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林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
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印刷2015/12/29 00:45

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林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」

4GamerのAndroidスマートフォン関連記事で活躍してもらっているライターの林 佑樹@necamax)氏に,「せっかく1年間追い続けたので,振り返ってみませんか。書き方は100%お任せします」と話を持ちかけたところ,Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015選考記事が仕上がってきたので,ほぼそのままお届けしてみたい。今年だけでも数十のスマートフォンと向き合ってきた氏が,何を考え,どういう結論に至ったのか,そのあたりをチェックしてもらえればと思う。

いきなりながら,デレステのいわゆる縦画面MVを壁紙にしたい需要はとても高いと思うのだが,どうだろうか。その描写がキレイであればあるほど,我々は幸せになれる
画像集 No.002のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 2015年のAndroidスマートフォンシーンを振り返りつつ,よかった端末ってどれだったっけ,そんなことあったよねなどと語ってみる年末企画である。

 よくよく振り返ってみると,2015年に開催されたスマートフォンの発表会で,壇上でのトークを聞くことはまずなく,ひたすらにベンチマークを実行したり,重心を確かめるべくグルグルと手の中でスマホを回したり,連打したり,説明員から「こいつ,なにしてんだ……」といった視線を浴びながら「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)をプレイしたり,やたらとガシャで楓さんが出たり,やっぱり楓さんは最高だったりしたのだが,魅力的な端末が出てきたり,ある種の黒歴史めいた「Snapdragon 810発熱問題」が露見したりと,楽しい年であった。同時に,スマホ業界の進化的には谷間のような年でもあったといえるのではなかろうか。

画像集 No.003のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
「なかったこと」にされている感のあるXperia Z4
画像集 No.005のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
iPhone 6s Plusも持ってはいる
 ともあれ今回は,せっかく振り返るので,極私的スマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015を決めてみたいと思う。

 それに先だって,まずは筆者の端末状況から。
 「Androidはだいたい真ん中くらいのスペックでいいだろう」と,「GALAXY S5 ACTIVE SC-02G」を愛用していたが,NTTドコモ2015〜16年冬春モデルの発表会場で「Galaxy Active neo SC-01H」と仲良くコンクリートの床に落下させたり,洗濯機に突っ込んだりして性能差をチェックしていたところ,その数日後にモバイルデータ通信が機能しなくなって,代わりに新機能「自動リブート」を実装してしまった。
 4Gamer以外にも2媒体で同じようなチェックを行っており,記憶が確かならトータルで20回くらいコンクリートの上に落としているので,それから洗濯機に入れたのが原因だと思う。

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私物のBlackberry Passport。フツーに使うぶんには,Google Playをインストールしておけば問題ない。筆者が購入したときはまだ「輸入端末」だったが,その時点で日本の技術基準適合証明済み表示があった
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気になっているAxion mini。「Snapdragon 615」搭載で,指紋と虹彩,声紋と3つの生体認証に対応して価格は3万9800円(税別)となかなかお安い
 そこで,当座しのぎとして「HTC Desire 626」を考えていたのだが,気がついたら,SIMロックフリー端末として国内販売が始まった「Blackberry Passport」を手にしており,現在は同機にGoogle Playを入れて遊んでいる状態である。性能的に,とてもゲーム用としては厳しい端末なのでオススメできないが,バッテリー節約モードにするとテザリング用として優秀で,下手なモバイルWi-Fiルーターよりバッテリーが持つ点であるとか,妙に重く感じる物理キーボードを搭載する点であるとか,真四角な液晶パネルなどを,個人的にはとても気に入っている。

 なお,タイトルでも挙げたとおり,本稿はあくまでもAndroidスマートフォンを取り扱うが,筆者は「iPhone 6s Plus」も所有している。iPhone 6s Plusには面白みもないので,今回は選考から省いているが,無難にいきたいのであればiPhoneでいいんじゃないだろうかとは思う。
 付け加えると,個人的にはZTEの「AXON mini」がたいそう気になっているので,年明け早々には手にしているかもしれないが,そのときはまたレポートを送りしたい。


2015年,スマートフォン業界にはこんなことがありました


別にAndroidに絞ったわけではないのだが,結果としてAndroidスマートフォンのみとなった今回のラインナップ。2016年はゲーム用端末としてWindows 10 Mobile機を紹介できるといいのだが。なお,写真は2014年12月25日に購入したFirefox OS端末「Fx0」。筆者が愛してやまないFirefox OSが開発終了となってしまったので,ここで供養しておこう
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 今回,選考対象としたのは,2015年1月から12月の間に,筆者が4Gamerでベンチマークを1つ以上実行できたものだ。数えてみるとAndroidスマートフォン計25製品で,ほとんどがキャリア版だが,周知のとおり,2015年はMVNO向けのSIMロックフリー端末が花盛りになった年でもあるので,いくつかそういう製品も入っている(※2016年はSIMロックフリー端末の数を増やしていきたい)。
 そのスペックをまとめたのがだ。製品は紹介順で並べているので,上にあるほうが早いタイミングで発表されたものと理解してほしい。そのまま組むとはどうやっても4Gamerのフォーマットに収まらないので,よりぬきの簡略版を掲載しているが,画像をクリックすると,完全版を表示するようにしてある。

2015年に4Gamerでベンチマークを実行した端末の一覧。ハイフンになっているセルは非対応,もしくは未調査である。補足しておくと,完全版にある「GPUクロック」はカタログスペックの最大値で,「GPUクロック(CPU-Z)」は,CPU-Z読みでアイドル時と思われるGPUクロックである
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2015年は,5.0〜5.2インチのスマホをチェックする回数が多くあった。写真は「Nexus 5X
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Xperia Z5 Premium」は,5.5インチで(限定的ながら)4K表示に対応した
 ざっくり振り返っておくと,5インチクラスが増え,SoC(System-on-a-Chip)はクアッドコアからオクタコア,メインメモリ容量は2GB以上といった具合に,ハイスペック化が進んだ。ただ,その割にストレージ容量は32GB止まりのものが多い。
 解像度は最もバラエティに富んだ項目となっており,小型端末やミドルクラス市場向け端末では720×1280ドットがしぶとく残る一方,ハイエンド市場では1080×1920ドットが標準ながら,それよりも高精細なものがちらほら出てきているといったところか。
 2014年の前半くらいまでは,各社とも,スペックやバッテリー容量ばかりをプッシュしていたのだが,2015年を通じて,(ターゲットとなる市場ごとに)端末のスペックはほとんど横並びになった。結果,各社の推しポイントは,生体認証対応であるとか,ディスプレイパネルが持つピクセル密度の高さ,カメラ性能といった部分にすっかり移った印象がある。

画像集 No.013のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」 画像集 No.030のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
画面のピクセル密度は上昇する一方。上位陣は300ppi級の端末ばかりだ

 ただ,2015年後半になると,1つだけスペック周りで動きがあった。それが,「Snapdragon 810かSnapdragon 808か」という話だ。Snapdragon 810には発熱問題があり(関連記事),それを避けるメーカーが,安定動作重視でSnapdragon 808を選択する傾向が出てきたわけである。

デュアルエッジスクリーンの「Galaxy S6 edge SCV31
画像集 No.014のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 次にデザイン。ディスプレイサイズを大きくしつつ,本体サイズはできるだけ小さくしようという目的で,額縁の幅を細くしようという動きが強い。AQUOSシリーズは3辺狭額縁で話題を集めたが,最近ではGalaxy A8 SCV32が約2.5mmを実現している。
 また,形状は,ほとんどフラットで,末端部のみラウンドという形状が主流となった。これは薄さのアピールと持ちやすさの着地点になった印象だ。そのため,単純な持ちやすさでいえば,デュアルエッジスクリーンを採用するGalaxy S6 edge SCV31という例外を除くと,自分の手のサイズとフィットしているかどうかが取捨選択におけるポイントということになるだろう。

最近のモデルだと,Xpera Z5シリーズと「HTC J butterfly HTV31」,「Nexus 6P」などがフロントステレオスピーカー搭載だ。写真はHTC J butterfly HTV31
画像集 No.015のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 個人的に,重要度が高いと判断しているのは,スピーカーとヘッドセット端子,USB端子の配置だ。
 大半のスマートフォンは,いま挙げた項目が縦画面を前提とした配置になっていて,横画面は「動画用として,それなりに対応しています」レベルに留まっているケースが多い。そのため,縦画面状態では本体の上辺や下辺に散っているため邪魔にならないのが,横画面になったとたん,グリップしやすい感じで持つとヘッドセット端子やスピーカーの口を手が塞いでしまったり,充電しながらプレイしようとするとUSBケーブルが手と干渉したりすることがままあるのだ。
 実のところ,iPhone s6 Plusはいま挙げた「横画面でゲームをプレイするにあたってのダメな要素」が全部詰め込まれており,スピーカーとヘッドセット端子,そしてUSBの代わりとなるLightning端子が全部,縦画面時の下辺側に集中しているため,横画面でのゲームはとてもプレイしにくかったりする。

 そういう例があるだけに,Xpera Z5シリーズとHTC J butterfly HTV3,Nexus 6Pのような「フロントステレオスピーカーを採用しており,横画面時にも手がスピーカーを塞がない端末」は,それだけで評価が高くなる。またヘッドセット端子とUSB端子は,それぞれ縦画面時の上辺と下辺に散っているだけでも,持ちやすさはかなり変わる。
 最近はフロントスピーカー採用モデルが増えてきているので,解決は近いかもしれないが,現時点では重要なチェック項目だ。

 外からは見えない内部構造だと,薄型化した筐体において,プロセッサの発熱をどう処理するかといったところが盛り上がった年だと振り返ることができる。たとえばXperia Z4とその後継機となるXperia Z5およびXperia Z5 Premiumでソニーモバイルコミュニケーションズは,ヒートパイプを採用することで熱と向き合った。

 ヒートパイプ以外のアプローチだと,Huawei Technologiesの構造が面白い。Nexus 6Pだけでなく,「P8lite」といった端末でも高熱伝導性合金DX19をはじめとする7層構造を採用しているのだ(関連リンク)。また12月に発売されたばかりのGalaxy A8 SCV32は,最薄部5.8mmという薄さにもかかわらず,全面採用したアルミニウム合金ボディを採用することで放熱性に優れるなど,発熱の大きなプロセッサを“なんとかする”技法は確立されつつあるように感じている。


ベンチマークテスト結果で振り返る2015年のAndroidスマートフォン


ぺしぺしIkina
画像集 No.016のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 1年かけて計測してきたベンチマーク結果もまとめてみよう。発表会場におけるベンチマーク実行が多いため,スコアを取れていない項目があったり,最終製品版と同じスコア傾向とは限らなかったりするので,必ずしも横並びの比較には適さないわけだが,これだけ並べれば,傾向の参考にはなるだろうと,思い切ってまとめた次第である。

 2015年を通じて,テストに用いているのは,おおむね「3DMark」の「Ice Storm Unlimited」と連射測定用の「ぺしぺしIkina」,ストレージベンチマーク「A1 SD Bench」である。Qualcomm製ベンチマークテスト「Vellamo」もたまに使っていたが,最近はQualcomm製でないSoCも増えてきたので,補欠に回した。GPUの挙動を追いやすいアプリが出てきたら構成を弄るかもしれないが,現時点では,2016年もこのラインナップ(+システム情報を知るための「CPU-Z」)でいきたいと考えている。

 という前口上を経て,スコアを見てみよう。グラフ1〜3は3DMarkのIce Storm Unlimitedを実行した結果を並べたものだ。総合スコアはそういうものだと見てもらうとして,GPU性能を見るGraphics scoreとCPU性能を見るPhysics Scoreをチェックすると,Snapdragon系はGPU性能が高めで,Samsung ElectronicsのExynosはバランス型,そしてAtomはCPU性能が高めだということがなんとなく掴めるのではなかろうか。

※グラフバーの色は,橙がSnapdragon 810,薄黄がSnapdragon 808,桃がSnapdragon 801,薄赤がSnapdragon 600&400シリーズ,紺がAtom,水がExynos,緑系がそのほかを示す
画像集 No.017のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
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 グラフ4はぺしぺしIkinaの結果だ。1分間に93〜96回の連打を行って,それをどれだけ認識できるかをチェックしたものになるが,意外にもトップはLUMIERE 503HW。2Dゲームでの動作チェックを行っているというだけあり,取得漏れがないといえるレベルだったのをよく憶えている。
 実プレイからすると,84回以上取得できていればまず問題はなく,その点でいえば,ZenFone 2(※メインメモリ4GBモデル,以下同)やXperia Z4 SO-03G,Xperia A4 SO-04G,ARROWS NX F-04G,isai vivid LGV32,TORQUE G02,Xperia Z5 Compact,Nexus 5X,ZenFone 2 Laser ZE601KLが合格ライン突破組ということになるだろう。

※グラフバーの色は,橙がSnapdragon 810,薄黄がSnapdragon 808,桃がSnapdragon 801,薄赤がSnapdragon 600&400シリーズ,紺がAtom,水がExynos,緑系がそのほかを示す
画像集 No.020のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」

 A1 SD Benchを使って,内蔵フラッシュメモリの読み出し性能および書き込み性能のスコアをまとめたものがグラフ5,6で,読み出し性能を見る「Internal Memory - Read」だとZenFone 2が1186.20MB/sというトンデモなく高いスコアを示しているが,さすがにこれは計測エラーであろう。ただ,当時計測したスコアをまとめるという意味で,今回はそのままグラフに入れてある。
 それをお断りしつつ見ていくと,総じて「ハイスペック機だと高い」というわけでもないのが面白い。Internal Memory - Readは体感性能に直結するため,それでもハイスペック機が高めの傾向となるのだが,書き込み性能を見る「Internal Memory - Write」だと,メーカーの考えが出るのか,世間一般でハイエンド機と考えられている端末でも,40〜50MB/s台に留まっているものが散見される。

※グラフバーの色は,橙がSnapdragon 810,薄黄がSnapdragon 808,桃がSnapdragon 801,薄赤がSnapdragon 600&400シリーズ,紺がAtom,水がExynos,緑系がそのほかを示す
画像集 No.021のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
画像集 No.022のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」

 メインメモリの転送速度を見る「RAM Copy」のスコアがグラフ7だ。ざっくり3000MB/s以上出ていれば性能差は感じないが,それ以下だと露骨に遅さを体感できるという認識でいい。
 ここでのトップはINFOBAR A03だが,販売開始後に店頭でチェックしたところ,ほぼ同じスコアを叩き出していたので,こちらは計測ミスではなく,実力という理解でいいだろう。

※グラフバーの色は,橙がSnapdragon 810,薄黄がSnapdragon 808,桃がSnapdragon 801,薄赤がSnapdragon 600&400シリーズ,紺がAtom,水がExynos,緑系がそのほかを示す
画像集 No.023のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」

 さて,4Gamerでは,「3Dグラフィックス負荷が高く,“熱ダレ”の洗い出しが容易で,負荷によるタップの応答性低下も分かりやすい」という理由から,2015年9月以降,時間や環境の許す限り,デレステを使ったベンチマークも行っている。

チュートリアル時には,アプリケーション側で推奨設定が出るのだが,たとえば最高指標である「3D標準」と判定された端末でも,実際にプレイするともたつきが激しいケースはある
画像集 No.024のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 具体的に何を見ているかだが,まず,3D描画のスムーズさである。これは,チュートリアルにおける判定が良好であっても,実際のゲームプレイでそうだとは限らないからだ。Snapdragon 810など,発熱の高いプロセッサを搭載し,かつ熱設計が万全でない端末の場合,3回ほど連続プレイすると,サーマルスロットリング(※端末側で自動的にプロセッサの動作クロックを落とし,発熱に対応する仕組み)が発生する可能性が極めて高い。なのでテストでは,インストールの所要時間でストレージ性能,チュートリアルでWi-Fiアンテナの強度や2D描画周りをチェックしつつ,実際に連続プレイを行うことになる。

3D描写負荷だけでなく,連続入力,ドラッグ,フリックと入力操作も多く,挙動チェックに最適だったりする
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 ゲームプレイ時の挙動は難度「Master」のものを前提にしているが,いまのところ,3DMarkのIce Storm Unlimitedでスコア2万以上を獲得できるなら,デレステを前にした3D描画性能自体に問題はないという印象に着地している。正直なところといえば,チュートリアルの判定と実際のプレイ感に大きなギャップがあるため,ベンチマーク版をリリースしてくれるとありがたいと思う。そのときはぜひ,センターのキャラクターを選択可能な仕様で。


2016年も見据えつつ選んだスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015は……


 以上,1年を振り返りつつ,3DMarkの総合スコア上位10製品をスコア順に並べてみたものが下のリストとなる。括弧内は先ほどグラフ1で示した実スコアだ。デレステ基準の2万を超えるのは6製品だが,スコア2万5000を超える4製品と,6位以下の5製品は,計測誤差も加味すると,それぞれ同程度のスコアと述べていいのではないかと思う。

  1. Xperia Z5(26369)
  2. Nexus 6P(25789)
  3. Xperia Z5 Compact(25688)
  4. Xperia Z5 Premium(25542)
  5. Galaxy S6 edge SCV31(24565)
  6. ZenFone 2(20438)
  7. Xperia A4 SO-04G(19602)
  8. Xperia Z4 SO-03G(19304)
  9. arrows NX F-02H(18994)
  10. Galaxy A8 SCV32(18826)

 今回はこの10製品から,実際に触ったときのインプレッションも加味しつつ,ぼっちで勝手にAndroidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015を決めていきたいと思う。

Xperia Z5。NTTドコモ版(SO-0H),au版(SOV32),SoftBank版と,全キャリアから出ているので選びやすい
画像集 No.026のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 というわけで,このスコアだけで判断するなら年間ベストはXperia Z5となるわけだが,デレステを実際に動かした印象まで加味すると,“熱ダレ”が理由で,姉妹モデルともども外さざるを得なくなる。
 もっといえば,それはXperia Z5シリーズに限った話ではなく,Snapdragon 810もExynos 7420も,サーマルスロットリングを回避できない。もちろん普段使いであれば,「ちょっと熱いかも」レベルで済むうえ,XperiaシリーズとGalaxy S6 edge SCV31の場合は,端末側の電源管理設定で余計なタスクを無効化できたり,Xperia Z4の場合は「鈴の音情報局blog」のブログエントリで知って試してみたところ,「Photo Analyzer Service」の停止によって発熱レベルを下げることが可能だった。

 ただし,ゲームプレイの場合は,そういった努力をあざ笑うかのように,サーマルスロットリングが発生する。極論をいえば,スマートフォンにヒートシンクを貼ったり,ファンで冷却したりといった自作PC的なアプローチで対策できなくはなく,またこの季節は屋外で使うというのもいいソリューションだが,ハードウェアとしてビミョーということに変わりはない。単純に「スマートフォンとして」の年度代表製品を選ぶならXperia Z5かNexus 6Pだと思うが,デレステをはじめとする3Dゲームを長時間快適にプレイできるものという観点では,外さざるを得ないのである。

画像集 No.027のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 ところで,ここで2016年に起こり得る動きを見てみると,「Snapdragon 820」の登場がまず間違いない。オクタコア仕様となるSnapdragon 810に対して,Qualcomm独自開発のCPUを4基搭載したクアッドコア仕様となるSnapdragon 820は,CPUコアあたりでの性能と電力効率が2倍に向上し,GPU性能が40%上がり,センサー処理用のDSP(Digital Signal Processor)として「Hexagon 680 DSP」を統合したうえで,トータルの消費電力も大幅に改善すると予告されている。そのとおりの仕様で出てくるなら,Snapdragon 810の抱える問題を解決したプロセッサになるはずだ。
 業界筋の情報によれば,搭載端末は2016年前半のうちには出始めると目されており,詳細こそ不明ながら,他社製プロセッサも,Snapdragon 810の轍を踏まないようにしたものが出てくるはずだ。そこまで分かっているなら,Snapdragon 810(やExynos 7420)をあえてスキップして次世代モデルを待つほうが,幸せになれる可能性が高いのではないか。

 とはいえ,いま手元にある端末の動作に不満があって,買い換えが急務というケースはあるはずだ。そこで選ぶべきものがAndroidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015ということになると思うが,今回は,それをZenFone 2としたい。ストレージベンチマークでややおかしなスコアが出ているのと,スピーカーが本体背面にあるという弱点は抱えるものの,3D性能は文句なしで,“熱ダレ”の程度はSnapdragon 810より明らかにマシ,かつメインメモリ容量4GB+ストレージ容量32GBモデルのSIMロックフリー版が3万9000〜4万6000円程度という実勢価格(※2015年12月29日現在)で単体購入できるのは,ショートリリーフとして価値が高いという判断である。

次世代プロセッサ登場までのつなぎとしていま使えるゲーム端末としては,ZenFone 2が最良だろう
画像集 No.028のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」

 繰り返すが,ベストの選択肢は「Snapdragon 820搭載端末の登場待ち」だ。それは十分に理解のうえ,いま買うならZenFone 2がベターだと理解してもらえればと思う。

ZenFone 2(メインメモリ容量4GB,ストレージ容量32GB)をAmazon.co.jpで購入する(Amazonアソシエイト)

ASUSTeK ComputerのZenFone 2製品情報ページ



2016年のスマホはどうなるのだろうか


Predator 6(のモックアップ)
画像集 No.029のサムネイル画像 / 林 佑樹選定,極私的「Androidスマートフォン・オブ・ジ・イヤー2015」
 前段でも触れたとおり,タスク管理を考えたり,開発者向けオプションから設定を変更したり,または冷却システムを追加したりすれば,Snapdragon 810搭載機でも快適なゲームプレイは行えるようになるわけだが,ゲームをプレイするたびに,そういうことを考えねばならないというのは,やはり面倒くさい。その意味では,初めから3Dゲームを長時間プレイする前提で設計された,ゲーマー向けスマートフォンの登場が待たれるところである。
 すでに世界市場で発表済みのゲーマー向けスマートフォンとしてはAcerの「Predator 6」があり,国内展開待ちとなっている。Liquid Z530発表会時点におけるAcer関係者の発言ベースでは,2016年に登場予定である一方,操作性や熱周りにおける完成度の実現にどれだけAcerが腐心しているかはやや不安なところがあったのだが(関連記事),Acerが出せば,競合となるASUSTeK Computerなども乗ってくると思われるだけに,2016年はゲーマー向けモデルが要注目の存在となるかもしれない。気になる人はそちらを待ってみるのもいいと思う。

 日本におけるスマートフォン業界全体の動きからすると,キャリア版よりも,MVNO向け――不思議な前置きだが――として供給されるSIMロックフリー端末のチェック頻度が高くなるかもしれない予感もある。キャリア版よりも安いだけでなく,スペックも十分に追いつき始めているからだ。SoCによってはGPU性能が露骨に低かったりもするので,選択は難しくなるが,うまく選べるのであれば,キャリア版に固執する理由はなくなりつつあり,2016年は,そのトレンドが加速していくのではないかとも感じている。

 ハイスペックなスマートフォンは,話が戻ってしまうが,これはもうSnapdragon 820次第ということになるだろう。明らかになっている製品概要からすれば鉄板になりそうだが,“熱ダレ”がどうなるかといったあたりは,実機が出てきてからの判断ということになるはずだ。
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