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[TGS2022]脳波でプレイスタイルが分かる。劇的にコンパクトになったNOKの脳波計を体験してみた
脳波を計測する装置と聞くと,ケーブルがたくさんつながったゴツいヘッドギアをかぶるといったイメージがあるかもしれない。しかし,NOKの脳波計は,帽子サイズまでの小型化を実現したのが大きな見どころだ。
内部構造は撮影禁止だったのだが,筆者が見た印象では,ヘルメットの内側にあるフレームに似ていた。電極は,おでこに2つと,両耳それぞれにクリップで1つずつ取り付けるだけだ。電極と聞いて,「金属製の不愉快なものではないか」と抵抗感を覚える人もいるだろうが,NOKの場合,生体ゴム電極を採用しているのも特徴で,大仰なセンサーを体に貼り付けているという感覚はなかった。
ゲームをプレイしながらの体験デモには,「ロケットリーグ」を採用していた。2人で協力プレイをしていく過程で脳波を一定時間計測して,その脳波傾向から,5つのプレイスタイルを算出するそうだ。
計測できるパラメータは,「ゾーン」と「集中力」,「リラックス」という3種類がある。また,右脳と左脳の動きも追って,最終的に感性評価として,「行動力」「直観力」「注意力」「判断力」「冷静さ」という5つの5段階グラフで結果を示す仕組みだ。ソフトウェアには,脳波に関わるソリューションを手がけるリトルソフトウェアと共同開発した「スポーツKANSEIアプリ」を用いている。いわゆるスポーツ用途はもちろん,eスポーツ選手向けにも使えるものなので,TGSでアピールしているわけだ。
ただ,スポーツKANSEIアプリの仕様で,いまいちよく分からない点もあったので,今後またレポートする機会があることを期待したい。
さて,筆者の計測結果は「補佐型 フォロー」とのこと。グラフを見ると,注意力がやたらと高い結果にだった。一緒に体験することになったサードウェーブ「GALLERIA」担当の人が,ボールに向かって突っ込んでいくのを確認しつつ,「あんまり電極がくっついてる感じがしないな」とか,「軽く首を動かしても,ずれる感じはないな」などと,確認しながらプレイしていたからだろうか。もちろん,ボールや相手の動きも目で追っていたので,その影響もあるだろう。なお,GALLERIAの人は「司令官 フォロー」という結果だった。
ちょっと話を戻して,脳波計について,軽くおさらいしておこう。
一般的な脳波計は,その多くが「非侵襲型」ヘッドギアを使用する。電極を皮膚の表面に貼り付けて,脳波を計測する方式だ。体に電極を埋め込むインプラント型に比べて,非侵襲型はノイズ要素が増えてしまう欠点がある。だが,インプラントを体に付けるのは難しいため,社会的な実装や展開のしやすさから,非侵襲型の進化が進んでいる。
NOKブースでは,開発中の脳波計測用ヘッドギアも展示しており,ヘッドギアというよりも,ヘアバンドに近いデザインを目指しているようだ。ヘアバンドに近い形状であれば,ヘッドフォンとセットで装着しても邪魔にならないし,将来的にはVRゴーグルとの融合も期待できるという。
「脳波で何をするの?」と思う人もいるだろうが,研究や商品開発,もちろんゲーム開発でも,脳波測定はすでに活用されており,「どういった場面でどんな反応をプレイヤーはしているのか」が分かるパラメータを取得している。ゲーマーの環境で使える技術としても,いずれは登場するだろう。
それが実現したときの使い方は,脳波計だけでなく,そのときに使える周辺技術次第になる。プレイの反省材料にしたり,ピンチになったときにアイテムを自動的に選ぶトリガーにしたりなど,現時点の技術でも使い道がいくつか思い浮かぶ読者も多いだろう。
将来的には,ブレインマシンインタフェース(Brain Machine Interface,BMI)として,脳波でデバイスを操作するための基盤技術にもなっており,たとえば,ゲームパッドと脳波でのハイブリッド操作をするゲームも期待できる。なおBMIについては,筆者によるレポート記事を以前に掲載しているので,興味がある人はチェックしてほしい。
脳活動だけでロボットを操作する「bスポーツ」を体験。「Brain-machine Interface」がゲームを変える
2020年2月15〜16日の2日間,茨城県つくば市で「Tsukuba
NOKブースにはほかにも,脳波計測とゲームを組み合わせた実験結果を示したパネルも展示されていた。大きめの画像で掲載しておくので,興味がある人は,拡大画像で確認してほしい。視線追跡技術も交えた検証はなかなか興味深く,うまい選手になるほど目の動きが多い,といった傾向も分かるだろう。
NOK 公式Webサイト
4Gamerの東京ゲームショウ2022特設ページ
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