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「PC-8001」を再現した超小型PC「PasocomMini PC-8001」が正式発表。500台限定の40周年記念ノートPCに同梱
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印刷2019/08/05 14:21

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「PC-8001」を再現した超小型PC「PasocomMini PC-8001」が正式発表。500台限定の40周年記念ノートPCに同梱

 2019年8月5日,NECパーソナルコンピュータ(以下,NECPC)は,日本電気(以下,NEC)が1979年に発売した同社初のPC「PC-8001」の40周年記念として,同機を再現した超小型コンピュータ「PasocomMini PC-8001」を発表した。

PasocomMini PC-8001
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 PasocomMini PC-8001は,単体販売を行わず,40周年記念モデルとなるノートPC「LAVIE Pro Mobile PM750/NAA」(以下,PM750/NAA)の500台限定モデル「PC 40th Anniversary Edition Premium Package」(価格は税別19万9800円)に同梱されるほか,NECPCのノートPCであるLAVIEシリーズを店頭販売で購入した人を対象としたキャンペーンにて,抽選で2000台を提供するとのことだ。

PM750/NAA。ボディカラーはPC-8001のイメージをもとにしているという。手前にあるのがPasocomMini PC-8001だ
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PM750/NAAのキーボードは,PC-8001のキーボードを模した配色をしている。液晶パネルの下にあるNECのロゴマークも,当時使われていたものだ(左)。右は,キーボード右上にあるパネルを拡大したもの。PC-8001のキーボード右上にあったパネルを模している
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 本稿では,5日に行われたNECPCで確認したPasocomMini PC-8001の実機と記者発表会の概要をレポートしたい。


N-BASICが動くPC-8001エミュレータ

16本のゲームも同梱


発表会でPasocomMini PC-8001を披露するNECPC代表取締役執行役員社長のデビット・ベネット
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 まずはPasocomMini PC-8001の概要から見ていこう。
 製品名から想像が付く人もいるだろうが,本製品は,ハル研究所が開発を担当した「PasocomMini MZ-80C」に続く,PasocomMiniシリーズの第2弾と言うべき存在だ。
 超小型コンピュータの「Raspberry Pi A+」を,手のひらサイズに再現したPC-8001の筐体内に組み込み,汎用のUSB Type-Aポートを2つ,映像出力としてHDMI出力を備えたものである。筐体上にある小さなキーボードは入力できないので,PC用USBキーボードを接続して操作を行うのが基本だ。

PasocomMini PC-8001を正面から。オリジナルを忠実に再現した見た目だが,さすがにキーボードは入力できず。実際の入力は背面のUSBポートにつないだキーボードで行う。なお,使用許諾が得られなかったのか,キーボード右上のプレートにNECのロゴはない
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ボディの上側を外した展示機で中身を確認(左)。基板上にはエルピーダメモリ製のSoC(System-on-a-Chip)「B4432BBPA-10-F」が載っていた(右)。ストレージ用のmicroSDカードスロットもあるが,ケースを開けないとアクセスできない
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本体背面の左側には,小さな電源ボタンとリセットボタンもある(左)。PasocomMini PC-8001の製品ボックスも,PC-8001の製品ボックスを再現したものだが,ここにもNECのロゴは入っていない(右)
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 覚えている人もいるだろうが,PasocomMini MZ-80Cは,元となった「MZ-80C」に付属していたシャープ製のBASICを採用できなかったため,スマイルブーム製のBASIC「SmileBASIC」を採用していた。そのため,MZ-80C用のBASICプログラムをそのまま実行する機能はない。
 それに対してPasocomMini PC-8001では,PC-8001に組み込まれていたBASIC「N-BASIC」をそのまま受け継いでおり,PC-8001用のBASICプログラムをそのまま実行できるのが特徴だ。
 PasocomMini PC-8001の電源を入れると,PC-8001がそうであったように内蔵のN-BASICが起動するとのこと。入力したBASICプログラムの保存には,カセットテープにデータやプログラムを保存するデータレコーダーをエミュレートした内蔵ストレージを利用できるという。また,当時のプログラムをカセットテープに記録した音声データのWAVファイルがあれば,プログラムを読み込んで実行することも可能であるそうだ。

 さらにPasocomMini PC-8001は,文字のデータを書き換えてドット絵のグラフィックスに入れ替える別売りハードウェア「PCG」(Programmable Character Generator)の機能も備えており,PCGの有効,無効をユーザーが切り替えられるということだった。
 ただ,PasocomMini MZ-80Cでは,SmileBASIC側からMZ-80Cエミュレータを操作して,ゲームプログラムのメモリを操作する機能があったが,PasocomMini PC-8001にはそうした機能はないそうだ。

プリインストールのハル研究所製「平安京エイリアン」は,PCGにも対応しているのでドット絵のグラフィックスとなっていた
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プリインストールのゲームを選択,実行するときは,専用の画面に切り替わる
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 また,PasocomMini PC-8001にはPC-8001用のゲームタイトル16本が組み込まれており,内蔵のGUIメニューからゲームを起動できるようになっているそうだ。
 当時のゲームセンターを賑わせていたアーケードゲーム風の移植タイトルが多いのは時代を反映したもので,アラフィフ以上のゲーマーにとっては懐かしいだろう。対応ゲームは,今後アップデートで追加も予定しているそうである。

PasocomMini PC-8001は,16本のゲームをプリインストールしている
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プリインストールタイトルの1つ「走れ!スカイライン」(左)。ドットの粗いグラフィックスだが,擬似3DグラフィックスのレースゲームがPC-8001で動くというだけでも当時はすごかった。右はプリインストールタイトルの「オリオン80」。こちらも擬似3Dグラフィックスのシューティングゲーム。筆者はPC-6001版を熱心にプレイしたものだ
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NEC製パソコンのレジェンドたちも登壇


 発表会ではPC-8001が登場した当時に,NECで同製品の開発を担当した方々が登壇し,当時の思い出や打明け話を披露した。

PC-8001(左手前)と専用ディスプレイ(左奥),およびNEC製パソコン用の汎用データレコーダー(右)
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 最初に登壇したのは,NECで当時のマイコン販売を担当していた渡辺和也氏だ。渡辺氏は,NECのマイコン事業は,マイコンチップ(※今で言うCPU)を販売するために始めたものであったという。その一環として,1976年に発売した教材キットである「TK-80」がヒット商品となったため,その後継製品としてNEC初の本格的なPCであるPC-8001を開発したと,渡辺氏は説明する。
 PC-8001に,当時はまだ小さな企業であったMicrosoftのBASIC「Microsoft BASIC」を採用することを決断したのも渡辺氏であるそうだ。

PC-8001の誕生を指揮した渡辺和也氏(左)。右は渡辺氏らが開発したTK-80の実物。日本のPC市場を切り開いたとも言える製品だ
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 渡辺氏は,TK-80がヒット商品になったことだけが重要なのではないという。当時のNECが,マイコン普及のために直営サービスルーム「Bit-INN」(ビットイン)やマイコンショップを日本各地に展開したこと。PCの仕様を公開し,周辺機器やソフトウェアを手がけるサードパーティ企業の出現を促したことも,その後の日本におけるPCの広がりに重要であったと振り返る。

TK-80やPC-8001,「PC-8801」などの開発を担当した後藤富雄氏。のちの「PCエンジン」でもプロジェクトリーダーを務めたという
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 渡辺氏に続いては,同氏の下でTK-80やPC-8001などの開発を手がけた後藤富雄氏が登壇。TK-80での成功を踏まえて,日本語の仮名(※カタカナ)を表示でき,カラー表示も可能で,当時としては高度なBASICを標準搭載したうえで,プリンタやフロッピーディスクドライブにも対応するPCとしてPC-8001を開発したと述べた。
 また当時,NECのコンピュータ事業が成功を収めた要因として,後藤氏はタイミングの重要性と,渡辺氏や,後藤氏に続いて登壇する西 和彦氏,Microsoftの若い開発者たちといった異端児たちの才能を生かせたことが挙げている。

アスキー創業者で東京大学大学院IoTメディアラボラトリーディレクターの西 和彦氏。NECにMicrosoft製BASICの採用を働きかけた立役者だ
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 3人めのゲストは,アスキーの創業者で,MicrosoftのBASICを日本で普及させる立役者でもあった西 和彦氏。西氏は,当時のエピソードを面白おかしく語ったのだが,とくに参加者の笑いをとったのが,PC-8001誕生以前にNECが手がけた2つのPCを取り上げて,バッサリと切り捨てたあたりである。渡辺氏は,当時の西氏がこれらを厳しく批判したことも受け入れていたそうだ。
 実際,それらは市場で成功せず,その後に登場したPC-8001の影で消えていったわけなので,西氏のダメ出しも妥当であると渡辺氏も理解していたのだろう。

西氏がダメ出しした2製品。教材であったTK-80をベースに,PCとして使えるものにした機種と言えるが,独自のBASICやデザインなど,西氏には不満だらけの製品だったそうだ
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PCエンジンのロゴマークを彷彿とさせるシンボルマークを掲げた「Project Engine」。社内では「炎神」と呼ばれているそうだ
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 昔話の最後には,意外な発表が行われた。それは,NECPCが現在,ゲーマー向けPCの開発を進めているという話だ。「Project Engine」と呼ばれるゲーマー向けPCの具体的な内容はまったく明らかにされなかったのだが,国内大手PCメーカーが,本腰を入れて開発するゲーマー向けPCというのは,しばらくなかったものである。どんな製品が登場するのか期待したい。

NEC LAVIE公式Webサイト

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