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建物をぶっ壊し,爆破し,空を舞う,やりたい放題なチームFPS「THE FINALS」。プレビューイベントの先行プレイとQ&Aセッションをレポート
本作は,バーチャル世界のアリーナを舞台に,複数のチームが入り乱れて戦うファースト・パーソン・シューターだ。名目上は“シューター”でこそあるものの,登場する武器には,定番の銃,爆発物といったものから,まさかの「レイピア」まである有様。そして,最大の特徴でもある「オブジェクト破壊」によって,戦況は目まぐるしく変わっていく。基本的には“もうなんでもあり”の体験が,プレイヤーを待ち受ける。
正式サービス開始に先駆けたプレビューイベントでは,編集部S.K.Y氏,筆者(夏上シキ)の2名で,ネクソンの担当者曰く「ほぼ製品ビルド」だというゲームプレイを体験できたほか,Embark StudiosメンバーのオンラインQ&Aセッションが実施された。本稿では,そんな期待あふれる本作について,新たに明かされた情報をお届けしよう。
[プレイレポ]「THE FINALS」は,建物をぶっ壊しながら4チームが乱戦を繰り広げるチーム対戦FPS。グローバルβテストは3月7日にスタート
基本プレイ無料のチーム対戦FPS「THE FINALS」のグローバルβテストが,本日20:00にスタートする。これに先駆けて行われた,メディア向けの先行体験会の模様をお伝えしよう。※メーカーよりグローバルβテスト開始時間変更の連絡があったため,記事を修正しました
「世界最高の戦闘ゲームショー」に殴りこめ!
本作「THE FINALS」では,プレイヤーは世界最高の戦闘ゲームショーである「THE FINALS」(ゲーム内の設定が,そのままゲームのタイトルになっている)に参戦し,現実世界をモチーフとしたステージが特徴の仮想空間で,カオスなバトルに身を投じることになる。現時点で,すべてのゲームモードは「3人で1チーム」となっており,参加するチームたちによる,なんでもありの戦いが繰り広げられるわけだ。
舞台が仮想空間ということもあり,キルをされるとフィギュアになったり,コインをばら撒いてしまったりする。そこらじゅうを破壊しまくってもOKなので,まぁそれはそれは自由な戦いである。この“コイン”こそ,実は本作にとって非常に重要な存在……なのだが,ここではひとまず置いておこう。
プレイヤーは,ライトボディ,ミディアムボディ,ヘビーボディの3種類からキャラクターロードアウトを作成し,ショーへと臨む。ボディによって,使用可能な武器,アイテム,アビリティなどが異なるので,自身のプレイスタイルに合うキャラクターを作成しよう。簡潔に表現するなら,
- HPこそ低いが,高い機動力と攻撃性を持ち味とするライトボディ
- 戦闘からサポートまで万能にこなせる,バランスの取れたミディアムボディ
- 爆発物などによるオブジェクト破壊,元々のタフさを活かした防衛を得意とするヘビーボディ
といったところだろうか。筆者がミディアムボディでちまちま戦っている間,編集部のS.K.Y氏は爆発物満載のヘビーボディで敵チームのプレイヤーを粉砕していたりして,プレイスタイルの差が顕著に出ていた。「自分の得意なことをひたすら押しつける」ゲームプレイは,どこか懐かしい感触を覚えたりもする。
そして,本作を本作たらしめている大きな要因として,「オブジェクトの破壊要素」は絶対に欠かすことができない。目に見えるもの……たとえばビルとか,塀とか,床とか,天井とか,とにかく,そこらへんの類いのものは,基本的に爆発物で破壊できる。部屋にこもる敵を壁ごと吹き飛ばしたり,屋上に居座る敵をその下の階から爆破したりできるわけである。銃が主役ではなく,ステージそのものを主役にするわけだ。
これは余談だが,筆者が懸命に銃撃戦を繰り広げるなか,S.K.Y氏が筆者に放った言葉は,本稿を執筆している今でも忘れることができない。彼はグレネードランチャーを撃ち込み続け,C4で至る場所を爆破し,RPGで敵プレイヤーを壁ごと吹き飛ばしながら,淡々と述べた。
「撃ち合ったら負けだ。爆破すりゃいい」
ステージギミックが豊富なのも特徴で,時間帯といった基本的なものから,天候(砂嵐が起きることも)や,マップ構造の変化(アヒルのマスコットがパーティーに乱入し,アリーナの一部を潰す決心をするという意味不明なものもある),ゲーム内イベント(エイリアンのUFOが襲来し,地上へ向かって砲撃を加えてくる)まで,もうやりたい放題。ここで紹介したものはあくまで一例に過ぎず,次々と起こる変化によって,プレイヤーを飽きさせない。
また,本作の「敵プレイヤーをキルするだけでは,勝利は難しい」という点にも着目したい。今回のイベントで体験できたゲームモードは,大きく分けて2種類。ステージ内に存在する金庫から,キャッシュボックスを入手後,ステーションへと運び,キャッシュアウト(入金)することでキャッシュを得られる「クイックキャッシュ」モード。もう一つが,金庫を開けたり,敵をキルすることで獲得できるコインを,ステーションへ投入することでキャッシュを得られる「コインダッシュ」モードだ。
これに加え,A・Bそれぞれのグループから4チームが参加し,最後の1チームとなることを目指して勝ち進む「トーナメント」モードも用意されていた。
双方に共通しているのが,何らかのアクションで,キャッシュやコインを入手しても,それを“入金しなければ意味がない”という点。もちろん敵をキルするのは大事だが,必ずしも勝利へ直結しないのがポイントである。とは言いつつ,敵を見つけるまで走り回りたいイノシシタイプの筆者は,ゲームに「もっと頭を使え」と言われている気分であったが,「まぁ体験会だし……いっか」と走り回ってピョンピョン飛び跳ね,銃やアイテムをぶっ放していた。
ゲーム全体的にユーモアあふれる仕上がりで,どこか「おバカ感」も感じる本作だが,勝利を狙うとなると,一気にシビアな連携が求められる点は記しておこう。自身の立ち位置,敵の位置,破壊状況,どの場所を吹き飛ばすか……などなど,ボイスチャットによる連携は,効果が非常に大きなものになる。よほどの上級者であれば,個人技でどうにでもなるかもしれないが,長めのリスポーン時間も合わせ,基本的には“個”よりも,“群”で動いたほうが強いゲーム性だ。
そこらへんを走り回り,飛び跳ね,とりあえずぶっ壊したり,キルしたりしているだけでも楽しいが,それだけだと“勝利”にはつながらない。勝利を目指すには,クリエイティブな戦闘と,マメなコミュニケーションが欠かせない。このあたりは,俗にいうカジュアルマッチ・ランクマッチでの区別化であったり,ゲームモードの追加などで,プレイヤーの目的による棲み分けが行われると良いかな? と思ったりもする。
とはいえ,ゲーム自体はシンプルで,戦闘スタイルはプレイヤーの数だけある。正式なサービスが開始した後,多くのプレイヤーによってショーがどのような進化を見せるのか,この時点で大きく興味を惹かれるプレイ体験だった。なお,個人的な感想として,ゲーム内のBGMの多くが“ノレる曲”であったのも良かった。配信サービスなどで,本作のサウンドを聞けるタイミングが来ると嬉しいと思っている。
「我々は日本のアーケードゲームに影響を受けている」
イベント終盤,ゲームプレイを終えた国内のメディア陣を待っていたのは,本作の開発を行うEmbark Studiosとの,オンラインQ&Aセッションだった。インタビューに応じてくれたのは,Embark Studios共同創設者の一人であり,本作の総括も務めるロブ・ルネソン氏と,同社のコミュニティヘッドを務めるスヴェン・グランドバーグ氏の2名だ。
本作のアイデアや,インスピレーションを受けた存在など,非常に興味深い話を聞くことができたので,その模様をお届けしつつ,本稿の締めくくりとしよう。
──本作のコアとなるコンセプトは,どのように作られたのでしょうか。
ロブ・ルネソン氏:(以下,ルネソン氏)
Embark Studiosのメンバーは元FPS制作者が多く,自身も過去,数十作品に携わっています。そうしたキャリアの中で,シューター作品の古さを感じるようになりました。楽しさと競争の両立を目指し,「ダイナミックなサンドボックスでありながら,プレイヤーによって結果が作られるゲーム」を目指したんです。
──キャッシュを貯めるというゲームシステムは,どのように生まれましたか。
ルネソン氏:
挑戦と失敗を繰り返しつつ,プレイヤーの経験を,プレイヤー自らカスタマイズするゲーム作りを目指したのがきっかけです。開発が2年ほど進んだ後,ダイナミックなプレイの要素を取り入れ,動と静が次々と入れ替わるゲームを考えたことが,現在のスタイルに繋がっています。我々が作りたかったのは,プレイヤーの自由度が高くて,プレイは楽しいもの。でも,競争もできる作品なんです。
──開発にあたって,影響を受けた存在はありますか。
ルネソン氏:
インスピレーションは様々ですが,とくに日本の方に話したいのは,我々は「伝統的なアーケードゲーム」が大好きであるということです。市場の多くのFPS作品ではなく,「鉄拳」や「ストリートファイター」といった,日本の伝統的なアーケードから大きな影響を受けています。開発中,セガサターンで100時間以上遊んで研究をしたりね(笑)。日本のゲーム開発者には本当に感謝しています。
──本作の世界において,“コイン”には深い設定があったりするのでしょうか。
ルネソン氏:
本作のゲームショーという設定とも繋がっていますが,なにより,我々のコアとなっている存在への純粋なオマージュです。どうしてもアーケードゲームにコインを入れたくて,親の財布から硬貨を拝借するような(笑),少年の心が根底にあります。
──先日のテストでは多くのフィードバックが寄せられたと思いますが,どのようなものがありましたか。
ルネソン氏:
多くのフィードバックを寄せていただきました。バグからゲームバランス,時にはゲームサーバーの意見をいただくこともありましたね。それを受け,正式リリースでは,非常に多くの修正を施しています。皆さんにプレイしていただき,本当に感謝しています。
──正式サービス後,1シーズンの期間はどの程度になるのでしょうか。また,どのようなコンテンツを,どの程度の頻度で追加していく予定ですか。
ルネソン氏:
正確なことはお伝えできませんが,1シーズンが大体3か月で,1年に4シーズン程度を想定しています。バトルの舞台となるステージは,世界各国をモチーフにしています。もちろん,日本も候補に入っていますからね(笑)。各シーズンでは,大小さまざまな規模のゲーム内イベントや,バトルパスを導入する予定です。シーズン2では完全に別物になりますので,ぜひ楽しみにしていてください。
スヴェン・グランドバーグ氏:
本作のライブサービスを,コミュニティと共に続けていくことを追求していきたいですね。
──ゲームバランスとしては,どのようなものを追い求めていくのでしょうか。
ルネソン氏:
「Counter-Strike」や「VALORANT」のような,競争性のあるハードコアなゲーム体験と,プレイ時の楽しさを両立し,プレイヤーもコンテンツクリエイターの視聴者も楽しめるゲームを目指します。
──本作のコミュニティへの展望や,どのようにプレイしてほしいかをお聞かせください。
ルネソン氏:
私たちはいつも笑いながら,大声で叫んだり,時にはキーボードをぶっ壊したりしてプレイしています。なので,武器のチャームに“ぶっ壊れたキーボード”を追加しようと思ってるんです(笑)。ファンにも同じように,純粋な熱量と愛を持って,プレイしてほしいですね。10年くらい,長く楽しんでくれたら嬉しいな。
──初めてFPSを経験するユーザーや,本作をプレイするプレイヤーにメッセージをお願いします。
ルネソン氏:
ヒーラーのようなプレイをしてもいいですし,建築物を片っ端からぶっ壊しまくってもいいです。「とにかく楽しんで。敵を排除するだけでなく,もっとクリエイティブになってほしい」と伝えたいですね。eスポーツのプロから,初めてFPSをプレイする人々。大人から子供までが本作のプレイヤーですから,どのようなフィードバックも大切にしています。
ゲーム内に登場し,本作のキーアートにもなっている「パンダのコスチューム」ですが,実は「パンダとしてプレイできないゲームなんて楽しくないから遊ばない!」というフィードバックから実装されたものなんです。このフィードバックの送り主は,私の姉の子供たちの,一番小さな娘なんですけどね(笑)。
そして姉自身も「THE FINALS」が,初めてプレイする3Dゲームになりました。彼女は銃を撃たないプレイスタイルでしたが,「ゲームがこんなに楽しいとは思わなかった」と言ってくれたんです。そうした楽しいゲーム体験を,より多くの方々にしていただきたいと思っています。
我々は,「THE FINALS」を世界中で人気があるゲームにしたい。そのために,皆さんにはどんどんプレイしていただき,そして,どんどんフィードバックを送っていただけたら嬉しいです。
「THE FINALS」公式サイト
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THE FINALS(C)2022 Embark Studios AB. THE FINALS and EMBARK trademarks and logos are trademarks or registered trademarks of Embark Studios AB. NEXON trademark and logo are trademarks or registered trademarks of NXC Corporation.
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