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ドライバによるフレーム生成機能「AFMF2」を正式実装した「Adrenalin 24.9.1」リリース
なお,Adrenalin 24.9.1では,Adrenalin 24.3.1以来となるPolaris/Vega世代向けのドライバソフトも同時リリースされているが,そちらは不具合修正しか行われていない。当然ながら新機能も,Polaris/Vega世代では使えないので注意しよう。本稿では,RDNA世代以降向けのAdrenalin 24.9.1の特徴を説明していく。
まずは新機能から見ていこう。
AFMF2の基本機能は,初出時からとくに変わっていない。
ドライバ側でフレーム生成を行うRadeon向け技術の進化版「AFMF 2」のプレビュー版をAMDが公開
北米時間2024年7月29日,AMDは,独自のフレーム生成技術「AFMF 2」を実装したドライバソフトのテクニカルプレビュー版を公開した。ゲーム側が対応しなくても使えるフレーム生成技術の第2世代版は,これまでと何が違うのだろうか。
改めて説明しておくと,AMD独自の超解像技術「FidelityFX Super Resolution 3」(以下,FSR3)やNVIDIA独自の超解像技術「DLSS 3」では,映像処理で中間フレームを作成して挿入することで,見かけのフレームレートを高めるフレーム生成技術が重要なポイントだ。GPU負荷が高くて,レンダリングのみでは十分なフレームレートが得られないときに,フレーム生成は威力を発揮する。だが,FSR3やDLSS 3は,ゲーム側の対応が必要だ。
それに対して,AFMFは,ドライバソフト側でフレーム生成を行う。そのため原理的には,ゲームを問わず,フレーム生成によるフレームレート向上の恩恵を得られるのが特徴だ。Adre
- 遅延の低減
- DirectX 12/11のみだった第1世代に対して,VulkanおよびOpenGL対応タイトルで利用可能に
- 第1世代では非対応だったボーダレスウインドウに対応
- フォールバックと性能のチューニングを新設
- 「Radeon Chill」と併用することでテアリングの防止が可能に
これらの特徴は,AFMF 2の登場時から変わっていないが,Adrenalin
また,単体GPUと統合GPUを組み合わせるハイブリッドグラフィックス構成のPCでは,映像表示側のGPU(=統合GPU側)がフレーム生成を担当して,単体GPU側はレンダリングに集中できるという。
AMDは,AFMF2の利用によって,実に平均2.5倍のフレームレートが得られると主張している。ゲームを問わずにフレームレートが倍増するAFMF2は,Radeonシリーズにとっての大きな付加価値と言っていいだろう。
なお,AFMF2の設定およびチューニング方法は,テクニカルプレビュー版から変わっていなかった。詳細はテクニカルプレビュー版の記事を参照してほしい。ただし,AFMF2を利用するときには,ゲーム側の「V-SYNC」(垂直同期)を無効にしておく必要がある点には注意しよう。
2つめの新機能であるGeometric Downscalingは,動画再生に関する機能だ。動画の実解像度よりも低い解像度に縮小して再生すると,細部がぼやけたり違和感が生じることがあるが,それを防止するのがGeometric Downscalingだ。Geometricは幾何学的というような意味で,その名のとおり原画像の幾何学的形状を保ったまま,縮小するのが特徴だ。
Geometric Downscalingは,とくに設定を必要とする機能ではなく,Adre
Adrenalin 24.9.1では新機能のほかに,新作タイトルやアップデートへの対応などが行われている。Adrenalin 24.9.1で対応が謳われているのは,「Warhammer 40,000: Space Marine 2」「Frostpunk 2」「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」,そして9月に配布された「The Sims 4」のDirectX 11対応アップデートだ。いずれも性能向上についての言及はない。
また,ワンクリック最適化機能「HYPR-RX」の対応タイトルに,「Black Myth: Wukong」(黒神話:悟空)を始めとする4タイトルが追加されているほか,動的な解像度変更によって対応ゲームのフレームレートを向上させる「Radeon Boost」対応タイトルに,PC版「FINAL FANTASY XVI」が追加されている。HYPR-RXタイトルについては公式Webページも参照してほしい。
そのほかに,ゲームとの直接の関係はないが,DirectX 12公式ソフトウェア開発キットのプレビュー版となる「Microsoft Agility SDK 1.715.0 Preview」にも対応したそうだ。AMDが提案してDirectX 12に採用された「Work Graph」は演算に限定されていたが,新しいSDKでは,Work Graphからラスタライザが駆動できるようになるそうだ。
詳しくは,MicrosoftのBlogや,そこからリンクされているサンプルコードを参照していただきたい。
なお,Adrenalin 24.9.1におけるAgility SDKの新機能は,Radeon RX 7000シリーズでしか使えないとのこと。RDNA 3世代でも,統合GPUは今のところ対象外なので,注意してほしい。
●Adrenalin 24.9.1の対応GPU
- Radeon RX 7000シリーズ
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon VII
- Radeon RX Vegaシリーズ
- Radeon RX 600・500・400シリーズ
- Radeon Pro Duo
- Radeon RX 7000M/7000Sシリーズ
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
- Radeon 600シリーズ(OEM向け)
※Radeon VII以下の製品ではドライバソフトが異なる
●Adrenalin 24.9.1の対応APU
- Ryzen 7000シリーズ
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen 5000Gシリーズ,Ryzen PRO 5000シリーズ
- Ryzen 4000Gシリーズ,Ryzen PRO 4000シリーズ
- Ryzen 3000シリーズ,Ryzen PRO 3000シリーズ
- Ryzen 2000シリーズ,Ryzen PRO 2000シリーズ
- Athlon PRO 200GEシリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics
- Athlon Mobile Processors with Radeon Graphics
- Ryzen PRO Mobile Processors with Radeon Graphics
- Athlon PRO Mobile Processors with Radeon Graphics
- Radeon 600シリーズ(Ryzen 6000 APU)
※Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics以下の製品ではドライバソフトが異なる
●Adrenalin 24.9.1が統合するコンポーネント(※比較対象はAdrenalin 24.8.1)
- Display Driver Version:24.20.11.01-240925a-407465C
-AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion (←24.10 .37.04 -240 823a -407 010C -AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion) - UI:2024.0926.0129.2043(←2024.0823.1152.2026)
- AMD Windows Driver version:32.0.12011.1036(←32.0.11037.4004)
- 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D Driver:9.17.11.0272(←9.17.11.0267)
- OpenGL Driver:24.09.240702_2e2ba6f(←24.06.240303_ca9407b)
- Audio Driver:10.0.1.38
- Vulkan Driver:2.0.317(←2.0.310)
- Vulkan API:1.3.292(←1.3.287)
●Adrenalin 24.9.1における最適化
- 記載なし
●Adrenalin 24.9.1における新要素
- AFMF2に対応
- Geometric Downscalingに対応
- 「Warhammer 40,000: Space Marine 2」「Frostpunk 2」「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」に対応
- 「The Sims 4」DirectX 11アップデートに対応
- HYPR-RX対応に4タイトルを追加
- Radeon Boost対応に「FINAL FANTASY XVI」を追加
- 「Microsoft Agility SDK 1.715.0 Preview」に対応
- 新たなVulkan拡張に対応。詳細は公式Webページを参照のこと
●Adrenalin 24.9.1で解決した問題
- 「Warhammer 40,000: Space Marine 2」をプレイ中,断続的にドライバのタイムアウトやゲームのクラッシュが発生することのあった問題
- Radeon RX 6600 XTなど一部のAMD製GPUで「FINAL FANTASY XVI」をプレイすると,断続的にドライバのタイムアウトやゲームのクラッシュが発生することのあった問題
- 「Black Myth: Wukong」において,グローバルイルミネーションを「中」以上に設定すると,ゲームプレイ中に極端に暗い影や彩度の低い薄色が表示されることのあった問題
- AMD Softwareで録画もしくはストリーミングを有効にして「Ghost of Tsushima Director's Cut」をプレイすると,ゲーム中に表示が破綻することのあった問題
- 特定のオーバーレイを表示すると,AFMFが無効になることのあった問題
- PCをスリープから復帰させると,AMD Softwareが意図せず起動してしまうことのあった問題
- AMD Softwareで,AV1コーデックを選択して録画すると,音声と動画が同期しないことのあった問題
- 特定バージョンの「Minecraft Java Edition」をプレイ中にメモリの使用量が増加することのあった問題(※Polaris/Vega世代のみ)
- 英語以外の特定の文字をWindowsユーザー名に使用すると,一部のDirectX 12対応アプリがクラッシュすることのあった問題(※Polaris/Vega世代のみ)
- Microsoft Teamsの上に表示させたウインドウの境界が断続的にちらつくことのあった問題(※Polaris/Vega世代のみ)
●Adrenalin 24.9.1における既知の問題
- 「DayZ」プレイ中に特定のエリアに入ると断続的にパフォーマンスが低下することがある(※Adrenalin 24.10.1を目処に解決予定)
- 「Ryzen AI HX 370」など一部のAMD製統合GPUで「Warhammer 40,000: Space Marine 2」をプレイすると,断続的にドライバのタイムアウトやゲームのクラッシュが発生することがある。この問題はAMD Softwareのパフォーマンス設定→「チューニング」タブにある「Variable Graphics Memory」を有効化することで一時的に回避できる
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