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ASUS,新型スマートフォン「ZenFone 5」シリーズ3機種を発表。ハイエンドの「ZenFone 5Z」はSnapdragon 845搭載で479ユーロに
ZenFone 5とZenFone 5Zは,6.2インチサイズでアスペクト比9:19という縦長のIPS液晶パネルと,液晶パネル上端の一部を切り欠いてインカメラを配置するという,
発売時期はZenFone 5が2018年4月,ZenFone 5Zは同年6月,ZenFone 5 Liteは同年3月の予定。価格が明らかなのはZenFone 5Zのみで,479ユーロ(約6万2785円,税込)からとなっている。
ZenFone 5Z |
ZenFone 5 Lite |
本稿では,発表イベントで明らかになった情報をレポートしたい。
同じ名前でも中身は大違いなZenFone 5
ASUSがZenFone 5シリーズを行ったのは,バルセロナ市内で開催した「Back to 5」と題する独自イベントだ。このイベント名には,当然ながら理由がある。ASUSは2014年に,「ZenFone 5」と名付けたスマートフォンを製品化していたからだ(関連記事)。
旧ZenFone 5は,当時のASUSが使っていた命名規則により,“5インチサイズの液晶パネルを搭載するZenFone”という意味で名付けられていた。しかし今では,ZenFoneの後ろに付く数字は,世代を示すナンバーに変わっており,2017年に発売となったZenFone 4シリーズの次世代製品だから,ZenFone 5というわけだ。
命名規則がガラリと変わるのは,台湾メーカーらしいとも言えるが,同じ名前になってしまったことを,メーカー自体が自虐的なネタにするのは珍しいかもしれない。
話を新製品の紹介に戻そう。
今回のZenFone 5シリーズは,“無印”モデルであるZenFone 5がミドルクラス市場向けで,ZenFone 5Zはハイエンド市場向け,そしてZenFone 5 Liteはエントリー市場向けと,ターゲット市場別に分かれている。
このうち,ZenFone 5とZenFone 5Zは,ボディデザインや液晶パネル,カメラ機能は共通でありながら,搭載SoCが前者は「Snapdragon 636 Mobile Platform」(以下,
具体的な違いは,以下に示す表でまとめておこう。
ZenFone 5 | ZenFone 5Z | ZenFone 5 Lite | |
---|---|---|---|
搭載SoC | Snapdragon 636 | Snapdragon 845 | Snapdragon 630 Snapdragon 430 |
メインメモリ容量 | 4GB・6GB | 6GB・8GB | 3GB・4GB |
内蔵ストレージ容量 | 64GB | 64GB・128GB・256GB | 32GB・64GB |
それもあってか,今回のASUSは,かなり戦略的な価格設定を行ってきた。先述したとおり,税込で479ユーロ,6万3000円前後というZenFone 5Zの価格は,
国内での実勢価格がどうなるか,未発表の現時点ではなんとも言えないものの,適正な価格で登場するのであれば,日本でも注目を集めそうだ。
液晶パネルの切り欠き部分はZenFone 5のほうが小さい
それでは実機をチェックしていこう。
イベント会場のハンズオンエリアにあった試用機はZenFone 5のみで,残念なことに,ZenFone 5ZやZenFone 5 Liteの姿はなかった。そのZenFone 5でさえも,端末にはいささか急ごしらえ感が漂っており,発表はされたがデモ機には実装されていない機能も少なくない。
そんなわけで,今回実機をチェックしているのは,ZenFone 5のみとなることをお断りしておく。
ハイエンド〜ミドルクラス市場向けスマートフォンにおいて,アスペクト比9:16を超える縦長ディスプレイパネルの採用は,もはやトレンドを通り越して,当たり前になりつつある。ただ,競合他社の多くがアスペクト比9:18〜18.5程度のディスプレイパネルを採用しているのに対して,ZenFone 5Zは,アスペクト比9:19という,さらに縦長な液晶パネルを採用してきたのがポイントだ。
液晶パネルのサイズは6.2インチで,解像度は1080×2246ドット。前面における液晶パネルの占有率は,約90%にも達したという。狭額縁化も重視しているようで,下端以外はベゼルがほとんど目につかない。
現在の技術で“筐体前面がほぼ液晶パネル”というデザインを追求すると,インカメラやセンサー類といった前面上部に必要な要素は,液晶パネルを切り欠いて収めるしかなくなり,iPhone X(※イベントでは「Fruit Phone X」と呼んでいた)を真似たようなデザインになってしまうというのは分からないでもない。ただ,ASUSによると,「必要なコンポーネントを収めたうえで,(iPhone Xよりも)切り欠きを小さくしている」そうだ。
上端に切り欠きが存在すると,Android OSにとって重要な通知領域部分が狭くなってしまう。とくにホーム画面では,上部に電波強度やWi-Fi接続の有無,バッテリー残量や時刻表示など多岐にわたる情報を表示するのが常なので,切り欠きがあると表示しきれない情報が当然出てくる。
そこでASUSは,通知領域をプルダウンする操作によって,表示するステータスを切り替えられるというユーザーインタフェース上の工夫を凝らしていた。
カメラにはAI利用の被写体識別機能を搭載
液晶パネル以外のポイントも見ていこう。
ASUSは,前世代のZenFone 4シリーズにおいて,「We Love Photo」をテーマにカメラ機能の強化をアピールしていた。その流れは,ZenFone 5でも継続しており,今回もカメラ機能の強化が特徴に挙げられている。
その1つが,AIを活用して,被写体やシーンを自動で識別したうえで,最適な撮影モードを設定する写真撮影機能だ。識別できるものは,人物や食べ物,犬や猫など,全16種類とのこと。
ちなみに,アウトカメラに採用するカメラモジュールは,ソニー製の「IMX363」。約1200万画素の撮像用センサーを備えており,レンズはF値1.8。画角は83度である。
一方,インカメラは自撮り用途を考慮した広角寄りのカメラで,画角は120度と広い。
またインカメラ側に深度センサーを搭載することで,顔認証にも対応する。この深度センサーは,最近流行りの3Dアバター機能「Zeni moji」(ゼニーモジ)でも利用しているという。
Zeni mojiとは,AR技術を用いて,ユーザーの表情に合わせた3Dアバターを作成し,それがチャット画面で動くというものだ。名称やできることは少し異なるが,Galaxy S9シリーズにも「AR Emoji」という名前で似たような機能があったことを覚えている人もいるだろう。ただ,Zeni mojiでは,アバターがZenFoneのマスコットキャラクター「Zenny」(※国内では禅太郎)になるというところが,ちょっと変わったところか。
ZenFone 5ではそのほかにも,バッテリー自体の寿命を長くするために,充電サイクルをユーザーの生活パターンに合わせて調節する機能や,大型化したステレオスピーカーの採用といった改良点も備えるとのことだ。
●ZenFone 5・ZenFone 5Zの主なスペック
- メーカー:ASUSTeK Computer
- OS:Android 8.0(Oreo)
- ディスプレイパネル:6.2インチIPS液晶,解像度1080×2246ドット
- プロセッサ:[ZenFone 5]Qualcomm製「Snapdragon 636」,[ZenFone 5Z]Qualcomm製「Snapdragon 845」
- メインメモリ容量:[ZenFone 5]4GB・6GB,[ZenFone 5Z]6GB・8GB
- ストレージ:[ZenFone 5]64GB+microSDXC
(最大容量2TB), [ZenFone 5Z]64GB ・128GB ・256GB + microSDXC (最大容量2TB) - アウトカメラ(メイン):有効画素数約1200万画素,F値1.8
- アウトカメラ(サブ):画素数未公開,画角120度(※35mm換算で12mm相当)
- インカメラ:有効画素数約800万画素,F値2.0
- 対応LTEバンド:[ZenFone 5]LTE Cat.13(※市場により異なる),[ZenFone 5Z]LTE Cat.18(※市場により異なる)
- 対応3Gバンド:未公開
- バッテリー容量:3300mAh
- 待受時間:未公開
- 連続通話時間:未公開
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth対応:5.0
- USBポート:Type-C
- 公称本体サイズ:75.65(W)×153(D)×7.85(H)mm
- 公称本体重量:約155g
- 本体カラー:Meteor Silver,Midnight Blue
セルフィー特化のエントリー市場向けモデル
ZenFone 5 Lite
エントリー市場向けのZenFone 5 Liteも,簡単に紹介しておこう。
本製品は,「ZenFone 4 Selfie」の後継となるセルフィー(自撮り)に重点を置いたスマートフォンだ。液晶パネルは縦長タイプだが,6インチサイズで解像度1080×2160ドット,アスペクト比9:18のIPS液晶パネルとなっている。ZenFone 5のような,液晶パネル上端の切り欠きはない。
搭載するSoCはQualcomm製のミドルクラスSoC「Snapdragon 630 Mobile Platform」か,エントリー市場向けSoC「Snapdragon 430」のいずれかで,販売地域や通信事業者により異なる。メインメモリ容量は3GBまたは4GB,内蔵ストレージ容量は32GBまたは64GBとのこと。
セルフィーモデルということで,インカメラ側に,約2000万画素のソニー製センサー「IMX376」とF値2.0のレンズを備えた二眼式カメラを採用しているのが注目すべきポイントだ。インカメラのサブ側に120度の画角を有する広角レンズを採用することで,複数人をフレームに入れて撮れる「ワイドアングル撮影」が可能であると,ASUSはアピールしていた。
なお,アウトカメラも二眼式で,約1600万画素でF値2.2のメインカメラと,画角120度の広角側サブカメラを備えている。
●ZenFone 5 Liteの主なスペック
- メーカー:ASUSTeK Computer
- OS:Android 8.0(Oreo)
- ディスプレイパネル:6インチIPS液晶,解像度1080×2160ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 430」または「Snapdragon 630」(※市場により異なる)
- メインメモリ容量:[Snapdragon 430モデル]3GB・4GB,[Snapdragon 630モデル]4GB
- ストレージ:32GB・64GB+
microSDXC (最大容量2TB) - アウトカメラ(メイン):有効画素数約1600万画素,F値2.2,画角80度
- アウトカメラ(サブ):画素数未公開,画角120度(※35mm換算で12mm相当)
- インカメラ(メイン):有効画素数約2000万画素,F値2.02,画角85.5度
- インカメラ(サブ):画素数未公開,画角120度(※35mm換算で12mm相当)
- 対応LTEバンド:[Snapdragon 430モデル]LTE Cat.4(※市場により異なる),[Snapdragon 630モデル]LTE Cat.13(※市場により異なる)
- 対応3Gバンド:市場により異なる
- バッテリー容量:3300mAh
- 待受時間:最大24日間(LTE)
- 連続通話時間:最大30時間(3G)
- 無線LAN対応:[Snapdragon 430モデル]IEEE 802.11n(5GHz帯非対応),
[Snapdragon 630モデル]IEEE 802.11ac - Bluetooth対応:4.1
- USBポート:Micro-B
- 公称本体サイズ:76.16(W)×160.62(D)×7.8(H)mm
- 公称本体重量:約168.3g
- 本体カラー:Rouge Red,Midnight Black,Moonlight White
ASUSのZenFone 5およびZenFone 5Z製品情報ページ(英語)
ASUSのZenFone 5 Selfie製品情報ページ(英語)
- 関連タイトル:
Zen
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