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[IDF]ついに公開されたSandy Bridgeのアーキテクチャ。統合型GPUを使ったStarCraft IIのデモも
初日の基調講演に登場したPaul Otellini 社長兼CEO |
IDFの開幕を告げる基調講演に登壇した,社長兼CEOであるPaul Otellini(ポール・オッテリーニ)氏は,同社がSandy Bridgeを「第2世代のIntel Coreプロセッサ」「2011年版Core iシリーズ」として位置づけていることと,現行製品と同じCore i7/i5/i3を製品ブランドとして使うことを明らかにした。
Sandy Bridgeでも,製品ブランドは現行と同じCore i7/i5/i3だ。ただしロゴは一新される |
統合型GPUの性能に自信?
デモにはStarCraft IIを使用
Sandy Bridgeのゲームパフォーマンスを比較するデモ。担当者によれば「左側がSandy Bridge搭載機,右側が現行Core i7とNVIDIAのGPUを搭載したモデルだ」という |
Otellini氏は,Sandy Bridgeの統合型GPUと,2006年のIntelプラットフォーム統合型GPU(=「Intel 945G Express」チップセット統合のグラフィックス機能)とで「3DMark06」のベンチマークスコアを比較すると,なんとSandy Bridgeのほうが25倍高いと公表。その性能を証明すべく,「StarCraft II: Wings of Liberty」(以下,StarCraft II)を,Sandy BridgeベースのノートPCと,Core i7プロセッサにNVIDIA製のエントリー向け単体GPUを搭載したノートPC(※ただしGPUのモデル名は未公表)で同時にプレイしてみせた。
「Sandy Bridgeの統合型GPUは,現在の『メインストリームゲーム』に対して,単体GPUに匹敵する描画品質やパフォーマンスを発揮する」(Otellini氏)。
さらに,「Sandy Bridgeでは3Dゲームを楽しみながら,バックグラウンドでビデオ録画などをこなせるだけのCPUパフォーマンスがある」として,StarCraft IIのプレイ画面を「Xfire」でムービーキャプチャしても,フレームレートが落ちないと説明した。
2006年の統合型GPUに比べ,Sandy Bridgeでは25倍の性能とアピール。なおバツが描かれた10Xとは,2007年のIDFで発表された目標である |
Sandy Bridge-EPを搭載したサーバーも実働する実機が展示された |
同氏はさらに「2011年末には22nmプロセスを採用したCPUの生産が開始される」と語っており,その発言からは,Sandy Bridgeアーキテクチャを踏襲する次々世代CPU,開発コードネーム「Ivy Bridge」(アイヴィーブリッジ)の準備が着々と進んでいることも窺える。
今回公開されたスライドからは,22nmプロセスではさらなる電力効率の向上が図られるようだ |
サーバー向けCPUロードマップからは,Sandy Bridge-EPは2011年後半に市場投入されるように見える。「Future」とされるIvy Bridgeの移行は,現状では2012年末との噂だ |
Sandy Bridgeに関する基調講演はOtellini氏だけに留まらず,続いて登壇したDadi Perlmutter(ダディ・パルムッター)上級副社長は,Sandy Bridgeアーキテクチャの特徴を,ビデオを交えて紹介した。
Sandy Bridgeについて説明するDavid(Dadi)Perlmutter氏(Executive Vice President, General Manager, Intel Architecture Group, Intel) |
Sandy Bridgeのブロックダイヤグラム。CPUコアと統合型GPUがリングバスを介してキャッシュメモリを共有するため,GPUも共有キャッシュが利用可能だ |
そこでは,CPUコアとGPUコアが「Last Level Cache」を共有し,各コアおよびキャッシュがリングバスで結ばれるほか,CPUとGPUコアのパワーマネジメントが統合されたことで,より効率的なTurbo Boost動作を実現することが明らかにされている。
Sandy BridgeのTurbo Boostに関する説明では,「GPU負荷が高いアプリケーションでは,CPUコアへの負担は低減する傾向があるため,その分の余裕を統合型GPUコアのTurbo Boostに割り当てる」と解説された |
実はゲーム向けではない?
Sandy Bridge統合型GPUの位置づけ
このようにSandy Bridge統合型GPUは,現行のIntel製統合型GPUに対して高速化がなされている。しかし,ゲーマーを強く意識したものか? というと,残念ながらそうではないようだ。
というのも,Perlmutter氏のスピーチは,「エンドユーザーがPCに要望する機能としては,3Dゲームよりも,ビデオや写真の編集に対するものがより強い」という調査データを紹介し,Sandy BridgeのGPUが,3D性能よりも,ビデオ編集機能やHDR(ハイダイナミックレンジ)写真の合成といった用途を重視したことを明らかにしたからである。
「一般ユーザーにとっては,ゲームに対する要求は低い」という調査結果(一番右がゲームに関する要求)を受け,GPU強化の中核をHDビデオや写真などのグラフィックス処理へと割り振ることにしたという |
また,Sandy Bridge統合型GPUのDirectXへの対応に関しては,その後の技術セッションで,Intel HD Graphics同様のDirectX 10世代に留まり,DirectX 10.1や11への対応は見送られたことも明らかにされている。
なお,Sandy Bridgeのグラフィックスアーキテクチャの詳細については,別稿で続報をお伝えするつもりだ。
2つのモーションコントローラから見える
IntelのPCゲームへの姿勢とは?
GestureTek社の開発したシステムをデモするPerlmutter氏。ジェスチャーによるレースゲームのデモでは,ハンドルを握った動きをステアリングに,アクセル操作を両手の間隔を広げる動作に割り当てて操作した |
Sixsenseのモーションコントローラー。こちらもスピーチ終了後は,来場者が試せる状態になっていた |
まずは,カメラを使ったジェスチャー制御を研究している企業,GestureTekの開発したシステム。これは,現在低価格化の進む3Dカメラで人の動作をキャプチャし,特定のジェスチャーにマウス操作やゲームのキー操作などを割り当てることができるというものである。Perlmutter氏は,「個人個人で異なる動きにも対応した,自然なインターフェースが実現できる」として,レーシングゲームをジェスチャーによる操作でプレイしてみせた。
もう1つは,今年1月にInternational CES 2010で披露された,Sixsense Entertainment(以下,Sixsense)のモーションコントローラだ。こちらは壇上でのデモと合わせて,コンシューマー向け製品として,2011年第1四半期にRazerから製品が市場投入されることも明らかにされた。
さらに,IDF 2010最終日のR&Dセッションでは,人間の脳とリンクしたユーザーインターフェースに関する話題も紹介される予定となっている。
Intelとしては,PCプラットフォームのグラフィックスパフォーマンス向上もさることながら,より自然なユーザーインターフェースを実装することによって,ゲームやアプリケーションの世界を広げたい,という考えのようだ。
- 関連タイトル:
Core i7・i5・i3-2000番台(Sandy Bridge)
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(C)Intel Corporation