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[TGS 2016]「EVO Japan」の概要発表を振り返って。運営委員会の面々がトークを繰り広げた「なぜなにEVO Japan」レポート
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印刷2016/09/17 20:09

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[TGS 2016]「EVO Japan」の概要発表を振り返って。運営委員会の面々がトークを繰り広げた「なぜなにEVO Japan」レポート

 東京ゲームショウ2016初日の2016年9月15日,国内開催となる対戦格闘ゲームの世界大会「Evolution Championship Series Japan」,通称「EVO Japan」の大会概要がプレスカンファレンスで発表された。その翌日の9月16日,東京ゲームショウ2016の4Gamerブースにて「なぜなにEVO Japan」と題したステージが開催。運営委員長の金子紀幸(ハメコ。)氏と,TOPANGAの豊田風佑氏,GODSGARDENの稲葉央明氏が,発表を振り返って繰り広げたトークの内容をまとめておこう。プレスカンファレンスの記事はすでに掲載しているので,先に目を通してもらえると幸いだ。
 なお本稿では,ステージで繰り広げられたトークの中で重要と思われる部分を適宜編集しつつ抜粋した形となっている。約1時間にわたって行われたステージの様子をそのまま見たい人は,下の動画でチェックしてほしい。


画像集 No.003のサムネイル画像 / [TGS 2016]「EVO Japan」の概要発表を振り返って。運営委員会の面々がトークを繰り広げた「なぜなにEVO Japan」レポート
左からMCのアール氏,EVO Japan運営委員長の金子紀幸(ハメコ。)氏,TOPANGAの豊田風佑氏,GODSGARDENの稲葉央明氏。豊田氏と稲葉氏も運営委員会のメンバーだ。9月15日に行われたプレスカンファレンスの映像を見たあと,アール氏が質問し,運営委員会のメンバーがそれに答えるという形でトークが繰り広げられた

アール氏:
 プレスカンファレンスの発表内容は,すごく格闘ゲームコミュニティを重視しているという印象があります。その運営委員長をハメコ。がやるというのは,意義があると思うんです。どこのコミュニティにも属してないけど,いろんなコミュニティに知られている,稀有な存在なので。

金子紀幸氏(以下,金子氏):
 顔を出しに行くことも多いですし,取材にも行きますしね。

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アール氏
アール氏:
 そういうハメコ。が,EVO Japanで「コミュニティをひとつに」と言うのであれば,格闘ゲームだけでなく,ほかの対戦ゲームやゲームセンターまでもがパートナーとして並んでいることに,説得力があります。
 でも,皆で協力して作り上げる祭典として,「コスプレをしてもいい」「サイドトーナメントをやってもいい」「廊下でいきなりみんなでゲームをしてもいい」といったサイドイベントを募集しているのを見ると,この日本で会場をどうするのかという点は気になります。

金子氏:
 会場について,具体的な話ができなかったのは申し訳なく思っています。みなさんもご存じのとおり,2020年に東京オリンピックがあるじゃないですか。それに合わせて,現在,(国内にあるさまざまな)大きな会場が改装しているんですよね。なのですごく苦労しています。探してはいるんですけど。

アール氏:
 普通は,会場が決まってから開催時期を発表するものじゃないですか。時期だけ先に発表しちゃって大丈夫なんですか。

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金子紀幸(ハメコ。)氏
金子氏:
 2018年1月のものに関しては大丈夫なんじゃないかと。
 風呂敷を広げて,格闘ゲームが好きな人なら何がしかの形で参加できるイベントにしたいんですが,会場の規模でどこまでできるかは決まってしまうんですよね。そこは現実問題と戦わないといけないところです。
 本当はサイドトーナメントも,できれば最新タイトルだけじゃなく,「俺がこのトーナメントやりたい!」って人が来てくれれば,「どうぞやってください」と言いたいですが,場所が全員にちゃんと提供できるかは難しい問題になると思います。運営委員会としては,やりたいことに対して現実と折り合いをつけて,一番いいところに着地させるという感じですね。

 けっこう勘違いされることとして,今回いろんなコミュニティに声をかけていますが,だからといって,そのコミュニティのタイトルが選ばれるというわけではないです。
 むしろ,たとえば今回パートナーとして紹介したコミュニティに「スマブラDX」(「大乱闘スマッシュブラザーズDX」)などは入っていないですが,発表に合わせないといけなかったから時間的にできなかっただけなんですよ。考えてはいます。
 “やりたい”というタイトルがいっぱいあるのは分かっているので,こちら(運営委員会)としては“やりたい人が多いコミュニティ”に,サイドトーナメントなどを優遇することになるだろうとは想定しています。現実的に。

 ただEVO Japanを発表してから「○○が競技種目に選ばれないかな」っていう意見をたくさん見るんですけど,それは違います。そこは「お前がやれ」ですよ。「それを実現するためのお手伝いだったら最大限に努力する」,そういうスタンスです。

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パートナーとして紹介された格闘ゲームコミュニティの一覧

アール氏:
 EVO Japanは“本家EVO”と比べてどれぐらいの規模になるのでしょう。

金子氏:
 本家はどんどん成長していますし,日本の人口や使用可能な会場を考えたら,「同じ規模で」というのはちょっと難しいですね。まだなんとも言えないですが。

アール氏:
 では,EVO Japanは海外から来る選手をどのぐらい意識しているのでしょうか。それによって開催地も変わってきますよね。空港に近いところがいいとか,東京を外してすごく大きな会場を使えるところがいいとか。

金子氏:
 プレスカンファレンスではEVO Japanを「日本凱旋」「日本で迎え撃つ」と表現しましたし,もちろん意識はしています。
 ただ個人的な考えを言えば,まずは日本の格闘ゲームコミュニティをひとつにして,そこで盛り上がれるという土台を作らなかったら,外から人は来ないと思うんですよね。本家EVOも,盛り上がったことで行く日本人がどんどん増えていったわけですから。
 会場に関しては,とりあえず東京近郊で,宿泊施設も近くにあるところという形で選定しています。海外から来た人に,ついでにゲームセンターとかも行ってもらいたいですし。

アール氏:
 なるほど。
 さて今回,TOPANGAとGODSGARDENが運営委員会のメンバーとなっています。その真意を教えてください。

金子氏:
 今回,「コミュニティをひとつに」というスローガンを打ち出しましたが,これは最初から考えていたものなんです。EVO Japanで何ができるのかを考えたとき,オープントーナメントで,ダブルエリミネーションで……って,本家の形式を模倣するだけの大会なら,ぶっちゃけ,お金があれば誰でもできると思ったんですよね。だってそうでしょ?(笑)
 なので“なにかそれ以外のこと”をやらなければ「なんでEVO Japanをやるのか」ということになってしまいます。そこで,コミュニティをひとつにするというか,このタイミングならみんなで一緒にできるんじゃないかと考えたわけです。
 でも,ほかの人に「みんなで一緒にやろう」と声をかけるとして,それだけでは説得力がないですよね。

アール氏:
 ないですね。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [TGS 2016]「EVO Japan」の概要発表を振り返って。運営委員会の面々がトークを繰り広げた「なぜなにEVO Japan」レポート

金子氏:
 「みなさんのコミュニティを仲間はずれにしません,一緒にやりましょう」と言うにあたって,何が一番効果的なのかを考えたとき,TOPANGAとGODSGARDENが一緒にやるんだったら,「うちもやってやってもいいかな」となるんじゃないかと思ったんです。それが,豊田さんと稲葉さんに声をかけた理由の一つですね。

アール氏:
 たしかに,TOPANGAとGODSGARDENの名前が並んでいて,イベントやりますとなれば「面白そう」「何が起きるんだろう」「今までにない何かが起こりそう」となります。
 ではEVO Japanの相談があったとき,豊田さんと稲葉さんは何を思ったのでしょうか。答えられる範囲で教えてください。

金子氏:
 ひと月かふた月ぐらいお二人と話をしましたよね。

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豊田風佑氏
豊田風佑氏(以下,豊田氏):
 けっこう早くからね。ハメコ。さんと4Gamerの記者の方が一緒にいらして,最初に話を聞いたときに,音頭を取るのがハメコ。さんっていうのは,ほぼほぼ決まっていたんです。さっきアールさんがお話しされていたとおり,ほかのコミュニティと一緒にやるにあたって,ほかの人だったらそんなに信用できなかったかもしれません。ハメコ。さんだから,ほかの人達をつなげることができるっていうのはすごく思いました。
 あと,ほかのコミュニティと一緒に活動するのはいいことだと思うんですけど,日本ではみんなでゲームを楽しむという文化が浅いという印象がありますよね。

金子氏:
 EVOの盛り上がりと比べたら「違うな」っていうのは感じますね。

豊田氏:
 大会の規模感も海外と違いますし,日本では開催しづらい部分もあります。
 そんな日本だと,個人的には,コミュニティを一つの方針でまとめるのではなく,いろいろなコミュニティがあって,それぞれが独自に動いたほうが良いと思っているんです。ニコ生で配信者を近くに感じてゲームに興味を持つとか,プロゲーマーとして活動していくとか,いろいろな入口があれば,どこかしらに引っかかるかもしれないじゃないですか。それが個人的な考え方です。
 でも今回,EVOを日本で再現するというのは,各々のコミュニティの感覚って関係がなくて「EVOの理念はこう。こうするためにみんなでがんばりましょう」ということになるので,すごく手をつなぎやすいんですよね。協力するに至ったのは,そういう考えからですね。

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稲葉央明氏
稲葉央明氏(以下,稲葉氏):
 こちらとしては,楽しくやろうとしているのであれば,ぜひ混ぜてもらいたいっていうのが最初にありましたね。なおかつ,もっといろんな人に声かけるつもりだと聞いたので。混沌とした場所ってすごく楽しいじゃないですか。そういうところから新しいコミュニティが生まれたりすると嬉しいなと思って,いろんな期待含みで,とくに断る理由がなかったという感じです。

金子氏:
 TOPANGAとGODSGARDENは全然違うことをやっていますけど,どちらも大勢のファンがいますよね。それって,組み合わせたらアツいですよ。
 でもそれには何か旗が必要,そしてそれがEVO Japanだったという。

アール氏:
 でも旗振りの役割って大変だと思うんですよ。コミュニティが独立したまま,持ち味をなくさないよう活動するってことは,うまく合致しない部分も多々あると思いますし。

金子氏:
 もちろんそうですが,それをどうにかするのが自分の役割と考えています。それをやるなら,自分が一番いいんじゃないかなって。

アール氏:
 個人的な感想ね。一番キツいとこいったなあ(笑)。

金子氏:
 それで面白くなるなら,やれる範囲でやりますよという感じです。
 今回,ゲームセンターにも声をかけたんですよ。ミカドさんとニュートンさんなんですけど,やっぱりゲームセンターも外せないよねと。本家のEVOを再現するだけでなく「日本でやるならこうだろ」というのは大事に思っていて,アーケードは絶対に外せません。
 じゃあ現実的にアーケード筐体並べてできるのかっていうと,我々としては善処します,と。実行委員会の方々に,どうしてもやりたいからお願いします,と。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [TGS 2016]「EVO Japan」の概要発表を振り返って。運営委員会の面々がトークを繰り広げた「なぜなにEVO Japan」レポート

アール氏:
 前例があるんだから,できないことはないですよね。

金子氏:
 ニュートンの松田さんなんかは,最近のアーケード系の全国大会のほとんどを運営していらっしゃいますよね。コミュニティに声をかけるだけじゃなくて,今の対戦ゲームシーンの一翼を担っている,スキルのある人達に,まずは声をかけたつもりです。
 格闘ゲームのコミュニティといっても,それぞれで全然違うと思うんですよ。最新の格闘ゲームが好きで,大会を見るのが好きな人はTOPANGAもGODSGARDENも知っているかもしれない。
 でも,古いアーケードゲームが好きで今でも続けている人達からすれば,なんだかよく分からないものかもしれない。なので,その人達にもフックがかかるようなところに声をかけて,面白そうと思ってもらえるようにしたいです。

アール氏:
 各団体の“配信におけるコメントの色”とかもありますよね。コミュニティがまとまったときに,そのあたりはどういう風になるんでしょうね。

金子氏:
 まあ,カオスかなと。
 でもとにかく,参加することが楽しいイベントにしたいですね。日本のゲームイベントって,自分で参加するというよりは,見るスタイルに進んでいますよね。もちろんそれも大事な要素ですが,そればかり続けていくと,観られる側のプレイヤーがどんどん減っていってしまうので。

アール氏:
 個人でネットのオンライン対戦をやっている人が「EVO Japanに参加したいです」と言ってきた場合,そういうのものを受け付ける受け皿はあるんでしょうか。それとも,会場のスペースを使っていいよという形になるのでしょうか。

金子氏:
 現実問題として,どこまでスペースを用意できるかがまだ決まっていないので,そこが決まってくれば,参加の仕方も選べるようになってくるんじゃないかと思います。

アール氏:
 では,手を挙げる人に「ぜひ」という心づもりはあると。

金子氏:
 もちろんあります。何かしたいって人にハナから「無理だよ」とならないようにはしたいですね。
 やろうと思えば,持ち込みでゲーム機を1台持ってくれば,それで大会を開くのは不可能ではありません。参加する人にはそういったことをやってもらいたいんですよね。「俺らここで大会やっちゃうけどいいの?」と言われたら「どうぞやってください」という形です。

アール氏:
 EVOって元々,みんなでゲームやハードを持ち寄ってできあがっている,すごく稀有な大会ですよね。EVO Japanもその精神で進むのでしょうか。

金子氏:
 EVOの取材には5回ぐらい行ってまして,決勝戦のアツい試合などは面白いですけど,それ以上に好きなのは,初日の廊下とかの風景なんですよね。

アール氏:
 開場1時間ぐらい前から並んでいて,謎の携帯用モニタを持ってる人とかがいるという。

金子氏:
 そうそう。それを使って,いきなり座り込んで対戦していたりするんですよ。あの光景を日本で再現するにはどうしたらいいのかっていうのが,今回のEVO Japanのコンセプトに反映されています。
 国民性みたいなものがあるので,簡単にはアチラと同じにはならないと思いますが,ああいう光景は「まわりのやつがみんなゲーム好き」だから生まれるものじゃないですか。じゃなかったら,並んでいる最中にいきなり座り込んでゲームなんてしませんよ。
 そういう場を作りたいんですよね。横にいるやつは全然知らないけど,こいつもゲーム好きなんだよなって思ってもらえるイベントにしていきたいです。

画像集 No.008のサムネイル画像 / [TGS 2016]「EVO Japan」の概要発表を振り返って。運営委員会の面々がトークを繰り広げた「なぜなにEVO Japan」レポート

アール氏:
 では最後にTOPANGAとして,またGODSGARDENとして,EVO Japanにどのように関わっていこうと考えていらっしゃいますか。

豊田氏:
 つきなみですけど,純粋に,EVOが日本でできるってアツいですよね。日本だと,どうしても大きなオープントーナメントを開催するのはキツいんですよ。金銭的に厳しいだけでなく,人手も必要なるんですよね。
 今回,ハメコさんがいろいろなコミュニティに声をかけて,そしてハーツユナイテッドグループさん,松竹ブロードキャスティングさん,Aetasさんが実現に向けて動いていただいて,ここにいる3人を中心とした運営委員会で開催に向けて動いていく。そこに,今までにない期待感を感じます。自分がやっている中で期待感というのもアレなんですけど。今回で前例ができれば,オープントーナメントの開催が日本でも増えていくかもしれないですし。
 私自身が期待しているだけでなく,EVO Japanって聞いて参加したい,見に行きたいっていう人達の期待を裏切らないよう,頑張らなければいけないと思っています。

稲葉氏:
 本家EVOは唯一無二のものだと思うんですよ。それに対して,EVO Japanは「日本ならではのものだよね」って言えるようなものを作れるといいなと思います。普段絶対に交わらない,いろんなコミュニティが隣にいるっていう“奇妙な”距離感も含めて,それがEVO Japanだよねと言われるようなものを作れればいいな,と。

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豊田氏:
 各コミュニティのゴールはみんな一緒なんですよ。ゲームを盛り上げたい,楽しんでもらいたい,見て面白いっていうのを分かってもらいたい。純粋に楽しんでくれる人が増えるというのが最終目標です。それに至るまでのプロセスは,各コミュニティで違うものですが,今回はハメコさんがそれをまとめてくださるということなので(笑)。期待してがんばるのでよろしくお願いします。

金子氏:
 最後に,プレスカンファレンスでもしれっと言ったのですが,来年(2017年)にプレ大会みたいなものをやりたいと思っています。それにはいろんな意義があると思うんです。EVOを日本でやるにあたっての問題なども分かると思いますし。規模は小さいものかもしれませんが,第0回大会ができるよう動いているところです。そちらのほうもぜひ期待してください。

画像集 No.009のサムネイル画像 / [TGS 2016]「EVO Japan」の概要発表を振り返って。運営委員会の面々がトークを繰り広げた「なぜなにEVO Japan」レポート

EVO Japan公式サイト


TOPANGA公式サイト

GODSGARDEN公式サイト


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