インタビュー
新作VR-FPS「Frostpoint VR: Proving Grounds」メールインタビュー。兵器のリアルさや美しいビジュアルにこだわったというPvPvEタイトル
「The Bard's Tale」や「Wasteland 2」などで知られるinXile Entertainmentが開発を手掛けており,戦闘兵器のリアルさや,美しいビジュアルが特徴だという。
現在,クローズドβテストのテスター募集が行われており,専用ページから参加の応募ができる(関連記事)。応募者多数の場合は抽選となるそうだが,募集は規定人数に達し次第終了するとのことなので,プレイしたいと考えている人は,早めに応募したほうが良いだろう。
今回,4Gamerでは「Frostpoint VR: Proving Grounds」開発チームのリードプロデューサー,ダックス・バーグ氏にメールインタビューを行い,本作の開発経緯やゲーム内容について話を聞くことができた。以下に掲載するので,本作に興味がある人はぜひ目を通してほしい。
本格VR-FPS「Frostpoint VR: Proving Grounds」のCBTが8月25日から実施へ。テスター募集受付も本日開始
Thirdverse(旧よむネコ)がサービス予定のVR-FPS「Frostpoint VR: Proving Grounds」にて,クローズドβテスターの一般応募受付が本日(2020年8月20日),開始された。本格VR-FPSということで参加のハードルはやや高そうだが,我こそはという読者はさっそく応募してみよう。
「Frostpoint VR: Proving Grounds」公式サイト
4Gamer:
本作の開発開始までの流れやきっかけを教えてください。
バーグ氏:
inXile Entertainmentは,数年前にVRゲーム「The Mage's Tale」を制作しましたが,その経験を活かして,次はさらにハイクオリティなVR作品を作りたいと考えていました。
そのタイミングで「DayZ」のクリエイティブディレクターだったブライアン・ヒックスが inXile に参加し,彼に誘われて私もプロジェクトを手伝うために参加することになりました。
最初は少数精鋭のチームで,数年をかけてVRの銃の感触を追求し,サバイバルスタイルのゲームプレイを念頭においてプロトタイプを開発していました。そのうち,“チームでの戦闘”の面白さをつかみはじめ,PvPvEの体験に集中して開発することになりました。
4Gamer:
本作の世界観を教えてください。
バーグ氏:
世界観設定は,SF小説「Robopocalypse」の著者,ダニエル・ウィルソン氏に考えてもらいました。
舞台は,南極にある廃墟と化した軍事訓練基地です。ハイクオリティのVRで表現された南極は非常に幻想的な景色となっています。そこに,謎の生命体(クリーチャー)が出現するという,SF的な要素も含まれています。プレイヤーはこの環境の中で,味方チームと共に軍事訓練基地の制圧に臨みます。
4Gamer:
南極の軍事訓練基地が舞台とのことですが,どのようなことから着想を得ましたか。また,影響を受けた作品はありますか。
バーグ氏:
ダニエルと私は,人類の生存圏から隔絶したディストピアや,極限の環境に生息する生物のアイデアを考えることがとても好きでした。マックス・テグマーク氏の「LIFE3.0―人工知能時代に人間であるということ」やユヴァル・ノア・ハラリ氏の「ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来」といった書籍からもインスピレーションを得ています。
4Gamer:
本作の特徴を教えてください。
バーグ氏:
「Frostpoint VR: Proving Grounds」を一言でいうなら“VR PvPvE FPS”ですね。最大10人対10人のVRマルチプレイで行われる戦場に,第3勢力としてクリーチャーが登場します。
4Gamer:
通常のFPSゲームと比べて,本作ならではの要素としてどんなものがありますか。
バーグ氏:
メジャーなゲームモードに,NPCの敵を組み合わせている点がユニークだと思います。プレイヤー同士が必死に相手を制圧しようとしている中,自分たちを襲う第3勢力の存在は戦闘に大きな影響を与えます。また,マップは屋外だけでなく,基地の中などもあり,どこに敵が潜んでいるかわかりません。
VRという空間に没入することで,これらの脅威は大きく増幅され,非常に緊張感のあるプレイが楽しめるでしょう。
4Gamer:
特に力を入れたところはどこですか。
バーグ氏:
私たちが最初に重視したのは,VRでSF要素のあるディストピアを舞台にした,最もインタラクティブでリアルなFPSを作ることでした。現代の戦闘兵器のリアルさと,VRでの最高峰の美しいビジュアルを追求しました。
4Gamer:
開発において苦労したところはどこでしょうか。
バーグ氏:
ネットワーク対戦のあるVRマルチプレイゲームの開発は非常に難しかったです。例えば,よくVRゲームで使われるテレポーテーションのような移動方式も,マルチプレイ対戦のシューティングゲームにとっては現実的なシステムではありません。オフラインのシングルプレイでは簡単に対処できるシステムも,VRのマルチプレイになると指数関数的に複雑になるのです。
ほかにも開発中に色々問題はでましたが,開発チームは「私のマシン上だけなら動作しますよ」とずっと言っていました(笑)。
4Gamer:
世界観や美しいグラフィックスはスクリーンショットからも伝わってきますが,ゲームシステムとしての特徴はどういったものがありますか。
バーグ氏:
本作は,戦闘部分を快適にプレイさせることにフォーカスしています。さまざまなモードの中で武器を使いこなし,戦術的にゲームをプレイすることができるシステムを多く搭載しています。
例えば,敵(相手プレイヤーまたはNPC)を倒すとゲーム内通貨を獲得し,それを武器やギアのアップグレードに使うことができます。そのようなシステムはすべて,マルチプレイにおいてプレイヤーの競争力を高めるために用意しています。
「マッチメイキング」や「オンラインシューター」に必要な機能はすべて備えていますが,今後もプレイヤーからのフィードバックを参考に開発していく予定です。
4Gamer:
1プレイ何分ほどを想定していますか。
バーグ氏:
他のマルチプレイFPSと同様に,何度も繰り返して遊べる面白さが重要なので,1回の戦闘プレイ時間は15分程度を想定して制作しています。VRゲームに慣れていない人は,長くプレイし続けると休憩が必要な人もいるでしょう。
私はPvPvEのジャンルが大好きで「Hunt: Showdown」(PvPvEの非VRゲーム)を100時間以上プレイしたことがあります。バーチャル世界に浸るのが好きな人には,このゲームは無限に近いほど遊べると思いますよ。
4Gamer:
複数のゲームモードがあるそうですが,どんなものが用意されていますか?
バーグ氏:
まずは「チームデスマッチ」「ドミネーション(陣地占領戦)」「サーチアンドデストロイ」のような,FPSとしてはメジャーなゲームモードからローンチします。その他のゲームモードは開発中ですが,オープンベータテストのフィードバック次第で変わっていくと思います。
ローンチ時に予定されているゲームモードは,全てチーム戦方式のものです。個人戦スタイルのゲームプレイは,あまりにも慌ただしいと感じたからです。このゲームでは,チームで協力して勝利を目指すことを柱としています。
4Gamer:
PvPvEとのことですが,エネミーはどのように戦闘に関わってくるのでしょうか?
バーグ氏:
ゲームモードによって異なる挙動をするエネミーが何種類か登場します。
「ドミネーション」モードでは,ゾーンを占領すると相手チームがゾーンを占領しかえそうとするだけでなく,エネミーがゾーンをニュートラルに戻そうとしてきます。ゾーンを占拠しても,そこから離れてしまうと再びゾーンを奪われてしまう可能性があり,常に緊張感のあるゲームプレイが楽しめます。
4Gamer:
Oculus Rift,HTC Vive,Valve Index間のクロスプレイは可能ですか。また,ハードの違いによるプレイの差はありますか。
バーグ氏:
はい,もちろんクロスプラットフォームでのプレイをサポートしています。これは,多くのプレイヤーの方が同時に遊び続けられるようにしたいと考えているためで,非常に早い段階で設定された目標でした。
ハードによる違いですが,Viveはスティックが無くトラックパッドでのプレイになるので,慣れるまでが大変かもしれません。しかし,Viveコントローラを使用しているチームメンバーの1人が,私たちの中でも最高のプレイヤーの1人となっているので,普段から使用している人にはそれほど問題は無いでしょう。
また,Valve Indexは他の機種に比べて視野が少し広いので,場合によっては若干有利になるかもしれませんが,基本的に大きな差はないと思います。
開発チームではOculus Rift CV1かRift Sを使用している人も多く,どのハードもうまく機能していて,本作との相性は良いです。
4Gamer:
Modフレンドリーなタイトルとして配信されますか?
バーグ氏:
将来に向けての検討はしています。我々は「Pavlov VR」(※)のコミュニティが,Modを使ってゲームに独自の要素を与えていることを素晴らしいと思っていますし,Modを追加することで,ゲームに多くの価値が与えられることは明らかだからです。
※Steamにて配信中のVR専用対戦型FPSゲーム
4Gamer:
アップデートによるマップや武器の追加は予定していますか?
バーグ氏:
はい,もちろん将来的に新しいマップ,ゲームモード,ストーリーや世界の詳細を明らかにすることを考えています。プレイヤーの皆さんには,どのような機能やコンテンツが欲しいのか,ゲームをプレイしながらご意見をいただけると嬉しいです。
「Frostpoint VR: Proving Grounds」公式サイト
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