インタビュー
[E3 2014]「Dragon Age: Inquisition」のサブタイトルにはどんな意味が? BioWareのクリエイティブディレクターに新作の世界観を聞いた
もちろん,それだけでなく,BioWare作品ならではの細部まで作り込まれた世界設定や,ストーリーも大いに気になるところだ。
果たしてDragon Ageの新作には何があり,前作から何が変わっているのか。不明なところの多いDragon Age: Inquisitionについて,BioWareでシリーズ第1作から開発に携わっているクリエイティブディレクターのMike Laidlaw(マイク・レイドロウ)氏に話を聞いてきた次第である。
「そもそもInquisitionってなんですか?」という基本的なところから聞いているので,以下のやりとりで,本作の輪郭を掴んでもらえるだろう。
主人公はDragon Age: Inquisionでどういう立場なのか
4Gamer:
よろしくお願いします。
ではまず,本作のプレイアブルキャラクターについて解説していただけますか。
Mike Laidlaw氏(以下,Laidlaw氏):
そうしましょう。
本作でプレイヤーが操作するキャラクターは,我々が設定したヒーローではなく,プレイヤー自身が選択できます。ヒューマンやドワーフ,エルフ,そしてクナリの4種族に加え,2つの性別,そして3つのクラスから選ぶことになります。どのようにカスタマイズして成長させていくのかは,もちろんプレイヤー次第です。
4Gamer:
今回,主人公の職種は「Inquisitor」(インクイジター,直訳で「宗教裁判官」)とされています。ゲームのサブタイトルも「Inquisition」(インクイジション)ですが,Inquisitor,Inquisitionとは何のことなのでしょうか。
Laidlaw氏:
まずゲーム世界についてお話ししますが,本作では天空で起きた大爆発によってセダス大陸全土を大きな異変が襲います。そして,あちこちにできた時空の裂け目からデーモンが飛び出してきて,教会組織である「Chantry」(チャントリー)のリーダーが次々と殺されてしまう。
これまで世界の秩序を保ってきたChantryが機能しなくなったことで,生き残った人々は,さらなる災厄を恐れて保身に走るようになるのです。
4Gamer:
ああ,そこでInquisitorが現れると。
Laidlaw氏:
ええ。プレイヤーは,人々の自信を回復させるために立ち上がるのです。たとえるなら,「ジェダイの騎士」のような位置付けでしょうか。プレイヤー自身がジェダイ達のような組織を築き上げていきます。
4Gamer:
なるほど。プレイヤーの行動における“動機”に当たる部分が見えてきたような気がします。ゲームでは,マップに散らばる「Stronghold」という要塞を次々と解放していくようですが,それも「自分の勢力にしていく」ということで説明がつきますね。
Laidlaw氏:
そういうことです。
また今作には「War Table」(ウォーテーブル)という新しい機能があり,プレイヤーは自勢力傘下の兵士を特定のミッションに向かわせることができます。戦闘中に特定のグループに加担させるとか,敵の城を攻撃する,未探索の地域に向かわせる,そして必要な情報を探させるといったことが可能です。ある意味で,ストーリーがどのように変化していくかもWar Tableで決定することなるといえるでしょう。
キャラクターの設定とコンパニオンについて
4Gamer:
E3 2014で公開されたトレイラーを見ると,主人公の左手に,緑色に光るものを確認できるところがありますね。あれは何でしょうか。
Laidlaw氏:
プレイヤーキャラクター自身は大異変を間近で体験した生存者で,そのときに左手が刻印されてしまったことで,あのオーラを発しています。プレイヤーは左手のオーラを使って時空の亀裂を防ぐことができるという能力を持っているので,「なぜ自分がそのような力を身につけたのか」という個人的な問題をプレイヤーが解き明かしていくのも,ストーリーの重要なポイントになるでしょう。
4Gamer:
そんなプレイヤーが“審問”する相手は,赤いフードを被った「Red Templar」(レッドテンプラー)達ですか。
Laidlaw氏:
Red Templarについて,現時点で詳細は公表していませんが,プレイヤーと敵対するファクションの1つになるのは間違いありません。「赤」ですから,ゲーム中に登場する「Red Lyrium」(※ゲーム中に登場する鉱石。魔法の源になるが,使い過ぎると精神に異常をきたす)と関係あるかもしれませんよ。
4Gamer:
余計気になりますね(笑)。
ちなみにプレイアブルキャラクターには,種族の選択によってNPCの反応が変わってくるといった要素はありますか。
Laidlaw氏:
はい。
とくに本作の世界で忌み嫌われているクナリ族で顕著ですが,プレイヤーがドワーフやエルフを選択しても,NPCが異なる反応を見せることは少なくないはずです。それに,ヒューマンでも,メイジを選んだ場合,ほかのクラスを選んだときとは異なるNPCのリアクションが見られるでしょう。本作の世界設定において,メイジは皆に恐れられている存在ですからね。
過去の作品ではオープニングのイベント選択部分でプレイヤーの生い立ちなどを決定していましたが,今回は種族やクラスを選ぶことが,その役割を担うことになります。
4Gamer:
そういえば,本作でプレイヤーのパーティに参加するコンパニオンは何体になりますか。
Laidlaw氏:
ウォーリアー,メイジ,ローグがそれぞれ3体ずつで,全部で9体です。
4Gamer:
今回は,コンパニオンとの恋愛関係などで新しい取り組みはあるのでしょうか?
Laidlaw氏:
BioWareのRPGでは,恋愛は非常に重要な部分です。
しかし今回は,なるべくそれをプレイヤーに強制しない方向で進めています。チーム内では,「グループ内の仲間だけに恋愛感情を持つ必要はないのではないか」という話をしています。このあたりは,発売されてから試してみてください。
4Gamer:
トレイラーの話に戻ると,映像では,4人のキャラクターが,ドラゴンの首あたりに集中して攻撃を加えているように見えました。
Laidlaw氏:
おお,よく気づきましたね(笑)。
これまでのドラゴンは「1つの大きな物体」でしかなかったのですが,今回は頭や胴体,足や翼などで異なる反応を示すようになっています。たとえば,足を攻撃して走行能力を弱めるといったことも可能なんです。より戦略的で,チームの連携が重要になる仕様になったと思いますよ。
4Gamer:
そんなドラゴンの種類もかなりの数になると推測しますが。
Laidlaw氏:
ええ,異なる属性のドラゴンが多数存在しており,これまで以上の数になります。なかなか倒せないドラゴンに対して,特定の装備を集め,さまざまなキャラクターと組んで,作戦を練って立ち向かう。このように,ドラゴン退治を1つのコンテンツとして楽しんでいただけたらと思います。
本作はBioWare作品の方向性を示すステートメントである
4Gamer:
そういえば,エンディングは1000種類におよぶという話も耳にしました。
Laidlaw氏:
ええ,そういう話もありましたね。
実際には,エンディングに至る細かい会話なども含めて無数の差異があるのですが,大別すると40種類程度のバリエーションになると思います。その内容は大きく異なる場合もあるのですが,「Dragon Age: Origin」(PC / PS3 / Xbox 360)を知っているなら,それに近い雰囲気と捉えていただくといいでしょう。
最終目的は1つだけれども,そこに続く過程や,プレイヤーが築いた人間関係などが,より鮮明な形で“結果”として表現されていると思います。プレイヤー達の間で,「どうして自分はこんな結末になったのか」と議論してもらえるのを楽しみにしているんです。
4Gamer:
優れたRPGを輩出してきたBioWareの作品の中でも,かなり意欲的な作風になっているようで楽しみです。
Laidlaw氏:
そうですね。本作はある意味で,「今後のBioWare作品がどのような方向性になるのか」についてのステートメントでもあると思います。ストーリーだけに偏らず,これまで以上に高い自由度にこだわったゲームになっています。そのあたりをじっくり遊んでいただきたいですね。
4Gamer:
期待しています。本日はありがとうございました。
「Dragon Age: Inquisition」国内公式サイト
「E3 2014」4Gamer特設サイト
- 関連タイトル:
ドラゴンエイジ:インクイジション
- 関連タイトル:
ドラゴンエイジ:インクイジション
- 関連タイトル:
ドラゴンエイジ:インクイジション
- 関連タイトル:
ドラゴンエイジ:インクイジション
- 関連タイトル:
ドラゴンエイジ:インクイジション
- この記事のURL:
キーワード