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CUDAをアピールするNVIDIAのイベント開催,注目は小型GeForce 9800 GTX+カードとDVD&ストリームビデオの高画質化
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印刷2008/10/27 12:31

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CUDAをアピールするNVIDIAのイベント開催,注目は小型GeForce 9800 GTX+カードとDVD&ストリームビデオの高画質化

会場となったのは,おなじみのカフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店
画像集#002のサムネイル/CUDAをアピールするNVIDIAのイベント開催,注目は小型GeForce 9800 GTX+カードとDVD&ストリームビデオの高画質化
 2008年10月26日,NVIDIAは東京の秋葉原で,エンドユーザー向けイベント「NVIDIA GeForce Graphics+」を開催した。これは,NVIDIA製GPUを用いた並列&汎用コンピューティング環境「CUDA」(Compute Unified Device Architecture,クーダ)のメリットを一般のPCユーザーに訴求するもの。CUDAと聞いてゲーマーなら真っ先に思い浮かぶだろう,「NVIDIA PhysX」に関する新情報がまったくなかったのは肩すかしだったが,グラフィックスカードの新製品と,さまざまなビデオフォーマットに対応した高画質再生ソリューションが展示されたのは,ゲーマー的にも見逃せないトピックだ。今回は,このあたりを中心にレポートしてみたい。


従来比32mm短い9800 GTX+カードが近日登場

6ピン外部給電×1動作を実現


展示されていたGeForce 9800 GTX+搭載カード。製品名は明らかになっていないが,最近の命名法則から推測するに,「ELSA GLADIAC 988 GTX Plus V2 512MB」あたりか?
画像集#003のサムネイル/CUDAをアピールするNVIDIAのイベント開催,注目は小型GeForce 9800 GTX+カードとDVD&ストリームビデオの高画質化
 さて,まずはグラフィックスカードの新製品から。
 展示されていたのは,エルザジャパン製の「GeForce 9800 GTX+」搭載カードだが,同GPUのリファレンスデザインがPCI Express用6ピン外部給電コネクタを2系統用意するのに対し,エルザジャパンの新製品は1系統で済んでいるのが最大の特徴だ。同社は,6ピン1系統で動作するGeForce 9800 GTX+はこれが初めてとアピールしている。

※お詫びと訂正:初出時に初の55nmプロセス版GPUであるかのような記述がありましたが,GeForce 9800 GTX+はそもそも,55nmプロセスルールを利用して製造される製品です。お詫びして訂正いたします。

 また,リファレンスデザインと比べると32mmもカード長が短くなり,「GeForce 8800 GTS搭載カード程度」(エルザジャパン)になっている点にも注目したい。製品名,価格とも未発表だが,早ければ10月中にも発表される見込みという。

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2スロット仕様のGPUクーラーを搭載するのは従来と変わらないものの,GeForce 8800 GTSリファレンスカードに似たデザインとなり,外部給電コネクタも6ピン×1になった
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会場には,Cooler Master製PCケース「COSMOS」の“ELSAモデル”が展示されていた。今後,エルザジャパンのキャンペーンで限定数がプレゼントされるという


CUDA SDK利用で1080pアップスケールを実現した

メディアプレイヤー「TotalMedia Theatre」


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TotalMedia Theatreのデモ機
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堀 肇氏(アークソフト デジタルイメージンググループ セールスマネージャー)
 次に,ビデオ再生の高画質化ソリューションだが,一つめは米ArcSoftの映像エンジン「SimHD」と,それをベースとする同社製メディアプレイヤーソフト「TotalMedia Theatre」である。
 GPGPU機能を用いて,SD品質のビデオをHD画質まで高品位にアップスケールして再生できるというのがウリのエンジンであり,メディアプレイヤーだ。付け加えるなら,CEATEC JAPAN 2008の日本AMDブース10月18日に開催された日本AMDのイベントと,立て続けに「ATI RadeonのGPGPU機能を使った」状態でデモが行われていたことをお伝えしているので,記憶している読者も多いだろう。

 だがArcSoftは一方で,CUDAに最適化されたSimHDの開発も進めていたとのこと。セッション後,ArcSoft日本法人であるアークソフトの堀 肇氏に話を聞いたところ,下記のようなポイントが明らかになった。

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堀氏の示したスライド。AMDのイベントでは書かれていなかった,具体的なアップスケール解像度表記に注目してほしい
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TotalMedia Theatreのセットアップメニュー。対応するGeForceを搭載した環境では,「NVIDIA CUDA」をチェックできるようになり,チェックするとアップスケール解像度設定を選択可能
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CUDA版SimHDのロードマップ。2009年にはH.264およびMPEG-2のトランスコードをサポートするという
  • SimHDは,CUDA版と,AMDのGPGPU版が存在し,並行して開発されており,TotalMedia Theatreには両方が実装される
  • 1920×1080ドットへのアップスケールはCUDA版のみ可能
    堀氏いわく「CUDAと,AMDのGPGPUは,いずれもSDK(ソフトウェア開発キット)が用意されているが,先行している分,その完成度はCUDAのほうが高い」。ただし,TotalMedia Theatreは,両GPUおよびCPUによるソフトウェア処理をサポートしており,CPU負荷率の違いこそあれ,同じ解像度であれば,アップスケール処理の品質自体は同じという。なお,堀氏は明言しなかったが,会場にいた某グラフィックスカードベンダー関係者は「ATI Radeonでは720pまでのアップスケールに留まる」と断言していた
  • CUDA版SimHDはGeForce 8600 GT以降のGPUに対応
    GeForce 9600 GTを用いた,SD→フルHDアップスケールだと,CPU負荷は10%程度とのこと
  • Intel製のグラフィックス機能統合型チップセットは非対応
    CPUによるソフトウェア処理となる
  • アップスケールで最も安定的に効果が得られるのはDVD-Videoだが,SimHD自体は基本的に,QuickTimeを除くファイルフォーマットをサポートする
    一般的なAVIやWMVといったコンテナや,MPEG-1/2形式にも対応。「DVD-Videoのアップスケールは他社もサポートするが,SimHDは,単体のビデオファイルもアップスケール処理できる」(堀氏)
  • TotalMedia Theatreは,Blu-ray Discの再生に必要なフル機能をサポート
    「Dolby TrueHD」や「DTS-HD Master Audio」にも対応
  • 2009年第1四半期,1〜2月ごろに,ビデオのトランスコードをサポートする用意がある
  • 現時点での対応OSは32bit版のWindows XP/Vista
    堀氏いわく「64bit版はまだテストしていない」

 ArcSoftは,NVIDIAとAMDのどちらとも協力関係を構築していることもあり,両者を直接比較することは避けていた。ただ同時に,CUDA SDKの完成度が高いことは強調していたので,本ソフトに期待している人は,この点を憶えておいたほうがよさそうだ。

720×480ドットのMPEG-2ムービーと,SimHD適用後の比較。いずれの写真も右がSimHD適用後のものだ。デモ版はまだノイズ除去やアンチエイリアシングといった機能が実装されていないが,少なくともシャープな印象になっているのは分かる。なお,違いが分かりやすくなるよう,拡大画像はトリミングと4Gamerロゴ入れ以外の画像加工を一切行っていない
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低画質のビデオを高画質化する

MotionDSP製ソフト「Carmel」


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福田 登氏
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会場で展示されていたCarmelのデモ機
 もう一つ,こちらはNVIDIAの福田 登氏によるセッションで紹介されたのが,米MotionDSP製の高画質化エンジンだ。こちらは簡単にいうと,携帯電話やWebカメラなどで撮影された画質の改善を図るものである。
 MotionDSPは,動画解析技術や,サーバーサイドで今回の高画質化エンジンで知られるベンダーだが,開発コードネーム「Carmel」として今回展示されていたのは,エンドユーザー向けのデスクトップアプリケーション。カクつき,ノイズ混じりで,あるいはコントラスト比も低いムービーに対して,ノイズ&&エイリアシング除去,フレームレート補間,あるいはコントラスト強調といった補正処理を行うことで,“見られる”ものにしようというわけだ。

 詳細は語られなかったが,「GeForce 9500 GT」グラフィックスカード搭載のデモ機を触ってみた限り,とくに文字の視認性とごちゃごちゃした映像の高画質化に効果がある印象だった。MotionDSPのWebサイトでは,Carmelのデモムービーが掲載されているほか,βテストプログラムの募集も行われているので,興味を持った人は一度見に行ってみるといいだろう。

左はデモ機のディスプレイを撮影したもの。どちらがGPUによる高画質化処理をかけたものであるかを説明するまでもなく,はっきりと違いが分かる。右の写真は福田氏のセッションで示された別の例。ここでも違いが歴然
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会場の至る所に掲げられていたGeForceバッジ。さりげなく「with CUDA」入りになっていた。広報担当者に確認したところ,今後GeForceバッジはこちらに切り替わっていくという
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 福田氏はセッション中,「CUDAはアーキテクチャという点においてx86と同じ」だと位置づけていたが,この新しいアーキテクチャを採用したアプリケーションが増えれば増えるほど,GPUを積極的に利用するPCゲーマーの受ける恩恵は大きくなる。NVIDIA PhysXだけでなく,ほかのCUDAアプリケーションについても,今後を楽しみに見守っていきたい。また同時に,より万人にメリットのある“キラータイトル”の登場にも,大いに期待したいところだ。

 なお会場では,ペガシスとトムソン・カノープスも,ビデオ編集ソフトにおけるGPUの利用についてセッションとデモ展示を行っていた。これらは写真でお届けしたい。

トムソン・カノープスは業務用およびハイアマチュア用となるHDビデオ編集ソフト「EDIUS Pro 5」を出展。同社のメディア営業部 友井貴士によると,トランジション(※筆者注:画面の移り変わり)に利用できるエフェクトのうち,GPUでリアルタイムに処理できるものが1000程度追加されたほか,編集中のプレビューをHD画質で行えるようになったという
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ペガシスは,同社製のビデオトランスコードソフト「TMPGEnc 4.0 Xpress」を紹介。トランスコード(エンコード)周りをCUDAに最適化させるには,1から作り直さねばならないことを説明しつつ,CUDAによるフィルタ適用の高速化実現により,現時点でも総作業時間の大幅な短縮が可能になるとアピールした。なお,エルザジャパンは,通常試用期間15日のところを30日に伸ばし,さらに一部“リミッター”が解除された特別体験版同梱のグラフィックスカードを投入予定という
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本邦初公開というTeslaワークステーションも展示された。「GeForce GTX 280」相当のGPUに4GBのキャッシュメモリを搭載した「Tesla C1060」を3基に,「Quadro FX 5600」を搭載し,「カードだけで80万円以上」という構成の製品だ。一方,電源ユニットは市販の750W+650Wという構成で,ユニットコムから100万円強で登場予定の見込み。「演算能力は3TFLOPS。デスクサイドに置けるスーパーコンピュータだ」(福田氏)
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