インタビュー
[E3 2013]「Battlefield 4」のエグゼクティブプロデューサーにインタビュー。司令官モードと,ダイナミックにマップが変化する新システムなどの話を詳しく聞いてきた
そんなBattlefield 4について,今回4Gamerでは,EA DICEで本作のエグゼクティブプロデューサーを務めるPatrick Bach(パトリック・バッハ)氏に話を聞く機会を得た。新要素の「司令官モード」(Commander Mode)や,ダイナミックにマップが変化する「Levolution」などについて,約30分間にわたって話を聞いてきたので,その内容をお伝えしよう。
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「Battlefield 4」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まず,EA DICEとして,Battlefield 4で注目してほしいのはどこなのか,という部分から教えてください。
いろいろありますが,大きなものは司令官モードの採用ですね。司令官は両チームに一人ずついて,フィールドのプレイヤーに命令を下しながら,チームの勝利を目指すことになります。
4Gamer:
Battlefield 2にあった司令官モードとは,どう違うのでしょうか。
Bach氏:
Battlefield 2の司令官モードにはいくつかの問題があったので,今回はかなりの部分を修正しました。
たとえばBattlefield 2では,司令官は兵士の一人としてフィールドにいる必要がありましたが,今回は専用の画面で,司令官の任務に専念することになります。
また,地上部隊の動きも司令官を助けます。たとえば拠点を制圧すると,司令官のできることが増えます。小隊がガンシップにスポーンすれば,効果的な攻撃ができるでしょう。良い司令官は常に部隊を助け,戦況を有利に導くために行動するわけです。
4Gamer:
E3会場にあった司令官専用画面というか,司令官専用試遊台はかなりカッコよかったです。
Bach氏:
そうですね。まるで,人工衛星から地上を見下ろしているようでしょう(笑)。
戦場の状態を把握しているのは司令官だけであり,本物の人間が操作する兵士達を駒のように使って戦うわけですから,専用試遊台でプレイした人は,かなりのパワーを感じたのではないでしょうか。
4Gamer:
ゲームでは,どうやったら司令官になれるんですか。
そのマッチにログインするときに,司令官モードを選択します。ほかのプレイヤーも司令官を希望した場合,基本的には早い者勝ちになりますが,決定時にはランクの高さも影響します。ランクの高い兵士ほど,戦場の雰囲気をよく知っているわけですからね。
ただ,司令官モードはゲームのペースが遅いですし,FPSなのに戦略のセンスを要求されますから,司令官になりたいというプレイヤーは,実際にそれほど多くないことも分かっています。
4Gamer:
自チームの司令官のデキの悪かったら困りますよね。
Bach氏:
Battlefield 2にもありましたが,そういうときは「反乱」(Mutiny)を起こせます。プレイヤーの投票が多ければ,司令官をクビにして別の司令官が選ばれることになりますから,いい司令官になるのはなかなか大変ですよ。
4Gamer:
分かります……※。では次に,司令官の具体的な仕事を教えてください。
※完全に余談だが,筆者はBattlefield 2で司令官をクビになった経験が,割とトラウマになっている。ついでに言うと,小隊長をやっていて隊員全員に逃げられた経験もある。
Bach氏:
いいですよ。まずは,地上の様子を「スキャン」して,自分の部隊や敵の位置などを確認します。これによって,攻撃をしかけてこようとする敵に対して自部隊に反撃を命じられるようになるわけです。
ほかにも,トマホークミサイルで敵戦車や敵兵士を一掃したり,弾薬やヘルスパックなどの入った補給物資を投下したりすることが可能です。
4Gamer:
Battlefield 2にあった,野砲による火力支援はできますか?
Bach氏:
今のところ,野砲による火力支援は用意していません。ただ,現在はゲームデザインを煮詰めている段階なので,まだ「絶対にない」とも言いきれません。
支援はトマホークミサイルとガンシップによるものになります。ガンシップは,上空を旋回しながら地上を攻撃するというパワフルな航空機で,そこからパラシュート降下して戦場に降りることもできます。
とはいえ,最も重要な司令官の仕事が,拠点を取れとか守れとか,こちらへ進めとか,さまざまな命令を戦場に的確に下すことなのは,言うまでもありません。
4Gamer:
司令官が指示を出せるのは,小隊長だけですか?
Bach氏:
そうです。司令官は小隊長に命令を下し,小隊長は小隊のメンバーに命令を下すという流れになっています。
もちろん,プレイヤーの中には人から命令されて戦うのを好まない人もいると思いますが,より戦略的な戦いを実現するためには,司令官モードが重要な要素になるんです。
4Gamer:
会場でプレイしたときからずっと気になっていたのですが,あのビルは,どうやって壊すのでしょうか。
Bach氏:
皆さん,同じ質問をしますね(笑)。
あのイベントは,Battlefield 4のコンセプトの一つである「Levolution」を実現するために用意したものです。Levolutionとは,戦場をダイナミックに変化させて戦略を楽しむという意味の造語です。
ご質問のビルの壊し方ですが,撃つと爆発して白い煙を上げる消火器など,さまざまなオブジェクトを撃ってダメージを与えて,ビルの基礎部分を破壊していくと倒壊させられます。戦車でビルを砲撃するのも効果的ですね。
4Gamer:
最上階の拠点を制圧すると,演出でああいうことが起きるのかと思っていました。
Bach氏:
違いますよ。ただ,ビル破壊を実行するかどうかは,プレイヤーの判断次第です。
倒壊シーンは迫力がありますけど,ビルを破壊すれば,あたりに粉塵がたちこめて視界が悪くなります。戦車は砲撃しにくくなりますし,狙撃手は近くの敵しか撃てなくなりますよね。また,ビルの最上階にあった拠点も地上に移ってしまいます。
拠点がビルの最上階にあるうちは,ガンシップからアクセスしやすいですし,いったん確保してしまえば,司令官にとって守りやすいものになります。しかし,ビルが倒壊して拠点が地上に移れば,維持の難度はほかの拠点と同じになってしまいます。
どうすべきかは,戦況やプレイヤーの判断によって違ってくるでしょう。
4Gamer:
マップはどれくらい用意されるのですか。
Bach氏:
残念ながら詳しくは答えられません。今のところ私が言えるのは,今回のデモでお見せしたマップは一つですが,製品版では「たっぷりある」ということだけです。
4Gamer:
たくさんと言うことは,きっと4つや5つ程度じゃないですよね。では,すべてのマップであのビル倒壊のようなイベントが用意されているのですか。
Bach氏:
そうです。すべてのマップにあのようなイベントが用意されています。必ずしも「Siege of Shanghai」ほどスケールの大きなものではないかもしれませんが,マップや環境がダイナミックに変化する要素が必ずあり,これらによってLevolutionが実現されているんです。
4Gamer:
Battlefield 4は,PCとPlayStation 4,PlayStation 3,Xbox One,Xbox 360でリリース予定ですが,それぞれの機種で違いがあれば教えてください。
Bach氏:
PlayStation 4版はSony Computer Entertainment,Xbox One版はMicrosoftの協力のもと,現在はBattlefield 4のゲームエンジンである「Frostbite 3」の最適化や,ドライバの制作などを進めているところです。
PS4版とXbox One版が持つ最大の特徴は,やはり家庭用ゲーム機で初めての64人対戦,司令官を含めると66人対戦を可能にしたことでしょう。こうした大規模な対戦を,常時60fpsで実現しているところがポイントで,家庭用ゲーム機のユーザーにとっては,大きなプレイ経験になると考えています。
また,機種の特徴というわけではないかもしれませんが,司令官モードをiOSやAndroid搭載のタブレット端末でもプレイできるようにしました。iOSやAndroid向けのアプリについては,新しい情報を引き続き出していきたいと思いますので,詳細はしばらくお待ちください。
4Gamer:
では,PC版にはどのような特徴がありますか。
Bach氏:
PC版だけでなくPlayStation 4版とXbox One版も含まれるのですが,「観戦モード」(Spectator Mode)を搭載しています。任意のプレイヤーをフォローして,そのプレイヤーと同じ視点で見られたり,三人称視点にしたり,カメラを自由に移動させて戦闘の様子を眺めたりできるんです。
説明だと「なるほど」と思うだけかもしれませんが,実際に画面を見ると非常に興奮しますよ。間違いありません。
4Gamer:
なぜ観戦モードを搭載したのでしょうか。
Bach氏:
これを導入したのは,ほかのプレイヤーの動きや戦いぶりを見たいという要求に応えるという側面もありますが,ムービー制作を容易にするためというのが,大きな理由です。
たとえばPlayStation 4では,[Share]ボタンに象徴されるように,ソーシャル要素としてのムービーが重要になっています。
対戦イベントなどでは,ムービーを使った判定や評論といったことにも使えるでしょう。ショーフロアの試遊エリアの前に,スタッフとゲストがいたのを覚えてますか。彼らが対戦を見ながら解説する模様をオンラインで配信していたのですが,あれはBattlefield 4の観戦モードを使っていたんですよ。
4Gamer:
ゲームが発売されたら,いろいろなムービーが出てきそうですね。ムービー映えしそうなのは,海の戦いでしょうか。新しいシングルプレイトレイラーでも,沈没しそうな空母のシーンはすごい迫力でした。
Bach氏:
デモプレイにたくさんのボートが出てきたことからも分かってもらえると思いますが,今回は海戦にも力を入れています。
普通に泳ぐだけでなくダッシュもできますし,スキューバダイビングのように深くは潜れないのですが,水中に潜ることもできます。水中に隠れたり,水中からハンドガンを撃ったりもできるようになりました。
波の高い海面では,船が波に合わせて上下に大きく動くので,地上戦より狙いは付けにくくなりますし,マルチプレイの海戦は,とても面白い状況になるでしょう。
4Gamer:
PC版についてですが,要求スペックはまだ正式発表されていないような気がします。もし,私が最高の環境でBattlefield 4をプレイしようと考えた場合,どの程度のスペックのPCを用意すればいいでしょうか。
Bach氏:
現在,私が言えるのは,「最も高価なPCがいい」ということです(笑)。
Frostbite 3はスケーラブルなエンジンですので,最高の画面でプレイしたいのであれば,ベストなPCが必要になるでしょう。ともあれ,スペック関係は追って正式発表されるはずです。
4Gamer:
……お金を貯めておきます。
ところで,話がちょっとそれますが,Battlefield 4に恐竜やゾンビが登場するという噂を聞いたことがあります。実際のところ,そのあたりの真偽はどうなのでしょうか。
Bach氏:
とんでもない! 恐竜はいませんし,もちろんゾンビもいません。……でも,この先どうなるかは誰にも分かりませんから,「今のところ」としておきましょうか(笑)。
4Gamer:
まあ,恐竜は出ませんよね……。では気を取り直して,EA DICEでは,Battlefieldシリーズの開発で,どのようなところを重視しているのでしょうか。
Bach氏:
EA DICEでは,Battlefieldを制作しているメンバー全員がBattlefieldファンであり,ゲームを愛し,より良いものにしたいと常に考えています。
ですので,ゲームシステムに限らず,武器でもビークルでも,新たなアイデアを次々に生み出し続けています。それがゲームに採用されることでメンバーの士気が上がり,ゲームへの意識も高まりますので,新たなアイデアの評価は重要なことですね。そうでないと,こうした規模の大きなゲームをきちんと作ることはできないと思います。
ただ,面白そうなアイデアをしばしば思いついても,実際にゲームへ適用してみると,ゲームのバランスを崩してしまうこともあります。
マルチプレイFPSであるBattlefieldシリーズにとって,最も重要な要素はゲームバランスなので,いくら面白そうなアイデアでも,それを壊してしまっては使えません。ですから我々は,新しいアイデアを使うときには,非常に慎重に作業を進めています。
4Gamer:
なるほど。それでは最後に,読者に向けてのメッセージをお願いします。
Bach氏:
Battlefield 4の新しいフィーチャーの数々を,ぜひ実際に見てください。司令官モードやLevolution,そして新しい武器やビークル,マップを楽しんでください。あなたがBattlefield 4の世界に参加してくれるのを,楽しみにしています。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
6月12日に掲載した記事でもお伝えしたように,E3 2013会場のEAブースでは,PC版Battlefield 4の64人対戦を行っていた。
1回の試遊で64人が同時にプレイできるので回転が早かったうえ,集合時間の書かれた整理券を配っていたので,長蛇の列に並んで何時間も待たなければならないほかのタイトルに比べて,非常に取材がしやすかった。しかも,画面撮影の制限がなく,ムービーの撮影さえ可能という,メディアにやさしいスタイル。
なので個人的には,Battlefield 4に「E3 2013気配り賞」を差し上げたいくらいだが,もらっても向こうは困るだけなので,ここに書くだけにしておこう。
ともあれ,Battlefield 4を実際にプレイして感じたのは,Battlefieldシリーズの面白さの基本は残しつつ,さまざまな部分が最新技術でブラッシュアップされたということ。細部には開発途中のバージョンであることが分かるような部分も残っていたが,かなり期待できるのは間違いないので,発売の暁には,シリーズファンにぜひプレイしてほしいタイトルといえる。
タブレット端末でプレイできる司令官モードなど,発売に向けて,さらに情報は明らかになっていくはずなので,続報に期待しよう。
「Battlefield 4」公式サイト
4Gamer E3 2013特設ページ
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