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2024年のゲームキングCPU「Ryzen 7 9800X3D」発売記念イベントが秋葉原で開催。とくに強いのは低解像度なeスポーツタイトル
1年ぶりの開催となるAMDのユーザー向けイベントであるが,13時からのトークセッションがメインであるにも関わらず,開場前には,40名前後の参加者が列を作っているほど。対象のAMD製品を購入するとAMDオリジナルグッズが先着100名にプレゼントされるキャンペーンや,抽選でノベルティグッズがもらえる「Xウォークポストキャンペーン」も行われたので,AMDファンや自作PCファンの注目を集めたようだ。
イベント会場は狭かったが,オープンするとあっと言う間に座席はすべて埋まり,会場後方には大勢の立ち見客が出るほどの盛況ぶりだ。
また,会場にはAMD X870/X870Eチップセット搭載マザーボードやRadeon RX 7000シリーズGPU搭載グラフィックスカード,イベントの主題であるRyzen 7 9800X3Dを採用するデスクトップPCなどが展示されており,熱心に眺める来場者も見られた。
Ryzen 7 9800X3Dが強いゲームはフレームレート重視のeスポーツタイトル?
13時に始まったトークセッションでは,まず,日本AMDの佐藤美明氏によるRyzen 7 9800X3Dの解説が行われた。
Ryzen 7 9800X3Dは,改良を進めて処理性能をさらに高めた「Zen 5」世代のCPUコアに,AMD独自の第2世代キャッシュメモリ積層技術「AMD 3D V-Cache Technology」(以下,3D V-Cache)を組み合わせたことが大きな特徴である。第1世代3D V-Cacheでは,CPUダイ(CCD)の上にキャッシュメモリダイを組み合わせていたが,第2世代3D V-Cacheでは,キャッシュメモリダイの上にCCDを載せるように構造を変えている。佐藤氏によると,これは単に上下を入れ替えるだけではなく,キャッシュメモリとCPUをつなぐ配線を設計しなおす必要があったと,X3DモデルのためにCPUコアの設計変更も行っていることを紹介した。
もともとゲーム用途で高い性能を発揮していた3D V-Cache搭載のRyzenだが,第2世代のRyzen 7 9800X3Dは,CPUコアの高性能化と高クロック化によって,さらに高いゲーム性能を有するようになった。佐藤氏も,前世代の「Ryzen 7 7800X3D」と比べて平均8%以上,競合Intelの最新CPU「Core Ultra 9 285K」と比べて平均20%以上のゲーム性能を有すると,性能の高さに自信を示す。
軽妙ながら歯に衣着せぬ加藤氏のトークで,会場は度々笑いに包まれた。とくに,AMDが潤沢な供給をアピールしていたはずのRyzen 7 9800X3Dが,フタを開けてみればほぼ瞬殺で,買いたくても物がない状況にあることについて加藤氏が指摘すると,AMDの佐藤氏も平謝り。世界的に人気なので仕方がないとはいえ,買えずに歯がみをしている人も少なくないCPUだけに,供給の改善を期待したいところだ。
加藤氏は,Ryzen 7 9800X3Dの利点をいくつか挙げた。なかでも重要な点は,2基のCCDを実装した12〜16コアモデルである「Ryzen 9 7900X3D」や「Ryzen 9 7950X3D」と異なり,Ryzen 7 9800X3DはCCDが1基なので,構造上の問題がないことだ。
既存の3D V-Cache搭載Ryzenは,CCDのうち1基に追加のL3キャッシュメモリを組み合わせている。そのため,3D V-Cacheがない側のCCDでゲームを動かしてしまうと,性能面のメリットが出ない。この問題を避けるために,これらのCPUでゲームをプレイするときは,3D V-Cacheがない側のCCDを停止させることで,性能面のメリットを引き出せるようにしている。
一方,Ryzen 7 9800X3Dであれば,CCDは1基なのでこうした手間もなく,確実に3D V-Cacheのメリットを得られるというわけだ。ただ,8コア16スレッドのCPUであるため,ゲームのバックグラウンドで録画・配信ソフトやボイスチャットソフトを実行するような人は,処理負荷に注意すべしと,加藤氏は注意喚起も忘れない。
そのうえで加藤氏は,解像度1920×1080ドットで56タイトル,解像度2560×1440ドットで57タイトルのゲームをテストした結果を示して,Ryzen 7 9800X3Dの性能と傾向を読み解いていく。
すると,1920×1080ドットでは,ほとんどのゲームで比較対象である「Core i9-14900K」を上回るRyzen 7 9800X3Dだが,GPU負荷が高くなる2560×1440ドットでは,その差が縮まるという傾向が見えてきた。
これらの傾向を踏まえて加藤氏は,Ryzen 7 9800X3Dは,とくにフレームレートや低遅延を重視して,低解像度かつ低画質でプレイすることも多いeスポーツタイトルで強みを発揮するという所感を述べた。一方で,高フレームレートよりも高解像度や映像美を重視するタイプのゲームでは,GPU性能の勝負になるので,Ryzen 7 9800X3Dの強みはやや薄れるとも指摘している。
いずれにせよ,Ryzen 7 9800X3Dのゲーム性能は,まさに「2024年のゲームキング」と呼ぶに相応しいもので,ゲーマー向けPCを買う,作るなら,まず候補に挙げたいCPUであるのは間違いない。供給の問題が解消されて,欲しい人が確実に買える環境が整うことを期待したい。
なお,AMD FAN FES 2024では,イベント終了後にも参加できるプレゼントキャンペーンを実施中だ。イベントのYouTube配信中に出てきた2つのキーワードを集めてキャンペーンWebページから応募すると,抽選で5名に各社のノベルティグッズ詰め合わせセットがプレゼントされるとのこと。応募締め切りは12月2日なので,興味のある人はイベントのアーカイブ動画を見てみよう。
第2世代3D V-Cache搭載CPU「Ryzen 7 9800X3D」レビュー。2024年最強のゲーマー向けCPUの座を奪えるか?
2024年のゲーマー向けCPUの本命ともいえる「Ryzen 7 9800X3D」が,11月15日に発売になる。Zen 5世代CPUに第2世代3D V-Cacheを組み合わせた本製品に,期待しているゲーマーは多いだろう。Ryzen 7 9800X3Dを試用できたので,ゲーム性能を中心に調べてみよう。
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