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[プレイレポ]映画シリーズらしさだけでなく,開発チームのらしさも見える「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」を先行体験
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印刷2024/10/29 23:00

プレイレポート

[プレイレポ]映画シリーズらしさだけでなく,開発チームのらしさも見える「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」を先行体験

 Bethesda SoftworksとMachineGamesは2024年10月17日,シドニー近郊にあるBethesda APECオフィスでハンズオンイベントを開催し,12月9日にPCとXbox向けにリリースが予定されているアクションADV新作「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」PC / PS5 / Xbox Series X|S)のプレイアブルデモをメディアに向けて公開した。

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 「インディ・ジョーンズ」と言えば,スティーヴン・スピルバーグ監督ジョージ・ルーカス制作,そしてハリソン・フォード主演という布陣で1980年代を沸かせた冒険映画シリーズだ。2023年に日本で劇場公開された「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」は,好調な興行成績を上げたと言われる。

 考古学者である主人公のインディアナ・ジョーンズが,戦中・戦後の時代背景の中で世界を駆けめぐりながら,秘宝の謎について解き明かしていくという,コミカルな表現も交えながらの,はらはらどきどきでスペクタクルなアクションや映像でファンを魅了している。

 そんな映画シリーズをゲーム化した「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の制作が,Microsoftによる買収が発表されて間もなかったBethesda Softworksと,LucasFilmsの新ブランドとして立ち上げられたLucasFilm Gamesによって明らかにされたのが,2021年1月のことだった。

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 Bethesda SoftworksとLucasfilm Gamesは米国現地時間2021年1月12日,「インディ・ジョーンズ」をモチーフにした新作ゲームの開発が決定したと発表した。開発はMachineGamesで,Bethesda Game Studiosのトッド・ハワード氏がエグゼクティブプロデューサーとして参加するという。

[2021/01/13 13:41]

 その開発はBethesda Softworksの傘下スタジオであるスウェーデンのMachineGamesに託され,内製エンジンの1つであるidTechエンジンをベースに順調に開発が進められてきた。2024年8月に放映された「gamescom Opening Night Live 2024」では,12月9日に日本語に対応してリリースされることが公表されている。

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 本日(2024年8月21日)実施されたゲームショーケース配信「gamescom Opening Night Live 2024」にて,Bethesda SoftworksとMachineGamesが開発するアクションアドベンチャー「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の発売日が2024年12月9日と発表された。

[2024/08/21 05:12]

 「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」は,映画第1作の「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」と,第3作「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」のあいだとなる1937年を舞台にしており,邪悪な勢力が追う“大円環“につながる古代の力の秘密を求めて,ジョーンズとナチスの考古学担当の将校であるエメリッヒ・ヴォス(Emmerich Voss)と競うようにして世界中を旅してまわることになる。

 「ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー」(2014年)に始まり,この10年にわたってFPS作りにこだわってきたMachineGamesらしい,1人称視点型のアクションアドベンチャーであり,多分にムービーシーンが挿入されるという趣向になっている。

“インディ・ジョーンズ”シリーズは過去にもゲーム化されたことがあるが,これほど映画に忠実な作品は初めてかもしれない
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 そのストーリーは,マーシャル・カレッジの展示室で,一見するとそれほど大きな意味がなさそうな遺物が盗み出されたことをきっかけに,インディがバチカンからエジプト,スコタイ(タイ)やヒマラヤへと旅していくというもの。お供になるイタリア人ジャーナリストという設定のオリジナルキャラクターであるジーナには,姉が失踪してしまっているという背景もある。
 そうしたロケーションにはメインストーリーをプレイしていくだけでなく,さまざまなサブクエストを獲得できるオープンエリアがあり,プレイヤーはそれぞれの地域でパズルを解き明かしたり,アイテムを見つけたりしてスキルをアップさせ,大円環の秘密を探り当てていくことになる。

インディの心強き旅の仲間と言えば,フェドラ帽とムチ。フェドラ帽は1回分のヘルス回復,ムチはコンバットからパズル,トラバーサルまでさまざまな用途に使える
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 今回,Bethesda APECオフィスにて公開された「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」のデモ版では,チュートリアル的に進めていく「マーシャル・カレッジ」と,最初のチャプターとなる「バチカン」を含めた45分ほどのプロローグ,ドイツ軍によるピラミッド及びスフィンクス発掘現場周辺を描いて1時間半ほどプレイできたエジプトの「ギーザ」(Gizah)の3つで構成されていた。

 その途中,インタビューの時間もあったために,じっくりと集中してプレイできなかったのは確かだが,2時間半ほどプレイした段階でも「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」全体のごくごく一部しか遊べていない印象を受けた。シングルプレイヤー専用ゲームとしては,かなり長い時間楽しめるだけのコンテンツが用意されていそうだ。


“ジャイアント”が盗み出した遺物の謎を追って新たな冒険が始まる


 マーシャル・カレッジは,「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の大冒険の直後に大学に帰って教鞭を取っていたインディが,仕事に忙殺されて夜更けまで研究室にいたところ,考古学展示物が陳列されているホールで物音を聞くところから始まる。
 行ってみると,体が大きくインディも判別できないラテン語系の言葉を話す“ジャイアント”と呼ばれる大男が陳列ケースを破壊していた。インディは格闘で気絶してしまい,インディの先輩で親友でもある学部長のマーカス・ブロディ博士に介抱されて目を覚ます。

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大学に忍び込み,何かの儀式をしている大男を発見したインディ。はたして,ここからどのような冒険が始まるのだろうか?(※画像は映像をキャプチャ)
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映画でもお馴染,インディの先輩で親友でもある学部長のマーカス・ブロディ博士。「インディ,自分の問題から逃げ続けていちゃいけないよ」と帽子を渡す彼に対し,インディは「見ておいてよ」と自信ありげに話すが,このゲームのストーリーの今後を示唆しているようにも思える (※画像は映像をキャプチャ)

 ここからは,ジャイアントが何を目的に大学に潜入し,壊された陳列棚から何か盗み出されたものがあるのかどうかというパズルが続くが,1人称視点による基本プレイに,ときおりカットシーンが巧みに入ってくる。
 興味深かったのは,ジャイアントが残していったものの中にバチカンと関わるヒントを見つけ,研究室にあるスーツケースに必要なアイテムを入れ込むシーンだ。

 以前の冒険でも使ったものであろうスーツケースの内側にはギフトと手紙が挟み込まれており,“マリオン”という署名がされている。マリオンと言えば「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」のヒロインであり,2008年のリバイバル作品「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」では,晴れてインディと結ばれたという因縁の深い役どころだ。果たして,ゲーム中では登場する機会があるのかどうか……。

 このマリオンにもらったギフトが,本作で大きな意味を持つ“ジャーナル”だ。プレイヤーにとっては,獲得した手紙や写真など紙類の発見物をまとめるスクラップブックのような役割を果たす。
 また,バンパーボタンでスクロールするゲームメニューには,エリアのマップと遂行可能なミッション,その詳細を表示する「Survey」,出会ったキャラクターや状況,気になるアイテムについて書き込む「Journal」,集めた書籍をカタログ化する「Library」,そして世界マップを表示してファーストトラベルに使う「Travels」などがあった。

インディの旅路に欠かせないのが「ジャーナル」だ。恋人のマリオンから置手紙とともにもらうというシチュエーションも気になるが,ゲームでは非常に重要な役目を担う便利帳となる(※画像は映像をキャプチャ)
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変装してナチスが占拠するサンタンジェロ城へ潜入


 ともかく,「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」でバチカンにやってきたインディは,内部のコンタクトである聖職者のアントニオの伝手をたどって,ナチスが駐屯基地として利用しているサンタンジェロ城へと潜入することに成功する。

 ここでインディの“特殊能力”でもある変装を行い,自らも聖職者を装って,盗まれた遺物やジャイアントの痕跡を探し当てることになるようだ。「…ようだ」としたのは,バチカンのマップをプレイしている途中でタイムアップになったからで,具体的にミッションを遂行させていく時間はなかったからである。

 しかし,このマップではステルスやバトルのメカニックなど,ゲームの基本的なプレイが学べるようになっていた。警護の兵士の背後から忍び寄り,握りこぶしで殴り合ったり,手にするアイテムで相手をノックアウトしたりできる。映画らしく武器になりそうなアイテムがところどころに散らばっており,鉄パイプやシャベルに加えて,バイオリンのようなおもしろアイテムも戦闘に利用可能だった。

 インディの冒険に欠かせないアイテムと言えば,鞭とフェドラ帽だ。ムチは相手に打撃攻撃を加えるだけでなく,腕を目掛けて振り下ろすと相手の持つ武器を払い落とし,下半身を狙うと足を掬いあげるように倒して怯ませることができる。戦闘だけでなく,甕(かめ)を壊したり,遺跡のスイッチを押したり,さらには建物外部の突起に巻き付けて,よじ登るロープに使ったりもできる。

 映画シリーズでも,どんな危険を冒してもインディが手放すことがない,彼にとっての勇気を象徴するフェドラ帽は,相手にノックアウトされた際に,近くに落ちていれば,這いずって手にして被り直すことで,ゲームオーバーになる前に立ち上がることができる。

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手持ちの武器がないときの基本はムチ。相手を倒したり近くに引き寄せて殴りつけたりできる
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バチカン内部のコンタクトである聖職者のアントニオ。この後,インディはアントニオの勧めで,“黒服の男”に怪しまれないよう変装することになる(※画像は映像をキャプチャ)

 バチカンのミッションでは,ステルスやアクションのほかにも,「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」のカギとなるゲームプレイを垣間見られた。それは,デスクに置いてあった「Temperamento da Gentiluomini」という冒険小説を持ち上げると,敵をメレーで倒した際に自分のスタミナをフルに回復できるスキル「Punch Out I」を獲得できるというものだ。
 プレイヤーには“アドベンチャーポイント”という経験値のようなものが蓄えられており,25ポイントを消費することで,この能力を習得できた。

 この「Punch Out」というのはインディが習得できるスキルのうちの,素手での戦いに特化したものであり,「Survival」(サバイバル),「Fitness」(フィットネス),「Packing」(荷物),「Brawling」(喧嘩),そして「Combat」(戦闘)という5つのカテゴリーのうちの「Brawling」にあたる。

 何種類が存在するのかこの時点ではチェックできなかったが,より良いスキルはそれだけのアドベンチャーポイントが必要になるので,さまざまなサブクエストをこなしてポイントを稼ぎ,好みのスキルやアップグレードに十分な量になるまで溜め込んでおくといったことも必要になるようだ。

しっかりと周囲を探索していると,キャラクターのスキルを向上できる本が見つかった。スキルは十分なアドベンチャーポイントがあれば習得できる(※画像は映像をキャプチャ)
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 このほかにも,ノックアウトした敵を担ぎ上げて,暗がりに運び込むといったこともできる。担ぎ上げて歩くとスタミナが消費されるので,遠くまでは運び出せないようだ。敵キャラクターは視界の範囲や距離が存在するようで,何か不審に感じると頭上に円形の「?」アイコンが表示されるとともに,その周りのパラメータが増えていくので,急いで隠れるなどする必要がある。
 空瓶を投げて相手の気を引きつけ,相手がそちらを向いている隙に背後から忍び寄ったり,しゃがんだ状態で背後を素通りしたりといった,オーソドックスなステルスプレイが楽しめた。

正面突破が難しそうなら,ムチが絡みそうな部分を見つけて迂回路を開拓してみよう(※画像は映像をキャプチャ)
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ギーザではオープンエリアで自由に活動


 デモ版では,オープンワールド型エリアとなっているエジプトの「ギーザ」にも移動でき,自由な探索を楽しめた。ここでは,考古学者でもあるナチス将校エメリッヒ・ヴォス率いる部隊がスフィンクスの発掘調査を行っている。その周囲には地元の村やマーケット,労働者が集う仮宿所などがあり,感覚では四方に走って数分ほどの広さのエリアといったところだ。

 ここで出会うのは,この地におけるコンタクトであるナワール夫人(Dame Nowal)という女性だ。“ナワール”という名前は,サウジアラビアからインドにまで広がる名前らしいので,当時の大英帝国の所領に生まれた女性と思われるが,ジーナとは仲良くはないが旧知の仲といったところである。

 ナワール夫人の情報によると,ヴォスはスフィンクスやケントカウエス王妃の墳墓遺跡の周辺に眠る4つの石碑文を探しており,インディは先回りしてそれらを入手して彼女に渡すというのが大きなミッションとなる。
 敵の目を掻い潜りながらスフィンクスの近くにある物見台に登ると,そこから写真撮影できるようになり,必要な情報を得ることで,くだんの石碑文に絡むミッションが進んでいくという流れになっていた。

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サブタイトルでもある「大円環」とは,幾何学における「大円」(球面と球の中心を通る平面との交線。球面上に描ける最も大きな円)のこと。ジーナと共に地球規模の大きな謎に立ち向かっていくというストーリーを示唆しているように思える
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雑多な風景もうまく表現されているギーザのバザール。インディが手にするジャーナル内のマップを見れば分かるように,オープンエリアはそれなりの広さがある
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自分の興味あるものに没頭する姿は,どことなくインディと似ている敵役のエメリッヒ・ヴォス。鼻が折られているのは,先にインディにしてやられたのか?
このどこかに石板の1つがあるらしい。カメラを向けているが,正面突破するのはかなり難しいので,裏から入り込んだり,作業員に変身したりするようなシチュエーションが用意されている
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 わりと広さを感じるマップなので,関係者以外立ち入り禁止の区域に近寄るのはもちろん,その中に潜入していくのも難しいことではなかったが,ナチスの兵に気付かれると疑われて交戦することになる。

 日中はしゃがみ込みによるステルスもそれほど効果はなさそうだが,ここでインディの強い武器になるのがムチだ。NPCにはアタリ判定が用意されており,先ほども紹介したように足にムチを当てれば引っ張るように相手を倒し,腕を狙えば拳銃を落としたり,手にした武器を取り上げたりすることも可能だ。

 銃器に頼らないインディらしい武器であるが,離れた場所のオブジェクトを破壊したり,高い場所に登るときのロープとして利用したり,装置のスイッチを入れたりといった,さまざま用途に使えるようになっており,パズルやトラバーサルでも威力を発揮する。
 敵は視覚や聴覚でインディの存在に気付くが,ドーベルマン犬を含めて認定範囲はそれほど広くないし,走って逃げたり隠れたりすれば,かなりの確率で振り切ることができた。

 ギーザではメインとなるミッションのほかに,非常に自由にミッションをこなしていける。例えば,ナワール夫人のテントを出たすぐ近くの小屋には,赤いフェズ(エジプトではタルブーシュ)を被った現地の医者がおり,インディを呼び止めて,「ナチスが医療品を買い占めていて,地元の人の分が足りない」と嘆いている。つまり,ナチス兵の駐屯地で物資を漁れば見つかるアイテムを,この町医者に持ち込むたびに,何らかの便宜を受けられるようになるというわけだ。

 ギーザでもう1つ重要なのが,町でライターを獲得するということだ。「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」はシングルプレイヤー専用アクションアドベンチャーとしては珍しく,以前にプレイしたマップに戻って,まだコンプリートしていないエリアに行ける。ライターは,その際に重要な役目を担うマストアイテムであるとの説明を受けた。

暗い場所の灯りとして利用するライターだが,マップ間の移動にも何らかのギミックが用意されているとのこと
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映画らしさと没入感を同居させるカメラワークへのこだわり


 MachineGamesのリード・ゲームデザイナーで,「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の開発チームを率いるエジキール・ヴァイラント(Ezekiel Virant)氏に話を聞けたのでこちらもお届けしよう。

インタビューを受けていただいたリード・ゲームディレクターのエジキール・ヴァイラント氏。アメリカ出身だが,「もう,どれくらいスウェーデンにいらっしゃるんですか?」の質問には,「子供たちがスウェーデン語で日常会話するくらい」と答えていた
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 ヴィランドは,もともとアメリカでゲーム業界入りし,2017年にスウェーデンに移住してAvalanche Studiosでハンティングゲーム「theHunter: Call of the Wild」シリーズに従事してきたという人物だ。2020年7月からMachineGamesのゲームデザインチームに所属し,制作発表されたあとの2021年後半からリードに昇格している。

4Gamer:
 ヴァイラントさんがMachineGamesに参加したのは,「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」が正式発表されて以降のことですが,プロジェクトはかなり進んでいたのでしょうか。

ヴァイラント氏:
 2021年1月にLucasfilm GamesとBethesda Softworksのあいだで制作発表されたときは,実際に企画が認められて提携が行われたばかりで,その後に私が起用されたときも開発の序盤に過ぎませんでした。

 以前,エクゼクティブ・プロデューサーであるトッド・ハワード(Todd Howard)が言っていたことですが,インディ・ジョーンズのゲームを開発するというのは,Bethesda Softworksにとっての“バケットリスト”(悔いがないよう,人生が終わるためにやるべきことのリスト)で,実は2009年の時点で一度Lucasfilmに企画を持って行ったことがあったのですが,そのときは拒否されていました。
 その後10年以上も経ったBethesda Softworksがゲーム開発企業として認められ,それがMachineGamesの手に託されたということが,我々を奮起させています。

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[2021/01/13 13:41]

4Gamer:
 それだけ信頼されているということなんでしょうね。

ヴァイラント氏:
 ええ。トッドは,我々が1人称視点にこだわり,ゲームプレイとストーリーをうまく混在させていくという,「ウルフェンシュタイン」シリーズに見られるこだわりに深く感銘していただいているようで,Bethesda Softworksからフィードバックやサポートを受けながら,快適かつ順調に開発を進めことができました。

 Lucasfilmも「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」などの細かい資料を惜しまず提供してくれたので,非常にオーセンティックな映画系ゲームに仕上がったと思います。

4Gamer:
 映画シリーズと「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の違いは,やはり“1人称視点でインディになりきる”ことでしょうか。

ヴァイラント氏:
 そうですね。MachineGamesの中核は,Starbreeze Studios時代に「The Chronicles of Riddick: Escape from Butcher Bay」というFPSで高く評価されたチームから独立した人たちで,以来,1人称視点にこだわった開発を行い,その表現手法を身に着けてきたと思います。

 その点で,もはや3人称視点にしようという企画は最初からなかったはずです。ただ,これまでのFPSと異なる考古学者が主人公のアクションアドベンチャーですから,自分の目線で世界を見回して写真を撮ったり,オブジェクトを持ち上げて見てみたり,少し離れた場所のチェーンを引っ張って何かを起動させるパズルを解き明かしてみたりという,より没入感の高い体験の表現に工夫が凝らされています。

 さらに,ところどころに挿入されているムービーシーンであったり,壁をよじ登ったりする際のトラバーサルも3人称視点になりますので,ゲーム中では視点を意識することなくスムーズにプレイできます。

パズルはほぼすべて1人称視点でプレイしていく。インディのように,しっかりと詳細に目を配りながらプレイしていこう
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4Gamer:
 今回プレイしたデモは,かなりムービーシーンが多いように感じました。

ヴァイラント氏:
 チュートリアルを含めて,ゲームのストーリーやキャラクターをうまく表現しなければいけないですから,序盤にかなりシネマティックスを使用しているのは事実です。

 実際にどれだけのシネマティックスがゲーム中にあるのかは現時点では詳しくお伝えできませんが,“ナレーティブ・ビート”(ストーリーが進行するテンポのことだろうか)にもこだわっていますので,かなりの頻度でアクションとシネマティックスが交互に挿入されていくことになります。
 インディの映画で育ってきた開発者にとっても,ゲームの中で映画を作れるまたとないチャンスですからね。

写真撮影すると,特定地域の詳細が明らかにされるなどのヒントを得られるだけでなく,アドベンチャーポイントも加算されるので,ポイントを見つけて写真を集めよう(※画像は映像をキャプチャ)
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4Gamer:
 本作では,ムチが大きな特徴になっていますね。

ヴァイラント氏:
 相手の武器を叩き落としたり,ピストルを奪い取ったりもできますし,相手の足を狙って引き倒したり,首を狙って近くに引き寄せて拳で殴りつけたりといったアクションにも使えます。

 それだけでなく崖の上の突起に巻き付けて登っていくときや,掛けられたロープや電線を滑り降りるときの移動手段にも使えますし,パズルのスイッチ,さらに音を立てることで相手の気を引くこともできます。とくに,利用できる銃器が多くないシチュエーションで重宝すると思います。

4Gamer:
 確かに銃をぶっ放しながら冒険するインディはあまり想像できません。

ヴァイラント氏:
 銃はマップ中に散らばっていますから,使えないことはないですし,映画同様に必ず使わなければいけないシチュエーションもいくつかあります。それは,例えば敵の機関銃台を見つけて一掃するようなシーンだとか,銃で相手を撃つのではなく銃創で殴り付けるというようなプレイも含まれます。

ゲーム中では,さまざまなオブジェクトを手にしてプレイできる。バイオリンで殴りつけても,木製オブジェが破壊される効果音が鳴るだけだった
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4Gamer:
 ギーザを散策していると,現地の医者に呼び止められました。

ヴァイラント氏:
 本作では「グローバルクエスト」と呼ぶもので,プレイヤーがオープンなエリアを散策してNPCと話したり,何かのオブジェクトとインタラクトしたりすることで発生するサブクエストになっています。

 ほとんどのものが時間とは関係なく,いつでも遂行できますが,時間を忘れるように1つひとつプレイしていくような気分になるかもしれませんね。このゲームでは,前のチャプターに戻ることもできますから,やり残したものをいつでも戻ってプレイできます。

4Gamer:
 面白いメカニクスだと思いますが,メインクエスト以外にロケーションを超えて謎解きするようなパズルもありますか。

ヴァイラント氏:
 何がとは言えないですが,ビックリしていただけると思います(笑)。

4Gamer:
 気になりますね(笑)。ロケーションは,マーシャルカレッジのあとは,バチカン,エジプト(ギーザ),それからスコタイ(タイ),あとはヒマラヤなんかにも行くそうですが,ほかに訪れる場所はありますか。

ヴァイラント氏:
 そこも,お楽しみにしておいてください。

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なんとも美しい風景が広がるタイのシーン。ボートで川を進んでいくと古代遺跡に到着するようだ
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以前公開されたムービーでは,インディが翼に日の丸の描かれた戦闘機と対峙するシーンもある。もう1つのロケーション,とは上海あたりになるのだろうか? つまり,ショーティも登場する?(※画像は映像をキャプチャ)

4Gamer:
 分かりました。マーシャルカレッジでは,マリオンの手紙があったのが意外でした。マリオンもゲーム中に出てくるのでしょうか。時代的にはインディのお父さん,つまりショーン・コネリーさんも?

ヴァイラント氏:
 2人とも映画の時間軸の設定では存在するキャラクターですからね。どんな形で登場するのかしないのかも,ゲームが発売されてからのお楽しみにしていただければ(笑)。

4Gamer:
 では話題を変えますが,インディ役には海外の声優として有名なトロイ・ベーカーさんが起用されています。

ヴァイラント氏:
 はい。我々のスタジオでパフォーマンスを監修したわけではないですが,動きも非常に似せていて,非常に高いクオリティに驚かされました。もちろん,インディの顔のスキンテクスチャは違いますが,表情の動きなどもベーカーさんの演技です。

4Gamer:
 声もですか? ゲームをしていても,昔のハリソン・フォードさんにしか聞こえないのですが,AIなどを使っているのでしょうか。

ヴァイラント氏:
 いえ,英語版はベーカーさん本人の声です。私も初めて音声を聞いたときはビックリして信じられなかったのですが,ベーカーさんは過去の映画から学習して物まね演技まで習得してしまうほど,多くの時間をこのプロジェクトに注いでくれたのです。感情とか性格とか,そうしたレベルではまだAIの活用は難しく,彼の演技のリアルさはゲームの質を大きく向上してくれたと考えています。

パフォーマンスキャプチャや声は,ゲーム業界ではお馴染みトロイ・ベーカー氏が担当。「セインツロウ IV」のボス,「ラスト・オブ・アス」のジョエル,「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」のサム・ドレイクなど名作が多いが,今回のクリソツな演技も楽しみだ(※画像は映像をキャプチャ)
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4Gamer:
 最後になりますが,ゲーマーにとって「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」をプレイする意義とは。

ヴァイラント氏:
 そうですね。インディ・ジョーンズの映画シリーズを見たことのある人なら共感できるでしょうが,1000年も誰も入ったことのない遺跡の奥部で何かの秘宝を目にするワクワク感だとか,さまざまなパズルを解いて1つの結果に結び付けていくストーリーの醍醐味を,皆さんに実体験してもらえるところにあると思います。
 肩肘はらないコミカルなシーンも多い,ユニークな1人称視点のアドベンチャーを楽しんでください。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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 「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」は,PCとXbox Series X|S,およびGame Pass向けに12月9日のリリース予定となっており,予約購入者向けには3日間のアーリーアクセス権やいくつかの特典が用意されている。そのベースとなるidTech第7世代のゲームエンジンは,「サイバーパンク 2077」「アランウェイク 2」「悟空: 黒神話」など,ほんの一部のタイトルで採用されているのDLSS3.5をサポートしており,PC版はフルレイトレーシングでの美しいグラフィックスを堪能できる。また,PlayStation 5版は以前の予定どおり,2025年春の発売となる。

 “インディ・ジョーンズ”は,おじさん世代の人気映画シリーズであるが,いま見てもスピールバーグ映画の巧妙なトリックやテンポの良いストーリーは見る人を飽きさせない。そのレガシーを,1人称視点で描いた「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」がどれだけうまく引き出せているのか。発売を楽しみにしたいところだ。

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