プレイレポート
[プレイレポ]「マリオvs.ドンキーコング」は“ひらめき”がものをいうパズルアクション。大人も子どもも楽しめる絶妙な難度のパズルに挑戦しよう
ゲームボーイアドバンスでリリースされたオリジナル版からグラフィックスを一新し,新たなワールドとステージ,Joy-Conのおすそわけでの協力プレイというSwitchならではの遊びかたなどを追加。後年,さまざまなハードで続編タイトルが発売されたパズル&アクションシリーズの原点がパワーアップして帰ってきたわけだ。そんな本作を発売に先駆けてプレイできたので,その手触りをお伝えしよう。
「マリオvs.ドンキーコング」公式サイト
ミニマリオを盗んだドンキーを追え! ひらめき重視なパズルアクション
本作のストーリーは,ドンキーコングがマリオ・トイ・カンパニーよりミニマリオ(おもちゃ)を盗み出したところから始まる。マリオはミニマリオを取り返すべく,ドンキーコングを追いかけて行くのだ。
……と,今サラっと流したのだけど,実は筆者は「マリオ・トイ・カンパニーってなに?」ということで頭がいっぱいであった。「え,マリオ,会社持ってたの? そんで,自分のアクションフィギュア作って販売してたの?」と。そのあたりはオリジナル版とそのままなので,いまさら何を言っているのだという感じではあるが,「そうか,そんな斬新な設定があったのか」とあらためて驚かされた。
さて,おもちゃを奪ったドンキーコングだが,マリオが追ってこられないように,道中にさまざまな仕掛けを用意しながら逃げていく。ゲームはシンプルなステージクリア型のパズルアクションとなっており,マリオ(プレイヤー)はさまざまな仕掛けを持ち前のアクションとそして“ひらめき”で解き明かしながら追いかけていくわけだ。
ステージの基本的な構成は,“ステージにあるカギを取ってゴールまで運ぶ/奪われたミニマリオを取り戻す”というもの。カギを持つと遠くまでジャンプできなくなったり,ロープを掴めなくなったりする。つまり実行できるアクションが制限されるわけで,その状況でどのようにカギをゴールまで運ぶか考えることが重要になるのだ。
「カギを持っていなければハシゴが使えるのにっ。あれ,でもカギをこっちにこうして,先にマリオがこれを動かすと……あっ!」みたいに,ジレンマをひらめきで解消するのがとにかく楽しい。なんだか妙にクセになる気持ちよさがある。
遊び心地もかなり軽めで,それぞれのステージはちょっとした空き時間にサクっとプレイできるようになっている。ステージごとに制限時間があるのだが,その時間はだいたい200秒前後。時間がかかったとしても3分程度でクリアできるように作られているわけだ。この気軽さがとてもいい。
攻略中,タイマーを止めてステージ全体を確認できる。じっくり考えられる仕組みを用意してくれているのがありがたい |
制限時間が無制限になるカジュアルモードも。通常は1ミスでステージの最初からやり直しになるのだが,このモードなら5回まではミスしても大丈夫 |
気軽にサクッとパズルとアクションが楽しめる! というのは本作の大きな特徴だが,ただそれは“普通にクリアするだけ”における話。本作のステージにはそれぞれ3つのプレゼントが配置されており,それらを全部集めてクリアするとなると,途端に難度がUPする。プレゼントを取りながらゴールするためのルートをあらためて考える必要が出てくるのである。
プレゼントは,ゴールまでの導線に配置されているものもあれば,ゴールまでの道筋とまったく関係なさそうなところに置いてあるものもあり,全部集めるにはかなりの“ひらめき”が必要になる。そして,サクッと遊ぶうえで嬉しいとお伝えした“短めに設定された制限時間”がどんどん重荷となっていく。残り30秒になるとBGMも変化するし,マリオもこちらを急かしてくるしでとにかく焦る。
気軽にパズルを楽しむにはほどよい難度だが,コンプリートしようとすると難しい。本作はこの塩梅がなんとも絶妙で,だからこそプレゼントを全部集めてクリアしたときの達成感は強く,気持ちよさも格別なものがある。
本作のステージは大きく8つのワールドに分かれており,ジャングルのワールドにはいたるところにしがみつけるツタがあったり,火山のワールドでは下から溶岩が迫ってきたりと,それぞれステージのギミックが違う。次のワールドへ進むたび,「次はどんなギミックが来るんだ……?」とワクワクできるのも本作の魅力のひとつだろう。
そしてもちろん,ワールドが区切られているということは,節目となるステージもしっかり用意されている。「ミニマリオステージ」と「ドンキーコングステージ」のふたつがそうだ。
ミニマリオステージは,マリオについてくるミニマリオをうまく誘導して「T」「O」「Y」(つまりトイ)のパネルを集め,ゴールであるおもちゃ箱に入れるというもの。ミニマリオだけが通れる道などもあり,通常ステージとはまた違ったひらめきを要求される。ワールドごとのパズル要素が総決算されたようなステージだ。
健気についてくるミニマリオたちがとてもかわいい |
ミニマリオたちは敵やトゲにぶつかると数が減ってしまう。ミスするとミニマリオたちが騒ぎ出すのだが,その様子もこれまたかわいい |
ドンキーコングステージは,名前のとおりドンキーとの一騎打ち。これまでのステージとは違い,アクション重視の動きが要求される。とはいえ,ひらめきが必要なことに変わりはない。パズルの目的が“どうゴールを目指すか?”ではなく“どうドンキーを倒すか?”に変わったような感じだ。
頭と手指を酷使してドンキーを倒せば,晴れてワールドクリアだ。さらにすべてのワールドをクリアすると,より難しい「プラスワールド」に挑戦できるようになる。
こちらはカギがなくなった代わりに,ステージにいるミニマリオを連れてゴールまで進まなくてはならない。さらにはギミックもより複雑になる。いくつもの要素を同時に処理する必要がでてくるので,名前通りプラスされた難度を求める,より上級者向けのステージという感じだ。
そして“ふたりプレイ”。これがあるおかげで幅広い層がゲームを楽しめることも本作の特徴だろう。ふたりプレイは,ゴールに必要なカギの数が2本になり,プレイヤーそれぞれがカギを取らないとゴールができない仕組みになっている。パズルが得意な人同士であれば,信頼しあった者同士で各々のミッションをこなし,どちらかがパズルが苦手であればもう一人がアドバイスを出しながら進める。そんな風に,シングルプレイとは違った楽しみ方ができるのだ。
一緒に遊びながらサポートする人がいれば,小さい子どもでもクリアを目指せるところは,保護者の皆さんにとっても嬉しいポイントだろう。
ふたりプレイでは,2Pがキノピオを操作する。アクションの内容もほとんど変わらず,マリオと同じ素晴らしいジャンプを披露してくれる |
このモードでは片方がミスしてももう片方が助けられる。お互い協力してステージを進められる,家族や友だちなんかと和気あいあいしながらプレイできる楽しいモードだ |
銀色のカギが新たに追加。そして据え置きの制限時間 |
本作をプレイして感じたのが,“難度調整が絶妙だな”ということ。とにかくヒントの出し方が絶妙で,「あっ,これは!」となる,気付く,ひらめく感覚がとにかく気持ちいい。もう少し言うと,“ひらめかせる”ためのステージ作りが素晴らしいと感じた。
パズルゲームには,
「難しいと子どもはクリアできないんじゃない?」
「子どもがクリアできる難度なら大人は物足りないんじゃない?」
という二律背反があると思うのだが,本作で必要なのは思考というよりむしろひらめき。その面では,年齢におけるスタートラインの違いはそれほど大きくないと思う。むしろ固定観念のない子どものほうが,すらすら解けたりするかもしれない。そういった意味で,大人も子どもも同じような感覚で楽しくプレイできるゲームだと,個人的には考えている。体験版も配信中なので,気になる人はまずそちらから試してもいいだろう。そしてぜひ,この“ひらめきの沼”にハマってほしい。
「マリオvs.ドンキーコング」公式サイト
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