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日本マイクロソフトとNTTドコモ,法人向けタブレットで協業。「Windows 8」と「Xi」で市場を開拓
Xi網を活用した法人向けタブレット展開
そういったWindowsを中心としたオフィス環境というのは,2000年代に入ってから加速しており,破竹の勢いでシェアを拡大するスマートフォンやタブレット端末の存在はあくまでも後付けだ。確かに,スマートフォンやタブレットは,その利便性の高さから,既存のWindows資産と組み合わせて利用されるようになってはいるが,OS的な競合やファイルのやり取りの面倒さなどもあり,クラウド経由でそこそこなんとかやれているというのが実情だろう。またポリシー管理や,複数台の運用,外出先における社内システムへの入りにくさといった問題点もある。
とくに複数台の運用という点では――モバイルガジェットが好きなユーザーも感じることかもしれないが――スマートフォンやタブレット端末だけでは効率が悪いケースが少なくない。たとえば,特定の素材を集めて,効率よくリネームし,ZIPファイルに圧縮してアップロードするとなると,Windowsのほうが都合がいい。複数の資料を同時にチェックしながら話を進める場合も,シングルタスク前提のスマートフォン&タブレット向けアプリでは追いつかない。そういった部分を押さられるとデバイスとなると,やはり,Windows採用機に着地するというわけだ。
もちろん,写真を撮って,文章を添えてメールで送信といった場合は,逆にスマートフォンやタブレットのほうがスムーズだったりする。スマートフォンやタブレット端末には,そういったメリットがたしかにあるのだが,Windows中心の自宅環境にiOSデバイスなりAndroidデバイスを組み込もうとして,あまり根っこにまで組み込めず,結局,動画をストリーミングで視聴したり,リモートアプリでPCを操作したりといった使い方をしている人は多いのではないだろうか。
また,文字入力面については,スマートフォンやタブレットだとやはり限界があるため,能率的に作業を進めるのは難しくなってくる。その結果,ノートPCとスマートフォンもしくはタブレット端末を持ち歩き,用途に合わせて使い分ける,というのが現状のビジネスシーンで目立つ。しかし,それはスマートといえるのだろうか。
そんな流れのなかで,「既存のWindows資産を活用しつつ,組み込みやすく,かつ操作性に優れた存在」として今回のような「Windows 8タブレット市場の開拓」という選択肢が浮かび上がってきたというわけだ。
必然といえば必然かもしれないが,上記のとおり,国内のWindows資産は膨大で,法人の利用シーンの大半をフォローできる。既存のWindows用アプリケーションが利用できれば,ポリシー管理もやりやすく,外出先からの社内システム利用にも問題はないということになる。
「50社ほどが,他メーカー製タブレット端末の導入を検討していたが,Windows 8のタッチデバイスとの相性の良さから,Windows 8タブレットの採用を決定した」と樋口氏が語っていたが,それはこういった背景を踏まえてのことなのかもしれない。
また,タブレット端末とノートPCの両方を持ち歩く必要がないというのは,導入コストや保守面で都合がよく,用途に応じた形状を選べばいいわけだ。
もちろん,そういったメリットは,タブレット市場ですでに大きなシェアを持つiOSとAndroidも見据えたものであり,日本マイクロソフトとしても推していきたい部分なのだろう。
信頼度の高いドコモの存在
ところで,なぜドコモと協業なのか。キーになっているのは,やはりXiの存在だ。法人がWindows 8タブレットを導入した場合,ハードとソフトだけでなく,通信キャリアの信頼度も重要になってくる。それはスマートフォンでも同じことで,いくら高速回線を謳っても実効速度が遅くては意味がないし,都市部を離れたらつながらないのでは意味がない。
NTTドコモ 代表取締役社長 加藤 薫氏 |
ただ,Xiというと,気になってくるのはスマートフォンだ。タブレット端末と同じく,Windows資産を活用するのであれば,Windows Phone 8の存在が気になるところだが,加藤氏は,「Windows Phone 8の需要が高まる可能性があるため,導入を考えてはいるが,いつになるかはまだ言えない状況」と述べていた。「注視」や「検討」といった単語を強調していたので,NTTドコモからWindows Phone 8が発売される可能性はあると見ていいかもしれない。
なお,法人向けとして利便性が高そうな「Surface」の国内発売については回答がなかったものの,両氏の反応を見るに,日本投入の可能性が絶望的にないわけではなく,タイミングを見計らっているようにも感じられたことは付記しておきたい。
というわけで,法人向けの発表ということもあり,Windows Phone 8やSurfaceの登場はなかったが,法人でのノウハウを経て,一般向けへ展開が期待できる発表会だったのではないだろうか。時期的に見て,年内に動きがあるようには思えないが,もしかしたら春あたりには何かあるかもしれない。
日本マイクロソフト公式Webサイト
NTTドコモ公式Webサイト
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