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NVIDIA,「CUDA 4.0」の新機能を予告。より広い層の開発者にアピールする新バージョン
3つの新機能を備えて
CUDA 4.0にバージョンアップ
CUDA 4.0は,2009年に公開されたCUDA 3.0からのメジャーバージョンアップで,足掛け2年ぶりのリリースとなる。電話会議で,そんなCUDA 4.0の説明を行ったのは米NVIDIAでCUDA部門のゼネラルマネージャーを務めるSanford Russell(サンフォード・ラッセル)氏だ。
同氏は,CUDAの普及を振り返ったうえで,CUDA 4.0を「より幅広い開発者に向けたリリース」と定義。「GPUDirect 2.0」「Unified Virtual Addressing」「Thrust」という3つの機能を,CUDA 4.0の新機能だとした。
先端を行く開発者向けとされていたCUDA 3.0。それに対して,幅広い開発者に向けとされているのがCUDA 4.0だという |
CUDA 4.0の3大新機能「GPUDirect 2.0」「Unified Virtual Addressing」「Thrust」。テレフォンカンファレンスでは順を追って概要が説明された |
GPUDirect 2.0は,マルチGPU構成に向けた機能で,CPUとシステムメモリを介さずにGPU間で直接のデータの転送を可能にするというもの。CPUを介さないことでオーバーヘッドを大幅に減らせるというわけだ。
ちなみに現行のGPUDirect 1.0は,InfiniBand(※HPCで利用されているI/Oバス)上で別のデバイスからGPU側のメモリにアクセスさせるというもの。一般的なPCには縁の薄い機能だが,GPUDirect 2.0はマルチGPU構成のPCなら恩恵がある機能だといえるかもしれない。
従来は,CPUとGPUのメモリを別のアドレス空間として扱っていたが,Unified Virtual Addressingによって単一のメモリ空間として扱えるようになる |
Thrustは,コンパイル時に最速なコードパスを自動的に選択し,CUDAの並列処理で高速化できるとしている |
CUDAの標準化を進めるバージョンアップ
公開候補版は3月4日から配布開始
以上の3つがCUDA 4.0のポイントだが,幅広い開発者に向けたリリースとしている理由は,Unified Virtual AddressingとThrustが「既存のプログラマーがCUDAを採用するときのハードル」を下げる要素を含んでいるためだと思われる。
つまりCUDA 4.0は,NVIDIAが従来より掲げている「CUDAをデファクトスタンダードとして広める」という戦略を推し進める機能と言い換えられるのではないだろうか。
なお,CUDA 4.0の公開候補版は,3月4日から,NVIDIAのデベロッパ向けサイトで登録している開発者向けに配布が始まる予定だ。
ちなみにGPUDirect 2.0とThrustをフルサポートするGPUは,Fermiアーキテクチャ限定となる。対応OSはWindows,Linux,MacOS Xとなる予定だ。またUnified Virtual Addressingは,これらに加えて64bit環境が必要となるそうだ。詳細は,デベロッパ向けサイトにあるCUDA 4.0の情報ページも参照してほしい。
CUDAに興味がある人は,NVIDIAのデベロッパサイトで登録しておくといいかもしれない。
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