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VRコントローラを置き換えられる手袋型デバイス「Contact Glove」を体験。指先に本物の圧力を感じる触覚フィードバックも
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印刷2023/01/05 08:00

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VRコントローラを置き換えられる手袋型デバイス「Contact Glove」を体験。指先に本物の圧力を感じる触覚フィードバックも

CES Unveiledの会場入り口
画像集 No.003のサムネイル画像 / VRコントローラを置き換えられる手袋型デバイス「Contact Glove」を体験。指先に本物の圧力を感じる触覚フィードバックも
 1月5日にラスベガスで開幕する「CES 2023」の関連イベントである「CES Unveiled」が,サブ会場の1つであるホテルで1月3日に行われた。
 CES Unveiledは,基本的に中小企業やスタートアップ企業が中心のイベントで,メディアを通じていち早く,自分たちの製品やサービスを報じてもらいたいという企業が多く集まる場である。そうした性質上,ゲームやゲーマーに直接関係ある製品は,あまり出てこないのだが,近年ではVRやARといったいわゆる「XR」関連で,一風変わった製品を見かけることも多い。

 今回はそんなCES Unveiledで見かけた展示の中から,日本のベンチャー企業である「Diver-X」が出展していたVR向け入力機器「Contact Glove」を紹介しよう。


身に付けやすい手袋タイプのVRコントローラ


 Contact Gloveは,既存のVRヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)でよくあるタイプのグリップ型コントローラと同等の機能を,手袋型の入力機器で実現するというものだ。

画像集 No.002のサムネイル画像 / VRコントローラを置き換えられる手袋型デバイス「Contact Glove」を体験。指先に本物の圧力を感じる触覚フィードバックも

 さらにContact Gloveでは,現実世界で指で物に触れたり掴んだりしたときに感じる圧力を,指先で感じる触覚フィードバックの機能を備えるのが大きな特徴である。
 手袋型の入力装置は,以前から様々な製品が存在したが,高価だったり精度や実用性がいまいちだったりして,決定版といえる製品はいまだにない。ましてや触覚フィードバック技術を組み込んだ入力装置においては,振動を用いた擬似的な手法であるため,十分な圧力を感じられないものや,大がかりすぎて一般消費者が自宅で使うのは難しいものばかりであるという。Contact Gloveは,独自の技術で手袋型入力装置を大きく進化させようという取り組みであるわけだ。
 Contact Gloveの使用イメージを分かりやすく示したプロモーションビデオを掲載しておこう。


 ただ,Contact Gloveには2種類の製品が用意される予定で,比較的低価格な一般消費者向けモデルには,触覚フィードバック機能は搭載しないとのこと。現行のプランにおいて,触覚フィードバック機能は法人向けモデル用となるそうだ。

 会場で披露されたContact Gloveの試作機は,ややタイトなフィット感の合皮製手袋といったものである。着け心地はちょっと固い革のグローブに似ているだろうか。

Contact Gloveの試作機
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 手の甲の部分には,バッテリーを内蔵したコントローラがあり,その上に載っているのはSteamVR用のモーショントラッカーだ。

モーショントラッカーを外したContact Gloveの本体
画像集 No.011のサムネイル画像 / VRコントローラを置き換えられる手袋型デバイス「Contact Glove」を体験。指先に本物の圧力を感じる触覚フィードバックも

 Contact Gloveの親指や人差し指には,ボタンのようなセンサーがあり,親指で人差し指のセンサーに触れると,VRコントローラの[A/B]ボタンを押したと判定される。手や指の動きは,手袋全体で検出できるので,VRコントローラで擬似的に指の動きを再現するのとは異なり,指1本ずつの細かい曲げの動きも検出可能だ。

親指と人差し指にある四角いものがセンサーだ。写真の機材は薬指にもセンサーがある
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Contact Gloveの動作を確認するためのデモ画面。入力したボタンやスティックに応じて,画面のボタンに色が付く
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 VRコントローラのトリガーボタンやグリップボタンは,人差し指を動かしたり,親指以外の4本指を握りこむ動作で行える。これらはごく自然な動きなので,練習しなくてもできるくらい簡単だ。

手を閉じて握る操作をしたところ。分かりにくい写真で恐縮だが,デモ画面側でもグリップボタンの判定が生じている
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 ちょっと変わっているのは,VRコントローラのアナログスティックに相当する入力だ。親指のセンサーで,中指の第一関節と第二関節の間あたりを触ると,スティックの入力が始まったと判定され,触ったまま親指を軽く前後左右に動かすと,その方向にスティックを入力したと判定されるのだ。

親指で中指に触れてスティック操作を行っている様子。なお,親指の背にあるシステムメニュー用のボタンだ
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 さすがに,この操作は少し練習が必要だったが,ごく短時間で慣れて,VRゲームでよくある「ワープ先を指定して瞬間移動する」動きを簡単に行えるようになった。
 Contact GloveでVR FPSの「Half-Life Alyx」をプレイしている動画が公開されているので,掲載しておこう。既存のVRコントローラと変わらない動きを手袋型のContact Gloveで行ったうえで,実際の指の動きも反映されているのが分かるはずだ。


 ちなみに,親指の背に当たる部分には,小さな物理ボタンがある。これは,VRコントローラでよくある,システムメニューを開くためのボタンだ。ほかのボタンと同様に,手の動きで代替することも不可能ではないが,ゲーム中に誤入力してしまうと面倒なことになりがちなので,あえて物理ボタンにして誤入力しにくい位置に置いたそうだ。

 会場では実際にContact Gloveを装着して,ちょっとしたゲーム風のデモを体験できた。左手で弓を持ち,右手で弓の弦を引いて矢を発射し,的を撃つという簡単なものだ。弓を取る操作から,引いて矢を撃つ操作まで,すべて手の動きだけで違和感なくこなせた。中指を使ったアナログスティック代わりの操作も,コツをつかめば難しくない。既存のSteamVR互換VR HMDと組み合わせて,すぐにでも使えるレベルだ。

触覚フィードバック機能のイメージ
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 さて,Contact Gloveにおける最大の特徴である触覚フィードバック機能だが,非常にユニークな仕組みで実現しているという。それは,形状記憶合金でできた細いコイルを伸縮させることで,実際に指を圧迫して圧力を感じさせるのだ。
 触覚フィードバックを実現するハプティクスモジュールのデモ動画が上がっているので,ぜひ見てほしい。これなら確かに指で物に触れたり,掴んだりした感触をしっかり感じられそうである。


 VRゲームでは,現実での動きをVRコントローラで模倣することで操作するものが多い。しかし,触覚がないので,一発できちんとつかめないことはよくあるものだ。その点,Contact Gloveの触覚フィードバック機能があれば,「つかんだつもりが,つかめていなかった!」なんてことは起きにくくなるだろう。
 残念ながら,CES Unveiledの場では触覚フィードバック対応の試作機が故障してしまったそうで,実機での体験はできなかった。CES 2023の会場でも展示を行うそうなので,実機での触覚フィードバックを体験してみたいところだ。

 ソフトウェア開発者向けに,Unreal EngineやUnityで触覚フィードバック機能を使うためのソフトウェア開発キットも提供する予定があるとのこと。基本はビジネスユース向けの機能ということだが,ゲーム用途でも役立ちそうなので,将来的には一般消費者向けモデルにも導入してほしいものである。

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 Contact Gloveは,現在,クラウドファンディングサービス「KickStarter」でクラウドファンディングキャンペーンを実施中だ(関連リンク)。触覚フィードバック機能のないモデルのスターターキットが6万5000円で申し込め,提供予定時期は2023年7月となっている。触覚フィードバックありのモデルは,すでに受付を終了しているので,本稿執筆時点では申し込めない。
 興味のある人は,クラウドファンディングに参加してみてはどうだろうか。

Diver-XのContact Glove情報ページ

Diver-X公式YouTubeチャンネル

KickStarterのContact Gloveキャンペーンページ

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