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[COMPUTEX]「HUGIってなんだ?」Intel,3GHz超のノートPC用CPU発表。Atom用の次世代プラットフォーム「Pinetrail」は年末に
結論からいうと,今回のテーマはモバイルコンピューティング全般で,ゲームと直接関連した話題はなかったが,興味深い内容が多かったので,それらを中心にまとめてみよう。
T9900のポイントとMy WiFiをMooly Eden氏が解説
Mooly Eden氏(Corporate Vice President, General Manager, Mobile Platforms Group, Intel) |
最新世代のCPUとチップセットを搭載したノートPCをHUGIと呼ぶそうだ |
「新しいCPUとチップセットは,ウェイクアップするなりトップスピードで動作し,必要がなくなったらすぐスリープに入る」と,Eden氏は,T9900とGS40を紹介。きめ細やかな電力制御で,高い性能と長いバッテリー持続時間を両立するに至ったとし,そんなノートPCを,「HUGI」(フギ)と位置づける。
HUGIは,「Hurry Up and Get Idle!」の略と紹介した氏は,「『Microsoft Excel』を操作し,『TMPGEnc』でトランスコード処理を行い,さらにそのムービーを再生する」という一連の作業を自動実行するデモを実演。「Core 2 Duo T2700/2.33GHz」では,85秒の時間を要し,トータルの消費電力は1254mW/hに達したのに対し,T9900では同55秒,691mW/hで済むとし,HUGIの意義をアピールしてみせた。
My WiFiというのは,Intelが2008年から謳いだした技術の一つだ。Wi-Fiといえば,現在はLANやインターネットを利用するためだけに使われるのがほとんどだが,My WiFiは,そんなWi-Fiを使って,PCと周辺機器の接続を行えるようにしようというものである。簡単にいえば,BluetoothのPAN(Personal Area Network)とほぼ同じ仕組みをWi-Fiで実現しようというわけだ。「ならBluetoothでもいいではないか」という気もしないではないが,BluetoothよりもWi-FiのほうがPCユーザーにはなじみ深く,かつ,搭載機器も多いという現実に即した解とはいえるかもしれない。
イベントでは,My WiFiに対応するデジタルカメラとプリンタが用意され,撮影した写真を,その場でMy Wifi対応プリンタから印刷するというデモも披露された。
次世代Atomプラットフォーム「Pine Trail」は年末に登場
氏はまず,NetbookがノートPC市場を“喰ってしまう”という見解について触れ,「例えばノートPCでは,コンテンツを作ったり編集したりする。一方,Netbookではコンテンツを見るために使う。つまり,両者の使われ方は異なるのだ。だから,カニバリズム(※人間が人間の肉を食べること。ここでは,Intel製品が,Intel製品のシェアを奪ってしまう意)は生じない」と,その懸念を一蹴。
そのうえで,長いバッテリー持続時間など,AtomベースのNetbookが持つ長所を挙げ,「Intelは,OSとして,二つの選択肢を用意している。WindowsとMoblin 2.0だ」と,5月末にβ版がリリースされたばかりのOSで,LinuxベースとなるMoblin 2.0搭載機を紹介した。メモリの使用量が少なく,動作が軽快で,Netbook的な使い方にマッチしているという。
それによると,Pine Trail-Mは,グラフィックス機能とメモリコントローラを統合した次世代Atom「Pineview-M」(パインビューM,開発コードネーム)と,I/O周りを担当する「Tiger Point」(タイガーポイント,開発コードネーム)の2チップ構成となり,「3チップだった従来製品と比べ,より低コストになる」(Eden氏)。
以上,ゲームに関連したネタがほぼゼロだった点は申し訳ないが,3.06GHzで動作するT9900は,今後,ゲーム用ノートPCに載ってくるのはまず間違いないし,Pine Trail-Mプラットフォームは,2チップ構成で筐体設計に自由度が増せば,ノートPC型のNetbookとは違った形の発展も期待できそうだ。
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