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新登場する2つのジョブ「パラゴン」と「ダルウィーシュ」に触ってみた。「ギルド ウォーズ Campaign3:Nightfall」PvPプレビューイベントレポート
発売予定時期の3か月も前に,ここまで大規模なテストが行われるのはなかなか珍しいが,開発元であるArena.netにとっては,もはや恒例のイベントとなっている(前回のイベント時の模様は「こちら」)。
対人戦におけるゲームバランスを何よりも重視するという,同社の姿勢を端的に表しているイベントであり,実際にその試みが実を結んでいることは,熱心なプレイヤーならば身をもって実感しているはずだ。
それだけに今回のイベントには,全世界から多数のプレイヤーが参加して,大いに盛り上がった。ジョブ名を見る限りではかなりミステリアスなパラゴン/ダルウィーシュだが,イベントで実際に触れてみて判明した各要素を,本稿ではファーストインプレッションとしてお届けしよう。
※1:開発元のArena.netが半年単位で拡張パックを発売することを公約している。ちなみにCampaign2は4月末に発売済
Nightfallで追加される第一のジョブは,「パラゴン」である。“Paragon”という言葉は「典型,模範,手本」を意味するものの,それだけでは少々イメージが湧きづらい。とりあえず写真を見てもらいたいが,パラゴンの外見はどのフェイスタイプでも目が青白くなっており,少なくとも通常の人間ではないように思える。“法と神に従う守護天使”というのが,筆者の第一印象だ。
パラゴンは投げ槍と盾を手に持って戦う,中〜遠距離タイプの戦士である。そしてその最大の特徴は,自分を中心とした一定範囲内の味方全員に対し,さまざまな補助効果を与えられること。従来のスキルにたとえるならば,ウォーリア用の「シャウト」,またはエレメンタリスト用の「ウォード」系魔法に比較的近いが,パラゴン用のスキルは,よりバリエーションに富んだものとなっている。
これらの補助魔法を受けた味方は,「次の攻撃時」,「次のスキル使用時」,「次の被攻撃」といったアクションを基点として,さまざまな効果を瞬間的に発揮する。そして補助スキルの基本種別も,「チャント」「エコー」「シャウト」など複数ある。これらの範囲スキルを状況に応じて使い分け,味方の能力を底上げするのが,パラゴンの主な役割というわけだ。
戦術の核となるチャントなどの効果範囲には限りがあるので,,パラゴンでのプレイ時には,何よりもキャラクターの位置取りに気を配る必要がある。パラゴン単体の戦闘能力はそれほど高くはなく,最前線で暴れ回るタイプではないのだ。
それよりもむしろ,前衛と後衛の中間距離を常にキープしつつ,シャウト等を行いながら,投げ槍でチクチクと間接攻撃を行うプレイスタイルである。サッカーにたとえるならばミッドフィールダー,すなわち指揮官的なポジションといえよう。
投げ槍の詳細についてだが,射程距離はショートボウとほぼ同等。しかし攻撃間隔はショートボウよりも短く,ダメージ幅も「14-27」と剣を上回っている。さらにパラゴンは,これまでウォーリア専用のものだったアドレナリン系スキルも取得可能で,支援型ジョブの割には攻撃力が高い。エネルギー自然回復量は+2と低いものの,エネルギーを消費しないアドレナリン系スキルを挟むことで,回復量での不利を補っていけるはずだ。
◎パラゴン用の特性ポイント
・リーダーシップ(※):味方にチャントやシャウトが掛かるごとに,エネルギーを獲得
・コマンド:主に味方の防御や,戦闘方法に関するパラゴン用スキルの効果が増大
・スピア マスタリー:槍による攻撃時や,スキル使用時のダメージとクリティカルヒット率が増大
・モチベーション:エネルギーの温存や,味方の士気を高めるパラゴン用スキルの効果が増大
※:メインジョブに選択時のみ習得可能
今回のイベント中でのパラゴンの印象だが,チーム戦で一緒になったメンバーがチャントなどの仕組みを理解できておらず,バラバラに動いているケースが目立った。パラゴンの仕様は今回のイベントが初公開だったため,その運用法が正しく認知されるまでには,もう少し時間が必要だろう。チャントを有効活用できないパラゴンは,中途半端なレンジャー程度の戦闘力しか持たないため,いささか地味なジョブだと早とちりする人がいたかもしれない。
しかし,チャントの効果には人数制限がないので,味方メンバーが位置取りに協力すれば,かなり堅固な陣形が組めるはず。統率の取れたギルドバトル戦におけるパラゴンと,その周囲を固める味方の働きは,どれほどのものなのだろうか。その光景を想像すると,思わずワクワクしてしまうだろう。
同様に陣形を重視するジョブであるリチュアリストは,どちらかというと「場所」に縛られているタイプなのに対し,パラゴンは自由に動き回れる。また,チャントではなくシャウトを活用するスタイル(エネルギー面に依存しない)なら,サブジョブ用に選んでもそれなりの恩恵が得られ,組み合わせの自由度も高くなる。とくに,同じアドレナリン系スキルを操るウォーリアとの組み合わせには,大きな可能性を感じる。戦局を冷静に分析し,チームワークを重視するのが好きという人には,声を大にしてオススメできるジョブといえそうだ。
もう一方の追加ジョブ「ダルウィーシュ」も聞き慣れない名前だが,英語名の“Dervish”を見れば,「ああ,アレのことね」と思い出す人がいるかもしれない。元々はイスラム神秘主義の修行者を意味しており,激しく踊り回ることや祈祷によって法悦状態に入る,妖しげなイメージを備えている。
本作におけるダルウィーシュは,単刀直入にいうと「両手持ちの鎌を振り回すキャスタータイプのジョブ」だ。鎌という接近用の武器を持っているが,防具はローブを着ることになり,パッと見では,ジョブとしての方向性がいまひとつ把握しづらい。そんなダルウィーシュの最大の特徴は,両手に持った鎌を大きく振り回すことで,複数の相手にダメージを与えられることだ。
さらに,ダルウィーシュ独自のスキルを併用することで,状態異常を撒き散らしながら敵集団に突っ込むという,キャスタータイプらしからぬ戦術が可能になる。例えば,引きこもりがちなリチュアリストや,パラゴンの周囲に集まっている敵に対して,多種多様な範囲攻撃を駆使して被害を与えられるというわけだ。
また,自分用の補助/回復系スキルにも秀でており,特性ポイントの「ミスティシズム」を受けたダルウィーシュのタフさはかなりのもの。同じ前線系のジョブでも,体を張って前線を維持するウォーリアや,一撃離脱を得意とするアサシンとは,方向性が大きく異なっている。
ゲームの舞台であるティリアやキャンサにまつわる神々を,自らの体に“憑依”させられるのも,ダルウィーシュの大きな特徴だ。これらは「バルタザール アバター」や「メランドル アバター」といった「フォーム」系スキルで,最大で1分弱もの間,HP最大値アップ/追加ダメージといった効果が得られる。今回のイベントでは5種類のフォームスキルを確認できたが,そのどれもがエリートタイプということもあり,まさしく神の力を感じさせる威力であった。
ダルウィーシュ自身の詳細能力についてだが,鎌の基本ダメージは「9-41」で,振りの速さはウォーリア用のハンマーと同程度である。このように攻撃面は申し分がないが,鎧がローブということもあり,かなり打たれ弱い。そのぶん,エネルギーの自然回復量は+4と高く,数多くのスキルを駆使することで対応していくことになる。プレイ中の操作がかなり忙しいジョブといえるだろう。
◎ダルウィーシュ用の特性ポイント
・ミスティシズム(※):強化スペルの効果が消失すると,「ミスティシズム」の特性レベルごとに体力が3,2レベルごとにエネルギーが1増加
・サイス マスタリー:鎌による攻撃や,スキル使用時のダメージとクリティカルヒット率が増大
・ウィンド プレイヤー:移動やコールドダメージに関するダルウィーシュスキルの効果が増加
・アース プレイヤー:防御やアースダメージに関するダルウィーシュスキルの効果が増加
※:メインジョブに選択時のみ習得可能
ダルウィーシュの特性ポイントで注目すべきは,メインジョブ専用の「ミスティシズム」である。フォーム系スキルで自身を強化し,ミスティシズムで回復面を補うスタイルは非常に強力で,イベント中,いたるところで猛威を振るっていた。とくに,サポートジョブにモンクを選んだ場合の相性は抜群で,例えば「アリーナ戦で,4対1になってもしぶとく粘り続けられるほど」と言えば,どれほどのタフさか分かってもらえるだろうか(もちろん,その劣勢を挽回するのは至難のわざだが)。
また,今回のイベント中では直接確認できなかったが,「鎌+フォーム+ミスティシズム」の組み合わせは,大量の雑魚モンスターを倒してトレジャーハントを行う,いわゆるファーミング時の定番スタイルとなりそうである。この点も考慮するに,ダルウィーシュの仕様は(もしかすると)今後大きく変更されるかもしれない。“鎌”と“憑依”というダルウィーシュらしさを維持しつつ,適切なバランシングを行ってほしいところだ。
■次々と革新的なアイデアを出し続けるArena.netに感服
今回触れてみた「パラゴン」と「ダルウィーシュ」の雑感としては,両方とも実に個性的なジョブであった。2ジョブに用意された130前後のスキルを見ても,いったいどこからこれらのアイデアを引っ張り出してくるのかと,驚かされるばかり。プレイヤーに驚きを与えるスキルを新たに生み出し,しかもシビアな対人戦用としてバランスを整えるのは,どれほど難しいことか。プレイヤーならばその苦労が容易に想像できるだけに,今回のプレビューイベントを経て,開発元であるArena.netの底力をあらためて思い知ったという人も多いだろう。
だが,それと同時に気になった部分もある。実際にプレイすれば誰でも分かる,いぶし銀的な良さが本作にはあるが,そこに辿り着くまでの手引きというか,第一印象としてのインパクトが全体的に弱い。例えば今回の「パラゴン」と「ダルウィーシュ」にしても,最初にそのジョブ名称を見たときに,その特徴をイメージできた人が,いったいどれだけいただろうか。イメージが湧かなければ,遊んでみようという気にもなりにくいわけで,その点に関しては,ちょっともったいないなと感じた。
だがしかし,Nightfallの発売日までには,(恐らく)まだ3か月もの時間がある。これは一般的なオンラインゲームでいうなら,「クローズドβテスト」に相当する段階といえるだろう。今後は,本イベント時に得られた情報をもとに,あらゆる面でフィードバックが行われるだろうし,Arena.netがその手腕に長けていることは,今さら言うまでもないことだ。
ともあれ,個人的には,「早くパラゴンやダルウィーシュをRPGモードでも使ってみたい!」という気持ちが,非常に大きい。本イベントを経て,Nightfallへのモチベーションが大いに高まったという人は,筆者を含めて大勢いることだろう。(ライター:川崎 政一郎)
- 関連タイトル:
ギルド ウォーズ
- 関連タイトル:
ギルド ウォーズ Campaign2 戦乱の章
- 関連タイトル:
ギルド ウォーズ Campaign3 審判の章
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