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  • 発売日:2010/11/20
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セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
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印刷2010/11/20 10:00

インタビュー

セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた

画像集#008のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
 セガは,「Kinect for Xbox 360」対応ソフト第1弾として「ソニック フリーライダーズ」を本日(11月20日)発売した。
 本作は,セガを代表する人気キャラクターであるソニックが,“エクストリームギア”と呼ばれる乗り物に乗ってレースを展開するアクションゲームだ。
 今回は,本作のプロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に,「ソニックフリーライダーズ」の制作秘話やKinectタイトルを制作した感想などを聞いてきた。

画像集#003のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 まずは,セガのKinect for Xbox 360タイトル第1弾が,「ソニック フリーライダーズ」になった経緯を聞かせてください。

「ソニック フリーライダーズ」プロデューサー兼ディレクターの森本兼次郎氏
画像集#002のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
森本兼次郎氏(以下,森本氏):
 Kinectが「Project Natal」という名前で発表されたのって,2009年のE3でしたよね。その時に,自分自身の体をコントローラにするというデバイスが,この業界としてはかなり画期的だなという印象を受けて,それでどういうことができるのか,いろいろと考えました。ただセガとしては,やはりソニックのゲームを出すことを考えるべきだろうと。

4Gamer:
 確かに,新しいデバイスに対応するタイトル第1弾で,セガの顔であるソニックが出るのと出ないのでは,大きく印象が変わりそうです。

森本氏:
 最初は,ソニックをKinectでどうゲームにしていくかという,ごく単純な部分から考えはじめました。ソニックって走るキャラクターという概念が一般的だと思いますが,その「走る」という行為をユーザーさんにダイレクトにやらせたとして,それが本当に直感的なのかという部分で,引っかかるものがあったんです。

4Gamer:
 ソニックの速さで走ったら,5分と持たないうちに体力が切れると思います(笑)。

森本氏:
 なので,ソニックというIPを使ってもっとユーザーに分かりやすく,直感的に訴えかけられるようなゲームってどんなものだろうと考えました。
 僕は過去に「ソニックライダーズ」というタイトルを作ったのですが,ああいったXスポーツという形なら,直感的な操作が実現できるんじゃないかな……と思ったんです。それから,Kinectを使った直感的な操作のソニックゲームを「ソニック フリーライダーズ」という形にして,企画を立ち上げました。

4Gamer:
 実際の制作には,どのくらいの期間かかったんですか?

森本氏:
 企画自体が通ったのは2009年の9月頃で,実際に制作が始まったのは11月ですから,制作期間はちょうど1年くらいですね。

4Gamer:
 開発は順調に進みましたか?

画像集#005のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
森本氏:
 Kinectで何ができるのかという部分で,最初は僕らも迷っていた部分があったので,今年のE3で発表する前までは,実験的にいろいろなものを作っていました。
 というのも,ゲームのスタイル自体は決めていたのですが,じゃあ実際にどういうジェスチャーとかアクションを取り入れれば,よりユーザーさんに分かりやすくなるのか……みたいな直感性の部分って,実験してみないと分からなかったんですね。
 なので,僕らが「こういうアクションにしよう」といろいろ決めた段階で,実際にユーザーさんを呼んでテストプレイをしてもらったりとか,実験しながら開発を進めていきました。
 ようやくスタイルとアクションの仕様が固まって,完成に向けて集約させていけるようになったのが,今年の春頃の話でした。

4Gamer:
 そして,2010年のE3で初めての露出となりましたが,そのときの反応はどうでしたか?

森本氏:
 ありがたいことに,E3では非常に良い評価をいただきました。これは,Kinect対応タイトルの中でも,「ゲームらしさ」を追求した部分が評価されたのではないかと思っています。

4Gamer:
 「ソニック フリーライダーズ」って,スポーツでいうとスノーボードやスケートボードに近いカテゴリになると思いますが,開発の段階で別のスポーツのアイデアが出たりしましたか?

画像集#007のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
画像集#006のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
森本氏:
 開発中には,横を向くスタイルじゃなくて,正面を向いて動かすようなものがいいんじゃないか……など,スタッフからいろいろな意見が出ました。
 その当時は必ずしも横向きの認識力がいいというわけではなかったんです。実際にはボード以外にも,バイクのような正面を向いて操作するアクションも取り入れていますが,今回は横を向くボードスタイルを中心にすることにこだわったんですね。

4Gamer:
 ボードスタイルにこだわった理由を教えてもらえますか?

森本氏:
 前に「ソニック ライダーズ」を作ったときにもだいぶ熟考したのですが,「じゃあソニックみたいな身体能力の高いキャラクターが乗る乗り物って何ならいいの?」いう概念が,我々開発者だけでなくソニックを好んでくれているユーザーさんにもあると思うんですよ。
 ソニックの身体能力の高さを生かしてクールにいけるスタイルって,ボードスタイル以外にあるのかなって考えると,かなり長いこと熟考する必要があるんじゃないかなと思います。もちろん,いろんな可能性はあると思いますが。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに,「ソニック フリーライダーズ」はコントローラでもプレイできますか?

森本氏:
 いえ,Kinect専用です。
 最初は,「コントローラでもプレイできたほうがいいんじゃない?」という意見もありました。ただ,「フリーライダーズ」の開発コンセプトの根本が「コントローラでは味わえない面白さとマルチプレイのコミュニケーション」だったので,そういった趣を考えると,Kinect専用にしたほうがいいだろうと,自ずとその方向に固まっていきましたね。

4Gamer:
 Kinectでいえばもう一つ,レース以外の部分は音声認識に対応していると聞きましたが,これはたとえばメニューはすべて音声認識に対応しているんですか?

画像集#009のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
森本氏:
 そうですね。すべてのメニュー項目に対して,音声認識で操作できるように作っています。
 「ソニック フリーライダーズ」はKinect専用タイトルなので,メニューの操作もジェスチャーで行うのですが,階層が多くなってくると,ジェスチャーで操作するのが面倒くさくなる部分もやはり出てきます。でも音声認識なら,声でぴたっと指定できるし,慣れてくるとジェスチャーよりも早く操作できるんですよ。音声認識が一番分かりやすい操作だと思ったので,メニュー操作は一貫して音声認識に対応しました。

4Gamer:
 それは階層ごとに指定する形ですか? それとも,階層を飛ばして直接ゲームモードを指定できるような形でしょうか?

森本氏:
 画面内に映っているメニューを指定する形なので,階層を飛ばすことはできません。すべての階層,それぞれのメニューに,音声認識用キーワードアサインがなされています。

4Gamer:
 音声認識については,Kinectのシステムを使っているのですか?

森本氏:
 そうですね。マイクロソフトさんに提供していただいたシステムに,セガ側でパラメータを指定して使っています。

4Gamer:
 老若男女を含めて,日本語の音声認識の精度はどの程度なんでしょうか?

森本氏:
 僕自身は自分のデータでしか確認できないのでなんとも言えないのですが,デバッグを通していろいろなサンプルで問題がないことは確認できています。
 あと,我々が気を使ったところは,誤認識しないように同じようなキーワードを使わないようにしたというところですね。あとは,はっきり言わないと認識できないのでは誰も使えなくなってしまうので,ある程度は曖昧な言葉・発音であっても認識できるようにしています。

4Gamer:
 森本さんは,過去に音声認識を使った開発経験はあったんですか?

森本氏:
 開発は初めてです。「シーマン」とか遊んだことはありますけど(笑)。
 実験的に取り入れた結果,「わりとうまくいった」というのが正直な感想です。遊びとして取り入れたというよりは,本当に機能性に特化して作りました。
 マイクロソフトさんにもサポートしていただいて,海外言語の音響モデルに対応した音声認識もできています。日本版の日本語設定ではもちろん日本語を認識しますが,北米版や欧州版の英語設定では,ちゃんと英語を認識します。
 でもみんな,人前だと恥ずかしくて,社内では音声認識のデバッグをなかなかやりたがらないんですよね。僕も,しゃべってテストするのは夜一人になってからでしたから(笑)。

4Gamer:
 やはり,人がいるとやりづらいですか(笑)。

森本氏:
 一応,パーティションで隠してはいるのですが,隠しているだけに,大きな声を出すと「あいつ何やっているんだ?」みたいな感じに見られますね(笑)。よく見ると,音声認識のテストをしていると分かるのですが,ぱっと見だと「何騒いでいるんだ」みたいな感じに見えてしまうんですよ(笑)。
 本当は,実際の家庭環境,居間のようなところに置いて試してみたかったのですが,なかなかそういうスペースも作れなかったので。ただ,最終的にはKinectのシステム側で,環境音も拾って最適化してくれるようなので,ユーザー環境では問題なく動作すると思います。

4Gamer:
 全体的に,音声認識周りは比較的楽に開発できた,ということなんでしょうか?

森本氏:
 開発の最後の時期に取り入れたわりには,うまくまとまったなと思いますね。

4Gamer:
 メニュー周りに音声認識を入れたのは最近の話なんですか?

森本氏:
 原案の頃から音声認識を採り入れるという計画はしていたのですが,日本語の音声認識システムが(マイクロソフトさんから)提供されるのを待っていました。
 一応,英語のシステムがあったので,それは実験的に試したりはしました。ただ,ネイティブの発音でしゃべらないとまったく反応しなかったですね。ネイティブの人の発音だとちゃんと認識したようですが,僕の発音では厳しかったですね(笑)。

画像集#011のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた

4Gamer:
 開発が始まってから,新しい「Kinectならでは」というアイデアが出て,それが「ソニック フリーライダーズ」に採用されたりしましたか?

森本氏:
 「こんなゲーム作ってみたい」とか,まったく関係ないアイデアはたくさん生まれました(笑)。

4Gamer:
 そういったアイデアは,実際にゲームの開発をしてみないと思い浮かばないものが多いんですか?

森本氏:
 そうですね。「こういうものが多分ゲームになっちゃうんだろうな」とか「多分こんなことが面白いんだろうな」みたいに感じたことがすごく多かったですね。新しい技術なので,何ができる/できないという判断ももちろんありますし,作ってみないとなかなか思いつかないものもありますしね。

4Gamer:
 やはり,開発に携わってみないと思いつかないものなんでしょうか?

森本氏:
 いや,そんなことはないと思いますよ。ユーザーさんでもKinectを買っていろんなゲームを遊んでみて,「こういうゲームをやってみたいな」というアイデアは出てくると思います。僕らの判断材料は,経験上で「こんな技術があるからこんなことができる」という厳選にしか過ぎないのです。

画像集#010のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた

4Gamer:
 ここからは,ゲーム本編について質問させてください。
 「ソニック フリーライダーズ」では,何種類くらいモードが用意されているんでしょうか?

画像集#013のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
画像集#014のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
画像集#012のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
森本氏:
 まず,一人で遊ぶ方のために,「ワールドグランプリ」というシナリオモードを用意しています。そして,シングル・マルチプレイ両方が楽しめる「フリーレースモード」があって,こちらはノーマルレース,コレクトリング,ダメージサバイバルという三つのゲームルールがあります。さらにマルチプレイ専用モードとして,タッグレース,リレーレースという二つを用意しました。
 フリーレースはXbox LIVEにも対応していて,オンラインで最大8人でのレースをすることもできます。また,タッグレースは同時に遊べるのは2人までなんですが,リレーレースは周回ごとにプレイヤーが交代する形で,最大4人での協力プレイや2対2のチーム戦ができます。
 どんなモードでも,レースをしていくことでリングを貯めることができて,ショップで新しいギアやギアに付けるパーツを購入していくことができます。

4Gamer:
 森本さんが個人的に好きなモードはどれですか?

森本氏:
 ダメージサバイバルというモードですね。ところどころに配置されているアイテムを使って,スローイングボムを投げつけたりとか,ボウリングストライクを転がしたりとかできて,ゲームを純粋に楽しみたい人向けというか,「わちゃわちゃ」した感じのからみ合いが,ものすごく楽しめるレースだと思います。2人で遊ぶことはもちろん,Xbox LIVEでも遊べます。ぜひ楽しんでいただきたいですね。

4Gamer:
 リングで集められるギアは,キャラクターごとに用意されている感じになりますか?

森本氏:
 基本は共通ですが,一部キャラクター限定のギアもあります。

4Gamer:
 ということは,基本的に一度購入したギアは,限定ギアでなければ,どのキャラクターとも組み合わせられるんですね。

森本氏:
 キャラクターには,初速の速いタイプ,最高速度が速いタイプ,あとは減速しづらいタイプという3種類があります。それらに,それぞれギアの性能をかけ合わせてレースをするという形になります。ちなみにギアの中には,「ハングオン」や「スーパーハングオン」といった筐体がモチーフのギアもあります。実際に使うと,BGMがそのゲームのものに切り替わるんですよ。

4Gamer:
 おお,それは楽しそうですね。ちなみに,登場キャラクターは何人くらいいるんですか?

森本氏:
 一番最初にオープンされているキャラクターは6体ですが,ゲームを進めてアンロックしていくと,最大16体まで増えます。

4Gamer:
 あと,Xbox LIVEでの自分のアバターも使えるんですよね。

画像集#015のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
森本氏:
 Xbox LIVEに対応するというプランが最初にあったので,個人的にはせっかくLIVEでやるのならアバターも使いたいな,という思いはありました。
 そこから徐々にフィックスしていって,アバターをオフライン/オンライン両方で使えるようにできたのですが,その道のりは想像以上に大変でした(笑)。
 あと,アバターアワードにも対応していますので,ゲームを進めるとオリジナルのアバターアイテムが使えるようになります。

4Gamer:
 レース中にライバルの邪魔ができるアイテムですが,使用するためのモーションはそれぞれ異なっているんですか?

森本氏:
 シェイクやプッシュなど同じ動作をするものもありますけど,アイテムごとに役割は異なっています。アイテムの出現内容は順位に応じたパラメータが設定されていますが,モードによって多少異なったアイテムが出てくるようになっています。
 あとアイテムとは別のアプローチで,コースの中には全身を使ってアクションをするようなギミックも複数用意されています。

4Gamer:
 クロールで泳ぐシーンは確認しましたが,それ以外にはどのようなものがありますか?

画像集#016のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた
森本氏:
 鉱山のようなステージがあるのですが,ここではトロッコに乗るんです。レバーを切り替える動作をすることでレールを切り替えたり,加減速したりします。あと,ボブスレーに乗るときは,ハンドルを使ったアクションで操作できます。そういった部分では,あえてチュートリアルなど用意していないので,「こんなことができるんじゃないか?」って感じで,発見していただけるといいなと思います。

4Gamer:
 本作最大の特徴の一つが,2人協力プレイでの「実際に手を合わせる,手をつなぐ」というところだと思うのですが,このアイデアは,いつ頃からあったものなんでしょうか?

森本氏:
 実際に作り始めたのは,シングルプレイのスタイルが確定してからでしたけど,手をつなぐというスタイル自体は原案を作っている頃からあって,開発としてはそこにポイントを置いていました。
 Kinectのようなツールを使えば,違う可能性でマルチプレイが楽しめると思いますし,ひいてはユーザーさんの間口がもっと広がるかなと考えていて,僕は最初から,このゲームはマルチに重きを置いて作っていました。その一環として,友達同士,兄弟,カップルで手をつないでプレイするというのは,すごく新鮮だと思ったんですよ。それは見せ方としても非常にKinectらしい,コントローラでは味わえないスタイルだし,さらには,今までのゲームでは見たことがないリアルコミュニケーションが楽しめるゲームとしてアピールしていけるんじゃないかなと。

画像集#017のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた

4Gamer:
 先程実際にプレイさせてもらいましたが,エキサイトしてくるとつい動きが激しくなってしまいました。長時間プレイするのはけっこうハードだと感じたんですけど,どのくらいのプレイ時間が推奨なんですか?

森本氏:
 Kinectをプレイしていると,システム側で「お疲れではありませんか?」といったメッセージが1時間くらい経つと表示されます。ですので,本当にそれくらいが適切かなと思いますね。
 ゲームの開発が進んでミッションがちゃんとした形でできてくると,ランクのしきい値もできてきますよね。僕らも実際にデバッグフェイズに入ってから初めて気がついたのですが,プレイするとどうしても,そのしきい値を超えたいと思って頑張ってしまうんです。
 僕らも仕様を知っているので,本当はそんな大げさな動きをしなくてもちゃんと反応するのは分かっているけど,ついつい本気でジャンプしちゃったりとか,回転しちゃったりするんです。長時間は体力が持たないですけど(笑)。
 ミッションは全部で40種類以上あります。これらのB/A/Sランクの調整は,僕が1か月くらいかけて全部調整しましたが,5kgくらい痩せました(笑)。コースのルートであったり,特定の場所でのアクションであったり,ランクと「達成感」がちゃんとリンクするように作っていますので,その辺も見てもらえればと思います。

4Gamer:
 発売後,Xbox LIVEでの追加ダウンロードコンテンツなどの計画はありますか?

森本氏:
 今はノーアイデアですが,ユーザーさんのリクエストによっては,変わっていくのではないかと思います。レースゲームはコースを追加したりとか,非常に展開しやすいとは思いますし。開発が終わったばかりなので,まずは休みたいな……というのが今の正直な気持ちなんですけど(笑),

4Gamer:
 最後に,読者に向けて「ここを楽しんでほしい」というメッセージをお願いします。

森本氏:
 基本的には,皆さん初めてKinectに触れることになると思いますけど,まずは,コントローラでは味わえない面白さを感じてほしいです。これは本当にやってみないと分からないので,ぜひその最初の一歩を「ソニックフリーライダーズ」で楽しんでいただきたいなと思います。マルチプレイモードに関しては,リアルコミュニケーションが図れる,協力プレイが本当に楽しめるような設計になっています。ぜひ友達や家族で試していただければと思います。

4Gamer:
 ありがとうございました。

画像集#001のサムネイル/セガのKinectタイトル第1弾「ソニック フリーライダーズ」はどのような制作過程を歩んできたのか。プロデューサー兼ディレクターであるセガの森本兼次郎氏に聞いてきた

 ついに「体がコントローラになる」Kinect for Xbox 360が日本でも発売を迎え,そのローンチタイトルである「ソニック フリーライダーズ」をプレイできる日がやってくる。
 4Gamerで別途掲載した本作のプレイレポートでも触れているが,本作はKinectというデバイスをレースゲームというジャンルに融合させており,まるでスノーボードやスケートボードを,家の中で遊んでいるかのような“なりきり感”を得られる,直感的な操作を実現している。もちろん,「ソニックライダーズ」の続編ということもあり,レースゲームとしての完成度も高い。個人的には,コントローラでの操作に対応したバージョンも欲しかったくらいだ。
 また,インタビュー中に森本氏が語っていたように,マルチプレイにおいては,プレイヤー同士のスキンシップが含まれるという,かなり意欲的な取り組みを行っている。正直な話,ゲームで遊ぶ,それ以外でも,恋人でもない限りあまり他者と直接手と手が触れ合う機会というのは,日本ではあまりないように思う。
 本作が人と人の垣根を取り払ってくれる……というと大げさかもしれないが,少なくとも一緒にプレイした人とは,ちょっと仲良くできるようになるんじゃないかな,という気がする。
 「ソニック フリーライダーズ」を遊ぶには,Xbox 360本体に加え,Kinectセンサーを購入する必要があるため,ハードルは高いと感じる部分はあるが,それでも一度はプレイしてみて欲しいと思えた。Kinectを購入予定の人は,同時購入タイトルの候補として,ぜひ本作を選択肢に入れてみてほしい。

「ソニック フリーライダーズ」公式サイト


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