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携帯型ゲームPC向けドックやUSB ACアダプタにキャプチャ機能を内蔵!? ユニークな製品を多数出展したAVerMedia
順番に紹介していこう。
PCいらずの単体ビデオキャプチャデバイスの進化系〜「GC515 X'TRA GO」
10年程前,日本に上陸したばかりの頃のAVerMediaは,PCを使うことなく単体でSDカードに録画できるビデオキャプチャデバイス製品を展開していた。筆者も,そうした製品のひとつである「AVT-C875」にはお世話になったものである。
その後,ゲーム実況配信ブームが起こって,PCと接続して使うキャプチャデバイスに主力は移っていったわけだが,今回,かつてのAVTシリーズの遺伝子を受け継ぐ製品が発表となった。それが「GC515 X'TRA GO」(以下,GC515)である。
GC515は,ビデオキャプチャデバイスではあるが,そのデザインは,携帯型ゲームPC向けの「ドッキングステーション」(以下,ドック)とよく似ている。実際,ドックとしての機能も有しているのだ。
接続端子を見ると,GC515の素性が見えてくるはずだ。
写真で左端のUSB Type-Cポートは,DisplayPort Alternate Mode(以下,DP Alt Mode)に対応しており,映像入力端子として利用できる。「Steam Deck」や「ROG Ally」のような携帯型ゲームPCは,このUSB Type-Cポートに接続するわけだ。
その場合,右隣にあるUSB Type-Cポートは,給電用になる。ここからの給電は,GC515自体に電力を供給するだけでなく,左端のUSB Type-Cポートに接続した機器にも電力を供給するとのこと。もちろんUSB Power Delivery(以下,USB PD)対応だ。
中央のHDMI入力端子は,USB Type-CでGC515に入力した映像をパススルー出力するために利用するもの。そのため,ここには主にディスプレイやテレビなどを接続することになる。
HDMI端子の右に2つ並んだUSB Type-Aポートは,USBハブ的に機能する。たとえば,携帯型ゲームPCを左端のUSB Type-Cポートに接続している場合,このUSB Type-Aポートに接続したキーボードやマウスなどをPC側で使えるわけだ。
右側にあるUSB Type-Cポートは,ここに別のPCを接続して,GC515をビデオキャプチャデバイスとして使うときの端子である。GC515を,いわゆる「PCモード」で動作させるときに,ホストPCとなるPCを接続するものだ。
右端のスライドスイッチは,GC515の動作モードを切り換えるもの。左側にスライドした状態は「PCモード」で,SDカードのアイコンが描かれた右側にスライドした状態だと,PC不要で録画できる「単体動作モード」になる。
単体動作モード時は,キャプチャしている映像と音声を,SDカードに直接保存するわけだ。
本体左側面にあるスロットは,単体動作モード時にキャプチャした映像,音声の保存先となるSDカードの挿入スロットである。もうひとつの丸い穴は,3.5mmミニピンヘッドセット端子だ。
正面側には「AVerMedia」のロゴがあしらわれた横長の大きなボタンがある。これは,単体動作モード時に「録画開始」用のボタンだ。
キャプチャ解像度は,最大4K(2160p)/30fpsで,1080p/120fpsや1440p/60fpsでの録画も可能だ。パススルー出力は4K/60fpsや,
GC515の米国における価格は,110ドル前後を想定しているそうだ。日本での発売は「前向きに検討中」らしい。
ワタクシたち,ただのUSB ACアダプタじゃございません!
AVerMediaのCOMPUTEX展示で評判が高かったのは,新提案型のUSB PD対応ACアダプタの2製品だった。
ひとつめの「GC313 CORE GO」(以下,GC313)は,一見すると,USB PDの100W出力に対応するUSB ACアダプタにすぎない。しかし,GC313のUSB Type-Cポートは,DP Alt Modeに対応しており,そこに接続したPCに電力を供給するだけでなく,GC313側のHDMI出力端子から,最大4K/60fpsのPC映像を出力できるのだ。
GC313は,USB ACアダプタでありながら,簡易的なUSB/HDMIドック機能も備えているわけである。もうひとつのUSB Type-CポートやUSB Type-Aポートは,機器に対する給電用にも使えるし,ホストPC側にUSB機器を接続するためのUSBハブとしても利用できるのだ。
2つめの「GC313PRO ELITE GO」(以下,GC313PRO)は,基本機能はGC313と同じだが,さらにビデオキャプチャ機能まで内蔵したよくばりな製品だ
GC313と同様に,DP Alt Mode対応のUSB Type-Cポート(※仮にメイン側とする)に接続したPCに対しては,充電とUSB/HDMIドック機能を提供する。それに加えて,もう1つのUSB Type-Cポート(※サブ側とする)に別のPCを接続すると,GC313PROは,メイン側PCの映像と音声を,サブ側のPCでキャプチャできるようになるのだ。
ただし,キャプチャ解像度は1080p/60fpsまでと控えめだ。なお,GC313PROのHDMI出力端子は,HDR映像出力に対応しない。キャプチャもHDR映像は非対応だ。
なかなかのアイデア商品で,スマートフォン用ゲームのキャプチャにも最適だ。日本での発売は予定しているそうだが,発売時期や価格は未定である。
ビデオキャプチャデバイスの新製品「GC531」と「GC535」が登場
AVerMediaは,4K解像度でのキャプチャに対応したビデオキャプチャデバイス「Streamer ULTRA GC531」(以下,GC531)と,「Streamer ULTRA 2.1 GC535」(以下,GC535)の2製品も披露していた。
どちらもよく似た製品ではあるが,GC531は,カメラからのHDMI出力をキャプチャすることを前提とした製品で,GC535は,ゲーム機やPCなどの映像キャプチャを想定した製品だとのことである。
結論から言ってしまうと,これら2製品は,一般消費者向け販路での販売予定は明確になっておらず,業務用という位置付けの製品だ。一般消費者向け製品との大きな違いは,「72時間の連続安定動作の保証」や「金属ボディ採用による堅牢性」あたりにあるとのこと。想定ユーザーは学校などの教育現場,中小規模なビデオ撮影スタジオなどだとのことである。
もちろん,一般消費者が入手しても使えなくはないが,同クラスの一般消費者向け製品がすでに販売中なので,ゲーマーがこれらの製品を積極的に購入する必要はないだろう。
前置きはこれくらいにして,各製品を見ていこう。まずGC531は,USB 3.2 Gen 1 Type-C接続に対応した4Kビデオキャプチャデバイスである。録画解像度は,最大4K/30fpsまでに対応するが,4K/HDR映像の録画はできない。
入力可能なHDMI規格はHDMI 2.0までで,パススルー出力は,4K/60fps HDR,1440p/144fps,1080p/240fpsなどに対応する。一般消費者向け製品で言うなら,「Live Gamer EXTREME3 GC551G2」に近いスペック,と考えれば分かりやすい。
一方のGC535は,USB 3.2 Gen 2 Type-C接続(10Gbps)での接続が必要な4Kビデオキャプチャデバイスだ。キャプチャ解像度は最大4K/60fpsで,4K HDR/30fps映像も録画できる。
パススルー出力は,4K HDR/144fps,1440p/240fps,1080p/360fpsでの出力が可能だ。なお,入力HDMI規格はHDMI 2.1なので,HDMIのディスプレイ同期技術「VRR」(Variable Refresh Rate)のパススルー出力にも対応する。
スペック的には,一般消費者向け製品の「GC553G2」とよく似た製品だ。
名機AM310の後継機種が登場。スタンドも出るよ
価格対スペック比に優れた単一指向性コンデンサマイクの名機「AM310」の後継機となる「AM310G2」が登場した。
先代AM310では,16bit/48kHzだったサンプリングレートも,AM310G2では24bit/96kHzにまで向上した。マイク側の接続端子も,USB Type-BポートからUSB Type-Cポートへと変更され,ボディサイズもややコンパクトになった。
付属するスタンドも,オーソドックスな三脚スタイルへとリファインされている。価格は北米で100ドル前後を想定しているという。先代AM310が日本でも人気商品だったので,日本での発売予定もあり。
AM310G2とは別売りの商品だが,マイクに合わせてマイクアーム製品の「BA311L」も発表されている。
以前ラインナップされていたマイクアーム製品の「BA311」よりもコンパクトで,軽量化されているのが特徴だ。1/4インチと5/8インチのネジ穴に対応しているので,マイクだけでなく,カメラなどの取り付けにも使える。関節の締め付けは工具なしで行えるのも魅力で,対応荷重は約1.5kgだ。
録画ソフトが「RECentral」から「Streaming Center」へ
AVerMedia製品の標準的な録画兼設定ソフトといえば,録画と配信の機能をシンプルな操作系で行える「RECentral」が有名だ。その次期製品として開発中なのが,「Streaming Center」である。
最大の進化ポイントは,「最新の配信ソフトウェアにおけるトレンドを取り入れる」点にあるそうで,他の配信ソフトにあるような定番機能が数多く取り入れられている。たとえばブースでは,グリーンバックを使わずとも,任意の映像や画像を安定的な背景に置き換えるリアルタイム合成機能や,カラーチャートを使っての色調整といった機能のデモが行われていた。
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