プレイレポート
「牧場物語 オリーブタウンと希望の大地」を先行プレイ。Switch初のシリーズ完全新作は,土地の開拓やクラフト要素による自由度の高さが特徴
そんな本作を発売前にプレイできたので,どのようなゲームか,実際にプレイした感想とともに紹介しよう。
畑を耕し,動物を世話しながら牧場生活を楽しむというおなじみの遊び方はそのままに,土地を開拓し,機械や柵をクラフトして自分好みの牧場を作り上げるという,これまでの作品にない自由度の高さが特徴だ。
「牧場物語 オリーブタウンと希望の大地」公式サイト
今度の牧場生活は“土地の開拓”から
おなじみの遊び方はそのままに自由度がアップ
物語は,スクーターに乗った主人公(プレイヤー)が,港町のオリーブタウンにやってくるところから始まる。
オリーブタウンは,主人公の祖父が仲間とともに開拓した土地。そこでの牧場生活の思い出を楽しそうに話す祖父の影響で,いつかはこの地で暮らしたいと考えていた主人公は,荷物をまとめ,憧れの街へやってきたのだ。
オリーブタウンたどり着いた主人公は,祖父から受け継いだ土地で新たな生活を送ることになる……と,ここまではシリーズファンにはおなじみといえる展開なのだが,これまでとは大きく異なる点がある。
それは,“森を切り拓き,牧場を作るところから始まる”ところ。これまでのシリーズ作品では基本的に,生活の拠点となる住居やウシやウマを飼育できる小屋,整地すれば畑になる土地などがあった。それが本作では,まずはテント生活をしながら森を開拓していくところから始まるのだ。
主人公が託されるのは,かつては祖父の牧場“だった”広大な土地。ゲーム開始時点では,木々に覆われたほんの少しのスペースしかないが,オノで木を切り倒し,ハンマーで石を砕き,カマで雑草を刈っていくと,かつて牧場だった証である,壊れた橋や小屋などが見つかる。
土地を切り拓いた際に入手した資材を使って橋を直せば新たな土地に行けるようになり,廃屋はニワトリやウシを飼育する「どうぶつ小屋」として使えるようになった。森を開拓していくと,自然で暮らす動物たちに出会うこともあるので,手なずけてどうぶつ小屋に招き入れる。このように土地を広げて,整地し,建物を直し,自身の牧場を作り上げていくのだ。
序盤の数日間はチュートリアルを含んでおり,順を追って土地の開拓方法が学べる。土地はシリーズ最大という広さを誇り,牧場生活を始める前からやることがたくさんあるが,迷うことなく牧場作りを進められるはず。ゲームが進むと,小屋の位置や畑の広さなども変えられるので,自由に自分好みの牧場を作り上げよう。
開拓が落ち着いたら,その場所を畑にして作物を育てよう。森を切り拓いてできた平地は,クワを使って整地できる。
耕した土地に種や苗を植え,ジョウロで毎日水をやれば一定の日数を経て収穫できるようになり,それを出荷するとお金が手に入る。作物や畜産品はそのまま出荷するのもいいが,ひと手間かけて加工することでより高く買い取ってもらえる。このあたりはシリーズファンならおなじみの流れで,作物や動物を育てるうえで特別な知識が必要といったこともないため,初めての人もすぐに覚えられるだろう。
クワで畑を耕して作物を育てよう。なにを育てるかはもちろん,場所は広さもプレイヤー次第 |
待望の収穫。この瞬間は実に嬉しい。作物は売ってもいいし,自分で食べてもいい |
畑以外の場所に作物が生えていることも。出荷するとその種や苗が街の店舗で購入できるようになる |
この世界の1年は「はるの月」「なつの月」「あきの月」「ふゆの月」という4つの月に分かれており,1か月は28日間。実際の時間で1分が1時間に設定されている。
主人公の体力はハートで表示されており,作業を行うと少しずつ減っていき,ゼロになるとその場で倒れて翌朝まで動けなくなる。食事をすればハートは回復するが,食べられる量には限界があるので昼夜問わず働き続けるわけにはいかないのだ。
はるの月 |
なつの月 |
あきの月 |
ふゆの月 |
畑仕事に牧場の作業,土地の開拓と,できることや“やるべきこと”はたくさんある。ここで役立つのが,ゲーム進行や作業を重ねることで上がっていく「スキルレベル」で覚える「クラフト」のレシピ。レシピを覚えると,スプリンクラーや柵といた牧場に設置できる施設や道具がクラフトできるようになる。
木の柵でどうぶつ小屋を自分好みにアレンジ。クラフトしたものは設置も撤去も簡単 |
朝イチで周囲8マスに自動で水を撒いてくれるスプリンクラー。畑仕事がだいぶ楽になる |
とくに便利で面白いと感じたのが「メーカー」だ。メーカーは,切り出した原木を木材に変えたり,雑草を糸にしたりといったさまざまな加工を行う機械で,木材や糸のほかにも,染料,レンガ,インゴット,マヨネーズ,バターなどさまざまな種類がある。
一定の時間を要し,また一度にたくさんは加工できないが,違う作業をしている間に資材や食材の加工を進められる。効率よく土地開発や牧場作業を進めたい人にはとても嬉しい存在だ。必要なものから優先して加工しておくと,効率がさらにアップするだろう。
本作には,自身の土地を開拓して充実した牧場生活を築く以外にも楽しめるポイントがある。それは,オリーブタウンを盛り上げることだ。
多くの人たちが生活し,主人公の牧場生活や土地の開拓に必要なものを販売する店が並ぶ賑やかな街だが,観光地として発展途上にある。町長の「街からのお願い」を引き受けてクリアすると街の見た目が綺麗になり,新しい店舗が開店したり観光客が増えたりといった形で,街が発展していくのだ。
メニューからマップを見れば,今どこに誰がいるかがチェックできる。キャラクターのイラストで表示されるので分かりやすい |
市役所の掲示板には,町長や住人からの「お願い」が掲載されている。依頼を達成すると報酬がもらえ,依頼主と仲良くなれる |
忘れてはいけないのが,結婚や「大親友の儀」によってパートナーになれる恋愛要素。恋愛対象のキャラクターは主に街にいて,仲良し度を表わすハートで関係の深さが確認できる。ハートは10段階あり,1段階ごとにちょっとしたイベントが発生し,ハートの数を含む特定の条件を満たすことでパートナーになれる。
仲良し度を上げるには会話やプレゼント,お願いを叶えるといった方法があるが,それらは牧場の作業に支障なく行える印象を受けた。
というのも,筆者は,牧場仕事に夢中であまり意識して街の人たちとコミュニケーションをとっていなかったのだが,食事のため毎日ビストロに通ううち,店で働く恋愛候補の少女・ブレアのハートが1段階あがっていたのだ。行きつけにしていたお店でなんとなく話しているうち,気が付けばその店の店員と打ち解けていた……この,自然と距離が縮まる感じは現実的で面白い。恋愛候補はそれぞれ個性的で魅力があり,このあたりもコミュニケーションを取りたいというモチベーションにもなるはずだ。
朝起きて畑に水をやり,実った作物を収穫する。飼育している動物たちを放牧し,減ったエサを追加したあとにミルクやタマゴを集める。土地を広げるため,新しい場所を開拓する。閉店時間までに街で食事や買い物を済ます……1日に可能な限りの作業をぎっしり詰め込み,それを効率よくこなすというアクティブな遊び方をするとなかなかの忙しさで,これもやりがいがあって楽しいだろう。主人公が行える作業はたくさんあり,シンプルながらそれぞれ手触りが異なるため,飽きずに進められるはずだ。
大きめの水たまりをバケツなどで「かいぼり」すると宝箱が見つかることも |
野生動物をカメラで撮影して博物館に寄贈すると,動物の像が博物館に飾られる |
まる1日プレイしても最初の春を超えないくらいで,それくらいやれることがあるというだけではなく,全体的な進行もゆっくりといった印象だ。イベントなどによる特別な時間制限に追われることはあまりないので,自分のペースでのんびり“スローライフ”を満喫できるだろう。
牧場と街の行き来や店舗の出入りの際に発生するロードの長さが少々気になるが,ゲームへの没入感はなかなかのもの。シリーズの定番の流れはそのままに自由度が高くなった本作は,初めて牧場物語をプレイする人はもちろん,シリーズファンにも新鮮な印象を与えてくれる作品となっている。初めての人も,シリーズファンも,本作で自由度の高い牧場生活を体験してほしい。
「牧場物語 オリーブタウンと希望の大地」公式サイト
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