インタビュー
サウジアラビアの王子再び。「日・サeスポーツマッチ」で公式来日したフェサール王子に,3年間の歩みを聞いた
サウジアラビアの王子がお忍びでEVO Japanを視察――「ゲームプレイヤーのライフプラン」をサウジアラビアで作りたい
2018年1月26〜28日にかけて行われていた,日本最大の格闘ゲームの祭典「EVO Japan 2018」には,お忍びでサウジアラビアの王子が視察に来ていた。「SASUKE」「風雲!たけし城」に続き,「EVO」でも何かを考えているご様子だ。
名前を正確に表記するならば「His Royal Highness (HRH) Prince Faisal bin Bandar bin Sultan Al Saud」となり,報道では普通「ファイサル王子」「ファイサル・ビン・バンダル王子」と書かれることが多いが,初めてお会いしたときに日本語での表記はフェサール王子でよいと言われているので,そう記す。
前回のインタビューのときと同じことを改めて書いておくが,サウジアラビアには王子が100人以上いるわけで,中でもエンタメ大好き,ゲームも大好き,もちろん日本も大好き,「SASUKE」も「風雲!たけし城」も大好き(しゃぶしゃぶも大好き)なのが,このフェサール王子だ。
外部サイト:サウジ王子来日、『SASUKE』アラビア語圏版制作でTBSと契約(AFPBB)
外部サイト:「風雲!たけし城」サウジ版制作へ 王子らTBS訪問(AFPBB)
王子のお父様は,スルタン(皇太子)家に生まれて長く駐米大使を勤めたことで有名なバンダル王子(HRH Prince Bandar bin Sultan bin Abdul-Aziz Al Saud)で,お母様は第三代国王(ファイサル国王)の娘であるハイファ王女。バンダル王子は,総合情報省長官,国家安全保障会議事務局長を歴任し,前国王の特別顧問として積極的に外交交渉を行ったことでも有名だ。
フェサール王子自身は米国で学んでいたが,2005年に米国からサウジアラビアに戻り, 2017年にはサウジアラビアe-Sports連盟の会長に就任している。そしてまた,アラブ連盟諸国が参画するe-Sports連盟の会長でもある。
EVO Japan当時,幸運にもその来日情報をキャッチしてインタビューできたわけだが,今年の東京ゲームショウにも,今度はオフィシャルに(準国賓だろうか)来日されるという情報を得た。TGSと同じ日程で,JeSUが「日本・サウジアラビア eスポーツマッチ」を開催したからだ。
オフィシャルな来日なのでさすがにお時間をいただくことは難しいかと思いつつ,久しぶりのことでせっかくの機会なので,せめてご挨拶くらいは……とご連絡を差し上げてみたところ,なんとインタビューするお時間をいただけるとのこと。
お会いしてから3年以上が経っているわけで,一国の王子ともなるとゲームだけに時間を遣うわけにはいかないだろうし,ちょっとは考え方が変わったりモチベーションに影響したりしているか……と思ったら,まったくそんなことはなかった。
むしろこの3年で確固たる実績をいろいろ積み上げ,これから始めることに対する夢と希望を語って頂けたインタビューとなった。3年前とはまったく違う,自信に裏付けされた「業界の先駆者」としての貫禄をまとい,今後もさらに一層精進するとのこと。
その一部始終をぜひ,皆さんにもお読みいただきたい。
最初のEVO Japan以来なので,たぶん3年半ぶりぐらいですよね。今日はお時間を取っていただけて,本当にありがとうございます。
フェサール王子:
EVO Japanはすごく良い思い出です。僕自身がとても楽しみましたから(笑)。
4Gamer:
ありがとうございます。今回は,前回のお忍び視察と違って公式な来日の時間内ですので,さすがにちょっと緊張しています。
フェサール王子:
いえいえ,あまり緊張しないでください(笑)。楽しくeスポーツの話をしましょう。
4Gamer:
でも今回はオフィシャルな来日ということで分刻みのスケジュールだと思うのですが,こうしてお時間を取っていただけて光栄です。本当にありがとうございます。
フェサール王子:
私にとっては,eスポーツを含めたゲームの話は,今回すごく楽しみにしていたインタビューの1つです。個人的には,あなたは私のミーティング相手の中の一番重要な人の一人ですから。
4Gamer:
……すごく緊張してきました。
国を代表していらっしゃっている殿下がそうおっしゃるのであれば,サウジアラビアという国が,物理的にも精神的にもすごく遠い国なのに,ゲーマーにとってはすごく“近い”国であることを読者に示すのが,僕のミッションだということですね。
フェサール王子:
それが,私がeスポーツというものをすごく好きな理由の一つでもあるのです。eスポーツが,距離を無くしてコミュニティを1つにするというパワーを持ったものということですね。実際には誰かの横に座っていなくても,横に座っているかのように感じられるのです。
4Gamer:
そうですね,とくに「試合」というものが絡むeスポーツでは,それが顕著かもしれません。真剣になればなるほど,対戦相手のことが近くに感じられるような気がします。
フェサール王子:
そこに絡めて一つ,eスポーツがほかのすべてのメディアと違う特徴は,あなたが誰かに残す第一印象は,あなた自身のスキルのレベルだということです。あなたの国の歴史でもなく,あなたの外観でもなく,あなたの性別でもなく,あなたが信じる宗教でもないのです。
つまりそれは,アイデンティティが,ゲームのスキルに基づいて認識されるということです。お互いにどんな人なのかを深く知るのは,まず勝負ありきなのです。
4Gamer:
おっしゃるとおりです。誰にとっても平等なんですよね。
国内2100万人のゲーマーのうち,1000万人が女性―――若い女性がもっとプロのeスポーツ選手になってほしい
4Gamer:
しかしいまおっしゃった中では,ジェンダーレスという部分が実は以前から少し気になっていました。もちろん日本人としては,ほとんどの人があまり気にならずに納得できる部分ではあるのですが,サウジアラビアという国においてはとても重要な問題でもあるという認識です。
そこが,サウジのeスポーツ普及にとって何か障害になったりはしないのでしょうか。僕自身,サウジアラビアという国の情勢にそこまで詳しいわけではないので,おかしな質問だったら申し訳ありません。
フェサール王子:
いえ,大丈夫ですよ。お気にされる部分もよく理解できますし。
我々がゲームイベントでリサーチしたところによれば,ゲームコミュニティという話で言うと,大体2100万人のサウジの人が,自分のことをゲーマーだと思っています。
4Gamer:
に,2100万人? サウジアラビアの人口ってどれくらいでしたっけ……?
全体で3300万人です(笑)。そして,その中の48%が女性で,52%が男性です。
4Gamer:
そんなに女性比率が高いんですか……。
はい。でもサウジアラビアの問題は,自分がゲーマーだと考えているその人達の数が,eスポーツプレイヤーの人数に転換されていないことです。
かなり簡潔にまとめると,今の我々e-Sports連盟のミッションは,若い女性ゲーマーがプロのeスポーツ選手になってくれるような流れを作ることにあるのです。自分がゲーマーだと思っている女性が多い割には,プロ選手になる女性が少ないのです。
4Gamer:
これまでで,その動きがうまくいった具体例などはありますか?
フェサール王子:
ありますよ! 去年やっていたFIFAトーナメントであるFISUの栄冠を勝ち取った,世界的なFIFAチャンピオンの女性選手※がいます。彼女はプロのチームと契約して,今後,プロリーグで活躍する予定です。
外部サイト:FISU eSports Champion breaking down barriers(英語)
外部サイト:Saudi Arabian woman Najd Fahd wins world FIFA 20 e-Football Playstation tournament(英語)
4Gamer:
すごい,もうそういうレベルの人までいるのですね。
フェサール王子:
彼女には,次世代の若い女性たちが表に出て活躍するということの“模範”になってほしいのです。彼女のような先駆者は何人かいますが,私が思うに,すべての若い女性のための先駆者を集めて世界の舞台へと立たせることこそが,キーとなるのだと思います。
4Gamer:
それをするにあたっての問題はなんでしょうか。
僕にとって大きな問題なのは,自分が男性だということです。男性の立場から,女性に対してそういうメッセージを出せるとは思いませんし,その役を務められるのは女性しかいません。
我々はそのような次世代の子たちを世界の舞台に持っていけるヒロインを作らないといけないのです。
4Gamer:
しかし先ほどのお話を聞いている限り女性ゲーマーも相当な数がいるわけですから,以前よりはそういう活動もやりやすくなっているのではないでしょうか。
フェサール王子:
そうですね。僕がすごく嬉しく思っているのが,おっしゃるとおり我々は大きくかつ活動的なコミュニティを持っているということです。我々の目標は,道筋を探して,彼らがゲーマーとしてプロになれるようなサポートなどを提供することです。
4Gamer:
ではジェンダーに関わる問題がeスポーツの普及に影を落とすということは,今はあまりないということでしょうか。
もちろん,殿下のお姉様※がその方面でいろいろとご活躍されていることは存じておりますが,そうはいっても急には変われなかったりするのかな……などと思ってしまっていたのです。
※HRH Princess Reema,サウジ国内で女性の権利擁護の活動に取り組んでおり,政界での存在感を急速に高めていることでも知られる。サウジ国内のスポーツを統括する組織に携わり,女性のスポーツへの参加促進に取り組んでいる
外部サイト:サウジ、王女を駐米大使に任命 女性の大使就任は初(CNN)
フェサール王子:
もちろんそれ(ジェンダー問題)は成長と変化を続けています。サウジアラビアも,ほかの国と同様の問題を抱えていると言えるでしょう。
ただ,僕はすごくラッキーな位置づけにいます。サウジには,先ほど述べたような強力な,そしてアクティブな,そしてすごく緊密なコミュニティがあるからです。男性であれ女性であれ,お互いのことをよく分かっていて協力し合っています。
4Gamer:
その,ゲーマー同士が支え合うコミュニティを維持するために重要なことはなんだと思われますか?
フェサール王子:
一番重要視しているのは家庭と学校でしょうか。それが誰であれ,プロのeスポーツ選手やゲーム産業での仕事においてキャリアを積み重ねる道筋がありますよということを,見せられるようにしています。
eスポーツに限らず,ゲーム産業全体の教育システムを作り上げたい―――ゲーム業界でキャリアパスを得られる可能性を作っておくことが我々の責務
それはたぶん,前回お会いしたときに殿下もおっしゃっていたゲーマーにキャリアパスを作るというお話と同じですよね。
フェサール王子:
そうです,我々は三方向からこれらの産業を立ち上げようとしています。繰り返しですが説明してもいいですか?
4Gamer:
もちろんです。お願いいたします。
フェサール王子:
まず一つ目は,基盤となるフィジカルロケーションです。コミュニティのメンバーを集めることができ,多くの人が来場してみんなで一緒にゲームができる場所です。オンラインでプレイするだけではなく,実際に集まれる空間ですね。
もちろんこれはCOVID-19の影響でプラン自体が少し停滞していますが,我々は頑張っています。
4Gamer:
なるほど。リアルの場所も必要だと。ほかのポイントはなんでしょうか。
フェサール王子:
二つ目は,eスポーツ文化というものを,単体のイベントから“リーグ”へと変化させることです。イベントは単発で起こせるものなので,イレギュラー的に多く発生して,人々はそれらの不定期的なイベントに参加して楽しんでいますが,リーグを起こすことでプロとして活躍できる場を提供するシステムを作りたいと考えています。
4Gamer:
大事なことだと思います。「あなたこそプロです!」と周りがちやほやするだけで活躍の場を用意しなかったりすると,その人にメリットがないだけでなく,プロであることの意義が成立しませんから。
フェサール王子:
ええ。そして三つ目,最も重要なものは教育です。eスポーツに限らずゲーム産業全体の教育システムを作り上げようとしています。多様なキャリアパスが業界内に存在していることを知って,この業界に興味を持ってほしいのです。
4Gamer:
日本でもまだまだ弱いと思ってるキャリアパスですが,そこが最初から基盤の一つになっているということですね。それは確かにすごいです……。
フェサール王子:
以上の3点をもって,コミュニティを成長させるための持続的なベースができて,ゲームにまつわる関連産業の成長も期待できるようになります。我々の目標は,サウジアラビアがゲームにおいて国際的な中心になることです。日本や韓国,アメリカなどと同じように。
4Gamer:
ゲームの話になると,おそらくは古今東西問わず,現実的には若い人達が中心になると思います。先ほど,国民の多くがゲーマーであるという話をされていましたが,サウジアラビアの人達はゲーム業界には興味を持ってくれているのでしょうか。
フェサール王子:
そこは大丈夫です! さっき述べたコミュニティに調査を行った結果,男女を問わず70%以上のゲーマーはゲーム業界で教育を受けるか,仕事をするか,そういうことに興味を持っています。したがって我々がやるべきことは,彼らがゲーム業界でキャリアパスを得られる可能性を作っておくということなのです。それは,我々の責務です。
4Gamer:
キャリア,ではなくてキャリアパスですね。
フェサール王子:
そうです。もうちょっと広い枠組みの話です。
ゲーマーや,ゲーム業界に興味を持つ人達,彼らの家族,その前後の世代でもそうですが,まず道筋を見せることが大事です。あなたがゲーム業界で見つけられるのは,シンプルなキャリアではなくて,多様なキャリアパスだということを。
4Gamer:
それはいいですね。ゲーム業界に興味を持ってくれる人が増えそうです。
それと,よくある誤解を解いておきたいです。
ゲーム業界で仕事をしたいと思っても,キャリアの選択肢が数種類に限られていると思われがちなのですが,それは違います。自分自身が興味を持っていることがあれば,それに応じたキャリアをここ(ゲーム業界)で見つけることができます。例えばあなたのように記事を書く人でも,eスポーツのコーチでも,テストプレイヤーでも,プログラマーでも,グラフィッカーでも。あなたが情熱を持っているものに応じて,それを満たすようなキャリアパスはたくさん用意されているのです。
このようなキャリアパスがあることを皆に見せることによって,業界全般が有機的な成長を遂げることができるのです。
4Gamer:
日本でもそういう情報は意外とバラバラにしか存在しないので,体系的に見せられると,すごくよいと思います。
フェサール王子:
我々の仕事の大半は,その潜められた可能性を見せることと,その道にある潜在的な障害を外すことになります。
この2つのことをこなしていけば,情熱と基礎知識を備えた若い人達が成長でき,自分たちの主張を述べられるようになります。そうなったら,若い人達の向かうところが,我々の目指すところになります。
4Gamer:
なるほど。走り出したらあとは任せる,と。
フェサール王子:
ええ。強引に,あれやれこれやれと押し付けなくていいんです。その道にある可能性を見せ,障害を取り除くだけでよいのです。自由に成長する機会を,彼らの手に与えることこそが重要なのです。
4Gamer:
3年前におっしゃっていたことが今もまったくブレてなくて,すごく安心しました。
フェサール王子:
情熱だって全く薄れていませんよ!(笑)
サウジのeスポーツは,過去3年間目に見えて成長している―――すべてはゲーム産業のため,ゲームコミュニティのため,プロの選手のため
4Gamer:
3年前にお会いしてから世界はすっかりコロナ禍で変わってしまいましたが,殿下はこれまでどんなアクションをしてきたのでしょうか。
フェサール王子:
新型コロナウイルス感染症の影響はeスポーツだけに限ったわけではありませんが,確かにすべてをオンライン上に移す必要がありました。でもこの期間に,我々の中でも大きな成長がありました。
まず我々は,eスポーツのプロリーグ「Saudi eLeague」※を立ち上げました。プロのサッカーチームとプロのeスポーツリーグを立ち上げ,そこにいる選手はすべてプロのサッカーチームと契約をしているのですが,その中の一人が,先ほど触れた女性,Najdです。
※2017年にサウジアラビアのゲーム産業およびゲーミングコミュニティを成長させるために設立したSaudi Arabian Federation for Electronic Sports(SAFIES),今年からSaudi Esports Federation(SEF)という名称で活動している。サウジアラビアのゲーミング選手(elite gaming athletes)をサポートし,世界的なeスポーツ大会へ送り出すことを目指し,2020年からサウジアラビア最大のリーグSaudi eLeagueの活動を始めた。
4Gamer:
なるほど,そこの方だったのですね。
フェサール王子:
それに加えて,すべてのeスポーツ関連活動において民間団体の参加も増やしています。つまり,全部が政府のアクションというわけではなくなっているのです。我々のコミュニティそのものを国際的にしようとしていて,今回日本で行われた日本・サウジアラビア eスポーツマッチもその一環です。
[TGS 2021]「日本・サウジアラビア eスポーツマッチ」の記者発表会レポート。eスポーツを通じて両国の交流を深め,さらなる発展を目指す
日本eスポーツ連合は,2021年10月2日と3日に「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」を埼玉県所沢市の「ところざわさくらタウン」で開催する。その開催に先駆けて,東京ゲームショウ2021の会場で記者会見が行われたので,その模様をお届けしよう。
- キーワード:
- :ストリートファイターV チャンピオンエディション
- アクション
- CERO B:12歳以上対象
- カプコン
- プレイ人数:1〜2人
- プレイ人数:1〜8人
- 格闘
- :ストリートファイターV チャンピオンエディション
- :グランツーリスモSPORT Spec II
- :THE KING OF FIGHTERS XIV STEAM EDITION
- :THE KING OF FIGHTERS XIV
- :eFootball 2022
- :eFootball 2022
- :eFootball 2022
- :eFootball 2022
- :eFootball 2022
- :鉄拳7
- :鉄拳7
- :鉄拳7
- OTHERS
- イベント
- 編集部:S.K.Y
- eスポーツ
- TGS 2021
関連記事:日本・サウジアラビアeスポーツマッチ JAPAN ROUND「ストV」部門をレポート。ふ〜ど選手,ネモ選手,ときど選手が全勝を収める
関連記事:日本・サウジアラビアeスポーツマッチ「鉄拳7」部門レポート。日本のペコス選手,ダブル選手,破壊王選手が全勝でサウジを下す
4Gamer:
残念ながら今回はオンラインのみの開催ではありましたが,実施できたことが大きな一歩になったと思います。
フェサール王子:
そうです。eスポーツに関しては,ここまでの過去3年間は目に見えて成長しています。人々が実際に足を運んで,ほかのプレイヤーと会えるフィジカルロケーションに関しては確かに一歩立ち止まってしまいましたが,一方のオンラインの発展は非常に大きいです。
4Gamer:
では今回のイベントのようなことが,国際的にいろいろとどこかで行われるということでしょうか。
今回のイベントの趣旨は,組織と組織でどんなことができるのかを見てもらうためのものです。アジアのeスポーツを盛り上げよう,世界チャンピオンを勝ち取ろう……ということだけにこだわるのではなく,組織間,国家間,コミュニティ間,そのそれぞれにおいて何ができるのかを見出す必要があります。
4Gamer:
ではつつがなく終了したようなので,結果は上々でしたね。
フェサール王子:
はい。今回のイベントは,このような協力ができることを証明してくれるもので,将来の基礎となってくれることでしょう。サウジと他国という話に限らず,日本と他国でも,もちろん世界中のどの国とも,一緒に同じような取り組みができます。
「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」調印式をレポート。2019年1月開催,賞金総額3000万円。「ストVAE」「ウイイレ2019」「鉄拳7」などを使用
JeSUは本日,「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」の調印式を開催した。JeSU会長の岡村秀樹氏と,サウジアラビアeスポーツ連盟会長であるファイサル・ビン・バンダル・アール・サウード王子が出席し,2019年1月に行われる親善試合の調印とスケジュール発表を行った。
4Gamer:
今回のイベントをやってみて,何か事前の予想と違ったことはありましたか?
フェサール王子:
そういうことは特になかったです。我々サウジのチームが日本に来られることと,日本の選手がサウジに行けること,それがコミュニティを結びつけるきっかけになるということを,僕は一番期待しています。その第一歩を踏み出せたので,とても満足しています。
4Gamer:
サウジの選手の皆さんはどうでしたか。
フェサール王子:
彼らが日本に来て,日本の選手に会えて,日本のサーバーでほかの日本プレイヤーと対戦できて,異なるテクニックやプレイスタイルに接したことをすごく喜んでいます。
日本選手がサウジに来るときも,同じような気持ちになってもらえるよう期待しています。その時は,日本選手に僕らの文化をお見せしようと思っているのですが,異なるところだけでなく,どれほど共通点があるかなどもお見せできればいいですね。
4Gamer:
なんというか,eスポーツ云々という枠を越えて,大きな視点からアクションをしていますよね。
フェサール王子:
我々は常に俯瞰的に見て活動することを心がけています。我々が行ってきたアクションはすべて,コミュニティをコミュニティをつなげることへと注力しているのです。それは言い方を変えれば,ゲーム産業のため,ゲームコミュニティのため,プロの選手のためということに尽きます。
コミュニティ同士に緊密な関係を持たせるために,両国のコミュニケーションを直結することは,産業の成長にもつながるでしょう。そしてこれを良き事例として同じような取り組みを他国でもできるようになります。
自分を磨いて腕を上げる唯一にして最良の方法は,強い人に挑み,強い人から学ぶこと―――サウジが世界最強になる道は,いま始まったばかり
その先駆けとなった「日本・サウジアラビア eスポーツマッチ」ですが,殿下は試合を見られましたか?
フェサール王子:
はい,もちろんです。「バブル」方式と国際儀礼(プロトコール)※の関係で,全マッチの現場には行けませんでしたが,オンラインで試合を見ました。eスポーツの試合は,いつ観てもすごく興奮してしまいますね。もちろん,伝統的なスポーツの試合を見ても興奮しているのですが(笑)。
※開催地を大きな泡で包むように大会を運営し、選手や関係者の外部との接触を遮断するのが,「バブル」方式(日経新聞)。プロトコールとは、国家間の儀礼上のルール。要人の訪日などの接待礼儀を定めているもの。(外務省)
4Gamer:
僕も観ていました。日本全勝でサウジにとっては残念な結果ではありましたが,鉄拳とかストリートファイターなんかは,すごくいい試合になっていましたよね。
フェサール王子:
次のチャレンジのときにはいくつか勝てるよう期待しています!
4Gamer:
とくにストリートファイターの最後の選手※は,かなり強かった印象です。
※ときど選手相手に強い攻勢を見せたBreaker選手(試合レポートはこちら)
フェサール王子:
本当ですか? 嬉しいです。彼はまだ15歳です。今後に期待できますね。
4Gamer:
え,まだ15歳なんですか。それはすごい……。
ところであの競技の中で,サウジアラビアで一番はやっているタイトルはどれなのですか?
フェサール王子:
あの5タイトルで言うならば,一番人気があるのは「ストリートファイター」と「鉄拳」だと思います。サウジには,大きな格闘ゲームコミュニティがありますし。
4Gamer:
やはり格ゲーなのですね。
フェサール王子:
もちろん,すべてのゲームがたくさんのプレイヤーを持っていますよ。
そういえば今回,我々がすごく興味深かったのが,eFootballの試合※です。実は2日前にバージョンが上がったばかりなのに,今回のトーナメントは最新バージョンでやっていました。プレイヤーの皆さんが,誰よりも早く新しいバージョンに触れて,理解して,それで試合をしていたことに,すごく感動しました。
※KONAMIの定番サッカーゲームシリーズ「ウイニングイレブン」を進化させた新ブランド,eFootball。10月3日に行われた日本・サウジアラビアeスポーツマッチ JAPAN ROUND「eFootball」大会の対象タイトル「eFootball 2022」(PC / PlayStation 5 / Xbox Series X / PlayStation 4 / Xbox One)は,直前の9月30日に日本発売されたばかりだった。
[TGS 2021]日本・サウジアラビアeスポーツマッチ「eFootball」大会の模様をレポート。日本チームが4勝1敗でサウジを圧倒
2021年10月3日にところざわサクラタウンで行われた,「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ JAPAN ROUND」の「eFootball」部門大会のレポートをお届けしよう。日本とサウジの友好を深めるeスポーツによる親善試合で,全5戦に及ぶ白熱の試合は日本チームが4勝1敗でサウジチームを圧倒した。
4Gamer:
確かに2日前はすごいですよね。ある意味イコールコンディションです。
でも僕が一番熱く思ったのは,サウジアラビアのプレイヤーが,この5タイトルで世界トップレベルのプレイヤーと対戦する機会があったことです。
自分を磨いて腕を上げる唯一にして最良の方法は,強い人に挑み,強い人から学ぶことです。彼らが目指すべきレベルが見えたことで,自分がどのように練習すべきなのか,分かっただろうと思います。自分を世界最強へと導く道は,いま始まったばかりなのです。
4Gamer:
親善試合みたいなほんわかムードではなく,日本も一流の選手をバンバン出していましたし,そういう意味では殿下がおっしゃるようなことはうまく実践できていたのでは,と思います。
フェサール王子:
はい。まさに我々が望んでいたことです。
先ほど申し上げたように,コミュニティを一か所に集めて相互に連動してくると,すべての人がそこから成長できるようになります。最強であろう日本の選手が「我々とは異なるテクニックや動きを見ることができました」と言っていたのを見ました。それが,日本選手をさらに強くするわけです。
4Gamer:
そういう風に交流が進むのってすごくいいですよね。スポーツ全般がそういうものなのかもしれませんが,自分の行動範囲内みたいなところでそれが起こるのは,ちょっと嬉しいです。
フェサール王子:
そうですよ。世界最強の日本の選手たちのプレイを見られたことで,サウジの選手のプレイがさらに上達します。日本の選手がサウジの選手の動きを見て,見たことがないと思って学習します。こういうことが全体的に有意義で,両国に成長をもたらすのです。
4Gamer:
徒競走で速くなるには,速い人と走ることですしね。
フェサール王子:
まさにそれです! 先ほども話に出た僕らのストリートファイターチームの15歳のプレイヤーですが,その年齢で世界チャンピオンと対戦するという経験ができて,日本の選手のテクニックを学ぶことができて,本当によかったです。このような経験に比べたら,僕がサウジ国内で彼らにしてあげられることに,そこまでの価値はありません。
4Gamer:
いえそんなことはないでしょう……。でもおっしゃるように,リアルの経験に勝るものはないとは思います。
フェサール王子:
はい。我々が作れるのは,最高の基礎施設やコミュニティ,リーグというシステムであって,どれも“経験”には遠く及びません。サウジの選手にいろいろなことを経験させることが,私が彼らにしてあげられる最高のものであるといえるでしょう。そして他国の選手をサウジに招待して,僕らが経験させてもらったことを,他国の選手達にも経験させてあげたいのです。
ちょっと言いづらいお話ですが,(日・サeスポーツマッチが行われたこの時点で)日本から見たサウジアラビアというのは,eスポーツが盛んで強い国というイメージがまだそんなになかったのです。とくに格闘ゲームなんかではそうでした。
でも試合を見ていた日本のゲーマー達は,「あれ,サウジの選手結構すごいな」「意外とつよいな」って盛り上がっていたので,そういう意味ではさっき殿下がおっしゃっていた両国のコミュニケーションというのはうまくできているんじゃないかなぁ,という気がしています。YouTubeで観ていただけなのですけど。
フェサール王子:
そう,それがすごく重要なのです。「自分がどんな人」であるのかを見せることもまた,すごく大事です。これこそが,我々が熱意でやっていることであって,このようなイベントをもっと開催したい理由でもあります。
我々はまだ成長できますし,もっと学ぶこともできます。我々がどんな人で,どれくらいの力があるのかも,イベントを通じて世界の舞台にお披露目できます。この業界の盛り上がりに対して,もっと多くの人が,もっといろいろやってあげたいという興味を示してくれると思います。そしてこれが,もっと多くのプレイヤーがサウジを訪ねていただけるきっかけとなり,それがまた,サウジのプレイヤーがもっと広い世界で腕を磨くきっかけにもなるのです。
4Gamer:
国作りにもつながっていきますね。
プロeスポーツ選手の成功につながるものすべて,できる限りのサポートやチャンスを差し上げます―――でも楽しむことを忘れないでほしい
フェサール王子:
国作りといえばちょっと話が戻るのですが,サウジアラビアの若いプレイヤーに知ってほしいのは「あなたが成功へ向かう道には障害がありません」ということです。遠征でも,練習でも,本国のリーグでも,プロeスポーツ選手の成功につながるものすべてにおいて,できる限りのサポートやチャンスを,我々が用意します。そして僕は,彼らがその機会を逃すことなく,成長して強くなってくれることを信じています。
4Gamer:
そんなことを一国の王子から言われるサウジアラビアの選手は,本当に恵まれていますね……。
フェサール王子:
もう一つ伝えておきたいのは,試合が終わるまでは,これがeスポーツであってゲームであることを忘れないでほしいのです。競技性のある素晴らしい試合になってほしいし,もちろん自国のチームには勝ってほしいのですが,一番重要なのは,彼らに楽しんでほしいということなのです。
外の世界を見て,他国のカルチャーを理解して,新しいものを学んできてほしいのです。これもまたイベントを楽しむ方法の一つで,彼らが選んだeスポーツ選手というキャリアを味わう方法でもあります。
4Gamer:
3月に日本チームがそちらに行くときには,ぜひいろいろとよろしくお願いします。
フェサール王子:
はい,3月にお待ちしていますよ!
4Gamer:
しかし……3年前にお話を聞いた時にも,今も,同じことを感じたのですが,サウジアラビアのそれほど立場の人が,eスポーツだったり,ゲーム業界だったりというのを,そんな真剣に考えていることが僕個人はまだちょっと不思議なのです。
その熱意と情熱は,どこからくるのでしょう。
フェサール王子:
実は僕は単なるゲーマーなのです(笑)。たぶん生涯ゲーマーです。
この仕事をやっているメリットは,家に戻ってゲームをプレイしていて,妻に「まだゲームやっているの?」と叱られても「いやいや,これは仕事ですよ!」と言えることですね。
(全員笑)
4Gamer:
お子様は?
あぁ……一番つらいのは,そこです。
息子はいま5歳で,そろそろ6歳になります。延々とゲームを遊びたがる年頃です。ゲームを遊ぶのはいいのですが,やめどきも教えないといけませんし,時間のコントロールもさせないといけません。妻と一緒に息子を教育しなければならないのですが,でも実は僕も遊びたいのです……!
毎回毎回息子に「もうこれで終わりだからね」と言わなくちゃいけないときに,内心ではずっと「一緒に遊ぼう!と,もっとゴネてゴネて!」と考えています(笑)。
4Gamer:
かなりダメなお父さんですね……。
フェサール王子:
ゲーマーなので仕方ないです。
4Gamer:
でも王子のような立場の方がそれほどまでに,eスポーツだけではなくてエンターテイメント全般のことを考えていらっしゃって,国を良くしていこうと思うその気持ちが……うまく言えないのですけど,すごくうらやましいですね。日本だと社会的に逆な話はよく聞こえてくるのですが。
フェサール王子:
サウジアラビアがすごくラッキーなのです。我々は政府の最高機関からサポートされています。もうすぐサウジから数多くの発表をお伝えできるかと思います。ゲーム産業とeスポーツに対する政府のサポートと,官業(事業団体)※のサポートに関する内容になります。
※政府や地方公共団体が直接もしくは特殊法人や独立行政法人を介する形で経営する事業体
4Gamer:
ますます状況が進化していくわけですね。
フェサール王子:
僕自身すごくそれを楽しみにしています。ここ数年,僕と僕のチームが文字どおり寝る間を惜しんで頑張ってきたものが,ようやくいま収穫のときを迎えました。そのあともバンバンいろんなことをアナウンスする予定ですので,本当にわくわくしています。
4Gamer:
COVID-19のせいもあって,日本もやっぱりeスポーツの普及というのはちょっとうまく進んでいない感じがあります。eスポーツの華であるオフライン大会が開けないから仕方ないのですが。
そんな中こうやって熱意のあるお話が聞けたし,国別対抗戦ができたし,世界も日本も少しずつ状況は落ち着いてくるのでしょうから,eスポーツの歩みがようやくまた始まるのかなと楽しみにしています。
フェサール王子:
でもそんなに悪いことばかりでもありません。COVID-19がeスポーツにもたらした影響は,一つの側面で見ると強い推進力になっています。より多くのゲームがオンラインでプレイされて,より多くの大会がオンラインで開催されて,より多くの人が実況や動画を観てくれているのです。コロナ禍の前よりも多くの人が,ゲームに興味を持ち始めてくれたのです。
もちろんおっしゃるように,人々を興奮させて,参加させて,熱気を感じられるオフラインイベントを開催できなったことは大きいです。つまり,良い側面も悪い側面もあります。
4Gamer:
確かに,インターネットを使うという特性がいい方向に出ているシーンも多く見られますね。
フェサール王子:
いま我々やるべきことは,起こったことを受け入れて,いまの情勢を一つのプラットフォームとして利用し,そしてコロナが終わったころに,世界のゲーム業界とeスポーツ業界に,本当の成長をもたらすことです。
40万人が参加して,50億以上のインプレッション―――もはやゲームは「無駄に時間ばかりを費やして,何も生み出さない」ものではない
そのうち分かりやすい“成長”の一つが,新しいイベントです。過去2年はやむを得ずにコロナ禍での生活をしてきましたが,逆に我々は「Gamers without borders」(国境なきゲーマー達)」※というイベントを作りました。
※世界最大のチャリティーeスポーツイベントである「Gamers without borders」は,2020年に初めて開催された。
4Gamer:
国境なき医師団みたいでカッコいいです。
フェサール王子:
ありがとうございます(笑)。シーズン1ではコロナ救済に募金をしました。最近終わったばかりのシーズン2では,ワクチン普及に募金しました。どちらも,1000万ドルの募金ができましたし,参加者数も,1年目は20万人で,2年目は40万人と大きく盛り上がっています。
4Gamer:
……すみません,聞き取りミスかもしれないので再度聞きますが“40万人”ですか?
フェサール王子:
ええ,20万人と40万人です。
そのイベントは,三つの方向から行われていたのですが,その一つ目は「観る」です。プロ選手の試合を観戦することができます。選手たちの試合の賞金プールは,彼らの判断でチャリティにもできます。
そして二つ目は「遊ぶ」。誰でも参加できて,ただ単に遊ぶことができます。感染拡大防止やロックダウンの関係で,家に足止めされて何もすることがない人達に,参加して楽しむことを提供しました。
4Gamer:
三つ目はなんでしょう?
フェサール王子:
「学ぶ」,です。セミナーや講演,ウェビナー,交流会などができるプラットフォームを立ち上げました。ゲーム産業に関する内容をシェアして,ゲーム産業に入る道筋を人々に見せます。コロナが終わったあと,働き方のプランを立てられるようになるわけです。
4Gamer:
なるほど。ここでもキャリアやキャリアパスというものが大きな意味を持っているのですね。
フェサール王子:
しかしなにより驚いたのは,「Gamers without borders」について我々(=主催している人間)の誰も予想できなかったのは,シーズン2でイベントのTwitterなどのSNSを見てくれたインプレッション数が,累計50億を超えていたということです。我々のSNSアカウントが,50億以上のインプレッションを獲得していたのです。
4Gamer:
50億!
フェサール王子:
あらゆるところから人々が集まっていて,本当の意味での国際的なイベントになりつつあります。ゲームやeスポーツというものは,過去に思われていたような「無駄に時間ばかりを費やして,何も生み出さない」ものではなくなりました。
4Gamer:
確かに日本も比較的最近まで「ゲームは悪」と言われ続けてきましたが,そのイメージはここ数年でずいぶん変わってきた気がします。
フェサール王子:
そうですね。そもそもプロのeスポーツ選手は,自分達の健康状態の維持に対してとてもシビアです。それはフィジカルでもメンタルでも同じです。そして国際コミュニティの一員として,何かを達成しようという意欲があります。もちろんそれは自分のためだけでなく,世界のためです。彼らこそが我々の未来なのです。
僕から見ると,「Gamers without borders」の成功は,サウジアラビアのeスポーツ組織だけの成功ではなく,グローバルのゲーマーコミュニティの成功なのです。
4Gamer:
では殿下が次に成すべきことはなんでしょうか。eスポーツコミュニティがいい感じに立ち上がったのであれば,次は「ゲーム産業」でしょうか。
フェサール王子:
はい,それが我々の計画ですが,まずは出来ることをやり尽くす予定です。プロの指導,オフラインでプレイできる基盤の設立,そしてゲーム産業,です。先ほども申し上げたように,eスポーツだけでなく,ゲーム産業の世界的なキャピタル(中心)になりたいのです。
4Gamer:
そこに強い意志があるのですね。
もちろんです! ゲーム産業とは,ゲームにまつわるすべてを指しています。ゲーム制作やローカライズ,投資など,すべてを含めた産業です。
サウジのコミュニティには才能に溢れた人が多いので,我々のやることはただ,彼らの邪魔になっているものを取り除いて,教育やビジネス,人々を呼び寄せるアクションなど,あらゆるチャンスを提供することです。
邪魔なものを取り除いてチャンスを与えれば,彼らはきっとそれをちゃんとモノにして,産業を成長させてくれると思います。
4Gamer:
それを進めていこうと思ったら,なんらかの形でメンターのような人が必要かと思いますけど,そこはどのような感じでお考えですか?
フェサール王子:
いま我々が一部でやっていることは,インターナショナルで経験のある海外選手を招聘して,彼らの知識や経験を教えてもらうということです。まずはローカルコミュニティのヒーローやメンターになり,成功して,さらに時代を作る世代を生み出します。
理想で言うならば,そんな人材が持続的に登場してほしいですが,もちろん何もないところから自発的に湧いてくるわけではないことは承知しています。
4Gamer:
でもすでに基礎となる部分はできつつありますよね?
フェサール王子:
はい。我々にはもう,ベースの知識やパッション,コミュニティなど必要な条件が揃っています。僕がやれることは,そこに要素を足してあげることです。それは例えば教育です。海外から素晴らしい人材を国内に招聘して教えてもらって,教えてもらった彼らが次のジェネレーションのメンターになるわけです。
4Gamer:
……もうちょっと質問したかったのですが,もうお時間のようです。本日はお忙しい中お話の機会をいただき本当にありがとうござました。
eスポーツのみならず,サウジアラビアのゲーム産業そのものも引っ張っている立場におられる方として,次にお会いするときに,さらに素敵な話が聞けることを楽しみにしています。
フェサール王子:
光栄です。ありがとうございました。
次はサウジで会いましょう。そうすれば,サウジに今何が起こっているのか,あなたがご自身の目で見ることができます。そのときはあなたを容赦なく連れ回して,いろんなものを見せますね(笑)。
4Gamer:
ぜひ期待しています(笑)。ありがとうございました。
フェサール王子:
アリガトウゴザイマス!
- この記事のURL: