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画面のないゲーム機「Audio Adventures」で,想像力を刺激するラジオドラマ風アドベンチャーを楽しもう
「Audio Adventures」公式サイト
Kickstarter「Audio Adventures」
キャンペーンページ
「Audio Adventures」の外観は,片手で持てる筐体に[A][B][C][D]の4つのボタンが付いたもの。上記のように画面は存在しておらず,専用に開発されるラジオドラマ風アドベンチャーゲームが楽しめる。具体的には,ボディのスピーカーから主人公が置かれた状況を説明するナレーションやキャラクターのセリフが流れるので,これを聞き,4つのボタンにアサインされた選択肢から1つを選んで物語を進めていくという形式だ。
公式サイトによれば,ゲームは「テキストベースのコンピューターゲームや,ゲームブックを思わせるもので,ラジオドラマのようなスタイルで配信される」とのこと。行動に応じて展開が変化するほか,イースターエッグやランダムで出現する隠しシーンも用意されているので,高いリプレイ性を持っているという。
ゲームブックは現在でもスマートフォンアプリなどで楽しめるが,画面のない「Audio Adventures」ではテキスト表示もなく,声優の演技や効果音などに頼ってプレイすることが大きな違いになる。耳で聞き,想像力を膨らませてゲームを進めていくわけだ。
「Audio Adventures」を作ったのは,イギリス在住の元ビジネスマネージャーで,11冊の小説を出版した経験もあるというLee McGeorge氏だ。コロナ禍で職を失ったことをきっかけに,電子工学の学位を取得し,自分の能力を試すためにサウンド中心の潜水艦ゲームを作った。難しいルールを解説するために船長と乗組員のボイスを追加したところ,潜水艦同士の戦いより会話のほうが面白いことに気付いたという。
そして,もともとゲームブックや1940年〜50年代のラジオドラマを愛していたことから,会話や効果音,ナレーションによるアドベンチャーゲームを構想。生まれつき目が見ないが,YouTubeのゲーム関連チャンネルで活動するBen Breen氏,そして,ゲーム好きだったが視力を失ったEdward Jackson氏と出会ったことで,視力に障害のある人でも楽しめるゲーム機「Audio Adventures」の開発がまとまっていったという。
そのため「Audio Adventures」はアクセシビリティを重視したハードウェアで,ゲームは,挿入する方向を間違えないよう配慮されたカートリッジで供給される。
現在は,超能力兵士としてナチスに誘拐された教授を救出する1940年代ラジオスリラー風の「THE PSYCHOTRONIC MIND」,追い詰められた暗殺者が謎の女に翻弄されるノワールスリラー「HOTEL OF SECRETS」,不思議な森でサソリの女王に狙われながら冒険する「BEWILDER」の3本が用意されている。
子ども向けというわけではないが,下品な言葉やアダルトシーンは含まれておらず,「インディ・ジョーンズ」シリーズや「ジュラシック・パーク」シリーズなどのスピルバーグ監督作品に似た雰囲気だそうだ。
また,子ども2人が幽霊屋敷を探索する「How Close is the Ghost」,ウサギマスクを付けた3人の女性が銀行強盗を行う「Bank Robbing Bunnies」,氷原でクリーチャーの襲撃を退ける「Ice Cold」の制作も予定されており,これら以外に,複数のサードパーティによる新作も開発中とのこと。新規参入も募集しており,40の命令で構成された独自のスクリプト言語を使えば,「Audio Adventures」用ゲームを簡単に作れるという。
本体とゲーム(「THE PSYCHOTRONIC MIND」「HOTEL OF SECRETS」「BEWILDER」から1つを選ぶ)が65ポンド(約1万2000円)。本体とソフト2本で89ポンド(約1万7000円),本体とソフト3本で99ポンド(約1万9000円)となっており,発送開始は2025年1月が予定されている。
ゲームブックとラジオドラマ,どちらも歴史ある娯楽だが,両者を組み合わせ,視覚に障害がある人でもプレイできる新たなゲーム機として生まれる「Audio Adventures」。最近のゲーム業界ではアクセシビリティへの配慮が進められており,本機が多くの支持を集めたのも,そういった点が評価されたのかもしれない。続報を楽しみにしたい。
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