プレイレポート
[プレイレポ]今もなお「テイルズ オブ グレイセス エフ」のバトルは面白い。メディア試遊会にて,リマスター版を早速触ってきた
2024年8月27日に「Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ」にて発表された本作は,2010年にPS3向けソフトとして発売された「テイルズ オブ グレイセス エフ」のリマスター版だ。
「テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター」,2025年1月16日発売決定。リマスター版ならではの便利機能を追加
バンダイナムコエンターテインメントは,2024年8月27日に配信された「Nintendo Direct ソフトメーカーラインナップ+Indie World」にて,「テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター」を2025年1月16日に発売すると発表した。
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- 編集部:だび
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オリジナル版にあたる「テイルズ オブ グレイセス」は,2009年にWii用ソフトとして発売されたタイトル。今回リマスターされるグレイセス エフは,そこに本編の後日譚となる「未来の系譜編」を始めとした,さまざまな追加要素を収録したものとなる。
今回発売に先駆けて,「グレイセス エフ リマスター」を試遊できるメディア体験会が行われたので,本稿でインプレッションをお届けしよう。後半には,本作のプロデューサーである石川結貴氏へのインタビューも掲載しているので,最後まで目を通してほしい。
※本稿に掲載されている画面はPlayStation 5版の開発中のもの
アスベルたちの冒険が3部にわたって描かれるシナリオと,アクション性の高いバトルシステムに注目
「グレイセス」のシナリオは,主人公アスベルたちの子供時代を描く「幼年期編」,青年になったアスベルたちの世界の命運を巡る戦いを描く「青年期編」以降という2つのパートに分かれている。
また,「グレイセス エフ」では,後日譚となる「未来への系譜編」も収録されており,アスベルたちの冒険を幼年期からじっくりと追っていけるのが,特徴の1つだ。
今回の試遊会では,物語の序盤におけるターニングポイントとなる「ラント奪還編」のバロニア城から終わりまでを楽しめた。
既報の通り,リマスターにはオリジナル版になかった便利機能が追加されている。フィールド上に,次の目的地を示すマーカーが表示されるようになったのもその1つだ。
マーカーはストーリー進行に関係のある目的地だけでなく,時限イベントの位置も教えてくれるようになっており,サブイベントの取りこぼしが起こりにくくなっている。
試遊プレイでも,マーカーのおかげで次にどこへ向かうかが視覚的に分かりやすくなっていたため,オリジナル版以上にサクサクと進められた。
「テイルズ オブ」シリーズと言えば,アクション性の高いバトルがウリの1つだ。グレイセスのバトルシステムであるSS-LMBS(スタイルシフト リニアモーションバトルシステム)は,シリーズ作品の中でもかなり人気が高い。
このシステムは,「スタイルシフト」という名前のとおり,各キャラクターが2つのスタイルを切り替えて戦っていくのが特徴だ。例えば,アスベルは通常攻撃のような役割を持つ「アーツ技」を繰り出すときは納刀状態で攻撃を行い,特技にあたる「バースト技」のときは抜刀状態となり,斬撃を主体にして戦う。
さらに本作は,左右に素早く回避する「アラウンドステップ」を駆使した地上戦も特徴的で,敵の攻撃に合わせて相手の側面を取ったり,背後を取ったりして攻撃を仕掛けていける。
攻撃やステップ行動を行うには,リソースであるCC(チェインキャパ)を消費するため,いずれはCCの回復を待つターンが必要になるのだが,本作には攻撃をタイミングよくステップで回避することで,瞬時にCCが回復する「ジャスト回避」要素が盛り込まれている。
そのほかにも,防御行動の時間により,次の攻撃にボーナスがつくシステム(青防御,緑防御,赤防御)や,最大になるたびにCCが+1されるクリティカルゲージ,満タンになると一定時間味方が強化されるエレスゲージなど,理解すればするほどバトルが楽しくなっていく要素がてんこ盛り。あまり考えなくても手軽に遊べるが,理解すればより楽しいのが,「グレイセス」のバトルなのだ。
試遊であらためて感じたのは,グレイセスのバトルは始まりから終わりまでのテンポがすさまじく良いということ。マップ上で敵のシンボルに接触し,バトルに突入する際もロード時間がほとんどなく切り替わるし,戦闘中はステップを駆使したスピード感のあるバトルが繰り広げられる。
各キャラクターの秘奥義も尺はコンパクトにまとめられながら,巧みなカメラワークと演出により大技感がキッチリ出ている。終わり際の演出も非常にスムーズで,“大技の演出により,戦闘が一時的に中断された”ということをプレイヤーに感じさせない。
敵を倒したあとのリザルト画面にも一瞬で切り替わるため,戦闘におけるテンポ感の良さはシリーズ随一と言っていいだろう。
今回はPS5版を用いての短い試遊だったが,「グレイセスのバトルはいいな」とあらためて感じた時間となった。バトルの難度はシリーズの中でも高めではあるのだが,バトルの難しさを変えてみたり,最初から全開放されているグレードショップを活用したりすれば,初見の人でも問題なく楽しめるはずだ。
ここからは,「グレイセス エフ リマスター」のプロデューサーである石川結貴氏へのインタビューをお届けしよう。リマスター企画が始動した経緯や,石川氏自身が感じるグレイセスの魅力について語ってもらっている。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず,「グレイセス エフ」リマスター版の開発がスタートした経緯を聞かせてください。
石川結貴氏(以下,石川氏):
さまざまな要因がありますが,今まで移植されていなかったタイトルですし,オリジナル版での展開地域もそこまで多くありませんでした。今回あらためていろいろな方に「グレイセス」を遊んでいただこうと思い,企画がスタートしました。
4Gamer:
リマスター版では,新たに英語の音声も取り下ろしているとか。
石川氏:
そうですね。最新作の「アライズ」はかなり多くの言語に対応しているんですが,グレイセスは字幕が4言語入っているのみでした。一部のDLCでは新たに英語音声を入れたり,多言語へ対応することで,より多くの方に楽しんでいただきたいと思っています。
4Gamer:
「グレイセス エフ リマスター」の発表に合わせて,過去作のリマスターを推進していくというプロジェクトが発表されました。
これまでも過去作のリマスター化の取り組みは行われていたと思いますが,ここであらためてリマスタープロジェクトを発表した理由を聞かせてください。
石川氏:
2025年で「テイルズ オブ」シリーズが30周年を迎えることもあり,しっかりお客さんに過去作品を触れ直していただく機会を提供したいという思いを込め,リマスターのプロジェクトを立ち上げています。
確かにこれまでもリマスターの取り組みは定期的に行ってきたのですが,今回から対応プラットフォームを広げたり,新たにゲームが遊びやすくなる機能を追加したりといった新たな挑戦も行っています。
4Gamer:
フィールド上のマーカー表示やグレードショップの開放などが新機能ですよね。これらはどういった理由で追加されたのでしょう。
石川氏:
理由は大きく2つあります。
1つめは,オリジナル版をプレイしたユーザーから「リマスター版をあらためて遊ぶ際に,もう少し遊びやすい機能がほしい」という声をいただいていたという点です。
我々のあいだでも現代でリマスターを出すなら,こういう機能が入っていると嬉しいよねという話は出ていたので,その要望にしっかりとお答えしようということで実装が決まりました。
2つめは,グレードショップ機能限定の話にはなるんですが,こちらを最初から開放することで,「テイルズ オブ」ならではの楽しみをより多くの方に楽しんでいただけると考えたからです。
初期パラメータや経験値などをここまでいろいろとカスタマイズできるのって,「テイルズ オブ」以外にはなかなかないと思うので,リマスターでそこを楽しんでいただきたいなと。
4Gamer:
グレードショップについては,最初からすべての機能が使えるのでしょうか。
石川氏:
はい。ゲームを始める際にグレードショップの特典すべてを購入できるポイント(3190)を所持した状態で1周目を始められます。ただ,「グレイセス」は使用したポイントが次の周回に引き継がれない仕様なので,2周目のほうが使えるポイントが少ないということになる可能性があります。
4Gamer:
こういった機能の追加というのは,開発的には手間がかかるものなのでしょうか。
石川氏:
そうですね。そもそも昔のタイトルをリマスターするということ自体がそれなりに時間のかかる作業なんです。
4Gamer:
リマスターは,新作を1本作るのと大して変わらないといった話はよく聞きます。
石川氏:
ええ。昔のままだとうまくデータが動かない,書き換えられないといったことがあったので,開発会社のメンバーといろいろと相談しながらリマスタリングを行っていきました。「グレイセス エフ」はPS3のタイトルなので,それでもデータはまだ触りやすい方でした。
機能の追加も手間はかかるのですが,やはり現代で快適にプレイできるテイルズ オブシリーズとして必要だと思い,実装しました。
4Gamer:
「グレイセス エフ リマスター」は,シリーズ30周年におけるリマスタープロジェクトとして発表されていますが,そのほかにもリマスタータイトルが動いているという認識でよろしいでしょうか。
石川氏:
はい。具体的なタイトルは申し上げられないのですが,プロジェクトは動いています。その際には,「グレイセス エフ リマスター」と同じく追加機能を入れて遊びやすくしたものをお届けしていく予定ですので,発表をお待ちいただければと思います。
4Gamer:
楽しみにしています。
石川さんはバンダイナムコエンターテインメントに入社前は,「テイルズ オブ」シリーズを全タイトルプレイするほどのファンだったと聞いています(関連リンク)。当時プレイヤーとして遊んだ経験がプロデュースに生きたことはありますか。
石川氏:
先ほどの追加機能については,当時遊んでいた時に「こういう機能があったらいいな」と思っていたもので,プレイヤーとして遊んだ経験が生きているのかなと思います。もちろん実装にあたっては,我々と開発会社のメンバーで議論しながら決めていきましたが,よりプレイヤーに近い目線では選べたのではないかなと思います。
あとリマスターでは,各ハードでフレームレートの安定化を図ったり,PC版は120FPSまで出せるようにしたりしているんですが,これはグレイセスのバトルを一層楽しんでほしいという思いがあります。
4Gamer:
リマスターを作るにあたって,あらためて「グレイセス」をプレイして感じた魅力や再発見したことなどはありますか。
石川氏:
私自身がアクション好きというのもあるんですが,真っ先に感じたのはバトルのすごさです。2009年当時にジャスト回避の要素がバリバリに入ったアクションRPGというのは,そこまで多くなかったと思うんです。
アラウンドステップによる回避を駆使したバトルの気持ち良さだったり,触りごごちの良さだったりは間違いなく「グレイセス」の魅力であると,リマスターを作るにあたって再確認しました。
4Gamer:
私もプレイしてみて,バトル突入時とバトル後のリザルトにロード時間が皆無でビックリしました。バトルの始まりから終わりまでテンポがすごくいいなと。
石川氏:
テンポというところで言えば,秘奥義の演出も感動的なくらい素晴らしいと思います。始まりから終わりまでテンポよく終わるんですが,ちゃんと必殺技感があってかっこいいし,今までの「テイルズ オブ」シリーズらしさもあるのが本当にすごいなと。
4Gamer:
カメラもぐりぐり動いて技全体に疾走感がありますよね。
石川氏:
身内の話ではあるんですが,当時の開発メンバーには本当に感謝です。リマスターというのは,面白い原作があってこそ成り立つものなので,プレイヤーとしても,担当者としてもあらためて「素敵な作品をありがとうございます」と言いたいですね。
4Gamer:
リマスターと言えば,2023年に発売された「テイルズ オブ シンフォニア リマスター」では,発売後からかなり不具合の報告が見られました。不安に思っているユーザーもいると思うのですが,「グレイセス エフ」にシンフォニアの知見が生かされている部分はあるのでしょうか。
石川氏:
リマスターは元データの解析から始まり苦戦することもありますが,本作は比較的スムーズに開発が進み安心してプレイいただける品質になったと思います。我々としても開発会社メンバーとしても,細心の注意を払って開発を進めております。
4Gamer:
素晴らしいリマスターに期待しています。さて,最後に読者へ向けてメッセージをお願いできますか。
石川氏:
まずはこれまで「グレイセス」を支持していただいていたファンの皆様にお礼を申し上げます。今回のリマスターは,本当に皆さまの応援があってこそ成り立った企画です。
「グレイセス」を遊ぶのは2周目,3周目もしかしたら,10周目という方もいらっしゃるかもしれませんが,遊びやすくなる機能の追加や美麗になったグラフィックスでよみがえった「グレイセス」を遊んでいただければと思います。
また今まで「グレイセス」をプレイしたことのない方にも,ぜひ遊んでいただきたいなと思っております。15年前のタイトルですので,最近のゲームとまったく同じ仕様とは言いませんが,1周目から強くてニューゲームができたり,追加機能によって,触りやすくなったりしておりますので,発売後はぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
「テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター」公式サイト
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