都市伝説」の収録に,ゲストで呼ばれたんです。新宿アルタのアルタビジョンを使ってゲーム大会をやるからと。その収録の合間にいろいろと話をしているうちに,さっき言ったような流れになったんです。

4Gamer:
 縁とタイミングが重なった結果なんですね。

高橋名人:
 ですね。私もけっこう,「Mr.都市伝説」を観ていたので,関君は前から気になっていた人でしたし。


単なる名義貸しではなく,可能な限り理想に近付けてもらうための監修


4Gamer:
 今回,高橋名人は監修という立場ですが,具体的にはどんなことを担当されたのでしょうか。

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高橋名人:
 「ステージの流れをこうしたほうがいいんじゃないか」とか,「ゲームとして,こういう部分はやっぱり入れてほしい」といったように,ゲーム全体を踏まえた意見を出しています。
 例を挙げると今回,「RAPID FIRE」モードという,最大4人で連射速度を競うコンテンツがあるんですが,これはもともと1人で連射を練習するものだったんです。それに対戦を採り入れつつ,同時に目標値を設定して連射の練習も可能なコンテンツにできないかと。

4Gamer:
 対戦と連射の練習を両立させたわけですか。

高橋名人:
 2〜4人の対戦を選択したときに,1人をCPUにすることができるんです。CPUは10秒間で何発撃つかを設定できるので,たとえば「100」と設定したCPUに勝てば,プレイヤーは1秒間に10発以上撃っているという実感を得られます。もちろん「160」と設定すれば,1秒間に16連射を誇っていた昔の私と勝負できます。もっとも,今の私では勝てませんけどね(笑)。

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4Gamer:
 ちなみに今はどのくらい連射できるのでしょうか。

高橋名人:
 昨日,10秒間で124だったかな。だから,1秒間で12.4連射ですね。もう16連射は無理ですよ,「スターガニアン」が発売される頃には64歳ですから。でも64歳で10連射できるのはたいしたもんでしょう?(笑)

4Gamer:
 いや,すごいと思います。連射は毎日計測しているんですか?

高橋名人:
 いやいや,週に1回くらいですね。疲れちゃいますから(笑)。

4Gamer:
 お話を戻しますが,一般的な“監修”のイメージより,もっとガッツリ企画に携わっているように感じました。

高橋名人:
 名前を使われるだけだと,つまらないんですよね。私が考えている以外の部分はどんどんアイディアを入れてもらっていいんですけど,私が考えている部分は可能な限り私の理想に近付けてもらいたい。そのために,ある程度口を挟ませてもらいました。実際に開発しているわけではないので,変なことは言えないけれど,言える最大限のところまでは言わせてもらったつもりです。

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4Gamer:
 ファミコン時代にあったような,タレントの名義貸しゲームみたいなものにはしたくないと。

高橋名人:
 それこそ私が関わった最初の1本,「高橋名人の冒険島」が名義貸しゲームだったし(笑)。あのゲームは,「ワンダーボーイ」の主人公を私のキャラクターに変えたものでしたから。あれをもし私が監修できていたら,ステージ8-4まではもっと簡単にクリアできるようにしていましたよ。アーケードゲームと違って,100円でコンティニューさせなくてもいいんだから。「もっと簡単にすればいいのに」と,本当に思いますよね。

4Gamer:
 確かにそうですよね。高橋名人のゲームも一時期はたくさんありましたが,どれも難しかった記憶があります。

高橋名人:
 ファミコンとPCエンジンで10本ちょいですかね。私の名前を使っているからなのか,そのほとんどが高難度なんですよ。とくに「高橋名人の冒険島」は,最終形を触った瞬間に「え?」という驚きがありました。

4Gamer:
 そうだったんですね……。
 ところで,今回の「スターガニアン」という名称について教えてください。

高橋名人:
 私が提案した名前なんですけど,「戦士」だと英語にすると「スターソルジャー」になってしまうんですよね。そこで「挑戦」あたりのニュアンスがいいんじゃないかと,英語とフランス語を調べているうちに,「勝者」もアリだなと。勝者は英語だと「ウィナー」だけど,フランス語だと「ガニアン」だったんですね。

4Gamer:
 なるほど,フランス語を交えた造語だったんですね。

高橋名人:
 「スターガニアン」だと語呂的にどうだろうとも思ったんですが,「スタガニ」と略したときにちょっと変だけど,逆にそれがいいかもしれないと考えたんです。
 たとえば「スターソルジャー」や「スターフォース」,あるいは「ゼビウス」などはすごく流れのいい名前ですけど,「スタガニ」にはそれらと逆行しているような部分があって,今ならこれくらいのほうが記憶に残るだろうと。
 スペルをどうするかという議論もあったんですが,フランス語で「GAGNANT」だから,そのままにしないとワールドワイドで展開するときに意味が通じないということで,今の形に落ち着きました。

4Gamer:
 確かに,少し引っかかる名称ですよね。

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高橋名人:
 なんか変な名前なんですよね。スムーズじゃない。逆に言うと,1975年からずっといろんなゲームが作られてきて,なじみのいい名前を付けてきたわけです。だから新作を作っても,もはやなじみのいい名前が思い浮かばないんですよね。
 実際,自分で名付けたのに「ガニアンでいいのかな?」と首をかしげる瞬間もあったんですよ。たまたまそのとき観ていたのが映画「ソルジャー」だったんですけど,「英語だとソルジャーだけでも通用するのか」と気付いて。でも「いや『ソルジャー』だと,あまりにも『スターソルジャー』と同じになってしまうだろう」ということで,候補から外したなんてこともありました(笑)。

4Gamer:
 名称の頭に「スター」と付けたのには,何か理由があるのでしょうか。

高橋名人:
 やっぱり「宇宙」がすぐ思い浮かぶんじゃないかなと。今回は,いろんな惑星やコロニーなどを通過しながら最後の敵と戦うというストーリーなので,宇宙を意識してもらいたかったんです。本当はスペースでも良かったんですけど,スターのほうに行っちゃいましたね。

4Gamer:
 ご自身が関わってきた「スターフォース」や「スターソルジャー」を意識したところはありますか。

高橋名人:
 当然ありますが,そこは仕方ないですね。「スターソルジャー」みたいだとおっしゃる人も多いと思うんですけど,それでいいかなって。だって「スターソルジャー」ではないんだし。似ているけど(笑)。

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オート連射だけではオンラインランキングの上位には立てない


4Gamer:
 「スターソルジャー」と似ているとは言っても,連射の位置付けやシステムが違いますよね。連射系レトロシューティングとうたっているのに,オート連射システムも搭載していると聞いたときは「どういう味付けになるのかな?」と思ったのですが,体験版をプレイしてみて「こういうことか」と納得しました。

高橋名人:
 シューティングゲームというジャンルでありながら,オート連射だとプレイヤー自身が弾を撃っている感覚がないんですよね。例えば弾幕系だと,シューティングと言うよりも避けゲーになってしまう。そこら辺が,ずっと気になっていたんです。
 ただ,今の時代はで1回ボタンを押して1ショットだと,たぶんプレイヤーの皆さんが付いてきません。ある程度オート連射も取り入れたうえで,連射をどうやって楽しんでもらえるかを考えて,ああいう形になっていったんです。逆に言うと,ずっとオート連射でプレイしていると「SPECIAL攻撃」が機能しないので,不利になるんですよ。

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4Gamer:
 SPECIAL攻撃を活用するには,状況に応じて連射速度とゲージ管理をする必要がありますからね。そこでバランスを取っているのは,よく分かりました。

高橋名人:
 10秒間で5〜6発程度を撃っていると,ショットは2倍ぐらいの威力になります。そのあと8発,10発,12発と3〜4段階くらいどんどん強くなるので,連射でそれだけボスキャラを倒す時間も短くなるんですよね。とくに「CARAVAN」モードでは,2分間でどこまで点数を伸ばせるかを競うので,ボスキャラをいかに早く倒すかによって,倒せるザコキャラが増えるので点数が変わっていきます。

4Gamer:
 そこまでは気付きませんでした。

高橋名人:
 体験版は,通常プレイができる「ARCADE」モードしか入っていないですからね。製品版のCARAVANモードを,皆さんがどうやって攻略していくのか,非常に楽しみにしています。

4Gamer:
 そういえば体験版,難度を「Nomal」に設定した場合でも,けっこう手ごわい気がしました。

高橋名人:
 そうかもしれませんね。ただ,私が難度のチューニングをすると簡単になりすぎる可能性があったんです。だから,そこはてらりんさんにお任せしました。最初のうちは,「Easy」から遊んでみてもいいんじゃないかと思っています。

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4Gamer:
 そうしてみます!
 それでは各ゲームモードについてもう少し教えてください。CARAVANモードの難度はどんな塩梅なんでしょうか。

高橋名人:
 CARAVANモードの難度は固定です。これはEasy,Normal,Hardとやってしまうと,それぞれで点数計算と難度調整をしなければならなくなることが理由です。基本的にはNormalモードで,2分間にどれだけ点数を取れるか。敵を倒すだけではなく,ボーナスポイントをうまく獲得して,3ケタ超えの得点を狙っていただきたいですね。

4Gamer:
 そのハイスコアが,オンラインでランキングされるわけですね。

高橋名人:
 そこは今の時代,必ず入れておかないと(笑)。本当はオンラインのハイスコアも,1週間おきにリセットしたいぐらいなんですけどね。個人的に,ずっとハイスコアが残っていると──しかも自分では抜けない点数が残っているとやる気がなくなりますから。一瞬でもいいから,その週の頭でもいいから,ハイスコアを取りたいじゃないですか。ベスト10でもいいですよ。だからハイスコアがずっと残るというのは,ちょっと気になる部分ではあるんですよね。
 かつてのアーケードゲームだと,ハイスコアを出しても電源を切られたら,それでリセットでしたから。次の日の朝には消えているんだけど,本当はそんな感じでいいんじゃないかな? とは思っています。

4Gamer:
 「CHALLENGE」モードについても教えてください,

高橋名人:
 CHALLENGEモードは,シューティングを練習してもらうためのコンテンツです。私自身,シューティングゲームは何をすれば上達するのか分からないとは考えています。例えば「ゼビウス」だけ練習しても「ゼビウス」しかうまくならないんですよね。
 そこでシューティング全般を面白く遊んでもらうために,例えば出てきた敵を素早く倒す,撃たないで避けるといった共通のテクニックを順番に練習できるのが,CHALLENGEモードです。

4Gamer:
 CHALLENGEモードで腕を磨けば,ほかのシューティングゲームも上手になるだろう,と。

高橋名人:
 なるんじゃないかな? 例えば動体視力や反射神経を駆使するにしても,敵に向かって撃ったり,いろんな方向から来る弾を避けたりといったように細分化されていくんですが,これがけっこう難しいんですよ。気を抜いていると,すぐにランクDになります。ランクAやランクSは「本当に取れるのか?」と疑問に思ったんですけれど,得点じゃないからいいかと思って。練習の成果は高いほうがいいということで,本当に難しめになっているかもしれません。
 CHALLENGEモードでランクSを獲得できた人には,ぜひSNSに投稿してほしいですね。ランクAでもいいです。Aでも素晴らしいです。そういうのを見せ合うのって,楽しいじゃないですか。

4Gamer:
 そうやって盛り上がる様子も楽しいですし。
 ちなみにARCADEモードは,「ゲームは1日1時間」で,最後までクリアできますか?

高橋名人:
 おそらく,できます。もちろん,それまでに何回も練習しないといけないでしょうけど。Easyモードで行けば大丈夫なはずです。

4Gamer:
 ちなみに名人は今回,「司令官 Master TAKAHASHI」のボイスも演じられたとのことですが,どんなキャラクターなのでしょうか。

画像集 No.006のサムネイル画像 / [インタビュー]目指したのは,連射の楽しさを味わってもらえる2Dシューティング。監修の高橋名人が「スターガニアン」に込めた思いとは

高橋名人:
 「スターガニアン」以前に起きた戦いにおいてのエースパイロットだったという設定で,今回は司令官として登場したという役どころですね。

4Gamer:
 プレイヤーキャラクターにもボイスが付いているんですよね。

高橋名人:
 あれは,入れるかどうか迷ったんですよ。プレイヤーキャラクターはプレイヤー自身ですから,皆さんがどう思うかはまた違うんですけど,全体を通して聞いいたときに「了解」くらいは言ったほうが自然だろうということで,入れました。
 まあ,一言だったので,敵のボス・VILLANを演じた声優さんにお願いしちゃいました。だから,私を除くと参加声優さんは2人だけ。シューティングゲームだと,そんなに多くの声優さんはいらないですしね。

4Gamer:
 基本的にはステージの冒頭で少し寸劇があるくらいですよね。

高橋名人:
 そうですね。VILLANなんて最後の最後にしか出てきませんから。
 ただそれでも,私は本職が声優というわけじゃないから,収録はなかなかたいへんでした。どうしても舌足らずだから,きちんとセリフを言えないんですよ。体験版も,自分の声を聞いていてすごく恥ずかしくなるぐらい。私がしゃべっているときは皆ボリュームを下げて,終わったらまた上げていただけるとありがたいです(笑)。

4Gamer:
 収録には,時間がかかったのでしょうか。

高橋名人:
 いや,それでも3〜4回しゃべって終わりでした。

4Gamer:
 ボイスを演じるにあたって,意識したことはありますか。

高橋名人:
 司令官ですから,わりと淡々と司令を言うだけなんじゃないかなと思って,あまり波のないしゃべり方にしたんですよね。でも,それを「単なる棒読みじゃないか」と言われてしまう可能性もありますから,声優というのはやっぱり難しい仕事ですよね。かといって「熱血司令官というのも,いかがなものかな?」とも思いますし。「司令官は冷静沈着に目標に向かって指令を下す」ということを自分の中で考えた結果,ああいったしゃべり方になりました。

4Gamer:
 チュートリアルで説明する司令官には,ボイスが付かないんですよね。それでアーケードモードをプレイしたら,急にしゃべり出して少し驚きました。

高橋名人:
 チュートリアルは操作説明ですから,開発の終盤までどんどん追加されていったんですよ。そのため,ボイス収録に間に合わない部分が出てきました。それに私自身にとっても説明口調はなかなか難しいので,もしも「ボイスを付けよう」となっていたら,たぶん困っていたでしょうね。

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多くの人にシンプルな2Dシューティングの面白さを理解してもらいたい


4Gamer:
 それでは,昨今の2Dシューティングゲームの市場やファンコミュニティなどについて,何か思うところがあれば教えてください。

高橋名人:
 今,2Dシューティングゲームの市場はとにかく景気が悪いです。ゲーム市場全体の2%もないんじゃないでしょうか。例えば2%前後だとして,それを10%までというのは無理ですけれど,3〜4%の頭まで見えるくらい,もう一度盛り上がってほしいですね。
 ゲームとして一番ベーシックなのはテニスゲームだけど,シューティングもシンプルだから“基本の基”の部類に入ると思うんですよ。ゲーム業界のビッグバンと言われている「スペースインベーダー」もシューティングだし,そう考えるともっと盛り上がってくれてもいいんじゃないかと思います。

4Gamer:
 今やシューティングと言ったら,FPSやTPSといったシューターを思い浮かべる人が多いですからね。

高橋名人:
 シューターを否定するわけじゃないんですけれどね。私も「地球防衛軍」シリーズなどを遊んでいますし。でも海外タイトルの「人を撃つ」というところが,どうも性に合わないんですよ。
 私がかつて在籍していたハドソンには,「世の中に現存する生物を殺す行為はやめよう」という基本方針があったんです。当然,人と人が撃ち合ったり,人を殺したりするのも止めようと。そこには「ゲームは子供も遊ぶものだから」という背景があって,私は今でもそう思っています。

4Gamer:
 とくに今は,技術の進化によって人の死もリアルに描けてしまいますからね。

高橋名人:
 ハドソンのゲームで対戦と言ったら,「ボンバーマン」でしたからね。ロボット同士が戦うというところが限度で,リアルな人間にする必要はないと思うんですよ。設定として,自分の動きを真似ているアンドロイドが戦うぐらいであれば,まだ許容範囲かな。それでも戦争ゲームに人間を出す必要があるのかな? とは思います。まあ世界各国の文化に影響される部分も大きいのでしょうけど。

4Gamer:
 10年ちょっと前までは,そういった意見も散見されていましたよね。でも今となっては,若い人達がカジュアルに戦争をモチーフにしたシューターを遊ぶようになりました。

高橋名人:
 時代の移り変わりは早いですね(笑)。ただ,そういう若い人達にも「2Dシューティングって,シンプルなのに面白いよね」ということを理解してもらえると嬉しいです。

4Gamer:
 そういった意味では,体験版をプレイして,うまくいかなかったときの「チクショー!」という感覚がよかったです。ついつい視野が狭くなって,下から飛んでくる敵や弾に気付けない感覚が懐かしくて。

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高橋名人:
 下から敵が出てくるときのアラートがいいんですよね。あれはなくてもいいんですけれど,そこまで難しくする必要もないし,上から敵が出てくるのは当然だから上を気にするわけで,下から出てくるときは何かあったほうがいいということで,付けてもらいました。

4Gamer:
 2Dシューティングゲームは覚えゲーになりがちなので,そうならないようにしているのかな? という印象も受けました。

高橋名人:
 まあでも,シューティングゲームは,基本的に覚えゲーですよ。次にどういう敵が出てきて,どう動いてというのは,やっぱり覚えていかなきゃいけない。実は今回,ボーナスを割と多く用意しているので,昔のハドソンのシューティングをプレイした経験があれば,「ここでこうすればいい」というのが何となく分かると思います。もちろん分からない場所もあるでしょうけど,ヒントも出てくるので,いろいろ試して見つけてほしいですね。

4Gamer:
 そのあたりをやり込もうとすると,反射神経だけでは,どうにもならないところがありますよね。

高橋名人:
 私のように歳をとって,反射神経に体力的遅延が生じているともう全然ダメ。今回,Hardモードの上に名人モードを設定しているんですけれど,「あれ,クリアできるのかな?」と思います。Hardモードもそうだけど,今の私には無理だね(笑)。

4Gamer:
 名人モードというのは,20代の頃の名人をイメージしているということなんですね?

高橋名人:
 そうそう,64歳になる私を超えられなくてどうするっていう(笑)。20代だったら,このくらいはクリアできるだろうということで設定しているので,そこは楽しんでください。

4Gamer:
 動画企画などで,名人モードにチャレンジする姿が想像できてしまいますが……。

画像集 No.007のサムネイル画像 / [インタビュー]目指したのは,連射の楽しさを味わってもらえる2Dシューティング。監修の高橋名人が「スターガニアン」に込めた思いとは
高橋名人:
 絶対,断ります。実は,以前コラボしたVTuberさんから「ゲストで見本プレイを披露していただけないか」という問い合わせが来たんですけど,「無理。今,シューティングだったら,あなたのほうがうまいでしょ」って(笑)。
 みんな,「高橋名人」に対して幻想を抱きすぎなんですよ。私のファンって,リアルの私だけじゃなくて,ゲームとアニメとリアルの私を足して3で割っているんです。全部混ざっているから本当に困りますよ。私のファンってことは,もう40〜50代でしょ。「まだ,そんな話を信じてるの?」と思ったり(笑)。

4Gamer:
 いくらご本人から否定されたとしても,「ファミコンランナー 高橋名人物語」はノンフィクションだと信じ続けさせてください。

高橋名人:
 あれのノンフィクション部分は,5%もないんじゃないかな。実話を元にしてはいますけど(笑)。

4Gamer:
 完全なフィクションではないということで安心しました。
 それでは,価格についても教えてください。「スターガニアン」は,リリース当初,40%OFFの2980円で販売されるそうですね。

高橋名人:
 6月6日23:59までセール価格です。早く買ったほうがお得なので,ぜひ遊んでほしいです。

4Gamer:
 定価は4980円ですから,かなりお得ですよね。
 ちなみに今後,「スターガニアン2」などの企画はありそうですか?

高橋名人:
 ぜひ出したいですね。「スターガニアン5」くらいまで行きたいです。あとは,横スクロールのシューティングもやれたら面白いかなと思いますよね。縦スクロールがあると,横スクロールも欲しくなる。私自身,横スクロールはあまり得意じゃないんですけど,それでも市場にはあったほうがいいなと思います。シンプルな2Dシューティングって,本当に楽しいゲームですから,今後も盛り上げていきたいですね。

4Gamer:
 ひとまず「スターガニアン」のリリースと,その後の展開に期待しています。本日はありがとうございました。

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