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現役チアダンサーは,「WE CHEER」というゲームをどう遊ぶのだろう?

 ゲームとは何か?

 きっと4Gamer読者のように,ゲームを愛してやまない人々は,それぞれの胸の中にこの問いに対する答えを持っていることだろう。そこに向けて大きな声で,「ゲームとはこういうものだ!」なんて自説を押しつけるつもりは毛頭ない。
 ただ筆者はぼんやりと,“ゲームって,ごっこ遊びなんじゃね?”と思っている。とりあえず,これを前提に話を進めていきたいのでちょっとばかりお付き合い願いたい。


勇者っぽい格好をして「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」を遊ぶ,2007年8月の男色ディーノさん(当時30歳)
画像集#001のサムネイル/現役チアダンサーは,「WE CHEER」というゲームをどう遊ぶのだろう?
 例えばファンタジー系のゲームであれば、プレイヤーはプレイヤーキャラクターである勇者だったり魔法使いだったりになりきって,魔王っぽい存在を倒しに行くのが常。
 近代戦のゲームだったら,実在する(した)国の軍を指揮するポジションを演じて,さまざまな部隊や兵器を操ったり,一兵卒として危険を顧みずに敵軍に挑んだりする。
 お医者さんのゲームだったら,手術をしたり医療ミスをして訴えられたりすることもあるだろう。
 スポーツゲームだって同じだ。プロスポーツ選手にはなれなくても,プロスポーツ選手気分や監督気分で試合に臨めるのだ。

 なんにせよ,ゲームというごっこ遊びは,そこにある素材(ゲーム)とプレイヤーの想像力が組み合わさることで,いい具合に感情移入でき,無限の広がりを見せるものなんじゃないかと思うのである。

 ただ一方で,ゲームの持つ表現力が向上したことにより,ごっこ遊び的なゲームとは異なるアプローチのものも増えてきている。筆者は,俗に言う“映画的ゲーム”ってやつは,ごっこ遊びとは違う角度から,ゲームの持つインタラクティビティを切り取ったものなのかなーなんてことを思うことがある。

 話をごっこ遊びに戻そう。
 これまでにないごっこ遊びを体験させてくれるプラットフォームとは? なんて質問されたら,どんな答えが適切だろうか。
 Xbox 360やPLAYSTATION 3が描くハイデフ(って最近あんまり言わなくなりましたね)な世界は,これまでにないような質感を画面上に表出させることに成功しており,そこでのごっこ遊びはかつてないリアリティを持っているのだ! みたいな答えはもちろんアリだろう。

Xbox 360用「ロスト プラネット2」(カプコン)も,PLAYSTATION 3用「ファイナルファンタジーXIII」(スクウェア・エニックス)も,文句なしに美しいグラフィックスでゲームの世界を描いている。いまから20年前,こんなグラフィックスのゲームを遊べるようになるなんて,誰が想像しただろう?
画像集#003のサムネイル/現役チアダンサーは,「WE CHEER」というゲームをどう遊ぶのだろう?
画像集#002のサムネイル/現役チアダンサーは,「WE CHEER」というゲームをどう遊ぶのだろう?

 ただ筆者としては,ここでWiiを押したい
 Wiiリモコンという,これまでにありそうでなかったタイプの入力デバイスを標準で持つWiiは,ゲーム体験(海外のゲームサイトに多い表現)をよりフィジカルなものへと昇華させている。
 結果,ごっこ遊びを従来より高いレベルで体感できるゲームが増えてきているのはご存じのとおり。Wiiリモコンを振ることで,画面内のキャラクターにバットやラケット,あるいは剣を振らせることだってできるのだ。
 脳で楽しむごっこ遊びから,体で楽しむごっこ遊びへ……この質的転換こそが,Wiiというプラットフォームが持つ可能性みたいなものなんじゃなかろうか。


 しかしここで気になることもある。
 例えば,現実のスポーツやらダンスやらをWii用のゲームとしてデフォルメした作品を,その本職の人が遊んでみたときにどう思うのだろう?

 できることなら,勇者的な存在の人にも実際に剣を振って敵を倒すのと,Wiiリモコンを振って敵を倒すのとでは,気分的にどう違うのかを聞いてみたいところだが,残念ながら勇者的な存在の人の電話番号やメールアドレスは知らない。
 プロレスラーにプロレスゲームのことを……っていうのは,なんだかだいぶ前にそんなお題のトークイベントをやったことがあるような気がするし,プロレスラーがそんなことをたまに連載で書いている気がするので今回は割愛。

安藤亜実さん(左)と新田千尋さん(右)。新田さんは女児達のダンスの先生でもあるのだ
画像集#004のサムネイル/現役チアダンサーは,「WE CHEER」というゲームをどう遊ぶのだろう?
 で,いろいろと検討した結果,プロバスケットボールリーグ「bjリーグ」の,埼玉ブロンコスというチームでチアリーダーをやっている新田千尋さんと,安藤亜実さんに白羽の矢を立て,バンダイナムコゲームスが3月に発売したチアダンスゲーム「WE CHEER」を遊んでもらうことにした。
 何はともあれ,以下のムービーをご覧いただきたい。


 ムービーの内容と重複するが,ゲームプレイ後に彼女達に聞いた感想を,ここでもまとめておこう。
 結論から言ってしまうと,やっぱりゲームとダンスは別物であるとのことだ。本来のチアダンスを知っているからこそ,チアダンスが持つ要素を抽出してデフォルメしたゲームには,しばしば戸惑っていた様子。
 ただ逆に,チアダンスそのものを経験したことがない人ならば,チアダンスっぽいものの楽しさを味わいつつ,リズム感を養えるといったことも語っていた。

 それこそ低年齢層であれば,このゲームをきっかけにチアダンスを始めてみたいと思うかもしれない。そうなったとき,Wiiというプラットフォームは,ごっこ遊びを超え,リアルへの橋渡し役としてその存在感を立ち上らせるのだ!

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踊ったりするだけでなく,プレイ結果に応じてアイテムが手に入ったり,ユニフォームをカスタマイズできたりするのが楽しかったみたいです
画像集#010のサムネイル/現役チアダンサーは,「WE CHEER」というゲームをどう遊ぶのだろう? 画像集#011のサムネイル/現役チアダンサーは,「WE CHEER」というゲームをどう遊ぶのだろう?

 えー,……お気づきの方もいるかもしれないが,ここまで長々と書いてきたことは余談も余談。むしろ言い訳。大人の処世術ってやつだ。
 本当のところは単に,WE CHEERというゲームの存在を知ったとき,「これ,チアダンスをかっちりやっている人はどう遊ぶんだろう? どう感じるんだろう?」と思ったのでムービーを撮影しつつ感想を聞いてみたかっただけ。で,それを掲載するにあたって,もっともらしい理由付けをしてみないことには,各方面から叱られちゃうだけ。褒められて伸びるタイプの筆者は,叱られるのが大の苦手なのである。あまり褒められてないから伸びてないのである。

 ただまあ,個人的には,Wiiで遊んでいる人を見るのは楽しいし,チアダンスを見るのも楽しいと思うので,2倍楽しいムービーになったんじゃないかなーと思います。いかがですかね?

「WE CHEER」公式サイト

「埼玉ブロンコス」公式サイト



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パッケージ
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