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現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた
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印刷2021/03/19 12:00

インタビュー

現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた

画像集#010のサムネイル/現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた
 「ぷよぷよeスポーツ」PS4 / Switch / PC)の公認プロ大会「ぷよぷよファイナルズ SEASON3」が,2021年3月20日に実施される。「ぷよぷよファイナルズ SEASON3」は2020年度のSEASON3を締めくくる最終戦だ。

 「ぷよぷよ」シリーズや出場選手のファンなど,多くの視聴者の注目を集める大会となるが,プロ選手たちの行う試合はどれもハイレベルで,試合内容を100%理解している人はそう多くないのではないだろうか。

 確かに「ぷよぷよ」はルールがシンプルで勝ち負けがハッキリしているため,「観戦していて置いてけぼりを食らう」ということはあまり感じられない。ただ,ぷよぷよ初心者には,試合を決定づけるポイントや,戦略については実は分かっているようで分からないということもあることだろう。

 今回4Gamerは,現役プロのTom氏とfron氏に話を聞く機会を得たので,「ぷよぷよeスポーツ」の大会をより楽しく観戦するためのポイントを聞いてみた。目前に迫った「ファイナルズ」を観戦する際の参考にしてほしい。加えて,両選手にはプロシーンの今までとこれからについても聞いているので,最後まで読み進めてもらえれば幸いだ。

Tom氏(左)。3歳のころに触れたスーパーファミコン版「す〜ぱ〜ぷよぷよ」から数えたプレイ歴はなんと28年。豊富な知識と経験,そして広い交流関係などから,現役プロ選手でありながら,実況解説者としても支持を集めている

fron氏(右)。物心ついたころから「ぷよぷよ」に触れ,2018年10月のぷよぷよカップでプロに。その後はSEASON1でランキング3位,SEASON1ファイナルズでは準優勝を納めた実力の持ち主。「fron積み」と呼ばれる高火力の連鎖と中盤の攻防の巧さには定評があり,今シーズンのファイナルズにも出場が決まっている
画像集#001のサムネイル/現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた


「ぷよぷよ」の魅力はまず連鎖。それをきっかけに,新たな魅力にも気づいてほしい


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはお二人が考える「ぷよぷよ」の魅力を聞かせてください。

Tom氏:
 「ぷよぷよ」の魅力は本当にたくさんあるんですが,まずは「連鎖を組んで,それを発火させる」という部分はすごいですね。連鎖数が大きくなるほど,身に染み渡るような達成感や爽快感があって,子供のころからずっと感じている魅力です。
 ほかにも,長年「ぷよぷよ」に親しんできて,対戦者同士の連鎖のやりとりや心理戦などにも気づくようになりました。

fron氏:
 僕も「ぷよぷよ」の魅力は何と言っても“連鎖”だと思います。初めて触ったときもまずは「大連鎖を組みたい」という思いが最初にありましたし。
 子供のころに遊んでいた「す〜ぱ〜ぷよぷよ」は,5連鎖以上を打つと「ばよえ〜ん!」のボイスが出るんですが,当時はあれを聞くために連鎖の練習をしてましたね。その後も対戦よりは,ひたすら「一体何連鎖まで組めるのか」という気持ちで遊ぶことの方が強かったです。

4Gamer:
 対戦を意識されたのはいつごろなんですか。

fron氏:
 対戦動画を見るようになってからですね。それまでは1人や友達と遊ぶことが多かったんですが,「ぷよぷよ」にもガチの対戦があるということを知って,そこから細かな技術を身に付けていく過程で,あらためてこのゲームの奥深さに気づいたんです。

4Gamer:
 対戦を観戦するときは,どういうところを見ているのでしょうか。

fron氏:
 まずはメインとなる大連鎖のタネである“本線”を見ます。ここはそれぞれプレイヤーによって特徴が出るので,その人がどういった連鎖を組むのか見たり,あるいは自分の組み方と比較したりしますね。
 次に見るのが“中盤戦”と呼ばれる細かい連鎖の応酬です。「ぷよぷよ」は,先に本線を打った側が不利になるので,中盤戦ではそれをいかに誘うかの駆け引きが発生するんです。中盤戦は“ぷよ”をたくさん使いすぎても少なすぎてもダメなんですが,その微妙な間合いはプレイヤーによって違います。そこは個性が出て面白く見られるところだと思いますよ。

4Gamer:
 非常に基本的なところですが,先に大連鎖を打った側が不利になるのは何故なのでしょう。

画像集#002のサムネイル/現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた
fron氏:
 例えば,互いに10連鎖ぐらいの本線を組んで先にそれを打ったとします。すると打ったプレイヤーは,ぷよが消えている間まったく操作できなくなります。そうなると新たに連鎖を組めませんから,相手がその間にさらに大きな連鎖を組むことができるんです。
 連鎖の破壊力は連鎖数に比例して大きくなっていくので,「2連鎖対3連鎖」の威力差と「13連鎖対14連鎖」の威力差では天と地ほどの差があります。中盤の大連鎖勝負となると1つでも大きな連鎖を作ったほうが,勝つ確率が圧倒的に高くなるわけです。

4Gamer:
 なるほど,そこで中盤の小さい連鎖が重要になるんですね。

fron氏:
 はい,相手の連鎖を先に打たせることが主目的になるのが,中盤戦です。例えば相手のフィールドが残り2段分しかないときなら,おじゃまぷよを2段分送れば相手は大連鎖を打つしかないですよね。
 そのために小さな連鎖で攻撃するんですが,それは相手も承知のうえなので,2段分送られたら2段分を返して相殺したり,それ以上の連鎖で逆に優位に立ったり……というのがプロの試合ではよく見られる展開ですね。

4Gamer:
 確かに細かい連鎖の打ち合いは大会でよく見ますね。

fron氏:
 ですので,プロの試合って,大連鎖を打たずに終わってしまうことも結構あるんです。見ている人は「なんで大連鎖を打たないんだ!?」と思ってしまうかもしれません(笑)。

4Gamer:
 確かに「大連鎖を打てば勝てるんじゃないの」と思いますよね。

fron氏:
 ただ,ぷよぷよの試合を初めて見るという人なら,そういう細かな技術に関しては,あまり気にしなくていいと思っているんです。それよりもまず,プレイスタイルや実績,トークや人柄,見た目など何でもいいので,応援したくなるプレイヤーを見つけてみてください。その人のプレイを見るうちにゲームの中身を理解していく,というのが良いと思います。

Tom氏:
 「ぷよぷよ」は奥が深いので,見る人の理解度や習熟度によって見え方が全然違うんです。
 本当にその入口にいる人は,“連鎖数”というところに着目して,それ以外のものはなかなか見えてこないんですが,例えば「その選手が一体何を考えて試合に臨んでいるのか」とか,「勝利数で追い詰められているときにどんな気持ちで連鎖を組んでいるのか」といったように,技術的な部分よりも心理的な部分を想像してもらうといいかもしれませんね。
 選手が追い詰められているときなどは,盤面にそれが表れることも多いですから,解説するときそういったところもできるだけ伝えて,見る人をサポートできるよう心がけています。

4Gamer:
 選手のなかにも,表情に出る人と出ない人がいますよね。

Tom氏:
 ポーカーフェイスでも,追い詰められると顔のどこかがピクッと動いてたりしますから(笑)。そういう状況のときは,動きも固くなって盤面もぐちゃぐちゃになっているので,そこで何か少しでも面白さを感じ取れたら,きっと新しい入口になるのではないかと思います。
 それともう1つ注目してみてもらいたいのは,選手の「こだわり」ですね。fron選手が必ず「fron積み」をするように,強い選手は全員が特別なこだわりをもってプレイしています。そこに着目すると,また違って楽しめるのではないでしょうか。

4Gamer:
 その選手にどんな強みがあるのかといったデータは,プロフィールなどにも書いてあったりしますね。

Tom氏:
 そうですね,連鎖の傾向やキャラクターをアピールしている選手は,応援しやすいかもしれません。自分と傾向が似ているとか,習得したい連鎖を作っているとか,プレイスタイルに共感できる選手を見つけられると,さらに楽しくなると思います。

公式配信では試合前に選手のプロフィールや戦績などが紹介されている
画像集#005のサムネイル/現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた


より深く観戦するうえで知っておきたい「ぷよぷよ」の基本戦術とその歴史


4Gamer:
 細かく挙げるとキリがないと思いますが,より深く試合を楽しむために,これは知っておくといいという「ぷよぷよ」の知識やポイントを教えてください。

Tom氏:
 一番基本的なところだと,「連鎖数の大小」でしょうか。プロの試合で“大連鎖”と呼ばれるのはどれくらいの連鎖かというのは知っておいたほうがいいと思います……ちなみに大連鎖って,どのぐらいをイメージされますか。

4Gamer:
 試合で見る最大級だと,13〜14連鎖ぐらいですか? それによってスコアが10万点前後まで上がると,実況も大きく沸きますよね。

Tom氏:
 おっしゃる通りです。大連鎖を打ったあとに入るスコアには“10万点”という1つの明確なラインがあって,それを超えるとプロ目線でも大きい連鎖と認識されます。最初はなかなかスコアってピンとこないと思うんですが,単純に連鎖数だと14連鎖以上が,我々が見ても大きな連鎖となります。
 プロ同士の試合だと,これ以上の大連鎖はめったに出なくて,感覚的には15連鎖が100試合に1回ぐらい,16連鎖なら300試合に1回ぐらいのレアなケースなんです。17連鎖以降はプロの試合では1回も出たことがないはずですね。

4Gamer:
 ゲーム上では実際,何連鎖まで可能なんですか。

Tom氏:
 理論上は19連鎖まで組めるんですが,18連鎖以上が試合で出る確率は天文学的な数字だと思います(笑)。ですので,一般的な試合では14連鎖以上が出たときは「すごい!」と思って見ていただけると,我々と一緒に盛り上がれると思います。

4Gamer:
 先ほど「先に相手に大連鎖を打たせる」という「ぷよぷよ」におけるセオリーのお話がありました。その駆け引きも理解できるとより面白そうですね。

画像集#004のサムネイル/現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた
Tom氏:
 そうですね。今のプロたちがどういうことを考えて戦術を組み立てているのかという点は面白いポイントですが,それを説明するには,ぷよぷよの基本戦術とその歴史についてお話しする必要があると思います。
 まず,おじゃまぷよの相殺ができる「ぷよぷよ通」が出たころまで遡りますが,最初プレイヤーたちは「相手より大きい連鎖を打ったほうが勝ち」というくらいの理解でやっていました。

4Gamer:
 おそらくカジュアルにぷよぷよをプレイしている人の大部分はそういう認識ですよね。

Tom氏:
 はい,ただあるときどこかの誰かが,「連鎖を打たれる前に途中で邪魔をしたらいいんじゃないか」と気づいたんです。例えば,自分が12連鎖で相手が11連鎖を組んでいたとしたら,「11連鎖を打たせる前に邪魔をすれば,その後の大連鎖勝負に勝てる」ということですね。
 大きい連鎖を打った方が勝つという段階から,ぷよ数も時間も少ししか使わない小さな2連鎖3連鎖を打って相手の連鎖を封じる,あるいは先に大連鎖を打たせるという攻防に発展したんです。

4Gamer:
 なるほど。

Tom氏:
 これはぷよぷよの専門用語で“催促”と言って,語源は「小さな連鎖で相手の大連鎖を催促する」というところから来ています。「2連鎖催促で相手の11連鎖を引き出して,その間にこちらは12連鎖を作って勝つ」のように使いますね。
 そして,催促の次の戦術段階として,「相手が3連鎖催促を狙っているところを,1連鎖催促で引き出して,こちらは4連鎖や5連鎖を被せる」という“催促の催促”と呼ばれる戦法が登場しました。これによって,相手を動かすための催促を引き出す動きをしていくという“逆算の攻防”が発展していきました。
 現在のトッププロの対決はその逆算の攻防が主体で,1連鎖というミクロな単位から勝負が始まることが多いですね。

4Gamer:
 最初にチョロッと1連鎖するのも,攻防の1つだったんですね。

Tom氏:
 知らずに見ている人にはなかなか理解するのが難しいんですが,そういう展開は多いです。「後ろにある大連鎖を見据えて,細かいところでいかに有利を取れるか」というのが現在の上級者の基本戦術になっています。
 トッププレイヤーになると,相手に連鎖を打たせたくなる形を組んで威圧して,連鎖を消費することなく催促を引き出す“0連鎖催促”と呼ばれる戦法も当たり前のように使われていて,もはや極限の駆け引きが展開するレベルまで来ていますね。

画像集#006のサムネイル/現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた

4Gamer:
 動かされてしまったほうは,勝ち目はないんですか。

Tom氏:
 いえ,相手が有利となるだけで,勝負が決まったわけではないです。ぷよぷよの用語でいうと“セカンド”や“サード”という,打たされてしまった後の2手3手目の連鎖を打って相手の本線を上回る威力を出し,今度は相手に対して催促を迫る形を作ることができれば,逆転もできます。そこがまた勝負の面白いところで,「ぷよぷよ」の奥深さなんですよね。

4Gamer:
 今お話しいただいたところを頭の片隅にでも置いておくと,勝負がグッと面白くなりそうですね。

Tom氏:
 そう思います。そういったところは,私もできるだけ解説でお伝えするように心がけています。

画像集#013のサムネイル/現役プロ選手が語る「ぷよぷよeスポーツ」をより楽しく観戦するためのポイント。ぷよぷよプロシーンの今後についても聞いた


プレイヤーにも観戦者にも予想できないことが起きるのが,パズルゲームの面白さ


4Gamer:
 選手のみなさんは画面の互いのフィールドを見て戦っているそうですが,プレイヤーはフィールドのどこを見ると良いのでしょうか。

fron氏:
 プレイヤーが相手のフィールドを見ることを“凝視”というんですが,僕らはまず相手の土台となる本線を見て,次に相手の催促がどう来るのかを見ます。さらに互いの連鎖が終盤まで展開したときは,相手の連鎖がどのぐらいつながるかを判断するのも重要になってきます。

 プロの試合でも思わぬところで連鎖が暴発してしまうことがあって,14連鎖を組んだはずが,途中でぷよが予想よりもたくさん消えたり,逆につながらなかったりして,連鎖が途中で止まってしまうことが起こるんです。そうすると相手の14連鎖を上回るつもりで組んだ15連鎖を打ったこちらが負けてしまうという結果になったりもするので,相手が打つ前からその連鎖がつながっているかどうか見ることが理想ですね。

4Gamer:
 解説を聞いていると「連鎖が切れてしまう!」と,暴発したときも比較的早めに反応していることがほとんどですが,プロならそこは見えるんですね。

Tom氏:
 だいたい見えていますが,経験したことがないようなパターンや,複雑な配置になっているときは見えないこともあります。そういうときは選手本人にも見えてないことがあって,事故になることが多いんです。

fron氏:
 その逆もありますね。ここで止まるだろうと思ったら繋がっているという。

Tom氏:
 人間の認識能力を超えてくる状況が,10回に1回ぐらい発生するので,それが面白いんですよ。私が解説で思わず「えっ!?」と驚いているときはたいてい,誰にも分からなかったことが起きています。そこはパズルゲームならではの面白さですね。

4Gamer:
 先ほどの“催促”や“凝視”といった用語も,解説ではよく使われていますが,どのあたりを覚えておくといいのでしょうか。

Tom氏:
 確かに用語は難しいかもしれません。セガさんも「ぷよぷよ」の専門用語に関する冊子を配るといった施策はされていて,検索をすればある程度は分かるんですが,それもハードルが高いですよね。
 例えば連鎖を組むときの“GTR”のように,実況でも比較的頻繁に出てくる言葉をゲーム画面と照らし合わせて,「これさっきも言っていたな」と意識してもらうと,その用語がいつどんなところで使われるのか自然に分かってくると思うんです。“催促”や“凝視”もそうですが,直感で分かる言葉も比較的多いですし。

4Gamer:
 試合を観戦しながら,気になったら検索するくらいでいいということですか。

Tom氏:
 そうですね。「ぷよぷよ」って,アマチュア文化から発展してきているので,ほとんどの用語がプレイヤー側から出てきて定着したものなんです。
 「○○在住のとあるプレイヤーが言い出した」みたいな言葉の寄せ集めなので,セガさんがそれをすべてまとめていく……というのは,ちょっと現実的ではないと思います。もちろんメジャーな言葉については紹介していただける機会もあるので,今後さらにプロシーンが盛り上がれば,用語を知っていただくための環境も整うのではないかと思っています。


ぷよぷよ競技シーンの今後は群雄割拠の時代。プロのみならず,アマチュアにも強い選手が


4Gamer:
 「ぷよぷよ」が公式にeスポーツ化されてから現在までのことを伺いたいのですが,SEASON1から現在のSEASON3までの3年間の対戦シーンを振り返ってみて印象的だったことはありますか。

fron氏:
 個人的には競技タイトルが変わったことです。現在は大会の使用タイトルが「ぷよぷよeスポーツ」になっていますが,SEASON1の初期は「ぷよぷよテトリス」を使用していました。
 「ぷよぷよテトリス」って,「ぷよぷよeスポーツ」よりも,ぷよの落下速度が速かったんです。たくさんのぷよを消費できるので,連鎖の打ち合いが今より派手だったんですね。
 「ぷよぷよeスポーツ」になってからは,派手な打ち合いが少し抑えられて,それまでよりも駆け引きが若干慎重なものになりました。本当にフレーム単位の違いなんですけど,それだけで打っていい連鎖の量が変わるんですよね。

4Gamer:
 プロ選手の皆さんは,毎年のシーズンをどのように意識されているのでしょうか。

fron氏:
 プロは各シーズンの最後を締めくくるファイナルズを目指しているんですが,それに出場できるのは,チャンピオンシップで優勝するか,ポイントランキングの上位に入るのが条件なんです。
 公式のレギュレーションとして,ランキングのポイントはオンラインよりもオフラインの大会のほうが多く獲得できるんですが,今年は新型コロナの影響でオフライン大会が少なかったので,公式認定のユーザー大会などが行われても,基本はオンラインでした。結果,勝ってもあまり多くのポイントがもらえなかったんです。
 一方チャンピオンシップは,優勝すれば確実に出場権が得られるので,出場時の意気込みがこれまでとは少し違うものとなりましたね。

ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON2 TGS特別大会より
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4Gamer:
 昨年は大会で何度も優勝しているマッキー選手がプロを引退されたという出来事もありましたが,それによりプロの勢力図などに影響はありましたか。

Tom氏:
 SEASON1では常勝の選手でしたからね。ともくん選手などはマッキー選手の1歳年下で,その引退後に頭角を現して,大会2連覇を遂げたりしています。特に年齢が若い選手同士の対戦には,多少なりとも影響はあったのではないでしょうか。

ともくん選手。SEASON2の覇者にしてSEASON3のポイントランキング1位
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4Gamer:
 最近の勢力図としては,ぴぽにあ選手が非常に強くなった印象を受けるのですが,fron選手から見てどうですか。

fron氏:
 彼は昨年,本格的に「ぷよぷよ」のプロ1本で食べていくと決意をして,仕事も辞めたんですが,それから強くなっていって優勝の常連になりましたね。

Tom氏:
 昨年の暮れぐらいからめちゃくちゃ強くなりましたよね。トレーニングの時間はもちろんですが,プロとして大会で勝たなければならないという思いがほかの選手より強く感じます。そこが彼をほかの選手よりも1歩先に押し上げているんだと思います。

ぴぽにあ選手。SEASON3では,STAGE1,TGS特別大会,STAGE3で優勝を納めているなど勢いが止まらない
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4Gamer:
 アマチュア混合の「ぷよぷよカップ」も行われていますが,直近の対戦や大会のシーンにおいて注目している選手などはいますか。

Tom氏:
 まだプロにはなっていないですが,近いうちに上がってくると思う選手はたくさんいます。例えば今年1月の「ぷよぷよカップ」で準優勝した高校生のゆきみ選手は,今めきめき力を付けています。ぷよぷよカップのプレイ内容もすごく良いものだったので,近い将来上がってくると予想しています。
 それともう1人注目しているのは,北海道のかぴ選手ですね。彼は今中学生で,2019年国体の小学生の部で準優勝,昨年のeスポーツ選手権でも北海道・東北ブロックの代表まで勝ち上がっています。現時点でもプロと比べても遜色ない腕前で,年齢的な若さもあって,今後大きく伸びるのではないでしょうか。

4Gamer:
 そこまで若い選手が育っていると,将来が楽しみになりますね。次の「ファイナルズ SEASON3」で,注目している選手は誰でしょうか。

Tom氏:
 うーん,難しい質問ですね(笑)。さきほど話に出たぴぽにあ選手や,ともくん選手は当然優勝候補なんですが,SEASON1優勝者のdelta選手や,横にいるfron選手の活躍も見逃せないと思います。ここにいるからお世辞を言ってるわけではないですよ(笑)。

SEASON1の覇者delta選手。SEASON1のファイナルズは宮崎県のフェニックス・シーガイア・リゾートで行われた
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fron氏:
 単純な実力だけでなく,大会当日のコンディションや勢いの影響も大きいんです。“今日はいい連鎖が組めている”みたいな選手は,勢いに乗ってどんどん勝っていったりしますからね。そういうときって本当にどう対処をしてもなす術がないぐらいにすごいんです。

4Gamer:
 非常に楽しみな決戦になりそうな「ファイナルズ」ですが,最後にお二人からぷよぷよファンや興味を持った方に向けてメッセージをお願いします。

Tom氏:
 観戦するときは,まず大連鎖勝負に注目していただいて,実はその中に細かな戦術のやりとりが隠れているということを意識すると,より楽しく試合が見られると思います。あとは選手のキャラクターの違いや,どんなことを考えてプレイをしているといったところも想像していただければ嬉しいですね。

fron氏:
 やっぱり,プレイヤー本人を見てほしいですね。こういう連鎖を組んでいるから格好いいなとか,自分と同じキャラクターを使っているから応援したいとか,勝ったときの仕草が好き! とか。何でもいいので,“推し”のプレイヤーを見つけていただくのが一番だと思います。そうして好きになった人の配信や対戦を見ることで,戦術や用語なども理解できるようになっていくと思います。

4Gamer:
 ファイナルズでの活躍に期待しています。ありがとうございました。

「ぷよぷよeスポーツ」公式サイト

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