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[GDC 2014]あなたの知らないPS4〜開発キット制作者が語るPS4の魅力とは
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印刷2014/03/21 11:51

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[GDC 2014]あなたの知らないPS4〜開発キット制作者が語るPS4の魅力とは

 北米地域では2013年11月に発売され,日本でも2月に発売されたPlayStation 4(以下,PS4)。
 2014年3月時点における全世界での累積出荷台数は,Xbox Oneが370万台,Wii Uが580万台に対して,PS4が610万台となっており(※VGChartz調べ),2012年発売のWii Uすら抜き,新世代の据え置き型ゲーム機としてはトップシェアを獲得するに至っている。

Chris Norden氏(Senior Staff Engineer, Strategy Team, SCEA Developer Services and Support, Sony Computer Entertainment America)
画像集#002のサムネイル/[GDC 2014]あなたの知らないPS4〜開発キット制作者が語るPS4の魅力とは
 そんな好調のPS4プラットフォームで,より多くの開発者がゲームを開発してくれるようにと,Game Developers Conferenceで実施されたセッションが,PS4入門開発者向けのセッション「Creating Unique Interactive Experience with the PlayStation4」(独自のインタラクティブな体験をPS4で実現)だ。スピーカーは,昨年のGame Developers ConferenceでPS4の詳細なスペックを語った(関連記事),Sony Computer Entertainment America(以下,SCEA)のChris Norden氏である。


PS4の現状


 セッションでは最初に,PS4の現状に関する報告が行われた。

PS4の現状(1)
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 全世界57地域で発売されたPS4は,冒頭でも述べたとおり,わずか4か月間で600万台以上のセールスを記録している。PlayStation Camera(以下,PS Camera)の普及率はPS4ユーザー全体の15%ほどで,「思ったよりも普及していない」(Norden氏)。
 PS4のソフトは,ダウンロード版とパッケージ版の両方を合計してこれまでに1370万本が販売されたとのこと。概算で,PS4 1台あたり約2本のソフトが売れたことになる。

PS4の現状(2)
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 北米市場に限定すると,PS4ユーザーの90%がオンラインになっており,「シェア」機能を活用したゲームプレイのライブ配信は360万回行われているという。また,SNS上のゲームプレイムービーのシェアになると1億件に達しているそうで,「シェア」に関してSCEAでは手応えを感じていることが示唆された。


DUALSHOCK 4とPS Cameraの秘密


DUALSHOCK 4における改善点
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 続いてNorden氏からは,PS4周辺機器についての解説があった。既知の部分も多いので抜粋してレポートするが,PS4の標準コントローラであるDUALSHOCK 4が,PlayStation 3(以下,PS3)時代のDUALSHOCK 3と比べて格段にレイテンシが低減されていることがさらっと紹介されたことは特記しておく必要があるだろう。

 充電用のインタフェースがDUALSHOCK 3のUSB Mini-BからDUALSHOCK 4ではUSB Micro-Bに変わったことで,PS4のスタンバイモード時にも充電が可能になったことも改善点だと,Norden氏は挙げていた。
 DUALSHOCK 3でも搭載されていた加速度センサーとジャイロスコープは,DUALSHOCK 4でセンサーの世代が上がり,検出精度が上がっているとのことだ。

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DUALSHOCK 4のLED仕様をあらためて
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PS MoveはPS4でそのまま使える
 DUALSHOCK 4に内蔵されたLEDは青と赤,緑,ピンクに発光し,複数人の同時プレイ時には順にプレイヤー1,2,3,4のインジケータとなる。PS Cameraはこの発光を捉え,ジャイロスコープと加速度センサーの情報と組み合わせて極めて精度の高い位置検出を行える。
 また,モーションコントローラたるPlayStation Move(以下,PS Move)は「PS4でそのまま使える」とNorden氏。2012年11月までの時点で1600万台販売されているため,「PS4と組み合わせてユーザーに使ってもらうことは,それほど高いハードルではない」とNorden氏。

 先ほどから何度かその名が挙がっているPS Cameraは,二眼のRGBカメラを内蔵しており,カメラが向いている方向を立体的に撮影できる。チルト(傾き)センサーも付いており,場所や向きの問題でPS Cameraが正常に動作しそうにないときは,正しく設置するよう,ユーザーに注意を促すことも可能とのことだ。

PS Cameraの仕様
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 カメラの1眼あたりの解像度は1280×800ドット。Norden氏は「ハードウェアピラミッドスケーラを内蔵している」という表現を使っていたが,ソニー・コンピュータエンタテインメント関係者によれば,これはYUV422のカラー映像フォーマットないしはY8の輝度映像フォーマットで撮影した映像に対し,リアルタイムで640×400ドットと320×200ドット,160×100ドットの低解像度イメージを自動生成する機能のことだという。低解像度イメージは,奥行き情報を検出するときに,二眼映像同士のマッチング処理などで用いられる。
 4基のマイクが内蔵されているのはPS3用のPlayStation Eyeから変わっていないが,「PS Cameraは横長の形状で,マイクも横方向に広がって配置されているため,音像の位置検出精度が上がっている」(Norden氏)という。

Norden氏は,PS4用に開発されたデモソフトを起動。PS CameraとPS MoveあるいはDUALSHOCK 4を使ってお絵描きができる。氏は,極めて高い精度で位置検出が行えることをアピールしていた
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「シェア」機能の秘密


PS4の「シェア」機能概要
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 Norden氏は,PS4の人気機能である「シェア」にテーマを移す。
 「シェア」は,PS4でプレイしているゲームの映像を録画してコミュニティにアップロードしたり,UstreamやTwitchでリアルタイム配信したりする機能だ。

 ここで氏が強調したのは,この録画機能がCPUコアやGPUコアに対してまったく負荷をかけない点である。これはPS4のメインプロセッサであるAPUに統合された「VCE」(Video Codec Engine)がリアルタイムエンコードを担当するためだ。また,「シェア」がPS4の標準機能としてOSレベルで統合されているため,ゲーム側のメモリリソースも消費しない設計になっている点もアピールされている。

ゲームプレイのリアルタイム配信は,ゲーム側で制御する仕組みが用意されており,ネタバレ防止のために特定ステージでの配信を禁止することもできる
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 ライブ配信時は,PS Cameraが捉えたプレイヤーの映像を,ゲーム映像に“乗せられる”が,「(現在準備が進められている)次期開発キットでは,配信画面の細かい設定や,プレイヤー映像の合成位置などを含めて,細かくカスタマイズできるようにする」とNorden氏は予告していた。
 ライブ配信時は,視聴者からのコメントを募集できるが,そのときにネタバレ発言や悪態発言,そのほか特定キーワードなどをカットする制御や,視聴者をそのゲームに招き入れる仕組みなども,16KBの追加メモリを消費すれば導入できるという。


コンパニオンデバイスとの連携やリモートプレイは簡単に


 PS3時代はPSPやPlayStation Vita(以下,PS Vita)をコンパニオンデバイスとして位置付けてきたが,PS4プラットフォームでは,PS Vitaに加え,スマートフォンやタブレットなども標準的なコンパニオンデバイスとして取り扱うことになる。こうしたコンパニオンデバイスで動作するアプリケーションでは,当然のことながらPSNサービスへのアクセスやPS4との通信確立が必要になるわけだが,そうしたライブラリは,ライセンシーにちゃんと提供されるとのこと。

公式アプリ「PlayStation App」がモバイルデバイスに提供される
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 PS4ではセカンドスクリーンへの対応も容易だとNorden氏は述べる。
 セカンドスクリーンとは,そのゲームのメイン画面とは別に,もう1画面を別の機器に表示させる機能のこと。PS4においては,ステータスやアイテム一覧,マップ,あるいは別視点のゲーム映像を,PS Vitaやモバイルデバイスに表示できる機能のことを指すが,このセカンドスクリーン機能を簡単に実現するための仕組みも,ライブラリとして用意されているという。

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 実のところPS4は,簡易的なWebサーバーとして機能できるようになっており,コンパニオンデバイスからは,PS4からWebページを取得するのと同じような格好でセカンドスクリーン機能を実現できてしまうのだ。単純なアイテム一覧やマップ閲覧程度なら,Webサイトを開くのと変わらない感覚で実装できるというわけである。

PS4におけるセカンドスクリーンの仕組み(左)。セッションでは,前段で登場したお絵かきデモを用いて,「筆の色を変えるパレット」をモバイルデバイス上のセカンドスクリーンアプリで実装した事例が紹介された(右)
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 PS VitaからPS4上で動作するゲームがプレイできるリモートプレイは,「PS4 Link」としてPS4のOS標準機能として提供されるため,ゲーム側は最低限のカスタマイズ的な対応をするだけでリモートプレイを利用できるようになるとも紹介された。PS3時代でリモートプレイを実現するためには,ゲーム側で特殊機能として実装する必要があったのと比べると,隔世の感がある。

PS3時代とは異なり,PS4では,リモートプレイ機能がシステムレベルでサポートされている
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「PS4へおいでよ」


 最後にNorden氏は,「PS4は,一般ユーザーが想像している以上に高い性能を持っている」と述べ,「シェア」やPS4 Linkを筆頭とした高機能なサービスをシステムソフトウェア(=OS)レベルで実現し,ゲーム開発側の負荷をほとんど強いることなく提供できることをあらためて強調していた。高い演算性能やグラフィックス性能だけでなく,総合的なサービスや支援機能を有機的に結びつけることで,新しいゲーム体験の世界を提供できる,というわけだ。
 Norden氏は,開発者に向け「PS4においでよ」というメッセージを投げかけて,講演を締めくくった。

PS4が切り拓く次世代ゲーム体験。仮想現実対応型HMD「Project Morpheus」もPS4ファミリーに加わることで,その未来はさらに明るいものになる!?
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    PS4本体

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