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[COMPUTEX]「ROG」初の液冷クーラーから新型ノートPC,そしてゲーム特化スマホ「ROG Phone」登場で盛り上がったASUSイベントレポート
このイベントでは,事前に噂となっていたゲーム特化のハイエンドスマートフォン「ROG Phone」をはじめ,最新の製品が多数紹介されている。一部の製品はすでに紹介済みであるが,本稿では,これまで紹介していなかった製品を含めたイベント全体をまとめてレポートしたい。
Aura Sync対応した液冷クーラーと電源ユニットをラインナップ
「For those who dare(挑戦する人たちへ)」のキャッチフレーズとともに最初に紹介されたのは,ROG初となる簡易液冷クーラーだ。ハイエンド版にあたる「ROG Ryujin 360」「ROG Ryujin 240」と,下位モデルにあたる「ROG Ryuo 240」「ROG Ryuo 120」という2製品4モデルが用意される。
説明によれば,これらの名称は日本語の「竜神」「竜王」から取ったものとのこと。とくに竜神は「大洋を統べるもの」という意味で,液冷クーラーと合わせたイメージ付けが行われているようだ。
この2製品については,多数の製品写真を含む紹介記事を掲載済みなので,そちらも参照してもらうとして,ここはレポートを続けよう。
Ryujin 360/240は,ポンプユニット部分にもファンを搭載しており,たとえばM.2 SSDやVRM(電圧制御ユニット)といった,比較的発熱しやすい部分も含めて冷却しやすい点に特徴がある。
また,ポンプユニット上にカラー有機ELパネルを搭載しており,ASUSのLEDイルミネーション同期機能「Aura Sync」による表示制御に対応するそうだ。
Ryujin,RyuoやThorをROGブランドのマザーボードやグラフィックスカードと組み合わせることで,PCケース内全体のイルミネーションを同期したり,各種ステータスを有機ELパネルに表示したりが可能になるので,LEDイルミネーションにこだわりたい人なら,惹かれるところがあるかもしれない。
IEEE802.11ax対応のゲーマー向け無線LANルーター
ROG Rapture GT-AX11000
GT-AX11000の特徴は,まだ採用が珍しいワイヤレス通信規格である「IEEE
ASUS製のゲーマー向け無線LANルーターでは定番である「Game Boost」機能も,GT-AX11000は備えている。これは,インターネット回線を占有する原因となりやすいダウンロードやストリーミングの通信を抑制し,ゲームなどの特定アプリケーションの通信を優先して帯域を確保するQoS(Quality of Service)制御を実現するものだ。
Game Boostを利用することで,実質的にゲームプレイに特化した高速専用ネットワークの確保が可能となり,とくにレスポンスや安定通信が求められるマルチプレイヤー型ゲームにおいて効果が期待できる。
ROGのシニア製品ディレクターであるKris Huang氏は,「ゲームに無線LANというと疑問の声を挙げる人もいるが,実際に多くのゲーマーが無線LANを通じてインターネットへ接続し,ゲームを楽しんでいるので,このような製品を企画した」と述べている。遅延の少なさや安定した速度を重視するオンラインゲームの世界でも,LANケーブルに縛られることなく,自由なスタイルでプレイしたいというニーズは多くあり,ROGはこれに応えるべく製品ラインナップ強化を続けているということだった。
ノートPC新製品はSCAR IIとHERO II
ディスプレイとネットワークの高レスポンスが売り
両製品とも,速報記事でおおまかな特徴を紹介済みなのでここでは簡単に取り上げよう。
とくにハイエンドモデルのSCAR IIは,垂直リフレッシュレート最大144Hzに対応した液晶パネルをディスプレイに採用することが最大の特徴であるという。
イベントのデモでは,ゲームを映した画面をスクリーンに拡大表示してみせ,従来製品の液晶パネルと比べたときに,リフレッシュレートに起因する映像のブレが少ないことを実演していた。画面の動きが激しいFPS系のゲームでは,この差をよく実感できるだろう。
液晶パネルと並ぶSCAR IIの特徴としてアピールされたのが,無線LAN利用時のカバーエリアやレスポンス向上を実現する「Range
たとえば,アンテナ周りの改良により,従来比で3割ほど無線LANのカバーエリアが増加して安定した通信が可能になったほか,通信のレスポンスが向上することで,通信が原因となるゲーム中の遅延が,競合製品の50msに対して,5分の1となる10msまで減少しているという。
ESS Technology製のハイレゾ対応DAC「ES9218」を採用したUSB接続型ヘッドセットで,USB Type-Cコネクタを装備しており,PCだけでなくスマートフォンやNintendo Switchまで,幅広い機器に対応するのが売りであるそうだ。
ROG Deltaは,ROG製品らしくカラーLEDイルミネーション機能も備えているのだが,PC用の設定ソフトウェアを使わなくても,発光パターンを切り替えられる点も特徴となっている。
ゲーマー向けスマートフォンという新ジャンルを開拓する「ROG Phone」
既存のスマートフォンとは異なり,ランドスケープ,つまり横持ち状態を重視した設計となっている点も,ROG Phoneの大きな特徴だ。
たとえば縦持ち時の右側面には,横持ち時に上側となることを想定して,反応速度に優れたタッチセンサー「Airtrigger」を,ゲームパッドのトリガーボタン代わりに備えている。
また,横持ち状態でも充電可能なコネクタを,縦状態での下側面だけでなく左側面にも用意することで,横持ち状態でAeroactive Coolerや別売りオプションのドックを取り付けられるようにもなっているのだ。
横持ち状態での運用を重視した要素は,ゲーマー向けスマートフォンとして2017年11月に登場したRazerの「Razer Phone」にもなかったもので,実際の使い勝手が気になるところである。
もちろん,これが日本国内で実現可能かどうかは,日本の通信事業者に依存するので,現時点ではなんとも言い難い。ただ,同じSoCを使うスマートフォンは,国内でもすでに販売中なので,技術的に不可能ではないのが期待の持てるところだ。
通常のスマートフォンとしても強力なROG Phoneだが,あくまでもゲームに主眼を置いているという点が面白いところだ。過去にもあったような「携帯電話とゲーム機を融合した」といった中途半端な製品とは違う意味で,非常に尖った製品といえる。「PUBG Mobile」のように,人気のPCゲームをスマートフォン向けに作り替えたタイトルが好評を博しているなかで,新しいアプローチでゲーマー向けスマートフォンというジャンルを切り開こうというROG Phoneは,注目すべき存在だろう。
気になるのは価格や発売時期,なにより国内発売があるかというところだが,現在のところ,価格や提供予定国,販売キャリアや発売時期については,一切明らかになっていない。当然ながら,日本での提供予定も未発表だ。ただ交渉自体は行っているようで,2018年中の早い時期に,何らかの発表が行われることに期待したい。
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