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PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
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印刷2009/01/21 17:13

テストレポート

PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果

画像集#002のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
 明日,2009年1月22日に,Electronic Arts(以下,EA)の日本法人であるエレクトロニック・アーツから,日本語PC版が発売予定の「Mirror's Edge」(邦題 ミラーズエッジ)。すでにXbox 360版やPLAYSTATION 3版は発売済みなので,日々,ビルからビルへと飛び回っている人も多いと思う。何を隠そう,筆者もその一人なのだが,実は高所恐怖症だったりするので,ビルの間を飛んだり,落ちたりするたびに,背中というか,お尻が“ぞわっ”とする感覚を味わい続けている。

 さて,コンシューマ機と比べて後発となったPC版Mirror's Edgeだが,PC版のみの特徴として,物理シミュレーションエンジン「NVIDIA PhysX」(以下,PhysX)に対応したタイトルになっていることが挙げられる。
 Mirror's EdgeのPhysXで実現されるのは,いわゆる「効果物理」と呼ばれるもので,言ってしまえば,物理シミュレーションを生かしたエフェクト。ゲームの進行に影響を与えるようなものではなく(※もしそんなものを実装したら,コンシューマ機版とゲーム内容が変わってしまう),ガラスの破壊(Glass Destruction)や布(Cloth),煙(Smoke),そして物理的に発生した風の再現(Physically Simulated Wind)といったところに,PhysXは用いられている。

画像集#003のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
 4Gamerでは,2008年11月20日の記事で,Mirror's EdgeにおけるPhysXの効果を紹介するプロモーションムービーを紹介している。そのため,ざっくりとは認識してくれている読者も多いと思うが,今回は,発売に先駆けて日本語PC版Mirror's Edgeをプレイできたので,技術的な,難しい話は抜きに,「こんなところで,こんな風にPhysXが使われてますよ」という部分を,主にムービーでお届けしたいと思う。
 なお,プレイに用いたPCの詳細なスペックは,ベンチマークテスト結果をお伝えする後編できちんと紹介する予定だが,簡単にまとめておくと,搭載するCPUは「Core 2 Extreme QX9650/3GHz」で,メインメモリ容量は4GB。GPUはStreaming Processor 216基版「GeForce GTX 260」で,OSは64bit版Windows Vista Ultimateとなっている。

PhysX with Mirror’s Edge(後編)〜ベンチマークテストで明らかにするGeForce PhysXのパフォーマンス


チャプター1「フライト」でPhysXありなしを比較

このほか,特徴的な部分もムービーでチェック


 さて,今回は,チャプター1「フライト」を,一通りプレイすることにした。なるべく短時間で一つのチャプター全体を見てもらうため,クリアタイムを競うゲームモード「スピードラン」を選択し,基本的に,ひたすら走り続けている。
 その結果を録画したのが下のムービー2点で,上がPhysX無効,下がPhysX有効のものだ。同じチャプターをXbox 360版でプレイしたムービーは,2008年12月17日の記事で「Xbox 360版プレイムービー『スピードラン』」として紹介しているので,コンシューマ機版との比較もしてみたい人は,併せてどうぞ。

※タイムアタックモードということもあり,特殊なコース取りをしている例がムービーには含まれています。「ネタバレ勘弁」という人は気をつけてください


 分かりやすい部分,そうでない部分が混在しているので,順にチェックしていこう。

■ガラスの破壊(Glass Destruction)


画像集#004のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
 ガラスの破壊は,ゲーム中でおそらく,最も多く使われているPhysX効果だ。見た目のインパクトも大きく,明確な違いが出るのですぐに分かるはずだ。ビル内を走っているとき,ガラス越しに銃撃されたり,空を飛ぶヘリから銃撃されたりするとき,PhysXが無効だと,ただ「ガラスの割れるエフェクトが表示されるだけ」だが,有効になると,大小さまざまなガラスの破片は物理法則に従って宙を舞い,落ちる。落ちた先に傾斜があればそこから滑り落ちるし,場合によっては跳ね返ったりもする。
 また,プレイヤーの周辺に銃弾が当たったとき,銃弾によって破壊されたオブジェクトが視界を横切るのも,臨場感を高めている。

 下に示したのは,別のチャプターから,「ガラスのシャンデリアを,銃撃により破壊し,シャンデリアの下にいる敵を倒す」というもの。PhysX有効時にのみ使える攻撃方法というわけで,(実用性はさておき)なかなか面白い。


■布(Cloth)


PhysX無効時(上)と有効時(下)の違い。こんな感じで,「何もなかったところ」に,PhysXを有効化すると布やビニールシートが現れる
画像集#005のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
画像集#006のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
 PhysXアクセラレーションが無効でも,風にはためく旗やのぼりはある程度再現されていたが,PhysXを有効にすると,それらを銃撃やパンチなどで破けるようになる。
 これは,効果物理のデモでよく見られるものなので,見覚えのある人も多いだろう。弾の当たったところ,殴ったところだけ部分的に破れたりするのだ。むしろ「ちぎれていく」という表現のほうが,本質に近いかもしれない。

 チャプター1「フライト」だと,PhysX無効時にはなかったビニールシートや布が,PhysXを有効にすると追加されているのが分かる。このほかにも,ゲーム中には,現実社会の工事現場でよく見られるような,埃(ほこり)や金属片などが散乱しないように取り付けられるカバーシートがPhysX有効時には再現され,やはり銃撃や物理攻撃で破れたりちぎれたりする。

 下に示したのは,別のチャプターから,布の表現がよく分かるシーン3点だ。一つめは,駅を通過する電車によって,構内に吊り下げられた布がゆらゆらとはためくというもの。二つめは,プレイヤーの行動によって,ビニールが“らしく”動くところ,三つめは,銃撃などによって布やビニールの裂けるところが,それぞれ見どころだ。


■煙(Smoke)


PhysX無効時(上)と有効時(下)の違い
画像集#007のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
画像集#008のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
 ゲームにおける煙の表現は,DirectX 10世代で大いに向上した印象を持っているが,Mirror's Edgeのそれは,それよりも間違いなく一段上のレベルだ。
 最初に驚いたのが,下に示したムービーの部分。PhysX効果なしだと,単なる「濡れた地面」なのだが,PhysXを有効にすると,地面から立ち上がった湯気で靄(もや)がかかり,見るからにジメジメとした場所に生まれ変わる。しかも,(この次に述べる風のエフェクトと連動しており)大きなドアを開けると,「ドアの外からやってきた風」によって,靄が動くところまで再現されている。

 さらによく見ると,「Faith(※フェイス,主人公の名前)が移動することによって空気の対流が起こり,靄が動いているのだ。これはすごい。


 靄といえば,水路を滑り降りたときの表現もなかなかのものだ。これもぜひ,ムービーでPhysX無効時と有効時の違いをチェックしてほしい。


 また,これはスクリーンショットでの比較になるが,「ガラス張りの部屋にある大型コンピュータを破壊する」シーンで,PhysX無効時はただ煙が上がるだけのところ,PhysXを有効にすると,煙がもくもくと立ち上り,ガラスの壁に沿って部屋の中へと広がっていく。もちろん,煙がガラスを突き抜けたりすることはなく,当たり前のように,ガラス張りの室内に漂っているのだ。今まで,こんな表現が自然に処理された市販タイトルには,お目にかかったことがない。

大型コンピュータを破壊するシーン。左はPhysX無効時のもので,右は有効時に,煙が溜まった状態でガラスを割った直後だ。右で,煙が“固まり”になっているのと比べると,左の“なんとなく感”はリアリティに乏しい
画像集#011のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果 画像集#012のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果


■物理的に発生した風の再現(Physically Simulated Wind)


画像集#009のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
 チャプター1「フライト」のムービーで,PhysXを有効にしていると,序盤,「赤いドアの見える,離れたビルへ大ジャンプするシーン」でFaithはダメージを受けているが,画面が一瞬,赤く瞬いた直後に注目してほしい。着地時に発生した風により,地面に落ちていた紙切れが,ワンテンポ遅れて動くのが見える。

 また,埃っぽい地下の工事現場で,照明器具が薄暗い通路を照らし出しているシーンがあるのだが,PhysX無効だと,単にオレンジ色の光で照らし出されているだけなのに対し,PhysXを有効化すると,空気中に漂う塵(ちり)が再現される。日常生活でも,暗い部屋に太陽の光が差し込むと,空気中の塵が見えるが,あれが再現されているわけだ。室内の埃っぽさを,どちらがより強く感じられるかは,言うまでもないだろう。



実に“地味なところ”で活躍し

ゲーム世界の説得力を高めるPhysX


 以上,Mirror's EdgeにおけるPhysXの効果を駆け足でチェックしてきたわけだが,全体として感じたのは,PhysXが,地味なところでこそ活躍するものであるということだ。少なくともMirror's Edgeにおいては,PhysX物理シミュレーションによって,ゲーム性そのものが変わったりはしない。しかし,PhysXに対応したグラフィックスカードを利用すると,細かな部分でゲームがリアリティを増し,目の前に広がる世界が説得力を強めていくのである。

画像集#010のサムネイル/PhysX with Mirror’s Edge(前編)〜プレイムービーで比較するPhysXの効果
 筆者はXbox 360版をさんざんプレイしてから,今回の“PhysX版”Mirror's Edgeをプレイすることになったので,すぐに違いが分かったが,PC版でMirror's Edgeに初めて触れるのなら,ぜひ一度,PhysXを無効化してプレイしてから,あらためてPhysXを有効にしてみることを勧めたい。本気で,「PhysX効果のない状態では,Mirror's Edgeをプレイする気にならない」と言い切れるほど,プレイ感覚に与えるPhysXの効果は絶大だ。

 ところで,PhysXシミュレーションはどれだけ“重い”のか,気になる人も多いと思う。このあたりは,後編で明らかにしたいと思うので,お楽しみに。

PhysX with Mirror’s Edge(後編)〜ベンチマークテストで明らかにするGeForce PhysXのパフォーマンス
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    ミラーズエッジ

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