シリーズ最新作3タイトルが発表された「龍が如くスタジオ新作発表会」詳報レポート。開発スタッフとキャスト陣が，それぞれの思い入れを語る

　セガは2022年9月14日，「龍が如く」シリーズに関連する発表会「RGG SUMMIT 2022／龍が如くスタジオ新作発表会」を東京国際フォーラムにて開催した。


　新体制となった龍が如くスタジオ初の大きな発表会ということで注目が集まる本イベントでは，先に速報でお伝えしたとおり，ナンバリング最新作の「龍が如く8」（PS5 / PS4 / Xbox Series X / Xbox One / PC）とフルリメイク作品の「龍が如く 維新！ 極」（PS5 / PS4 / Xbox Series X / Xbox One / PC，以下，極），そして外伝アクション「龍が如く7外伝 名を消した男」（PS5 / PS4 / Xbox Series X / Xbox One / PC）と，一気に3タイトルの発表が行われた。
　本稿ではこの発表会の詳報として，ゲスト出演者のトークなども交えたレポートをお届けする。

写真左から横山昌義氏（龍が如くスタジオ代表・製作総指揮），中谷一博さん（春日一番役），黒田崇矢さん（桐生一馬，坂本龍馬／斎藤 一役），竹内 力さん（武田観柳斎役），小沢仁志さん（伊藤甲子太郎役），中野英雄さん（武市半平太役）

「龍が如く 維新！ 極」公式サイト

フルリメイク作「龍が如く 維新！ 極」

　まず登壇した龍が如くスタジオ代表の横山昌義氏は，新体制となってから約1年が経過したことを「あっという間だった」と振り返りつつ，手がけるタイトルの開発は順調に進んでいると報告。今回の発表について，開発スタッフもまたファンと同じく大いに楽しみにしていると話していた。

龍が如くスタジオ代表・製作総指揮 横山昌義氏

　最初に披露されたのは，この発表会より一足早く発表が行われた「龍が如く 維新！ 極」だ。同作は2014年2月22日に発売された「龍が如く 維新！」（PS4 / PS3，以下，維新）のフルリメイク作にあたる。リメイク版「極」の発売日は，それからちょうど9年後にあたる2023年2月22日となっている。

「龍が如く 維新！ 極」のメインビジュアル

　舞台が日本の幕末で用語も難しいことから，「維新」の開発当初は国内以外では売れないと踏んでいたそうだが，9年の間に世界中にシリーズのファンが増え，海外での発売を望む声が届くようになった。今回のリメイクは，それに応える形で決定したとのこと。


　リメイクにあたって登場人物の一部が変更となる理由は，元々の「維新」がオールスターキャストが登場するファン向けのタイトルだったことに起因しているという。当時，シリーズは1作目から5作目までが発売されていたが，現在ではさらに「龍が如く0」と「龍が如く7」が登場している。そのため「極」では一部のキャラクターが刷新され，2022年最新のオールスターキャストが揃うタイトルになるとのこと。
　また今回披露されたトレイラーで「龍が如く4」（PS4 / PS3）の楽曲が使われているように，本編においてもこれまでのシリーズの楽曲が採用されるという。このためシリーズをよく知るファンほど楽しめるタイトルになるそうだ。


　ここで壇上には，本作に出演する俳優の竹内 力さん，小沢仁志さん，中野英雄さんが登場。このお三方は「龍が如く0」（PS4 / PS3）にも出演しているが，今回は同じ風貌の別の役として起用されている。


　武田観柳斎役の竹内さんは，本作に登場する自身の姿を見て「ずいぶん太ってるなと思いましたね」と感想を語った。本作における武田観柳斎のCGは，「龍が如く0」の阿波野大樹の姿をベースとしているが，その頃から8年が経過し，ダイエットしてスリムになった現在の竹内さんは印象がずいぶん変わっている。この点は横山氏も数年ぶりの再開ということで，困惑したそうだ。

竹内 力さん（武田観柳斎役）

　伊藤甲子太郎役の小沢さんは，自らのYouTubeチャンネルで「龍が如く0」の実況動画をアップしているのだが，そのプレイスタイルは“掴んで投げる”ことが主なのだという。自身が演じた久瀬大作ともそのスタイルで戦ったそうだが，「（久瀬の）顔面を蹴ろうとすると，立ち上がられていつもやられちゃう」と，苦笑いしながら自身のエピソードを披露した。
　今回の伊藤甲子太郎については，「0のときもそうだけど，俺あんなに顔怖くない」と苦言を呈すと，「そう思ってるの，あなただけですから（笑）」と隣の竹内さんがツッコミを入れる一幕も。「龍が如く0」の久瀬が，鉄パイプを持って，バイクに乗って向かってきたシーンでは，小沢さん自身「ヤバすぎて下向いちゃったよ」と語るくらいだったのに比べると，今回の伊藤は「少し品がある」とのことだった。

小沢仁志さん（伊藤甲子太郎役）

　そして中野さんは，「維新」では高橋克典さんが演じていた武市半平太の役を引き継ぐこととなる。高橋さんの演技について中野さんは，「爽やかでとてもいい武市半平太だった」と感じたそうで，それに対して自分がどう演じるか悩んだそうだ。結果として「もう裏切るしかない」と心に決め，役に望んだという。
　収録に丸3日もかかったほど出番が多い役どころということもあり，横山氏は「近々では一番思い出深い収録だった」とも。演技について音響監督と衝突することもあって，小沢さんに「逆ギレだろ」とツッコまれながらも，「（演技に対して）ここまでぶつかってきてくれる人はいない」と横山氏は讃えていた。また以前は収録した音声に合わせて画を作っていたが，今回は先に作った画に合わせてアテレコをする方式だったそうで，そのため収録の勝手が違って，それが影響したのではないかとも横山氏は話していた。
　なお，お三方は今回，龍が如くスタジオの開発現場にも訪れていて，その様子はそれぞれのYouTubeチャンネル（竹内さん / 小沢さん / 中野さん）で披露されている。そちらもぜひチェックしてほしい。

中野英雄さん（武市半平太役）

　「龍が如く 維新！ 極」は，本日（2022年9月15日）開幕した「東京ゲームショウ2022」のセガブースに試遊台が出展される。いち早く体験したいという人は，会場に足を運んでみよう。

ナンバリング最新作「龍が如く8」

　続いては，ナンバリング最新作「龍が如く8」の発表だ。夜の神室町を歩く春日一番と桐生一馬の2人が映し出され，その顔が∞マークに囲われたのち，タイトルロゴの「8」の文字となるティザートレイラーがここで公開された。冒頭には本作の登場人物のものらしきセリフも重ねられており，ファンの想像力をかき立てる映像となっている。


　前作「龍が如く7 光と闇の行方」で主人公となった春日一番のみならず，桐生一馬が主人公として再登場する本作だが，そのテーマは「過去をすべて背負った男と，未来をすべて背負った男の2人を描く」ことだという。2人の人生を描ききることで物語が紡がれていくことになるようで，横山氏は冒頭のセリフ群や桐生の髪型などから色々と想像してほしいと話していた。

「龍が如く8」タイトルロゴ。サブタイトルらしき「LIKE A DRAGON」のワードも気になるところ

　ここで壇上には桐生一馬役の黒田崇矢さんと，春日一番役の中谷一博さんが登場した。ダブル主人公となった本作は，桐生と春日の2人の物語が描かれるとのことで，前作に引き続きジャンルは「ドラマチックRPG」となる。
　この理由について，横山氏は「我々がジャンルを決めるときに大事にしているのはストーリー」と語り，春日が仲間達と共に巨悪に立ち向かう物語だった前作がRPGだったのと同様に，本作もまたRPGが最適なジャンルとして選ばれたそうだ。

黒田崇矢さん

　主人公を演じるお二方にも話が振られたが，黒田さんは「横山さんがしゃべりづらそうなのに，私達が一体何を話していいのか」と苦笑。しかし今回の主人公の1人としての再登場することには「やっぱり嬉しいです」と喜びの声を漏らしていた。これまでのシリーズを「常にこれが最後だと思って演じてきた」という黒田さんだからこそ，その感慨はひとしおだろう。
　一方，中谷さんは「言ってはいけないことが多すぎて何を話していいか分からず，緊張してます」と前置きしつつ，「シリーズのいちファンとして，とんでもないストーリーになっている」と，ファンの期待を煽っていた。

　「龍が如く8」の発売は2024年の予定だが，横山氏は「早い時期に出したい」とも語っていた。スケールも過去最大級になるとのことだ。

中谷一博さん

外伝「龍が如く7外伝 名を消した男」

　「龍が如く8」のトークでは，「龍が如く6」で桐生の物語が完結したあと，なぜ再び彼が登場するのかという点についても話が及んだ。実は「龍が如く7」にも僅かながら登場シーンのあった桐生だが，前作からそのシーンまでと，そしてそこから「龍が如く8」の主人公となるまでの空白の期間を補完するのが，今回サプライズ発表された「龍が如く7外伝 名を消した男」だという。


　2018年夏，寺で「ジョウリュウ」という名の僧として修行をする桐生が，謎の男の依頼を受け，ある人物の警護に就く様子がトレイラーでは描かれている。本作は桐生一馬を主人公としたストーリーとなり，ジャンルもかつてのアクションアドベンチャーになることも明らかとなっている。

「龍が如く7外伝 名を消した男」タイトルロゴ

　映像を見て「鳥肌が立った」と声を上げた中谷さんが，以前と同じゲーム仕様になるのか横山氏に尋ねると，「アクションゲームになるのは間違いなく，当然スタイルとかを切り替えるとかもあるんですが……」と思わずこぼすシーンも。
　タイトルにもあるように本作は「外伝」なので，ボリューム的には本編シリーズの半分程度のコンパクトな内容だが，シリーズおなじみの街遊びのシーンなどもあり，しっかりと遊べるものになるそうだ。


　発売は「龍が如く8」よりも早い2023年の予定で，シリーズをすべて遊んでいるファンが気になっているストーリーを補完し，気持ちよく最新作に臨める作品となる一方で，海外を含む「龍が如く7」で初めてシリーズに触れたファンが，作中で伝説として語られている桐生一馬の姿を改めて知ることができる“入門編”的な位置づけでもあるという。

　最後に横山氏は「シリーズを作り始めてから20年近くを経て，作る人間が変わるとともに作品の内容も変化してきました。変化を続けてより大きくなっていく『龍が如く』を今回発表した3タイトルで楽しんでいただいて，龍が如くスタジオの進化を感じ取っていただければと思います」と述べ，イベントを締めくくった。

「龍が如く 維新！ 極」公式サイト