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[TGS2023]「鉄拳8」にはプレイヤーの動きをAI学習するゴーストやTEKKEN BALLが実装。メディアイベントで行われた合同インタビューの模様をお届け
「鉄拳8」については,フェン・ウェイ,パンダといった新キャラクターの参戦,クローズドベータテスト(CBT)参加者の募集開始など,「東京ゲームショウ2023」に合わせてさまざまな新情報が公開されているので,以下の記事も合わせて確認しよう。
「鉄拳8」に馮 威(フェン・ウェイ)が参戦。10月下旬に実施予定のクローズドベータテストへの参加者も募集開始
バンダイナムコエンターテインメントは本日,2024年1月26日に発売予定の対戦格闘ゲーム「鉄拳8」に馮 威(フェン・ウェイ)が参戦することを発表し,トレイラーを公開した。また,10月20日17:00からクローズドベータテストが行われることも発表されており,テスターの募集が始まっている。
[TGS2023]「鉄拳8」にパンダ参戦。バンダイナムコブースにはもっふもふなパンダの巨大像が展示
バンダイナムコエンターテインメントは,2023年9月21日から24日にかけて,幕張メッセで開催されている「東京ゲームショウ2023」にて,「鉄拳8」の新参戦キャラクターとしてパンダを発表した。
プレゼンテーションでは,シリーズでは初となる,大規模オンラインビジュアルロビー「TEKKEN FIGHT LOUNGE」,プレイヤーの特徴やクセをAI学習し,再現したゴーストを生成する機能「SUPER GHOST BATTLE」,「鉄拳」ファンはおなじみのミニゲーム「TEKKEN BALL」の復活が発表された。合同インタビューでは,これら3つの新要素に加えて,10月に行われる予定のクローズドベータテストについて,池田幸平氏(「鉄拳8」ゲームディレクター)と安田イースポーツ氏(「鉄拳」プロジェクト マーケティングプロデューサー)が答えてくれた。
プレゼンテーションで公開された新要素
●TEKKEN FIGHT LOUNGE
「鉄拳」シリーズでは初となる,大規模オンラインビジュアルロビー。カスタマイズ可能な自分のアバターを操作し,対戦や観戦,ほかのプレイヤーとのコミュニケーションが楽しめる。
●SUPER GHOST BATTLE
「鉄拳8」ではプレイヤーの対戦内容をAIがラーニングしており,プレイヤーの特徴やクセを学習,再現したゴーストデータが自動で生成される。そのゴーストデータはTEKKEN FIGHT LOUNGEで確認することができ,同じ空間にいる他プレイヤーとのゴーストと対戦することが可能となっている。
●TEKKEN BALL
往年の「鉄拳」ファンにはおなじみのTEKKEN BALLが復活! 本作ではオンライン対戦にも対応。TEKKEN FIGHT LOUNGE内のビーチエリアにアクセスすることで,TEKKEN BALLでの対戦,観戦が行える(※10月に実施されるCBTには未実装)
全「鉄拳」プレイヤーのデータをゴースト化するという一大プロジェクト,SUPER GHOST BATTLE
――SUPER GHOST BATTLEはどのモードでのプレイヤーの動きを学習するのでしょうか。
池田氏:
アーケードクエストやオンライン上の対戦などが学習対象になっています。逆に学習データとして使わないのはオフラインでの対戦ぐらいですね。常にAIの方が勝手に学習する仕様になっているので,プレイヤーが何かをセッティングして学ばせる……という手間はまったくないようにしています。
一度プレイヤーのゴーストのデータをダウンロードすれば,あとはオフラインでもダウンロードした人のゴーストと戦えるようにする予定です。
安田氏:
ゴーストはTEKKEN FIGHT LOUNGEにログインしている人から手に入れられるので,プロの選手が配信を始めたら,ゴーストのデータをダウンロードしていくという光景が見られたらいいなと思っています。
――複数のキャラを使っているプレイヤーの学習データはどういう扱いになるのでしょうか。たとえばメインキャラでのコンボ精度が高い人が,別のキャラを使ったときにコンボ精度が低いとなった場合,ゴーストの学習に影響するのでしょうか。
池田氏:
学習データは全キャラ別々に蓄積されていくので,そういった心配はまったくありません。ただこの方法は収集するデータの量が膨大かつ大変なので,学習とそれを反映させるスピードにはこだわっています。1試合目の数十秒でもラーニングすれば,プレイヤーごとの違いが出るような作りになっていますよ。
安田氏:
いま弊社の開発チームでは,若手にとにかくゲームをプレイさせて,ゴーストの育成具合を研究しています。そうしてできたゴーストとマイケル(マイケル・ムレイ。鉄拳プロジェクトプロデューサー)を戦わせて,マイケルに勝てるまでゴーストを育て続けるっていう遊びをやったんですけど,3時間経ってもマイケルには勝てませんでした(笑)。
池田氏:
ただ負けはするんですが,腕前はかなり上達していて,ゴーストを育てるということは自分の成長につながると思います。
人と戦わせたときに応援したくなるのも面白い要素になると思います。ここでなんで技を出さないんだよ! とか,監督になった気分が味わえますね。
――最初に1回ガードに成功すると,その後はずっと中下段の揺さぶりも効かずガードし続けたりするのかな……と思ったのですが,そういった心配はなさそうですか。
池田氏:
学習した行動をどうゴーストの動きに取り入れるかは,成否の回数といったデータよりも,状況,間合いだったりラウンドのタイムなどでどういう行動を選んだかを大きく考慮しています。とくに開幕直後の動きは人間のクセが出やすい部分なので,学習すべきポイントとして重要度を高く設定しています。
安田氏:
1,2試合データを取れば,その人っぽい動きをしてくれるようになっているので,こちらにけっこうな驚きを提供してくれますね。
――ちなみに操作方法をスペシャルスタイルにした際の行動もゴーストは学習するのでしょうか。
安田氏:
はい。私のSUPER GHOST BATTLEは開幕下がりつつ,操作をスペシャルスタイルに切り替えるっていう動きに仕上がっています(笑)。
池田氏:
私の場合は,レイジアーツが使用可能な状態でコンボ始動技を当てると,ミスらないようにスペシャルスタイルに切り替えているので,ゴーストも同じことをしますね。
――ゴースト同士を対戦させるモードを実装する予定はありますか。
池田氏:
現時点でユーザーさんに楽しんでもらえるサービスとして提供できるか,研究を進めている段階です。技術的には可能ですし,ニーズがあることは分かっているので,当然対応していきたいと思います。ただリリース時には,まずはゴーストとの対戦の面白さを感じてもらえる方向で開発を進め,完成度を高めています。
――SUPER GHOST BATTLEの機能を切ったりダウンロードできないようにしたりすることは可能でしょうか。競技シーンで戦うプロ選手は,大会前にゴーストを見られるのを嫌がる可能性もあると思うのですが。
池田氏:
現時点ではSUPER GHOST BATTLEを切る機能を実装する予定はありません。競技シーンを考えて機能を削減するといったような方向性ではなく,すべてのプレイヤーにゴーストが作られていくことで,多くの「鉄拳8」プレイヤーが楽しいと思って遊んでもらう環境を作っていきたいからです。
ゴーストは人間の動きをかなり忠実に再現するといっても,どうしても異なる部分は出てくきますし,AIと戦うだけでその人への対策が完了するわけはないので,競技シーンに参加するレベルのプレイヤーがそれほど心配するようなことは起きないと思っています。
TEKKEN BALLのオンライン対戦が実現
――「鉄拳8」では,TEKKEN BALLが復活しオンライン対戦に対応します。多くのプレイヤーがTEKKEN BALLの研究を始めることが考えられますが,対戦がどういった方向に進化していくと思いますか。
安田氏:
楽しみしかないですよね。こちらが想定していない,とんでもないテクニックが生まれたりするんじゃないですか。
池田氏:
EVOとかコンボブレイカーとか,オフラインの大会では,TEKKEN BALLのサイドトーナメントが開かれていることもあったんですよ。「鉄拳8」でも盛り上がってほしいなと思いますね。
安田氏:
「鉄拳7」の時にファンから要望も多くいただいていましたし,自分もすごく作りたかったので,「鉄拳8」の開発のわりと初期の段階で,原田に要望を出しました。
――TEKKEN BALLにランクマッチのような順位を競うゲームモードはありますか。
安田氏:
ないですね。TEKKEN BALLの方はランクを気にせずカジュアルに遊んでほしいので。そのため観戦機能なんかは通常の対戦と同じように入れています。
――ゴーストはTEKKEN BALLの動きも学習するのですか。
池田氏:
TEKKEN BALLとゴーストは切り離されています。TEKKEN BALLを1人で遊ぶ場合は通常のCPUと戦う形式になっていて,3つの難度から選べます。最高難度のCPUはかなり強めの設定にしていますし,けっこう遊びごたえはあると思います。
普段のゲームモードよりは,技の当たり判定を大きくしてボールを飛ばしやすくするなど,プレイヤーが遊びやすい細かいバランス取りも行っています。
10月開始予定のクローズドベータテスト(CBT)の見どころは?
――10月にCBTが行われることが発表されましたが,前回のCNTを経て,変わったポイントを教えてください。
池田氏:
バトル面においては,ヒートシステム中のコンボ関連に手を入れていて,ヒートバースト,ヒートラッシュを絡めたコンボがCNTの時ほど長くならないように手を入れています。
ただそれだけだと面白くないので,ヒートバーストを切り返しに使えるという意図でパワークラッシュ属性をつけています。この2点の調整によって,お互いがヒート状態になった中で殴り合うことが多くなり,「鉄拳8」ならではの駆け引きの面白さが感じやすいようになったかと思います。
池田氏:
スペシャルコマンド(簡易入力)も変わったポイントになります。レバーを前や後ろに入れながらボタンを押すと,出る技が変わるようになりました。下段技のバリエーションの増加,相手との距離を詰められる突進技,ワンツーでの切り返しなど,通常の操作でもよく出す技をスペシャルコマンド状態でも使い分けられます。これにより,いろいろな技が出せる楽しさを味わいつつ,対戦の駆け引きもそれなりにできるようになりました。
ほかにもCNTで使用率が低かったキャラクター,前作から変化に乏しいと評価を受けたキャラクターに関してはテコ入れしています。このあたりのキャラクターにはより個性が際立つ調整を施したり,新しい要素を足したりしています。
――今回直近で公開したフェンをCBTで使えるキャラクターとして選んだ理由はなにかありますか。
安田氏:
飛鳥とリロイを発表した時は,EVO JAPANだからこのふたりって言った気がしますが(日本人気の高い飛鳥,EVO JAPAN2020で猛威を振るったリロイというチョイス),今回はそういった理由づけはないですね。ただフェンは使いやすくて人気があるキャラなので,CBTで使えるキャラのひとりとして発表しようと決めました。いま「鉄拳7」の競技シーンで活躍してるっていうのも大きいですね。
池田氏:
CBTでフェンを使う人は,「鉄拳8」の肉体の表現だったり,攻撃的なスタイルになった点に注目してもらえればと思います。ヒートゲージ発動中にガードクラッシュができるといった独自の要素も持っていたりもします。
――「鉄拳8」の仕様は過去作以上に前に出て殴り合ってほしいという開発陣の意図を感じました。一方で「鉄拳」シリーズは,トップレベルの戦いになると,距離の取り合いや,ローリスクな技中心で相手を崩していく展開が多い印象があります。ヒートシステムはこういった「鉄拳7」までのセオリーに一石を投じたいと思って導入したのでしょうか。
池田氏:
いえ,距離の取り合いや鉄拳ならではの読み合いというのは,それはそれで対戦の完成形だと思っています。
「鉄拳8」はこれまで培われてきたものは残しつつ,ローキックのリスクを上げたうえでダメージは落としたり,「鉄拳7」で強力な連係だったワンツーからのワンツーをパワークラッシュで割り込めるようにしたりすることで,差し合いや読み合いに変化をもたらせるようにしています。
発売前の現段階だと,「鉄拳8」はヒートシステムを使ってアグレッシブに攻めた方が楽しいし強い,キャラクターの個性も引き立つという今回の調整方針を押し出す形になっています。「鉄拳」らしい読み合いは残しつつ,その重みを下げているイメージですね。
あとは「鉄拳7」ではシーズンが進むとキャラクターの攻めの形がかなり似通ってしまっていたので,今回改めてキャラクターの魅力,特徴を洗い出して,空中コンボを2回か3回当てるだけではないダメージの取り方を各キャラクターそれぞれに用意もしています。
――今回のCBTで,開発側が一番の目的としているのは何ですか。
安田氏:
やはり今回もネットワーク周りのテストが主な目的になります。幸い前回は大きなトラブルはなかったのですが,今回はオンラインロビーのTEKKEN FIGHT LOUNGEが遊べるようになって1か所にプレイヤーが集まります。そうなるとサーバーがどうなるのかなどのチェックをしたいと思っています。
ゲームの調整に関しては,CNTを体験したユーザーに改善してほしいと意見を寄せてもらっていた部分に手を入れています。もともと自分たちも「ここは直すべきだな」と感じている部分も多かったので,CNTの時点で開発がユーザーと同じ方向を向けているのを確認できた形になりますね。
――CNTと同じように遊べるとなると,「鉄拳」ガチ勢の人はTEKKEN FIGHT LOUNGEには来ずに,トレーニングモードでランクマッチを待ち受けるプレイをしそうですが,なにか対策を講じたりはしますか。
安田氏:
何か制限をかけるわけではないですが,ラウンジの方に来てほしいですし,来てもらえるような呼びかけはしていこうと思っています。ただランクマッチに潜ってマッチングが成立したのにそれを蹴ってトレモを続ける……っていうのはやめていただければと(笑)。
池田氏:
CBTではTEKKEN FIGHT LOUNGEからしかゴーストとの対戦ができないようになっているので,ゴーストに興味を持ってもらえれば,ラウンジに来てもらえるのではないかと思っています。SUPER GHOST BATTLEの感想やどれだけプレイヤーの動きを再現できているのかという点にもフィードバックをいただきたいですね。
安田氏:
逆に「ランクマッチだけだと怖いしやらないよ!」という人も多いと思うので,ゴーストと戦って動きを見てみると,また違った経験ができると思います。数多くの人たちにゴーストに触れていただきたいですね。
池田氏:
よかった部分はもちろん,ここは使いにくかった,こういう機能があるといいみたいなフィードバックや,ゴーストをオンラインのラウンジで見られるということがどういうコミュニケーションを生むかといった反応も見たいので,ぜひTEKKEN FIGHT LOUNGEに足を踏み入れて,SUPER GHOST BATTLEにも触れてほしいです。
「鉄拳8」公式サイト
4Gamer「東京ゲームショウ2023」記事一覧
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TEKKEN™8 & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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