プレイレポート
[プレイレポ]非対称型対戦ゲーム「ミッション・ゼロ」。4対2の追跡バトルでは“NPCに変装する”などステルスで勝負
本作は対戦人数が4vs.2であり,ステージ内に大量のNPCが配置されるなど,同社の「Identity V 第五人格」のような非対称型対戦ゲームでありながらも,これまでの既製品とは異なる遊びを提示している。
今回はそのゲーム内容に加え,2023年2月10日開始のクローズドβテストに先駆けてプレイしてきた所感をお伝えしていく。
スパイとハンターに分かれて戦う非対称型協力対戦ゲーム「ミッション・ゼロ」の国内展開が決定。2月10日にはクローズドβテストも開始に
NetEase Gamesは本日(2023年2月3日),新作タイトル「ミッション・ゼロ」を国内向けにリリースすると発表した。本作は,4名のスパイと2名のハンターに分かれてプレイする非対称型協力対戦ゲーム。また,リリースに先駆けて,国内向けのクローズドβテストが2月10日から2月17日まで開催される。
「ミッション・ゼロ」公式サイト
「ミッション・ゼロ」ダウンロードページ
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変装して追跡者の近くを素通り!
斬新なシステムが楽しいマルチ対戦
世で人気を博す非対称型対戦ゲームの世界観は,緊迫した命がけのチェイス! といった印象があるが,本作は少し様相が異なる。
作中の惑星アルテミスでは,バラエティーショーとして世界的に人気なリアルおいかけっこ番組“ミッション・ゼロ”が大流行している。
その主役は,多くのファンを抱える人気スターグループ「メビウス」のメンバーたちと,番組で勝って賞金と大都市永住権を獲得し,劣悪な地底(サブテラニア)から抜け出したい素人の「シリウス」たち。
なかには「シリウス人を害虫扱いする容姿端麗なメビウスメンバー」「高IQで変人扱いだが,心の優しいシリウス人ハッカー」などもいて,それぞれの立場が垣間見えるが,作中ではコミカルな演出も多い。
そして当の人気番組は“2人の大スターが追いかけるから,4人のド素人は捕まらないよう逃げろ!”という内容で熱狂していた。
要は,日本の人気TV番組の逆版である。
ゲームプレイでは,潜入者を追い詰める2人のメビウス側か,追跡者から逃れる4人のシリウス側のいずれかの陣営に所属する。
メビウス側は強烈な能力を持ったハンターで,シリウス側は自前の才能と番組提供のハイテク装備で逃げるスパイの構図だ。
基本ルールは,同ジャンルの嗜みがある人はすぐピンとくるだろうが,シリウス側はマップ内のどこかにいる“暗号キーを保持するNPC”を探し当て,計4つのキーを解読して脱出を図ることだ。
対してメビウス側は,能力を生かしてシリウス側の撃破を目指す。
暗号キーの解読には一定時間を要するほか,ハッキング作業はメビウス側に開示情報として伝わってしまうため,シリウス側はなんとかして相手陣営の目をかい潜り,キーを集めつつ逃げる術が求められる。
ユニークなのは,当の暗号キーは“すべてそろえなくても脱出できる可能性がある”という点だ。というのも,パスワードは「0〜9までのいずれかの数字」と決まっており,暗号キーを解析せずとも手動で入力できる。つまり,プレイヤーの勘で入力してもOKなのである。
シリウス側は4人のうち3人が倒されると敗北となってしまうため,2人倒されてピンチのときは,複数個の解析が終わっているのならば,最後のパスワードを運試しで入力して一発逆転を狙ってもいい。
ただし,失敗するとパスワードがしばらく入力できなくなり,相手陣営に居場所までバレてしまうという相応のリスクを背負うことになるため,賭け一辺倒で状況を乱さないようにする心構えは大切だ。
前述のように,2人のメビウス側は素人たちの前に立ちふさがり,シリウス側の4人中3人を脱落させれば勝利となる。2人で協力して1人を追い詰める,分かれて幅広く守るなどの連携も重要だ。ソロで4人を相手にするタイプのゲームとは,また違った立ち回りが求められるだろう。
そして,メビウス側の行動目標は「敵を攻撃してHPを0にする」だが,シリウス側のキャラクターは「ダウン後,HPが自然回復 or 仲間の蘇生で復活」「2回目のダウン時にゲームから脱落」となる。
ダウン後に特定の場所で拘束する必要などもないため,普通のアクションゲームのようにとりあえず攻撃して倒して,そのままほかの場所に向かうでも問題なく,遊びの流れがスムーズなところが好印象。
もちろん,放置すれば蘇生されて狙いを通されるリスクもある。
さて,基本ルールは既存の同ジャンル作品と同質だが,とくに印象的なのが「NPC」の存在だ。本作ではマップに多数のNPCが配置されていることで,非対称型対戦ゲームに「潜入」という概念が付加された。
そしてシリウス側は,“NPCと同じ外見に変装”することができる。
NPCにまぎれて目立つ行動をしなければ,メビウスに見つかることなくいろいろな場所に潜伏できる。ステルス時に追跡者が近くを通りすぎる様子を目にしたものなら,思わずニヤリとするだろう。
構造としては,「アサシンクリード」や「ウォッチドッグス」といった有名タイトルが,これと近しい潜伏型対戦マルチプレイを提供していたことがあったが(人によってはソウルシリーズなども),「発見されたら逃走しなくてはならない」のが原則であった同界隈のゲームと比べると,さまざまな発想を生かせそうなのが大きな魅力である。
もっとも,変装はいつでも使える便利アクションではない。変装するには「マップ内にいるNPCを気絶させて服を奪う」必要があるため,ある程度の余裕があるタイミングでないと準備しづらい。
また,ほかのNPCがいるところで攻撃したり,目立ちすぎる奇異な行動を取ったりすると,周囲のNPCたちに羽交い絞めで拘束されてしまうため,実行時は極力スマートな行動と工夫が求められる。
これにより,捕捉されてしまってから早着替えでまぎれるといった逃げの使用目的よりも,暗号キーにそっと近づくためや,解析中の時間稼ぎに用いるなど,攻めのステルスに利点があると感じた。
そのうえ,変装する対象も意外と重要になってくる。マップ内に現れるNPCは“それぞれの活動エリアと服装が決まっている”のだ。
例えば警備員のNPCなら,フロアの1Fと2Fで服装が微妙に異なる。
この仕組みのおかげで,メビウス側なら「ここに警備員がいるのはおかしい」と見抜けるし,シリウス側なら「いてもおかしくない場所で,どれだけ自然体で振る舞えるか」を追求するテクニックが要求される。
今回は数回程度のプレイだったため,深くは観察できなかったものの,これらに関しては前例のタイトルを踏まえると,プレイヤーとNPCの挙動が明らかに違っていたり(ダッシュ時や振り向きの動作で一瞬で分かるなど),またNPCの配置や動きが固定だったりすると(逆に不動はありえないなど),正直なところ使い道が限られるため,NPC群やエモートがどれだけ繊細に作り込まれるかがカギとなりそうだ。
シリウス側は変装以外にも,対戦前に用意できる「プリセット道具」,NPCから入手できるランダムな「道具」がある。
プリセット道具は逃走・妨害には欠かせない便利効果がさまざまで,クールタイムをはさむが何度でも使用可能となっている。
効果の一例としては「自分そっくりのダミーを作る」「煙幕で攪乱」「ほかの場所に転送」などで,複数の道具を組み合わせるのもありだ。うまく扱えば一度は安全に逃げられるため,NPCからの入手道具をスムーズに集めつつ,プリセット道具とのコンボを工夫するといい。
メビウス側は変装も道具も使えないが,キャラクターごとに強襲型や戦略型などの種類が存在し,敵への直接攻撃が得意な者から罠を仕掛けるのが得意な者まで,プレイスタイルも多種多様だ。
さらにメビウスのスターたちだけが使える「スキル」も,「任意の2か所にワープポイントを設置」「遠くの敵を鎖で引き寄せる」など,キャラごとに強力な特殊能力を行使できる。
本気の対戦なら味方キャラとの相性も重要で,2人のスキルコンボがうまく決まれば,シリウス側を一網打尽にできることだろう。
なお,スキル頼りのメビウス側と,変装や道具で逃げるシリウス側とのバランスについては,短時間のプレイながら有利不利は感じなかった。というのもシリウスが暗号キーの解析をはじめた情報は,画面左上のミニマップにすぐ表示されるため,解析阻止もけっこう簡単だ。
シリウス側でプレイ中のときも,解析状況が保存される33%到達前に発見されることが度々あったため,脱出も一筋縄とはいかない。
そのうえでメビウス側は,常にミニマップを確認して相手の位置を捕捉し,味方とも連携を取ることが重要だと感じた。
それとダウンした敵を放置するか,脱落まで追い込むかの判断や,その他の相手位置を推測することでうまく立ち回れるようになる。
さらに,プレイアブルキャラクターは陣営を問わず特殊能力「天賦」を4つまでセットできる。天賦はアクション時の追加効果やパッシブの常時効果など,バトルを有利にするための装備要素であり,レベルアップにも対応している。本作における育成要素といったところだ。
先んじてプレイしてみた所感としては,どちらの陣営も面倒な要素がなく,ダウン時に拘束アクションのひと手間が生じないのもストレスフリーに思えた。マップに関しても狭すぎず広すぎな塩梅で,とくにNPCの存在が遊びの幅を伸張してくれている。
また,本作は「3人倒されたらゲーム終了」というのが面白い。
人によっては最後の1人としてギリギリまで戦いきれないことに消化不良を覚えるかもしれないが,非対称型対戦ゲームは友人と遊ぶでもなければ「残ったプレイヤーの様子を眺める」のがわりと億劫だったり,ゲームから即刻退出してしまったり,逆に残された側も1人で粘ることになんとも言えない気疲れを感じてしまったりすることがよくある。
一方,友人と遊んでいても早期脱落すると「早く終われー」などと思ってしまいがちなため,勝敗のラインをあと1人から「あとどちらか1人」に引き上げることで,遊ぶ側の心理がどう変化するのかは興味深い。
非対称型対戦ゲームが好きな人に刺さりそうな,意欲的なシステムを盛り込んできた新作ゲームとなっているため,気になる人は直近のクローズドβテストや正式配信時にぜひチェックしてほしい。