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[CES 2018]NVIDIA,自動運転用SoC「DRIVE Xavier」を2018年第1四半期中にサンプル出荷。「LEVEL 5」の自動運転向けプラットフォームも予告
NVIDIAが注力するのはゲームとAI,自動運転
冒頭,氏は,現在のNVIDIAが注力している成長分野は次の3つだとした。
1.ゲーム
なお,ゲームに関する発表は,すでにお伝えしている「BFGD」(Big Format Gaming Display」関連のみ。GeForceの新製品などは出てきていない。
2.AI
もっとも,その内容は,2017年12月に日本で開催されたGTC Japan 2018の基調講演そのままで,新要素はなかった。
3.自動運転車両
また,自動運転車両の技術は物流や人の移動に革命をもたらし「将来的に3兆ドルという超巨大市場になる」と大胆な予測もしてみせている。
史上最も複雑なSoC「DRIVE Xavier」で完全自動運転を目指すNVIDIA
Huang氏が掲げたDRIVE Xavierのプロセッサパッケージ |
史上最も複雑なSoCだとHuang氏はDRIVE Xavierを評していた |
DRIVE Xavierは,ARMv8アーキテクチャに基づく64bit CPUコアを8基と,Voltaアーキテクチャベースでシェーダプロセッサである「CUDA Core」を512基,行列計算専用の演算コア「Tensor Core」(テンサーコア)を20基集積したSoC(System-on-a-Chip)だ。
12nm FinFETプロセス技術を用いて製造され,トランジスタ数は90億,ダイサイズは350mm2に達するとのこと。Huang氏は「世界で最も複雑なSoC」と呼んでいた。
その性能は「30 TFLOPSに達する」とHuang氏は述べていたが,「Terra FLOPS」ではなく,おそらくAIの演算性能を示す「Tensor OPS」のことだろう。
従来製品「Drive PX2」は,2基の「Tegra X1」プロセッサと2基のGPUで合計24 Tensor OPSを実現していた。それを引き合いに出して,「2基のプロセッサを搭載するDrive PX2が24“TFLOPS”だったのに,DRIVE Xavierは1基でそれ以上の性能を達成した。これはすごいことだ」とHuang氏が自賛していたためである。
なお,DRIVE XavierはNVIDIAがTegraシリーズで培ってきた画像処理エンジンも搭載しており,車載カメラからの映像を1.5GPixels/sの速度で取り込み,評価可能だという。
新型DRIVE Pegasusは,「LEVEL 5」と呼ばれる,人の手を介さない完全自動運転を実現できるだけの演算能力を持つという。そして,このDRIVE Pegasusプラットフォームを用いて「UBERとともに,LEVEL 5の能力を持つ自動タクシーの開発を行う」ことも明らかにしている。
DRIVE Pegasusは「2基のDRIVE Xaviertと,2基の極めて高速なGPU」(Huang氏)を搭載する,自動運転プラットフォームだそうだ。2017年10月にDRIVE Pegasusが発表されたときには,搭載するGPUが「次世代品」だという言及があったが,今回もHuang氏の口から,その「次世代GPU」のコードネームなどに関する言及はなかった。
なお,消費電力は300Wだそうで,ISOが車載用に設定している「ASIL-D」など,高度な安全規格をクリアする製品になるとHuang氏は述べていた。
というわけで,将来的に数兆ドル規模の産業に成長すると予測している自動運転車両への傾注が目立ったが,「それだけではない」こともアピールしてみせた,というのが,CES 2018における基調講演の評価ということになるのではなかろうか。
言うまでもないことだが,現在のNVIDIAにおいて,総売上の6割以上を占めるのは,GeForceを柱とするゲーム部門である。NVIDIAはゲーム市場における安定的な収益を使って,AIや自動運転といった分野の技術開発を行っているという言い方もできるだろう。裏を返せば,ゲーム市場における地位が揺らぐことになれば,NVIDIAにとってかなり厳しいことになるわけだ。
DRIVE Xavierに関するNVIDIA公式blogポスト(英語)
- 関連タイトル:
Volta(開発コードネーム)
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