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ブロックチェーンゲーム業界を牽引する31名に聞く。2024年に注目したニュース,ヒットを生むために必要なこと,そしてブロックチェーンの未来
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印刷2024/12/28 11:00

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ブロックチェーンゲーム業界を牽引する31名に聞く。2024年に注目したニュース,ヒットを生むために必要なこと,そしてブロックチェーンの未来




YGG Japan
Co-Founder/SHAKE Entertainment 代表取締役
椎野真光


Xアカウント:@Masa3_Shiino
Telegramアカウント:@masa3_darkside
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<質問1>いま最も読者に知ってほしい自社サービスは何ですか

■YGGグループのネットワーク

 2024年現在、YGGグループは世界中で2000万人以上のWeb3ゲームユーザーを持つコミュニティを展開しています。特に、Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)モデルが人気のフィリピン、タイ、インドネシアといった東南アジアだけでなく、南米、中東、アフリカ、南アジアといった新興市場でも勢いよく拡大しています。
 YGG Japanはこのグループの一員として、この強力なネットワークを活用し、Web3ゲームの発展をサポートしていきます。

■Yaibaトークン

 YGG Japanは、2025年の第1四半期に「Yaibaトークン(仮)」を発行する予定です。このトークンで得た資金を活用し、コンテンツへの投資プールを構築します。
 さらに、日本のIP(知的財産)を活用したゲームをはじめとする様々なコンテンツを、新しい時代に適した形で事業化するために、情報提供、資金支援、マーケティングなど幅広いサポートを行います。

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■YGG Japanメディア

 2025年中に、YGGグループと連携してWeb3ゲームに特化したメディアを立ち上げる計画です。このメディアはユーザーとの交流の場となるだけでなく、プロジェクトがグローバル市場で資金調達を行うための重要な入り口として機能することを目指します。

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<質問2>2024年に最も興味を惹かれたWeb3関連のニュースは何ですか

 Web3ゲーム関連の撤退のニュースが続いた2024年だったと思います。
 2022年中頃から続く「クリプト冬の時代」による資金調達環境の悪化が業界全体に影響を与え、多くのプロジェクトが困難な状況に直面しました。新規プロジェクトは高い開発費や長期的な開発スケジュールが負担となり、資金調達の困難さから多くが完成前に終了しました。
 特に、Web3ゲームの開発には従来以上の資金が必要であり、その確保が難しくなっている現状が浮き彫りになりました。

 日本国内でも2023年にいくつかのWeb3ゲームがローンチされましたが、新たなトレンドを生むには至りませんでした。大手企業も参入を表明していましたが、厳しい資金環境を受け、慎重な姿勢を取るケースが増えています。
 2024年後半にはTONのような新しい仕組みが登場し、ゲーム開発のコスト削減に可能性を見せました。しかし、市場は既に過当競争に入り、各プロジェクトが生き残りをかけた激しい戦いを強いられています。事業社側も、期待だけで参入し、いくつかチャレンジして撤退するケースが多く見られ、Web3ゲームの雪解けはもう少し時間がかかると感じています。

<質問3>ブロックチェーンゲームをヒットさせるのに必要なことは何だと考えていますか

 一見矛盾するようですが、「ブロックチェーンゲームを作らない」というアプローチが重要だと思います。
 近年、多くのブロックチェーンゲームが「稼ぐ」を動機としてトークンやNFTを使ったエコノミクスを設計してきました。しかし、この方法には大きな落とし穴があります。それは、ゲームそのものの開発以上に、トークンエコシステムの設計や運営、投資家対応に時間と労力が取られ過ぎるということです。また、トークンの価値がゲーム体験に直結するため、価格の下落がプレイヤー体験を損なうリスクも伴います。

 さらに、「Play to Earn」(遊んで稼ぐ)を掲げたゲームが盛り上がりを見せたのは、情報格差が大きい一部の地域に限られていました。このようなモデルは、カジュアルなゲーマーにとって魅力的とは言い難く、結果としてユーザー層の拡大に限界がありました。こうした背景を踏まえるとプレイヤーがブロックチェーンを意識せずとも、ゲーム体験を楽しめるための要素として盛り込む、くらいの感覚が必要です。

 こうした課題を踏まえると、ブロックチェーン技術を前面に押し出すのではなく、あくまで「ゲームを面白くするための一手段」として活用する視点が重要です。つまり、プレイヤーがブロックチェーンを意識せずとも楽しめるゲーム体験を設計することが、Web2ゲームの次なる進化を切り開くカギとなるでしょう。

<質問4>近い将来(または遠い将来),ブロックチェーンというテクノロジーはどのように社会に浸透していくと思いますか

 インターネットが一般に普及するまで約30年を要したように、ブロックチェーン技術が社会に浸透するには長い時間軸での視点が必要です。現在、アナログとデジタルが共存しているように、ブロックチェーン技術も完全に日常生活に溶け込むまでには、段階的な準備と適応が求められます。
 その普及を加速させるためには、日常生活を一変させるような利便性の高いサービス、またはエポックメイキングとなるサービスの登場が不可欠です。私はその可能性を秘めた分野の一つとして、Web3ゲームに注目しています。特に、ゲーム内のデジタルコンテンツの流通がNFT(非代替性トークン)によって一般化されれば、従来の電子商取引(EC)の概念が大きく変わる可能性があります。

 ブロックチェーン技術は、間違いなくゲーム業界の未来を切り開く鍵となるでしょう。ただし、その可能性を最大限に引き出すためには、時間、イノベーション、そして制度改革が必要です。
 時間をかけて育まれたブロックチェーン技術が、やがて私たちの日常をどのように変えるのか。その答えは、私たちが今後どのように技術と向き合い、環境を整えていくかにかかっていると感じています。

<質問5>2025年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ

 現在、Web3ゲームは厳しい市場評価に直面しており、Web2規模でのビジネス的成功を収めたタイトルがまだ存在しません。
 また、2024年現在、Web3ゲームだけでなく、ゲーム業界全体が世界的な構造不況の影響を受けつつあります。
 特に、AI技術の進化により制作効率が飛躍的に向上し、大量のゲームが市場に溢れる時代が到来しつつありますが、このような状況下では、生き残るゲームが限られ、競争はこれまで以上に厳しくなるでしょう。

 しかし、この混沌とした時代こそ、新しいムーブメントが生まれるチャンスでもあります。AIを活用すれば、革新的なアイデアをすぐに形にして世に問うことが可能です。その中から、次の10年を代表するようなゲームが登場する可能性が大いにあると考えています。

 私たちYGG Japanは、こうした新しい挑戦をするゲームを全力で応援していきます。世界をリードする新しいカテゴリのゲームを見つけ、広めるための努力を惜しみません。
 そして、未来を切り開くゲームの制作者たちとともに、新しいゲームビジネスの可能性を追求していきたいと考えています。

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[2024/08/28 13:00]

YGG Japan 公式サイト





オカキチ
ゲームプロデューサー
岡本吉起


YouTube:岡本吉起 ゲームch岡本吉起塾
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<質問1>いま最も読者に知ってほしい自社サービスは何ですか

 三国志演義をベースにした、女性キャラたちが活躍する「ちゃんごくし!」シリーズです。
 「ちゃんごくし!」のキャラは自社開発のNFTマーケット「KUSOGeeeeee」を通じて、クレジットカードだけでNFTキャラの売買が簡単にできます!
 入手したNFTキャラは、シリーズ内いくつかのゲームを横断して使用できます。これまでにない『NFT遊び』を可能にした新しい形が魅力のゲームです。
 第一弾の「ちゃんごくし!結魂しよう」はポチゲーとして気軽に楽しめるオートバトルRPGをお届け。
 第二弾の「ちゃんごくし!絢爛」は戦略性と育成が楽しめるRTSゲームで、かわいい武将キャラたちと中華統一を目指す本格的なゲームです。
 「ちゃんごくし!」を通じて新しいNFT遊びを体験してみてください!

©オカキチ
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<質問2>2024年に最も興味を惹かれたWeb3関連のニュースは何ですか

 時代の明暗の両極端を示す2件のニュースが、とても印象に残りました。

  1. コロプラのグループ会社が、CoinCheck史上最速で10億円以上の目標額を達成した件
  2. ブロックチェーンゲームに対して、世間の期待が高まっていることを象徴するニュース。
  3. DMMがブロックチューン経済圏構想「Seamoon Protocol」プロジェクト推進を中止した件
  4. エンターテインメント領域でのサービスやプラットフォーム機能の提供など、ジャンルを牽引していた先達の戦線離脱。

 2024年は、後の人たちが「あの時が分岐点だった」と言うようになると思います。
 行くべきか、退くべきか。どちらが正しかったのかは、未来の歴史で語られるんだろうと思います。

<質問3>ブロックチェーンゲームをヒットさせるのに必要なことは何だと考えていますか

 人が集まることです。
 そのために先にお客様が儲かることや、面白いゲームを作ってお客様が楽しんで続けたいと思ってくれることが重要だと考えています。
 これまでのブロックチェーンゲームではリリースしてすぐに無理な販売をして、先に会社側が利益を確保し、すぐに撤退してしまうことが散見されました。
 これではお客様も不安になり、ゲームから離れてしまいます。
 会社が儲かるのは最後で良いと考えています。ゲームを楽しんでくれるお客様が多ければ自然に需要が生まれると思うので、その先に利益があるモデルを目指したいです。

<質問4>近い将来(または遠い将来),ブロックチェーンというテクノロジーはどのように社会に浸透していくと思いますか

 ブロックチェーンが浸透していけば、最終的には紙幣や硬貨が無くなる可能性があります。「通貨」は時代によって様々な形に変化してきていて、物々交換から始まり、貝殻や石、そして今の紙幣と硬貨という形になりました。
 例えば私が子供の頃は、まだ給料は封筒に入れてもらっていたけれど、今はデジタルでもらうようになっている。こういった通貨のやり取りの変化が、今後もあちこちで起こっていくのではないかと思います。
 ブロックチェーンは間違いなく通貨の歴史の1ページを担っていると考えていますので、今後も変化を恐れず取り組んでいきたいと思います。

<質問5>2025年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ

 今後も「ちゃんごくし!」シリーズで続々とゲームをリリースしていきますので、楽しみにしていてください。
 このシリーズは1つのゲームでも十分楽しめますが、複数のゲームを遊ぶときにNFTの真価が発揮されて、より楽しめる設計になっております。
 本当はもっと早くリリースする予定でしたが、まだ2つしかお届けできておらず、お待たせしてしまいゴメンナサイ。
 2025年はしっかりと多くのゲームを揃えていきますので、よろしくお願い申し上げます!

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 2024年3月5日,岡本吉起氏が率いるオカキチは「KUSOGeeeeee」プラットフォームと連動するNFTゲーム「ちゃんごくし!」シリーズを発表した。その驚くべき内容について,岡本氏に話を聞く機会を得たので,一連のやりとりをお伝えしたい。

[2024/03/13 13:30]

岡本氏のnote「ゲーム業界で40年ヒットをつくってきた男がいま、Web3.0に挑む理由」

「ちゃんごくし!結魂しよう」公式サイト

「ちゃんごくし!絢爛」公式サイト





グリー
Head of Web3 Business Development
村田卓優


Xアカウント:@TakasuguMurata
画像集 No.025のサムネイル画像 / ブロックチェーンゲーム業界を牽引する31名に聞く。2024年に注目したニュース,ヒットを生むために必要なこと,そしてブロックチェーンの未来
<質問1>いま最も読者に知ってほしい自社サービスは何ですか

 『クリプトキャッチ!釣り★スタ』です!
 満を持してグリーグループ初のブロックチェーンゲームを今年リリースすることができました。
 Sui walletと接続して簡単にプレイできます。ゲームプレイで獲得した竿をNFTにして売買ができます。
 シンプルな構造のゲームなのでブロックチェーンゲーム初心者の人にも楽しんでいただけると思います。

 加えてブロックチェーンゲームの超高額課金が当たり前というトレンドが好きではなかったのでフリーで遊べることに加えて、ガス代も当方が一定負担するという形をとりました。
 フリーで広告もないゲームを商業的にどうやって成立させているのかという点に関しては、並行して実施しているバリデータ事業での収益増を見込んでの実験的な取り組みになりました。
 釣り★スタをきっかけにSuiを扱う人が増え、トランザクションが増えればバリデータ業務が増え、収益も増えるという形です。
 ユーザーの方にはSuiというチェーンを、事業社の人にはバリデータ事業というものの魅力を知っていただけたのではないかと考えています。

<質問2>2024年に最も興味を惹かれたWeb3関連のニュースは何ですか

 Suiの価格の上昇です。
 我々がMystens Labとパートナーシップを締結した2023/6や『クリプトキャッチ!釣り★スタ』をリリースした2024/6末の相場を今の相場を比較して見て頂ければ、どれだけSuiが今年マーケットに浸透していったかがわかっていただけるかと思います。円換算すると弊社の事業にもSuiに多大なる貢献を頂きました。

<質問3>ブロックチェーンゲームをヒットさせるのに必要なことは何だと考えていますか

 面白いゲームを作れるかどうかにかかっていると思います。
 ブロックチェーンゲームと言っている間はまだまだ黎明期で、ブロックチェーンを使っていることがウリという時代は完全に終わっていて、それだけがウリのゲームはことごとく失敗をしました。
 ブロックチェーンを前面に出すとユーザからも投資家からも嫌厭されたのが2024年でした。ブロックチェーンという機能を使ってしか実現できない面白さを誰が発明するかにかかっています。

 従来法的に運営から貸与されているアイテムを購入したと誤認して、サービス終了後には召し上げられるスタイルのweb2ゲームがいつまでもユーザに支持されるとは思えず、ユーザの所有物になるというテクノロジーを活用した面白いゲームが誕生した時にはに支持されることになることは間違いありません。

 事業観点ではブロックチェーンゲームマーケットが他のマーケットよりも一番商業的に成功できるという確信がない間は大手企業も大きな投資をすることは難しいと思います。その点においてはtelegram mini appの膨大なユーザ数は大きなゲームを作る可能性を残してくれました。
 事業社としては、これらの新興市場をいかに学習して事業投資を行えるかにかかっていると考えています。

<質問4>近い将来(または遠い将来),ブロックチェーンというテクノロジーはどのように社会に浸透していくと思いますか

 アメリカでのビットコインのETF承認をはじめとして、仮想通貨がオルタナティブ資産としての立ち位置をより強固にした一年でした。投資対象としての広がりは加速すると思います。
 他方で大きなハッキング事件も起きてしまい、セキュリティ体制には十分に改善の余地があり、より安全な資産になった時にまた一段価値が向上するものと考えます。

 また通貨を発行できるという魅力が今年もブロックチェーンを浸透させました。pump.funやvirtualsの躍進をみてもわかると思います。
 pump.funは今年商業的に、キャッシュイン観点で一番成功したブロックチェーンプロダクトではないでしょうか。Memeコインの現在の姿に私は懐疑的な姿勢ですが、投資対象としての価値以上に、そのエンタメ性がユーザの裾野を広げたことは間違いありません。
 ただしマッチポンプなプロダクトが長く社会に支持されるわけもなく、このような試行錯誤を経てより永続的なサービスが誕生するのだと思います。

<質問5>2025年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ

 ゲームのリリースをしてみて、マーケットの大局観に対する視点が多面的に増えました。ユーザー規模の小ささの一方で参加される方の熱量の高さから勘案するとまだまだ黎明期であったと思います。
 ここからどれだけマーケットに浸透していくのか、それを見極めながらbusiness developmentとしては時代の半歩先をいくくらいのタイミングで新しい挑戦を仕掛けていきたく思います。

Copyright : BLRD Pte.Ltd.
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「クリプトキャッチ! 釣り★スタ!」公式サイト





コナミデジタルエンタテインメント
web3事業部長
金友 健


Xアカウント:@web3momentums
画像集 No.042のサムネイル画像 / ブロックチェーンゲーム業界を牽引する31名に聞く。2024年に注目したニュース,ヒットを生むために必要なこと,そしてブロックチェーンの未来
<質問1>いま最も読者に知ってほしい自社サービスは何ですか

 自社開発のNFT提供ソリューションでありマーケットプレイスでもある「リセラ」の開発運営と、web3体験を提供するコンテンツの準備を進めています。
 「リセラ」ではブロックチェーンの知識がまったくない方でもご利用いただけるようにweb3ウォレットや暗号資産を使わずに日本円でNFTの取引ができるようにしています。
 ゲーム内のアイテムボックスで選んだNFTをそのままマーケットプレイスに出品でき、マーケットプレイスで購入したNFTもウォレット接続など気にすることなくゲーム内で使うことができます。
 ブロックチェーン関連の少し難しいと感じる部分をすべて裏側の仕組みで処理していますので、ゲームプレーヤーは感覚的に分かりやすいUIUXでサービスをご利用いただけます。

<質問2>2024年に最も興味を惹かれたWeb3関連のニュースは何ですか

 米国次期政権への期待値による世界的なweb3の盛り上がりです。クリプトウィンター(暗号資産の冬)で止まっていた世界中の優秀なプロジェクトが再始動し、全く新しいサービスも多く誕生するでしょう。
 いよいよグローバル規模で大きな動きが加速し、海外から国内に面白いコンテンツがどんどん流れ込んできます。これまでは国内ファーストで進めていたプロジェクトも多かったと思いますが、これからは世界水準の品質やスピードにフォーカスを合わせて舵を切る必要があります。

<質問3>ブロックチェーンゲームをヒットさせるのに必要なことは何だと考えていますか

 キーファクターはおもしろいコンテンツとユーザーフレンドリーな仕組みです。難解で時間や手間のかかるゲームがヒットすることはなかなかイメージできません。
 お題は、ブロックチェーンによる体験の拡張をどのようにゲームのおもしろさとしてコンテンツに落とし込むか、プレーしたいと思った時に障壁となるような難しい手続きがない仕組みをどう設計するかだと思っています。
 結果的に、web3だからプレーするというよりも面白いからプレーしているゲームが実はブロックチェーンの技術を使っていたというところまで持っていきたいと考えています。

<質問4>近い将来(または遠い将来),ブロックチェーンというテクノロジーはどのように社会に浸透していくと思いますか

 コンビニで買い物をするような軽い感覚で、地球の裏側の人とも様々な価値の交換をすることが当たり前になるのだと思います。
 ブロックチェーンやAIなどによって、これまで経済圏を隔てていた物理的な距離や言語、通貨のなどの違いが分断要素ではなくなり世界がひとつになっていくような感覚を持っています。リアルとデジタルの共通価値としてのNFT、共通通貨としての暗号資産やステーブルコイン、ゲートとなり価値や通貨を保管するウォレットがそれぞれ進化していきます。
 これらが人々の生活に浸透することで、様々な経済圏をまたぐ行動が可視化され、マーケティングも変わります。つながることが流動性になり、ひとつの大きな世界に人々が生活していることが今よりも実感しやすい世界になるのだとも思います。世界中の価値や体験にアクセスできることは、ローカルな価値の再発見を促し各産業の発展にも寄与し、人々の生活の選択肢を拡張していくと信じています。

<質問5>2025年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ

 つながる世界はまだもう少し先です。足元でやるべきことはNFTが人々に使われているという状態を作ることで、まずそのために明確なユーティリティを持つNFTを開発し提供していきます。
 これはむしろ本質的な価値を提供するためにNFT化するという意味合いの方が強いです。同時に、欲しいと思って購入したものを手放すときに、売るという選択肢がある世界をデジタルでも作っていきます。
 NFTの社会実装を実現するとweb3/ブロックチェーンゲームの景色はおそらく相当に変わると思いますので1-2年はこれに集中していきます。
 インターネットに接続しないゲームが少ないように、いずれブロックチェーンを使わないゲームも少なくなっていくのではないかと思います。その延長で、つながることやデータをつかった新しいマーケティングにも段階的に挑戦していきたいと思っています。

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[2024/07/08 13:39]

「リセラ」公式サイト





しおにく企画
代表
しおにく(澤 紫臣)


※編注:アマツの取締役/業界団体ガイドライン作成担当/自治体顧問・特任研究員/作家としてマルチに活動する澤氏。“しおにく”として、連載「それって、ブロックチェーン使わなくてもいいんじゃないですか?」を4Gamerに寄稿している。

Xアカウント:@sionic4029
画像集 No.015のサムネイル画像 / ブロックチェーンゲーム業界を牽引する31名に聞く。2024年に注目したニュース,ヒットを生むために必要なこと,そしてブロックチェーンの未来 画像集 No.016のサムネイル画像 / ブロックチェーンゲーム業界を牽引する31名に聞く。2024年に注目したニュース,ヒットを生むために必要なこと,そしてブロックチェーンの未来
<質問1>いま最も読者に知ってほしい自社サービスは何ですか

 サービスではなくて恐縮ですが、JOGA(日本オンラインゲーム協会)/CESA(コンピュータエンタテインメント協会)/MCF(モバイル・コンテンツ・フォーラム)連名による「ブロックチェーンガイドライン」の改訂版が7月に公表されました(外部リンク)。
 初期のガイドラインから改訂までかなりの時間をかけてしまったことは否めないのですが、実務に携わる人にとって必須かつ痒いところに手が届くものになったと思います。このガイドラインによって適法にブロックチェーンゲームが企画開発されていくことを祈ります。

 昨年の回答に記載させていただきました『かながわ政策研究ジャーナル 第17号』が3月に無事刊行されました(外部リンク)。特集記事にて地方自治体の抱える行政課題にWeb3がどのように活用できるか、ブロックチェーン技術の初歩から解説しています。いっしょくたに語られがちだったメタバースも掘り下げています。
 4Gamerの読者にどれくらい地方公務員のかたがいるかは私はわかりませんが、もし首長が「これからはWeb3だ!メタバースだ!」と言い出したときに、ぜひこのジャーナルをもとにレクを入れてください……!

 そして、このジャーナルには教材として付録にカードゲームがついています! Web3における「DAO」の仕組みを学べるように作りました。PDF形式でダウンロードできます。
 なぜ自治体発行の難しそうなジャーナルにそんなものが付録されているのかについては、私が関わってるんだからしょうがない、としか言いようがないんですが、ご興味ある方はぜひお友達とプレイしてみてください……!

 さて、これらガイドラインにしても政策研究にしても、魅力とは正直者が馬鹿を見ない仕組みや制度が整っていくことにあると感じています。
 今年は、電動キックボードやネットの泥棒市や時間売り労働アプリを三台巨頭として適法か否かを問われる世情を感じましたが、ブロックチェーンゲームに限らず国内Web3に関しては、グレーゾーンを攻めて大儲けという時代は来ないままでいいと思います。

<質問2>2024年に最も興味を惹かれたWeb3関連のニュースは何ですか

 Telegramが「闇バイト御用達の連絡手段」という認識になったこと。ブロックチェーンゲームのプラットフォームでもあるのに、逆風ですね。
 もう一つ述べてよいならばマウントゴックス事件の弁済が開始されたこと。10年越しですよ。これは連載で触れたいと思います……。

<質問3>ブロックチェーンゲームをヒットさせるのに必要なことは何だと考えていますか

 ひとつめは、X(旧Twitter)での「インプレゾンビ」に挙げられるように、国どうしの経済力(=軍事力)の格差を利用した流れ。
 細かく言うと、貧乏な国の暇人にデジタルのクソをバラ撒かせて貨幣価値が相対的に高い国の暇人がそれと交換に小遣いをやることで、なんだか世界中で盛り上がっているように見えるグローバルなビジネスモデル。
 さらに"再び"そのやり方で儲けられるなら誰よりも早く触りたい!という期待感の煽りと、Discordでおれだけにさっさとお得情報を教えてくれ〜!という庶民の欲望を重ねたもの。

 ふたつめは、誰もが「使いやすいウォレットを!」「取引所での操作や審査を簡易に!」と思い、声を上げ、試行錯誤をし、もう何年経ってるかわからないんですが、そうこうしているうちにブロックチェーンを意識しなくていいゲームが登場したわけです。
 それって、サーバーとDBを組み合わせたスタンダードな仕組みではいけなかった理由って何なのでしょうか……? その確固たる理由。

 みっつめは、暗号資産に対する税制や会計基準が整理され、個人向けにも分離課税が導入されることでこんなにも利点がある、ということをいつまで言い続けなきゃいけないのかというこの環境。
 Web3界隈って、ブロックチェーン事業をやってるんじゃなくて、"与党を動かすゲーム"をやってるように見えると言ったら、皮肉が過ぎますかね?

<質問4>近い将来(または遠い将来),ブロックチェーンというテクノロジーはどのように社会に浸透していくと思いますか

 振り返ってみて、「ブロックチェーン利用の最適解がビットコインであった」というところに落ち着くのだと思います。なぁんだ、一番最初に一番最適な使われ方が発明されてしまっていたのか。お金やお金みたいなものをいじるのが最も儲かる。皆さんご存知のとおりであったわけです。

 しかしながら、日本各地がもし甚大な災害に見舞われた際、あるいは三たびの世界大戦となった際に、非中央集権的なデータにとんでもない価値が発生するというのはあり得ます。
 でもそんな、グレート・リセットを待ち望んでワンチャン期待するというのは不謹慎というもの。むしろ防災や被災者支援・復興の観点での使途があるのではという視点を持ちたいです。

 それに、ブロックチェーンを維持する膨大なエネルギー消費は忌避されつつあり、同じエネルギーというなら今ではLLMをはじめとした生成AIをブン回すのに使われてしまっています。
 テクノロジーの浸透もほどほどに、私たちはいずれ電気を満足に得られなくなる時代が来ることを考え、備えていったほうが良い気がしています。

<質問5>2025年に向けての抱負と、4Gamer読者に向けてのメッセージ

 連載「それって、ブロックチェーン使わなくてもいいんじゃないですか?」を長らく止めてしまっていて本当に申し訳ありません。再開となる原稿を書きましたので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今年度から自治体のeスポーツアドバイザーを拝命しております。オンラインゲーム業界に20年以上おりますが、どちらかというとeスポーツ的なタイトルとは縁遠かったため、エアプのままでは良くないと格闘ゲームの練習を日々欠かさずにやっています。
 そもそもの反射神経がよくないところ、アラフィフの身体が悲鳴を挙げ、肩が、腕が、指が、ローテーションで痛んでいます。来年は兼業プロゲーマーとしてコメントしたいです(それはハードル上げすぎだろ)。

澤氏は,書籍「NFTゲーム・ブロックチェーンゲームの法制」(Amazonリンク)や「ブロックチェーン・ゲーム 平成最後のIT事件簿」(Amazonリンク)を著している
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「ブロックチェーンゲームに関するガイドライン」

「かながわ政策研究ジャーナル 第17号」


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