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【PR】これは疑いなくシリーズ史上最高品質だ。「Sound Blaster ZxR」の実力を徹底検証
Recon3Dでは,Creative Technology(以下,Creative)が新規に開発したDSP(Digital Signal Processor,サウンドチップ的な意),「Sound Core3D」を採用し,主に機能面で大幅な進化を遂げた。とくに入力系の機能は圧倒的で,他社製品とは比較にならないレベルに達していたのだが,アナログ出力音質は,一世代前の最上位モデル「PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium HD」(以下,X-Fi Titanium HD)のような“オーディオライク”な方向には向かわず,Creativeが長らく得意としてきた3Dサラウンドサウンド出力にかなり重きを置くものとなっていた(関連記事)。これが,サウンド出力性能を重視する人からすると,やや物足りない部分となっていたのだが,そこにメスを入れてきたのが,Sound Blaster Zシリーズということになる。
では,その試みは成功しているのか。今回は,4Gamerにおけるサウンド関連製品のメインレビュワーである榎本 涼氏の協力を得つつ,シリーズ最上位モデル「Sound Blaster ZxR」(国内製品名:PCI Sound Blaster ZxR)の実力を明らかにしてみたいと思う。
3ピースで構成されるSound Blaster ZxR
使い方と好みに合わせて組み合わせられる
もっとも,より目を引くのは,色ではなく,部品点数の多さのほうだろう。そう,Sound Blaster ZxRという製品は,カード1枚で完結しないのである。Sound Blaster ZxRサウンドカード本体のほかに,ドーターカードたる「DBpro」,そしてアナログ接続の外付けデバイス「ACM」(Audio Control Module)が用意され,これらを組み合わせることで,さまざまな機能を利用できるようになっているのだ。
Sound Blaster ZxRカード本体(手前)とDBpro(奥)。マザーボードのPCI Expressスロットと接続する必要があるのは本体のみ |
Sound Blaster ZxR本体とDBproの接続イメージ。付属のフラットケーブルを専用端子とつなぐだけだ |
そして,フラットケーブルで接続されるDBproが,本体から溢れた入出力系――光角形×2によるデジタル入出力と,モノラルRCA×2による2ch AUX(≒ライン)入力を引き受ける。
その意味でDBproは,ゲームのサラウンドサウンドをデジタルストリーミングでAVアンプへ出力したいとか,ゲームの配信をPC経由で行いたいといったニーズに向けたセカンダリカードということになるだろう。
一般に,スピーカーと単体マイクの併用は相性が悪い。スピーカーと単体のマイクを併用しようとすると,マイクがスピーカーの音を拾ってしまい,ノイズとなる現象「エコー」が発生しやすくなるからだ。その点Focusでは,「マイクから向かってどの範囲を集音対象とするか」を調整できるので,「スピーカーから音を出力しつつ,ユーザーの声だけを拾う」ということが行えるようになる。なので,ACMにマイクが内蔵されているというわけである。
本体とACMの接続イメージ。Sound Blaster ZxRのヘッドセット入出力系を引き出す感じになる |
撮影時に光の加減を調整して,アレイマイクを分かりやすくさせたカット。ダイヤルを挟み込むように埋め込まれている |
なお,本稿の冒頭でSound Blaster ZxRがシリーズ最上位モデルだという話をしたが,その下位には「Sound Blaster Zx」と“無印”の「Sound Blaster Z」も用意されている。
両製品は,いずれもカード1枚でデジタルサウンド入出力やライン入力に対応する関係で,設計がSound Blaster ZxRとは異なる基板を,共通して採用するのが特徴だ。違いは,Sound Blaster ZxだとACMが付属するのに対し,無印モデルでは小型のアレイマイクが標準で付属する点と,Sound Blaster Zxにはバンドルソフトやデジタルおよびアナログケーブルが付属する点となる。
多機能DSP・Sound Core3Dはそのままに
出力系と入力系を抜本的に変更
カードの分解はメーカー保証外の行為となるが,今回は特別に,カバーを取り外してみよう。すると,メインカード側の部品点数が非常に多いことと,どちらの基板にも銅板が取り付けられているのが目を引く。この銅板は,民生用のオーディオ機器でよく見られるものだが,簡単にいえば,デジタル段とアナログ段を物理的に分けたときに,電磁波の影響を受けやすいアナログ段を守るものとなる。
Recon3Dでは,Sound Core3DのDSP機能に加え,D/Aコンバータ(デジタル→アナログコンバータ,以下 DAC)やA/Dコンバータ(アナログ→デジタルコンバータ,以下 ADC)の機能も用いていたのだが,その変換品質がベストとはいえず,それが音質面にも影響していた。
それに対して今回のSound Blaster ZxRでは,Sound Core3D内蔵のDAC機能やADC機能はバイパスされ,Sound Core3Dは“DSP統合型デジタルインタフェース”として用いられるようになっているのだ。
まずはSound Blaster ZxR本体のアナログ出力段からだが,DACはTexas Instruments(以下,TI)製の「PCM1794」が1基と「PCM1798」が2基になっている。前者はチップレベルのダイナミックレンジが129dB,後者は123dB(※PCM1794はモノラル出力時だと132dB)で,いずれも24bit・192kHz対応。いずれもその性能には定評あるチップだ。
PCM1794の“先”には,TI製のヘッドフォンアンプ「TPA6120A2」と,新日本無線製のOPAMP(オペアンプ)「JRC 2114D」およびTI製OPAMP「LME49710」,そして富士通コンポーネント製のリレー「A5W-K」が並んでいる。Creativeがはっきりそう述べているわけではないが,並びからすると,A5W-Kがヘッドフォン出力とライン出力を切り替えるような格好になっているのだろう。
なお,PCM1794の電流出力を受けてJRC 2114DがI/V変換を行い,LME49710がプリアンプとして機能するという流れ,そして両OPAMPとも(自己責任で)差し替えが可能という仕様は,Sound Blaster X-Fiシリーズの最上位モデルだったX-Fi Titanium HDと同じである。
リア2chおよびセンター&サブウーファ用となるPCM1798の先には,新日本無線製のOPAMP「JRC 2114」とTI製のOPAMP「LME49720」がつながっている。ヘッドフォン用およびフロント2ch用と比べると少々地味な印象を受けるかもしれないが,これらもオーディオ機器でよく使われるチップだ。
前述のとおり,DBpro側にもCA0132が搭載されるが,これはおそらく,本体側のCirrus Logic製デジタルサウンドインタフェースレシーバ「CS8416」を介してデジタル信号をやりとりするためのものだろう。基板上にはそのほか,TI製のADCで,24bit・216kHzに対応する「PCM4220」と,新日本無線製のJRC 2114,そしてTI製のLME49723がOPAMPとして用意されている。
また,ここまであえて触れてこなかったが,搭載される金色のコンデンサは,いずれもニチコン製のFine Gold(FG)シリーズ。いわゆるオーディオグレード品だ。PCI Express用など,一部で異なる仕様のコンデンサが採用されてはいるものの,音質を左右する部分で妥協がないことは見て取れよう。
DBpro側は,デジタル入出力とアナログライン入力のみなので,基板もシンプルだ |
基板上のそこかしこに見える金色のコンデンサはニチコンのFGシリーズである |
専用コントロールパネル「SBX Pro Studio」は
相変わらず使いやすい
SBX Pro Studioの「左ペインで項目を選んで,右ペインで設定する」というフォーマットも,THX TruStudio Proとまったく同じだ。
たとえば,バーチャルサラウンド機能「Surround」や,トランジェント(※ピアノやシンバルなどといったアタックの鋭い音)を補正し,結果としてダイナミックレンジ感の引き上げを狙う機能「Crystalyzer」,低域補正機能「Bass」といった出力系プロセッサは「SBX PRO STUDIO」メニューから一律で調整可能。FPSなどのゲームに向けて,敵の足音など,特定の帯域を聞きやすくするCreative独自プリセット「Scout Mode」は,同名の専用メニュー「SCOUT MODE」から有効/無効を切り替えられる。
筆者が思うに,CrystalVoiceにおける最大のキモは,入力音声信号の音量調整を自動的に行うことで,大声をうるさくせず,小声を聞こえやすくする「Smart Volume」と,Smart Volumeの利用時に大きくなりやすいノイズを低減する「Noise Reduction」のセットだ。また,序盤で紹介したアレイマイクの利用時に使うFocusと,そのときエコーの発生自体を低減する「Acoustic Echo Cancellation」も,CrystalVoiceから設定できる。
スピーカー/ヘッドフォンメニューは,文字どおり,「スピーカーとヘッドフォンのどちらから音を出力するか」を選択できる項目なのだが,Sound Blaster ZxRではここにステレオダイレクトという選択肢が用意され,選ぶと,Sound Core3DのDSP部分をバイパスして,24bit・192kHzの2chライン出力を行えるようになる。ゲーム用途で使うことはない機能だが,「Sound Blaster ZxRはゲームでしか使わない」というのもまれだと思われるので,音楽再生用の機能としてこういうものが用意されていることは,憶えておいても損はしないだろう。この点については後ほど検証したい。
スピーカー/ヘッドフォンからヘッドフォン出力を選んだところ。ゲインの設定もここで行える。詳細は後述 |
「シネマティック」メニューでは,デジタル出力にあたって,Dolby LaboratoriesやDTSのマルチチャネルストリーミングを利用可能 |
テスト環境をセットアップ
プロ用機材で所得する波形と試聴で検証
テストのセットアップに入ろう。本稿の冒頭でも述べたとおり,今回筆者は,4Gamerでサウンド関連製品のレビューを担当する榎本 涼氏の自宅スタジオで,氏の協力を得つつ波形を取得した。さらに試聴も行って,その後,自宅のゲームPCでも音を聞き直すという流れとなる。マイク入力も基本的には同じ流れだ。
■出力テストの方法
出力波形のテストには,表のスペックを持つPCにセットアップしたSony Creative Software製の波形編集ソフト「Sound Forge Pro 10」を利用。出力するオーディオ信号は,最もピュアな波形であるサイン波を20Hzから24kHzまで時間と共に滑らかに変化させた(=スイープさせた)ものになる。カードから出力させず,ソフトウェア上で完結させたデータを「リファレンス」として,出力した波形がどれだけリファレンスと近い形状を示せるかチェックしていくわけだ。
出力した波形は,RME製4chプリアンプ「Quad Pre」に入力し,レベルマッチングを行ってから,榎本氏が音楽制作においてメインに使っているAvid製開発プラットフォーム「Pro Tools|HD」のインタフェース「192 I/O」に入力。Pro Tools|HDのコントロールソフト「Pro Tools|HD Software」(Version 9.0.6)上にアサインされたWaves Audio製のソフトウェアアナライザ「PAZ Psychoacoustic Analyzer」で表示させるといった流れになる。
波形は周波数特性と位相特性が得られるが,位相特性は,出力においては,少しでも乱れていれば何らかの問題があると判断できる。対する入力時は,(詳細は後述するが)「アンチフェーズ」という状態にさえなっていなければ問題ない。
一方の試聴では,「iTunes」からの2chステレオ音楽再生と,3Dゲームのマルチチャネルサラウンドサウンドを用いる。後者では,榎本氏の自宅スタジオで「Call of Duty 4: Modern Warfare」のリプレイおよび「Battlefield 3」の「THUNDER RUN」シークエンスにおける自動移動と,筆者自宅での「Warframe」および「The Elder Scrolls V: Skyrim」のゲームプレイを判断材料とすることにした。
2chステレオ出力時の試聴には,Crane Song製のモニターコントローラ「Avocet」に接続し,そこからADAM Audio製のモニタースピーカー「S3A」×2およびサブウーファ「Sub10 Mk2」とつなぐ2.1ch環境を用いる。サテライトスピーカーとサブウーファの周波数分割は,Sub10 Mk2の機能を用い,クロスオーバーポイントを60Hzとして行った。クロスオーバー周波数における落ち込みや盛り上がりが起こらないことは事前に確認済みだ。
比較対象には,「Pro Tools|HD3 Accel」から192 I/O経由でAvocetへAESデジタル出力した状態を用いるが,適宜,筆者自宅で実施したX-Fi Titanium HDとの比較も行う。
5.1chマルチチャネルサラウンド出力時には,Sound Blaster ZxRから,Sound Performance Lab製のアナログ5.1chサラウンドコントローラ「SPL Surround Monitor Controller Model 2489」(以下,SMC2489)経由で,S3A(フロントLR)とDynaudio Professional製「BM6A」(リアLRおよびセンター),Sub10 Mk2(サブウーファ)と接続する。
ヘッドフォンを用いたバーチャルサラウンドサウンドの比較においては,榎本氏自宅スタジオでAKG製「K240 Studio」,筆者自宅でSennheiser Communications製「PC 350」を用いた。K240 Studioは,Sound Blaster ZxRのヘッドフォン出力に直結した状態と,192 I/OからAvocet側のヘッドフォンアンプを経由した状態での比較。PC 350はSound Blaster ZxR直結での単体試聴となる。
■入力テストの方法
入力テストにあたっては,端子形状の都合上,「Pro Tools Software」で再生したスイープ信号を192 I/O経由でSMC2489にアナログ出力し,さらにSMC2489のアナログ出力からSound Blaster ZxRに接続するという形をとった。録音に用いるソフトウェアはSound Forge 10だ。WDMとDirectSoundのどちらを用いるかはSound Forge 10上で設定している。
落ち着いた「オーディオの音」を出すZxR
それでいて3Dゲームとの相性も非常にいい
テスト方法が複雑であるため説明が長くなったが,出力系からチェックしていこう。
まずライン出力だが,従来のSound Blasterに慣れた人だと,“暗い”という第一印象を受けるかもしれない。ただ,聴き込んでいけば,暗いのではなく,落ち着いているのだと分かるだろう。4kHz付近の,「プレゼンス」(≒輪郭)と呼ばれる帯域がほんのわずか低めなのが,Sound Blaster ZxRにおける「色づけ」であり,その効果が,落ち着いた印象を生んでいるのだと思われる。
低域も,192 I/OやX-Fi Titanium HDと比べると弱めだが,「ブーミー」などと表現される唸りがなく,むしろ締まった聴感である。PC用サウンドデバイスによくある,ガリガリした中高域や無闇に強調された高域とも無縁で,周波数帯域は重低域から高域まで維持しつつ,まとまりのある音に仕上がっているのだ。非常にオーディオ機器的な音だともいえる。
下に示したのは左がWDM出力,右がDirectSound出力時のライン出力波形だ。グラフで2つあるペインの上側に示した周波数特性は,グリーンがリファレンス,オレンジがSound Blaster ZxRだ。下のペインは位相特性となる。
一般に,音楽やビデオなどの再生にはWDM,ゲームにはDirectSoundが使われるという認識でOKだが,重低域を除けば,いずれもリファレンスとほぼ相似形。波形からもその優秀性は見て取れるだろう。
続いては,音楽再生用の出力モードとして用意されていると述べても過言ではないステレオダイレクトだ。
「2ch限定で192kHz出力に対応する」という,数字上のスペックが取りざたされがちなステレオダイレクトだが,一聴して気づくのは,むしろ,その名のとおりの「ダイレクト感」のほうだ。プリアンプを通さず,オーディオ再生機器から直接パワーアンプにつないだときのような“直結感”と説明したら伝わるだろうか。Sound Core3DのDSP部分を通さず,そこでゲイン補正などがかからないため,こういう印象を生んでいるのだと考えられる。
よくよく聞いてみると,中高域は少し抑えめながら,WDMのアナログ2ch出力時ほどは抑えられていない。そのため,WDMのアナログ2ch出力時が「落ち着いた音」なのに対し,ステレオダイレクトだと「元気な音」になる。
ただし,この「元気な音」は,いわゆるPC用サウンドカードによくある「高域と低域を無理矢理上げました」的な,ドンシャリ感とは無縁のものだ。いい音っぽくするのではなく,本来の出力品質で勝負している感じで好ましい。
続いてヘッドフォン出力だが,WDMの2chは,一聴して,非常にバランスのいい音になっている。ライン出力と同様に,プレゼンスを含む中高域は落ち着いていて,低域は締まった感じ。大音量で聞いていても疲れにくく,かつ,広がりも感じられる。要するに,高域〜超高域の再生がきちんとなされているということである。
あと,これは普段からK240 Studioでテストしている榎本氏が驚いていたのだが,従来のヘッドセット用リファレンスカードであるX-Fi Titanium HDにK240 Studioを接続すると,位相が多少ズレたような音になっていたのに対し,Sound Blaster ZxRではそれがないとのことだった。出力装置を選ぶようなヘッドフォンやヘッドセットに対しても対応できるよう,ヘッドフォンアンプのレベルが一段上がった,といったところかもしれない。
なお,ヘッドフォン出力時はSBX Pro Studioのスピーカー/ヘッドフォンメニューから「標準ゲイン」(32〜300Ω)か「高ゲイン」(600Ω)かを選択できるようになっているのだが,試しに高ゲインを選択すると(※),プレゼンスが標準ゲイン時と比べて多少上がりつつも,極端なハイ上がりにはならず,輪郭のしっかりした,キレのいい音になる。オーディオ的に心地よいので,高インピーダンスのヘッドフォンやヘッドセットを持っているなら,一度は試してみたい設定といえるだろう。
WDMヘッドフォン出力の標準ゲイン時。プレゼンスの4kHz付近が多少落ちているのも含め,WDMのライン出力時と大きな違いはない。中高域の相似形っぷりは見事だ |
WDMヘッドフォン出力の高ゲイン時。標準ゲイン時に見られた4kHz付近の落ち込みがなくなり,全体的に乖離が小さくなった印象を受ける |
※K240 Studioは高インピーダンスのヘッドフォンではないので,この設定で長時間運用すると壊れる可能性がある。高インピーダンス仕様ではないヘッドフォンやヘッドセットを使っている人は,標準ゲインを選択するほうが無難だ。高ゲインを選択した結果,ヘッドフォンやヘッドセットが壊れてしまっても自己責任なので,この点は注意してほしい
肝心のゲームでもチェックしよう。
まずアナログ5.1ch出力だが,試聴して最初に感じたのは「イヤな音になっていない」ということだ。ほとんどのPC用サウンドデバイスは,プレゼンスから高域を無闇に増幅したような音づくりになっているため,銃声など,もともと耳に付きやすい音が必要以上に耳についてしまい,不快に感じることが多くなるのだが,今回は,相当な大音量でも耳が痛いと感じることがなかった。
サラウンド感について言うと,真後ろまでいくと完璧ではなくなるものの,まずまずしっかり定位する。右前から飛んできて左後ろで跳ねるような跳弾の音も,ちゃんとそのように聞こえる。
総じて,3Dゲームにおいては,比較的ハイエンド寄りのマルチチャネルスピーカーを鳴らすときにも過不足ない品質を提供してくれるうえ,オーディオ的な音づくりが得てしてマイナスの方向に作用しやすいバーチャルサラウンドでも十分な結果を残してくれる。実にうまいところへ落とし込んである印象だ。
マイク入力はRecon3Dから引き続き優秀
ヘッドセット推奨だが,アレイマイクも使える
マイク入力は波形から見て行くが,WDM,DirectSoundとも,8kHz以上がカットされているのが見て取れた。これはRecon3Dのテスト結果とまったく同じで,Noise ReductionやAcoustic Echo Cancellationといった入力系プロセッサを48kHzでサポートするとDSPのリソースを使いすぎてしまうがゆえに,入力側のサンプリングレートをハードウェアレベルで16kHzにしてあるということなのだと思われる。
また,これもRecon3Dから引き続き,という話なのだが,Smart VolumeとNoise Reductionの効果は非常に高い。Smart Volumeで音量を自動で整えるようにし,Smart Volumeの弱点である「ノイズが増えやすい」問題をNoise Reductionで抑えてやることができる。
細い帯域を使って音声をやりとりするボイスチャットでは,どうしても,声が大きくなって,ノイズも増えやすくなる傾向にある。それだけに,Smart VolumeとNoise Reductionの存在は大きい。常時有効にすべき設定項目といえるのだ。
なお,ACMに内蔵されたアレイマイクだが,これは使えるか使えないかでいえば「使える」。アレイマイクを使うときは,Focusで周囲の音を拾わないようにし,かつ,Acoustic Echo Cancellationでエコーを抑えることにより,「ゲームプレイ中,音をスピーカーから出力していても,その音をマイクが拾わないようにすることで,アレイマイクを用いたボイスチャットを利用できるようにする」わけだが,その目的はきっちりと実現される。
ただ,チャット相手に届く声はちょっと機械っぽくなる。また,スピーカーの音量を一定以上に大きくすると厳しい。ヘッドセットがない環境に向けた解決策として,アレイマイクは大いに意味を持つのだが,Sound Core3Dが持つ入力性能に真価を発揮させたいのであれば,Sound Blaster ZxRにアナログ接続型ヘッドセットを接続したほうがいいとも述べておきたい。
疑いなくSound Blaster史上最高品質
ゲームも音楽も楽しみたいなら買いだ
大変長くなってしまったが,まとめよう。
Sound Blaster ZxRでは,2chの標準的なライン出力やヘッドフォン出力,新たに搭載されたステレオダイレクトモードで,非常に音楽的な音を出すサウンドカードになった。プレゼンスや高域を上げて,「これがいい音なんです!」と主張する,“マルチメディア”の音とは大きく異なるのだ。X-Fi Titanium HDでCreativeはその方向性に向かっていたが,ZxRで,Sound Blasterはついにオーディオ機器となったのである。
また,マイク入力系は,Recon3Dの頃から完成度が高いのだが,基板の実装部品ブラッシュアップなどにより,こちらも申し分のない完成度になっている。ACMの存在も,使い方の幅を広げるという意味では歓迎できるところ。Recon3DでPCのマイク入力は一段上に上がったが,Sound Blaster ZxRで,そこに磨きがかかったという理解でいい。
というわけで,出力性能が従来比で圧倒的に向上し,入力性能も順当な進化を果たしたことによって,Sound Blaster ZxRは,疑いなくSound Blasterシリーズ史上最高のサウンドカードになったといえる。3Dゲームに使いつつ,ゲームをプレイしていないときにも音楽やビデオを楽しみたいという人に,いま一番勧められるサウンドデバイスだ。
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