プレイレポート
[プレイレポ]「プリンセスピーチ Showtime!」は,本当の舞台演劇のような雰囲気が新しいアクションゲーム。いろいろな役でキラメキを振りまく“主演・ピーチ”が見逃せない!
任天堂より本日(2024年3月22日)発売されたNintendo Switch用ソフト「プリンセスピーチ Showtime!」は,ピーチがさまざまなステージで活躍するアクションゲーム。ゲームファンはもちろん,演劇好きや劇の主役に憧れたことがある人の心もくすぐってくれるであろうタイトルだ。
「プリンセスピーチ Showtime!」公式サイト
キラメキの力で舞台を明るく! 暗い雰囲気にそまった劇場を救う物語
物語の始まりは,「キラメキ劇場」舞台公演の案内が書かれたチラシを見るところから始まる。キノピオたちとともに劇場へとやってきたピーチたちであったが,舞台が始まるその直前,突如現れた「グレープ劇団」によって劇場は大混乱に。
団長であるグレープ。怪しい仮面をつけたビジュアルがかっこいい |
ムービーの途中で,ピーチのティアラが外れてしまう。今回は“お姫様”じゃなく“主人公”だよ! といったメッセージ性も感じられる |
劇場を占拠したグレープ劇団は,あろうことか舞台に入り込み,演目の舞台をめちゃくちゃにしてしまう。ピーチは劇場を守る妖精ステラと協力し,人々に希望を与える“キラメキ”の力を使って,舞台の中に入り込んだグレープ軍団たちに立ち向かっていくことになる。
相棒のステラ。おじぎがかわいい |
劇場はすっかりグレープ団仕様に。紫の光が怪しい |
演目によってガラリと雰囲気が変わる舞台(ゲーム的な意味でもステージだ)上で活躍するピーチは,まさに劇の主役といったところ。ステージは劇場らしいギミックが満載で,それらをキラメキの力で解決してクリアを目指すプレイ体験は斬新なものがある。
倒れた人を元気にしたり,捕まった人を助けたり,グレープ劇団の敵ドゥーケたちを追い払ったりと,キラメキの力はとても万能。あちこちでキラメキを振りまき,スイスイ進んでいく感覚も実に爽快だ。
キラメキを使って,ギミックを解きながらステージを進んでいくところは,「ペーパーマリオ」シリーズあたりの感覚に近い。
アクション面は遊びやすく簡単でシンプルな手触りながらも,ステージを攻略するためのさまざまなギミックが用意されており,自由かつ柔軟な発想が求められる部分の遊びは広いゲームといった印象を受ける。
敵の攻撃を受けるとライフが減る。しかしライフがなくなっても少し進行が戻されてコインが減るぐらいで,大きなペナルティはない |
ライフを増やすことができるアイテムもある。返却も自由なので,自分なりの難度調整ができる |
舞台ごとの衣装がステキ。多彩なステージによって広がる遊びの幅
……と,いうのがだいたいのステージで共通している,キラメキを使ったステージ序盤の遊びとなる。中盤からは,その舞台の演目にあった姿にピーチが変身し,また違ったアクションが行えるようになる。
たとえば,最初に攻略するステージの舞台演目は「剣士といばらの城」というもの。突然現れたいばらによって城にとじこめられた王様を,ひとりの剣士が助け出すという物語だ。
そんな演目に沿うようにステージは進み,ピーチはひと振りの剣を持つ剣士の姿に変身する。さらにはアクションも,剣を使った攻撃や受け流しなど,まるで一流の軽戦士のごとき立ち回りを見せるように。
もちろんモーションもめちゃくちゃかっこいい。とくに回避は一瞬スローになり,青い残像が残る演出がたまらない |
鉄の檻でもなんのその。ピーチにかかればスパっと切断 |
ほかにも「激流忍法帳」という演目では忍者,「荒野のカウガール」はカウガールといったように,演目ごとの衣装が用意されている。
そしてもちろん,演目が変われば舞台(ステージ)のテイストもガラっと変わる。お話の雰囲気だけではなく,ピーチのアクションやステージのギミックの特徴も演目によってさまざまな変化を見せる。敵とのバトルが楽しめるものやステルスのドキドキが味わえるものなど,演目によって異なるアクションと物語を堪能しよう。
忍者の特徴は隠密行動。後ろから近づいて敵を倒す,いわゆるステルスアクションが楽しめる |
これ,バレてないんです。絵面がシュールだ |
カウガールはロープを使って,物を取ったりぶつけたり…… |
もちろん馬に乗ってチェイスだってしちゃいます。カウガールだからね! |
ステージのなかには,敵と戦わないものも。例えば「スイーツフェスタへようこそ」という演目では,ピーチはパティシエ衣装に身を包み,ひたすらスイーツフェスタに必要なクッキーやケーキを作ることになる。といってもミニゲーム的なものではなく,アクションのなかでスイーツを作っているのが面白い。
ほかにもスケートの舞台である「スノーフラワー・オン・アイス」では,まるでフィギュアスケートのショートプログラムを演じるかのように踊る……なんて場面もあり,ただの舞台演劇やアクションにとどまらない,多彩で多様なピーチの主役劇とアクションを楽しめる。これが本作の醍醐味であり,大きな魅力のひとつだと感じた。
なかなか珍しいブルー系の衣装をまとい,髪も短くまとめたフィギュアスケーターピーチ。個人的にはイチオシなかわいさ |
ジャンプの姿も優雅。滑走のモーションもキレイで,こだわりを感じられる |
スポットライトに観客の拍手。舞台らしさを感じられる作り込みがすごい
個人的に,本作でいちばん「すげー!」と感じた部分がある。それは徹底された“舞台らしさ”の作り込みだ。
ほとんどの場面でカメラに舞台端が映っていたり,背景の大道具感があったり,重要な場面ではスポットライトがピーチと主要な人物を照らし出したり……本作には舞台であることを感じさせる演出がたくさん仕込まれている。
舞台端が映ることで,ちゃんとピーチが立っているのは舞台の上だ,という感覚がある |
プロジェクターっぽいもので,亡霊の敵を壁に映しているように見える。ちょっとぼやけているのがいい感じ |
なにより,演劇をイメージした異世界や作品世界に入るというわけではなく,あくまでも“舞台の上に立つピーチ”が描かれているのがとても面白い。それは,ピーチやグレープ劇団にとっては本当の戦いであっても,見ている側には舞台での演技を見ているような感覚で,こういったストーリー展開や演出はなかなか味わえないと思う。
全体的に難度はそこまで高くない印象で,あまりゲームをしない人やゲームが苦手という人でも,ほどよくアクションのやりごたえを感じながら物語や演出を楽しめるだろう。アクションは自信ないけど演劇っぽいのは気になる! と思った人にはぜひ挑戦してほしい。
もちろん,「普段からたくさんゲームを遊ぶよ!」という人にとっては物足りないというわけではない。本作はコレクト系の要素が充実しており,やりこみがいはかなりある。
たとえば,ピーチやステラを着せ替えられるスタイルリボン。これはステージ内にいるリボンおじさんというキャストンを見つける,ステージで集めたコインと交換するといった形で種類が増えていく。アクションを楽しみながらリボンおじさん探しとコイン集めを楽しもう。
アクションリハーサルという,いわゆるスコアタックも用意されている。スコアによって得られる評価が変わるのだが,最高評価を取るのはけっこう大変で,筆者は何度かリトライしてようやく最高評価を獲得できた。
シンプル操作で心地よいアクションに,まるで舞台のような斬新なゲーム体験。ゲームに慣れている人でもそうでない人でも,それぞれが両方のゲームの魅力を満喫できるのが「プリンセスピーチ Showtime!」の大きな魅力だ。ピーチ主演による舞台の幕が開けたいま,キラメキ劇場に足を運んでみてはいかがだろうか?
「プリンセスピーチ Showtime!」公式サイト
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