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Intel,「Sandy Bridge」こと第2世代Core iプロセッサを正式発表
ゲーム用途での実力はレビュー記事,プロセッサとしての“素性”は基礎検証レポート記事でお伝え済みなので,ぜひそれらを参照してほしい。本稿では,プロセッサの製品ラインナップを中心に,発表時点での製品情報を簡単にまとめてみよう。
Sandy Bridgeレビュー
Sandy Bridge基礎検証レポート
全モデルでグラフィックス機能をシングルダイに統合
型番とスペックの関係性は複雑怪奇
発表時点におけるSandy Bridgeのラインナップは,デスクトップPC向けが14製品,ノートPC向けが15製品の,合計29製品。全製品に共通するのは,
- 32nm High-kプロセス技術で製造されること
- グラフィックス機能とノースブリッジ機能が,CPUコア(+L3キャッシュ)と同じ,シングルダイに統合されていること
- 固定ハードウェアとして「Quick Sync Video」を搭載し,統合型グラフィックス機能利用時に,一部ビデオフォーマットのデコードやエンコードでハードウェア支援が効くようになっていること
- ベクタ演算命令セット「AVX」(Advanced Vector eXtensions)を採用すること
- Nehalem世代で133MHzだったベースクロック(BCLK)が100MHzに変更されていること(※Nehalem&Westmere世代では,CPUコアとメモリに133MHz,PCI ExpressやDMIには100MHzのベースクロックが供給されていたが,ワンクロックソース仕様になった)
くらい。「共通の仕様はこの程度くらいではないか」と思えるほど,プロセッサ・ナンバーとスペックの関係性は複雑なものになっている。
●デスクトップPC向けSandy Bridge
そのなかでもまだ比較的分かりやすいのが,デスクトップPC向け製品。レビュー記事で宮崎真一氏が紹介したとおり,基本的には,以下のような区分が可能だ(※例外はある)。
- Core i7:4コア8スレッド対応,L3キャッシュ容量8MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1350MHz
- Core i5:4コア4スレッド対応,L3キャッシュ容量6MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1100MHz
- Core i3:2コア4スレッド対応,L3キャッシュ容量3MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1100MHz
Core i7・i5・i3-2000番台の概要 |
「World of Warcraft」クラスの3D負荷までなら,CPUに統合されたグラフィックス機能でまかなえるとIntelは主張している |
CPUパッケージはLGA1155で,Core i7-800&700番台やCore i5-600番台などが採用していたLGA1156とソケットの互換性はないが,CPUクーラーの互換性はある。バックプレートを用いて固定するタイプの一部で懸念は残るものの,サードパーティ製のLGA1156用クーラーはほぼ流用が可能だろう。
面白いのは,統合されるグラフィックス機能が,「K」付きかそうでないかで区別されていること。「K」シリーズでは,実行ユニット(Execution Unit)数が12基の「Intel HD Graphics 3000」,それ以外では6基の「Intel HD Graphics 2000」となる。両者とWestmere世代のグラフィックス機能「Intel HD Graphics」の主な違いは表1にまとめたとおりだ。
そのほか製品の主なスペックは表2,3のとおり。消費電力の目安となるTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は,Core i7&i5が95W,Core i3が65Wだが,省スペースPC向けでは,65W版の「S」シリーズ,45/35W版の「T」シリーズが用意される。「Core i5-2390T/2.70GHz」がCore i5唯一の2コアモデルになることと,「Core i5-2500T/2.30GHz」のグラフィックス最大動作クロックが1250MHzになる点は,OEMメーカー製のPCを選ぶつもりなら憶えておいたほうがよさそうだ。
なお,負荷に応じたグラフィックス機能の動作クロック自動制御機能を「Dynamic Frequency」として搭載するモデルが存在するため,表では「グラフィックス最大クロック」としているが,どれがDynamic Frequencyをサポートするかは,発表時点でははっきりしていない。
●ノートPC向けSandy Bridge
混迷の度合いを深めるのが,ノートPC向けのラインナップだ。同一の製品であってもCPUパッケージが異なり,PGAだったりBGAだったりするうえ,4コア製品のBGAは2コアのそれと異なる」「省電力版の2コアモデルは通常版とBGAパッケージが異なる」という例外まであるので,ぱっと見て分かる区別をするのは相当に難しい。
それでも,ざっくりまとめてみると,各製品の特徴は以下のとおりとなる。ノートPC用ではExtreme Editionが用意されるため,「K」シリーズが用意されていない点と,4コア8スレッド対応がCore i7の「XM」「QM」シリーズに限られる点はご注意を。
- Core i7 XMシリーズ(Extreme Edition):4コア8スレッド対応,TDP 55W,L3キャッシュ容量8MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1300MHz,デュアルチャネルDDR3-1600
- Core i7 QMシリーズ:4コア8スレッド対応,TDP 45W,L3キャッシュ容量8 or 6MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1300 or 1200 or 1100MHz,デュアルチャネルDDR3-1600 or 1333
- Core i7 Mシリーズ:2コア4スレッド対応:TDP 35W,L3キャッシュ容量4 or 3MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1300 or 1200 or 1100MHz,デュアルチャネルDDR3-1333
- Core i7-2xx9Mシリーズ:2コア4スレッド対応:TDP 25W,L3キャッシュ容量4MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1100MHz,デュアルチャネルDDR3-1333
- Core i7&i5-2xx7Mシリーズ:2コア4スレッド対応:TDP 17W,L3キャッシュ容量4 or 3MB,グラフィックス機能の最大動作クロック1100MHz,デュアルチャネルDDR3-1333
ラインナップの主なスペックは表4,5のとおりだ。
チップセットはSerial ATA 6Gbps対応の
Intel 6シリーズ
従来製品たるIntel 5シリーズからの大きな進化は,CPUとの接続インタフェースであるDMIの帯域幅が2倍になったことだろう。Intel 5シリーズで,CPUとチップセット間のDMIは,片方向10Gbit/sだったのが,Intel 6シリーズではこれが同20Gbit/sへと引き上げられ,これに合わせて,6つ用意されるSerial ATAポートのうち,2ポート(※企業向けの一部製品では1)でSerial ATA 6Gbpsに対応したのが大きな特徴だ。
一方,USB 3.0コントローラの統合は見送られていることと,デスクトップPC向けの一般ユーザー向けチップセットで,4Gamer読者にとって最も重要と思われる「Intel P67 Express」(以下,P67)「Intel H67 Express」(以下,H67)の両チップセットで,PCIの標準サポートが打ち切られている点は押さえておくべきポイントといえそうだ。もっとも,USB 3.0にしろPCIにしろ,コントローラやブリッジチップがあれば対応できるので,このあたりはマザーボードの設計次第ということになりそうだが。
CPU側がグラフィックス機能を統合することも受け,P67を唯一の例外とし,すべて,チップセット側に用意されたグラフィックス出力インタフェースを利用できるよう,FDI(Flexible Display Interface)が設けられているのも,Intel 6シリーズの特徴だ。Intel P67 Expressは,マルチグラフィックスカード構成をサポートした,自作PC市場向けの例外的製品といった位置づけになる。
各製品の主なスペックは表6,7のとおり。「Intel QS67 Express」は省電力版プロセッサ専用とされている。
一気に従来製品の置き換えを
狙うSandy Bridge
駆け足で紹介してきたが,デスクトップPC向け上位モデルの性能を踏まえると,「フルラインナップ」と述べても語弊はないだろう。
1月9日と見込まれる製品の販売開始後,IntelはデスクトップPCとノートPCで,従来製品を置き換えていくと思われる。
デスクトップPC向けモデルを買う気満々という人も,搭載ノートPCが気になる人も,まずはレビューと基礎検証レポートで,そのポテンシャルを確認してみてほしい。
Sandy Bridgeレビュー
Sandy Bridge基礎検証レポート
●参考資料
- 関連タイトル:
Core i7・i5・i3-2000番台(Sandy Bridge)
- 関連タイトル:
Intel 6
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