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「PC-8001」を再現した超小型PC「PasocomMini PC-8001」が正式発表。500台限定の40周年記念ノートPCに同梱
PasocomMini PC-8001は,単体販売を行わず,40周年記念モデルとなるノートPC「LAVIE Pro Mobile PM750/NAA」(以下,PM750/NAA)の500台限定モデル「PC 40th Anniversary Edition Premium Package」(価格は税別19万9800円)に同梱されるほか,NECPCのノートPCであるLAVIEシリーズを店頭販売で購入した人を対象としたキャンペーンにて,抽選で2000台を提供するとのことだ。
本稿では,5日に行われたNECPCで確認したPasocomMini PC-8001の実機と記者発表会の概要をレポートしたい。
N-BASICが動くPC-8001エミュレータ
16本のゲームも同梱
製品名から想像が付く人もいるだろうが,本製品は,ハル研究所が開発を担当した「PasocomMini MZ-80C」に続く,PasocomMiniシリーズの第2弾と言うべき存在だ。
超小型コンピュータの「Raspberry Pi A+」を,手のひらサイズに再現したPC-8001の筐体内に組み込み,汎用のUSB Type-Aポートを2つ,映像出力としてHDMI出力を備えたものである。筐体上にある小さなキーボードは入力できないので,PC用USBキーボードを接続して操作を行うのが基本だ。
覚えている人もいるだろうが,PasocomMini MZ-80Cは,元となった「MZ-80C」に付属していたシャープ製のBASICを採用できなかったため,スマイルブーム製のBASIC「SmileBASIC」を採用していた。そのため,MZ-80C用のBASICプログラムをそのまま実行する機能はない。
それに対してPasocomMini PC-8001では,PC-8001に組み込まれていたBASIC「N-BASIC」をそのまま受け継いでおり,PC-8001用のBASICプログラムをそのまま実行できるのが特徴だ。
PasocomMini PC-8001の電源を入れると,PC-8001がそうであったように内蔵のN-BASICが起動するとのこと。入力したBASICプログラムの保存には,カセットテープにデータやプログラムを保存するデータレコーダーをエミュレートした内蔵ストレージを利用できるという。また,当時のプログラムをカセットテープに記録した音声データのWAVファイルがあれば,プログラムを読み込んで実行することも可能であるそうだ。
さらにPasocomMini PC-8001は,文字のデータを書き換えてドット絵のグラフィックスに入れ替える別売りハードウェア「PCG」(Programmable Character Generator)の機能も備えており,PCGの有効,無効をユーザーが切り替えられるということだった。
ただ,PasocomMini MZ-80Cでは,SmileBASIC側からMZ-80Cエミュレータを操作して,ゲームプログラムのメモリを操作する機能があったが,PasocomMini PC-8001にはそうした機能はないそうだ。
当時のゲームセンターを賑わせていたアーケードゲーム風の移植タイトルが多いのは時代を反映したもので,アラフィフ以上のゲーマーにとっては懐かしいだろう。対応ゲームは,今後アップデートで追加も予定しているそうである。
NEC製パソコンのレジェンドたちも登壇
発表会ではPC-8001が登場した当時に,NECで同製品の開発を担当した方々が登壇し,当時の思い出や打明け話を披露した。
最初に登壇したのは,NECで当時のマイコン販売を担当していた渡辺和也氏だ。渡辺氏は,NECのマイコン事業は,マイコンチップ(※今で言うCPU)を販売するために始めたものであったという。その一環として,1976年に発売した教材キットである「TK-80」がヒット商品となったため,その後継製品としてNEC初の本格的なPCであるPC-8001を開発したと,渡辺氏は説明する。
PC-8001に,当時はまだ小さな企業であったMicrosoftのBASIC「Microsoft BASIC」を採用することを決断したのも渡辺氏であるそうだ。
渡辺氏は,TK-80がヒット商品になったことだけが重要なのではないという。当時のNECが,マイコン普及のために直営サービスルーム「Bit-INN」(ビットイン)やマイコンショップを日本各地に展開したこと。PCの仕様を公開し,周辺機器やソフトウェアを手がけるサードパーティ企業の出現を促したことも,その後の日本におけるPCの広がりに重要であったと振り返る。
また当時,NECのコンピュータ事業が成功を収めた要因として,後藤氏はタイミングの重要性と,渡辺氏や,後藤氏に続いて登壇する西 和彦氏,Microsoftの若い開発者たちといった異端児たちの才能を生かせたことが挙げている。
実際,それらは市場で成功せず,その後に登場したPC-8001の影で消えていったわけなので,西氏のダメ出しも妥当であると渡辺氏も理解していたのだろう。
NEC LAVIE公式Webサイト
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