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[GDC#02]初日の講義から,気になる三つをピックアップ
この講義は,最近発売されたばかりのコスター氏の著書「A Theory of Fun for Game Design」で語られた「何がゲームを面白くするのか」という命題を,シリアスゲームに当てはめて検証していくものだ。
ちなみにシリアスゲームとは,ただ銃でモンスターを撃ち殺したり,車で市街地を走り回ったりといったエンターテインメント性のみを重視したものではなく,社会福祉,教育,政治といった素材を扱ったソフトのことをいう。
コスター氏は,「シリアスゲームも,楽しくなければ意味がない」と述べ,糖尿病と闘っている7歳の娘に,コスター氏自身が個人プロジェクトとしてゲームを制作したという個人的な経験を語った。そのゲームは,サーペント(大蛇)が海を泳ぎながら餌を確保していくのを,血糖値のマネージメントになぞらえているような内容らしい。コスター氏は,シリアスゲームの形をとっていても,プレイヤーが楽しみながら学べるソフトがあっても良い,と考えているようだ。
ファルステイン氏は,LucasArts Entertainment社や3DO Companyなどの第一線で長らく活躍してきた人物で,現在ではゲームデザインのコンサルタント業務に携わっている。
彼のレクチャーをすべて聞いたわけではないが,筆者が参加した時点では,実際にゲームのデモを行いながら,ゲームデザイナーの視点や面白いゲームにするために注目すべき点を簡潔に教えていた。
その題材はナムコの「塊魂」(PlayStation 2)で,ファルステイン氏は「日本的でアメリカ人には分かりにくいアイコンが多用されている」としながらも,このソフトを絶賛しているのが印象的だった。
ちなみに塊魂(Katamari Damacy)は,GDC 2005に参加している開発者達の間で評価の高いソフトの一つ。塊魂の奇抜なアイデアが,欧米の開発者達のクリエイティビティを刺激したらしい。ちょうど,2年前のGDCで巻き起こった「ICO」ブームを思い出させる現象だ。
Second Lifeは総アカウント数2万1000ほどの小規模なゲーム。ロールプレイング的な要素はなく,ゲームの中で生産したオブジェクトや情報などの知的財産(IP)は,すべてプレイヤーに帰属するのが特徴だ。
実際にSecond Lifeは,大学関係の研究者達の間では一種の社交場のように機能しており,ゲーム開発をはじめ,建築や医学関連に及ぶ講義やレポートが発表されているほか,心理実験が目的で作られた迷路や,実世界でのビジネスモデルのテスト,難病患者の集いといったことが行われている。ただのゲームというよりは,非常に知的・社交的にレベルの高い場所として機能しているのである。
オンドレジャ氏自身「ここまで来るとゲームと呼べるものなのかは分からない」と語ってはいたが,こういったバーチャルワールドの新しい使い方は,今後も進歩していくことだろう。(奥谷海人)
「GDC 2005」
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