現地時間2009年6月2日,台湾・台北市で「
COMPUTEX TAIPEI 2009」が開幕。メイン会場であるTWTC Nangang Exhibition Centerには,日本でもよく名の知られたPC&PCパーツベンダーが多く出展しているが,そんななか,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)が,同社のブースで,「GeForce GTX 285」を2基搭載するという,オリジナルデザインの「GeForce GTX 295」カード,「MARS GTX295/2DI/4GD3」を公開した。
MARS GTX295/2DI/4GD3。既存のGeForce GTX 295カードと同様,2枚の基板が,ファンとヒートシンクなどからなるクーラーユニットを挟むような構造になっている
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GeForce GTX 295は,NVIDIAのリファレンスではStreaming Processor数240基で,動作クロックがコア576MHz,シェーダ1242MHzで動作するGPUを2基搭載しており,接続されるグラフィックスメモリはGPU1基当たりGDDR3 896MB(448bitインタフェース)。メモリクロックは2GHz相当(実クロック1GHz)となっているが,これに対して,MARS GTX295/2DI/4GD3は,GeForce GTX 285チップを2基搭載することにより,GPU 1基当たりのスペックが次のように高められている。
- Streaming Processor:240基
- コアクロック:648MHz
- シェーダクロック:1476MHz
- メモリクロック:2.4GHz
- グラフィックスメモリ容量:GDDR3 2048MB
- グラフィックスメモリインタフェース:512bit
- メモリクロック,2.4GHz相当(実クロック1.2GHz)
外部給電コネクタは8ピン×2となっていた
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通常版のGeForce GTX 295と同じところはStreaming Processor数のみ。GPUについて見れば,メモリ周りの仕様が若干異なることを除けば,まさに,GeForce GTX 285そのものである(※GeForce GTX 285のリファレンス仕様だと,メモリクロックは2.484GHz相当,メモリ容量は1GB)。GeForce GTX 285のNVIDIA公称消費電力は183Wだが,それを2基搭載することを裏付けるように,外部給電コネクタは,8ピン×2という仕様になっている。
ASUSでグラフィックスカードのプロダクトマネージャーを務めるMichelle Chen(ミシェル・チェン,Marketing PM, Product Marketing Sec.1, Multimedia Product Marketing Dept.)によると,従来のGeForce GTX 295と比べて,「3DMark Vantage」の「Extreme」プリセットでは23%高いスコアを獲得できるとのこと。また,8本のヒートパイプを採用するなど,クーラーユニットを最適化したり,電源周りに採用するデバイスの品質を厳選したりすることにより,オーバークロック耐性が向上し,Quad SLI動作時には,現時点での最高スコアである「X25057」を叩き出したと,ブースでは高らかにアピールされていたことも付記しておきたい。ちなみに「X26000程度なら,簡単に出せるくらいのポテンシャルはまだある」(Chen氏)そうである。
4K×2K仕様,53インチワイドの液晶ディスプレイと接続された状態でライブデモが行われていたMARS GTX295/2DI/4GD3。ライブデモではQuad SLI動作していなかったが,SLIブリッジケーブルをつなげば,問題なくQuad SLIで動作するとChen氏
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MARS GTX295/2DI/4GD3を用いたQuad SLIシステムが,3DMark Vantageの世界記録を塗り替えたとするスライド(左)。シングルカード動作時に,従来のGeForce GTX 295カードと比べて,23%高速と謳われている(右)
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Chen氏によると,本製品の量産は,6月下旬に始まる予定。静態・動態展示を問わず,今回展示されたカードのカバー上には,いずれも「1/1000」という刻印が見て取れたが,最終製品で,見たまま1000枚限定になるのかはまだ分からない。価格も「まだはっきりとは言えないが,すごく高いことだけは確か」(Chen氏)といった具合だが,登場すれば,その時点で世界最速の“単体グラフィックスカード”になることだけは間違いなさそうだ。パフォーマンス指向のゲーマー諸兄諸姉は,予算の確保を始めておいたほうがいいかもしれない。
MARS GTX295/2DI/4GD3の分解模型も展示されていた
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