「秋葉原にいるような,PCのファン,Intelのファンに向かって努力を続けていきたい」と,2007年もリテールチャネル市場を引き続き重視すると強調した吉田氏
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Intelの日本法人,インテルは,定例となっている「インテル・クライアント・レギュラー・アップデート」の2006年総括版ともいえる
「インテル・レギュラー・アップデート」を2006年12月15日に開催した。
同社代表取締役共同社長の吉田和正氏は,コーポレートロゴの変更と「Leap ahead」(さあ,その先へ。)というキャッチコピーで始まった1年を振り返り,「Core 2 Duoが,2006年最大のハイライト」と述べる。「今や,CPUコアが2個あるのは当たり前。Core 2 Extreme QX6700を皮切りに,2007年はマルチコア化が加速していきます」(同氏)。
Intelにとってのハイライトを振り返った吉田氏。紫のLEDが光るアクリルケースを用い,Core 2 DuoベースのPCを自作したことが個人的なトピックだったとか。「思ったよりはスムーズに作れた」そうだ
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興味深かったのは,2006年を通じて大きな動きがあまりなく,一部PCメーカーの間では将来性に疑問を持たれ始めている「Intel Viiv Technology」(以下Viiv)について,引き続き推進する方向が確認されたこと。
ノートPC向けのブランディング戦略「Intel Centrino Mobile Technology」(以下Centrino)が成功し,WiFi(=無線LAN)が当たり前になった事実を指摘した吉田氏は,Centrinoの成功には,Intelを中心とした水平分業システムのパートナーだけではなく,それ以外のモバイル関連企業,あるいはネットワークサービスプロバイダの協力を得られたことが大きいと指摘。それを踏まえて「PC対テレビという対決構図ではなく,協力してデジタルホームを実現していきたい」という。
日本には,世界でも屈指のパフォーマンスを持つブロードバンド回線があり,そこに接続するデバイスの種類や質もナンバーワンとした氏いわく「デジタルコンテンツの利用方法でも日本はナンバーワンにならなければならない。そのきっかけとなるのがViiv」。専用コンテンツなどを利用するだけにとどまらない,より広範な協力関係をさまざまな形で構築していくとした。
2006年におけるViivのイメージ
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この点についてレギュラー・アップデートの終了後に話を聞くことのできたインテル マーケティング本部長 阿部剛士氏は,吉田氏のコメントに補足する形で,協力関係拡充の一環としてViivをエンドユーザーに開放する可能性を示唆した。あくまで検討中の一例として挙げられた発言によれば,Viivの要件を「Intel製デュアルコアCPU」というだけにして自作ユーザーに門戸を開放したり,あるいは開発キットを提供したり,それこそデジタル家電以外のいわゆる白物家電と接続することでViiv対応PCを家庭内の家電を一括管理するセンター化したりといった方向性が考えられているようだ。
その先にあるのは,Centrino対応ノートPCはおろか,携帯用ゲーム機や携帯電話から自宅のViiv対応PCにアクセスして,自室のエアコンを管理するようなライフスタイル。阿部氏の発言があくまで可能性を示したものに過ぎない点は注意が必要だが,将来的にViivはがらりとそのイメージを変えることになるかもしれないことは,覚えておいたほうがいいだろう。
小林忠男氏
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なお,今回のアップデートでは,インテルのパートナーとして,エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォームの代表取締役社長,小林忠男氏も登壇。公衆無線LANスポットや,つくばエクスプレス全線で無線LAN環境を実現した立場から,「これまでは点で無線LANサービスを行ってきたが,これからは線になり,一部では面のサポートも行われるようになる」と述べ,公共の場所における無線LAN環境は,今後もサポート範囲が広がっていくとした。(佐々山薫郁)
2007年に本格的な展開を迎える,いわゆるモバイルWiMAX。より広範な範囲をカバーし,時速何10kmクラスの高速移動中にも無線LAN接続を可能にするこの技術については,Intelのサポートによって,市場が広がるとの見通しを示す。いよいよ「いつでもどこでもオンラインゲーム環境」が実現に向けて動き出すか?
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