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CUDAをアピールするNVIDIAのイベント開催,注目は小型GeForce 9800 GTX+カードとDVD&ストリームビデオの高画質化
従来比32mm短い9800 GTX+カードが近日登場
6ピン外部給電×1動作を実現
展示されていたのは,エルザジャパン製の「GeForce 9800 GTX+」搭載カードだが,同GPUのリファレンスデザインがPCI Express用6ピン外部給電コネクタを2系統用意するのに対し,エルザジャパンの新製品は1系統で済んでいるのが最大の特徴だ。同社は,6ピン1系統で動作するGeForce 9800 GTX+はこれが初めてとアピールしている。
※お詫びと訂正:初出時に初の55nmプロセス版GPUであるかのような記述がありましたが,GeForce 9800 GTX+はそもそも,55nmプロセスルールを利用して製造される製品です。お詫びして訂正いたします。
また,リファレンスデザインと比べると32mmもカード長が短くなり,「GeForce 8800 GTS搭載カード程度」(エルザジャパン)になっている点にも注目したい。製品名,価格とも未発表だが,早ければ10月中にも発表される見込みという。
2スロット仕様のGPUクーラーを搭載するのは従来と変わらないものの,GeForce 8800 GTSリファレンスカードに似たデザインとなり,外部給電コネクタも6ピン×1になった |
会場には,Cooler Master製PCケース「COSMOS」の“ELSAモデル”が展示されていた。今後,エルザジャパンのキャンペーンで限定数がプレゼントされるという |
CUDA SDK利用で1080pアップスケールを実現した
メディアプレイヤー「TotalMedia Theatre」
TotalMedia Theatreのデモ機 |
堀 肇氏(アークソフト デジタルイメージンググループ セールスマネージャー) |
GPGPU機能を用いて,SD品質のビデオをHD画質まで高品位にアップスケールして再生できるというのがウリのエンジンであり,メディアプレイヤーだ。付け加えるなら,CEATEC JAPAN 2008の日本AMDブース,10月18日に開催された日本AMDのイベントと,立て続けに「ATI RadeonのGPGPU機能を使った」状態でデモが行われていたことをお伝えしているので,記憶している読者も多いだろう。
だがArcSoftは一方で,CUDAに最適化されたSimHDの開発も進めていたとのこと。セッション後,ArcSoft日本法人であるアークソフトの堀 肇氏に話を聞いたところ,下記のようなポイントが明らかになった。
- SimHDは,CUDA版と,AMDのGPGPU版が存在し,並行して開発されており,TotalMedia Theatreには両方が実装される
- 1920×1080ドットへのアップスケールはCUDA版のみ可能
堀氏いわく「CUDAと,AMDのGPGPUは,いずれもSDK(ソフトウェア開発キット)が用意されているが,先行している分,その完成度はCUDAのほうが高い」。ただし,TotalMedia Theatreは,両GPUおよびCPUによるソフトウェア処理をサポートしており,CPU負荷率の違いこそあれ,同じ解像度であれば,アップスケール処理の品質自体は同じという。なお,堀氏は明言しなかったが,会場にいた某グラフィックスカードベンダー関係者は「ATI Radeonでは720pまでのアップスケールに留まる」と断言していた - CUDA版SimHDはGeForce 8600 GT以降のGPUに対応
GeForce 9600 GTを用いた,SD→フルHDアップスケールだと,CPU負荷は10%程度とのこと - Intel製のグラフィックス機能統合型チップセットは非対応
CPUによるソフトウェア処理となる - アップスケールで最も安定的に効果が得られるのはDVD-Videoだが,SimHD自体は基本的に,QuickTimeを除くファイルフォーマットをサポートする
一般的なAVIやWMVといったコンテナや,MPEG-1/2形式にも対応。「DVD-Videoのアップスケールは他社もサポートするが,SimHDは,単体のビデオファイルもアップスケール処理できる」(堀氏) - TotalMedia Theatreは,Blu-ray Discの再生に必要なフル機能をサポート
「Dolby TrueHD」や「DTS-HD Master Audio」にも対応 - 2009年第1四半期,1〜2月ごろに,ビデオのトランスコードをサポートする用意がある
- 現時点での対応OSは32bit版のWindows XP/Vista
堀氏いわく「64bit版はまだテストしていない」
ArcSoftは,NVIDIAとAMDのどちらとも協力関係を構築していることもあり,両者を直接比較することは避けていた。ただ同時に,CUDA SDKの完成度が高いことは強調していたので,本ソフトに期待している人は,この点を憶えておいたほうがよさそうだ。
低画質のビデオを高画質化する
MotionDSP製ソフト「Carmel」
福田 登氏 |
会場で展示されていたCarmelのデモ機 |
MotionDSPは,動画解析技術や,サーバーサイドで今回の高画質化エンジンで知られるベンダーだが,開発コードネーム「Carmel」として今回展示されていたのは,エンドユーザー向けのデスクトップアプリケーション。カクつき,ノイズ混じりで,あるいはコントラスト比も低いムービーに対して,ノイズ&&エイリアシング除去,フレームレート補間,あるいはコントラスト強調といった補正処理を行うことで,“見られる”ものにしようというわけだ。
詳細は語られなかったが,「GeForce 9500 GT」グラフィックスカード搭載のデモ機を触ってみた限り,とくに文字の視認性とごちゃごちゃした映像の高画質化に効果がある印象だった。MotionDSPのWebサイトでは,Carmelのデモムービーが掲載されているほか,βテストプログラムの募集も行われているので,興味を持った人は一度見に行ってみるといいだろう。
なお会場では,ペガシスとトムソン・カノープスも,ビデオ編集ソフトにおけるGPUの利用についてセッションとデモ展示を行っていた。これらは写真でお届けしたい。
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